河野茂の発言 (予算委員会)
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○河野参考人 アカデミアの立場から、次のパンデミックも見据えて、長崎大学学長河野ですけれども、お話をさせていただきます。
資料の一ページを御覧ください。
オミクロンは軽いから大丈夫というのは間違いであります。木を見て森を見ず。
下のデータは長崎県の入院患者ですけれども、高齢者介護施設のクラスターにより、病床はこのように急増し、逼迫いたしております。
次の二ページを御覧ください。
二年前、二月に横浜でダイヤモンド・プリンセスのクラスターが起こりました。その一、二か月後に、長崎では、クルーズ船のコスタ・アトランチカ号のクラスターが起こっております。
当時はまだまだ、何がどうすべきか分からないままに、県、国の協力を得まして、長崎大学は、学長の迅速な意思決定構築を形成し、豊富な人材を適材適所に用いて、当時ではまだ遺伝子診断が非常に難しかった時期に、三、四日で六百二十数名を本学が開発したLAMP法を用いて検査いたしました。同時に、咽頭拭い液はサンプリングが大変難しいので、唾液サンプルの有用性も検討させていただきました。
乗員等の診療ですけれども、これは、秋野公造議員を経て自衛隊から調達しましたCT診断車を活用し、船外において、埠頭本部を構築しまして、乗組員の感染対策指導、トリアージを行い、さらに、スマホを利用した健康管理アプリを開発して、感染防止拡大等に当たっております。
DMATや帰国支援、国、県、市などとの連携により、「死者ゼロの真相」で、ここにこの経緯を示しておりますけれども、一旦は、このときは鎮圧いたしました。
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この二年間で感じたことですけれども、今後、日本を感染症の脅威から守るため、現在のこの最大のピンチをチャンスに変える必要があります。この波を乗り越えたから終わりという短絡的な思考では極めて厳しく、感染症のパンデミックは国防という観点からの危機管理が試されております。
パンデミックを含めた感染症の迅速な情報収集、解析、対応作成は国防の要であります。国立感染症研究所だけでは難しく、現行の保健所体制も脆弱であり、全国からの疫学情報を管理する組織、地方ブランチも含めた新設、そして、保健所機能を抜本的に見直し、拡充するということが必要です。
また、今、抗原検査が逼迫しておりますけれども、有事の際の診断検査体制の構築、研究機関、企業、アカデミアの協働体制、さらには、予防のためのワクチン、例えばインフルエンザのときのような定期的なワクチンや経口薬、こういったものの治験の迅速な遂行体制の整備、諸外国に負けないためのこういった治験体制をつくるということ、さらには、支援体制、DMAT、DPAT、自衛隊などに感染対策の専門医が少ないということで、パンデミック対応感染制御チームの設立ということも重要かと思います。
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医療ですけれども、現在のように、高齢者介護施設クラスターによって病床は逼迫しております。そして、自宅療養者の死亡の発生ということで、これではいけません。全ての病院で診療できる体制の整備というのが必要であります。そのためには、人材育成、そして、全病院、施設に感染制御チームの設置の義務化、こういったことが必要かと思います。
そして、今のように、大量の感染者の評価と層別化、このために保健所は逼迫しておりますし、医療機関の負担も偏在化しております。したがって、保健所機能の拡張と開業医も含む全ての医療機関の役割分担の明確化、医師会、病院、アカデミア、行政、オンラインの促進も含めて対応すべきだと思います。
そして、新しい薬、この治験のプロセス、完全に今海外の開発に頼っていますけれども、やはり、パンデミックのときには、診療と治験を同時進行するのは極めて困難であります。人的、物的支援が必須で、やはり、例えば、軽症で、外来でオンラインを利用した治験ができるとか、重症は、レムデシビルを早期導入したときのように、国産治験薬の早期承認の仕組みの導入など、やはり企業にインセンティブを持たせる必要があろうかと思います。
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この五ページの下の方に、今はウイルスですけれども、ウイルス感染症でなく、薬剤耐性菌が大きな問題になる可能性もあります。
実は、この上に書いてありますように、数年前には、日常診療にも必要な抗生物質が供給停止されました。これは、ジェネリック促進、薬価引下げで企業が国内生産を減らして、海外に拠点を移し、海外で問題が発生したために自国で生産ができないということで、感染症対策は国防であるという意識の欠如が明らかになったと考えております。
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今、様々なワクチンに対して様々な意見があります。
感染症からしますと、予防にはワクチンは基本であります。こういったワクチン接種に対する正しい知識が欠如しているということから、やはりこれは、初等教育から感染症の予防や制御の基本的な教育、したがって、幼児期から高等教育までのシームレスな教育ということで、高等教育においては、恒常的に感染症診療に強い専門医を育てる仕組みとしまして、学部段階から専門医を目指す感染症専門医枠の設置、また、主要な病院に専門医を育成するための恒常的組織の設置ということが必要かと思います。
そして、今回、やはり理論疫学の専門家と、行政、専門家を橋渡しする、政策実行できる人材養成組織も必要であります。人への投資というのが極めて重要であります。
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七ページですけれども、本学では、こういった人材、為政者、専門家とアカデミアを橋渡しする、学術的エビデンスを効率的に政策に落とし込むことのできる人材養成ということで、博士レベルの公衆衛生人材養成ということで、この十月から、長崎大学プラネタリーヘルス学環を設置し、ドクター・オブ・パブリックヘルスを与えるように、熱帯医学、ロンドン大学、国立国際医療研究センターなど国内外の研究、教育施設と連携して、しっかりこういった人材を育てようと考えております。
次ページを御覧ください。
研究ですけれども、やはり未知の微生物、今ない微生物に対応できるようなBSL4など、平時の先端的基礎生命科学と臨床研究、これを推進するためには、やはり、国による十分な研究費の継続的で安定的支援が不可欠であります。それと、制圧ツールの実用化に向けて、産官学の連携の研究プラットフォームを構築ということが非常に必要かと思います。
また、パンデミックに瞬時に対応できる体制、平時における研究者間の連携、グローバルネットワーク、基礎研究を迅速に臨床できるシステム構築、また、数理モデルを用いた予測、こういったものをしっかり研究する必要があろうかと考えております。
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パンデミックが次に国内に侵入すれば、やはり、公衆衛生と医療システムのすり合わせ、ここは極めて重要であります。ウイルスなど微生物に対応することも重要ですけれども、やはり、何といっても、今回分かったことは、人、人への投資が極めて重要であります。
したがって、医療、国を守るという観点からの危機管理、保健所機能の強化。教育は、初等教育から大学院、臨床現場までの感染症教育、感染症専門医、公衆衛生専門家の養成。研究は、アカデミア創薬を可能にする仕組みと安定的予算の確保ということを是非お願いできればと思っております。
御清聴ありがとうございました。(拍手)