山添拓の発言 (憲法審査会)
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○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
この間、衆参で本会議へのオンライン出席の可否をめぐり、憲法五十六条一項に関する憲法審査会が開かれてきました。
しかし、新型コロナの感染拡大が繰り返す下でも、国会議員の三分の二、参議院の定数でいえば百六十四人が同時に一定期間にわたり国会に参集できない事態は生じていません。衆議院で高橋和之参考人が明確に述べたように、本会議へのオンラインでの出席、表決を必要とする具体的事実はないと言うべきです。
国会のコロナ対策は議院運営委員会で議論が重ねられ、マスクの着用の徹底や委員会室の座席配置の変更など随時行われてきました。科学的知見に基づく適切な対策が必要であり、引き続き議運で対応すべきです。
参議院改革協議会でもオンライン審議が検討項目に挙がっています。憲法審査会で議論する緊急の必要はなく、ましてや憲法五十六条一項の解釈を多数決で確定するなどということは審査会の権限を越えます。
日本国憲法第四章は、国会議員は全国民の代表であるとし、その地位の独立と国会における自由な発言と表決を保障し、本会議について、会議公開の原則の下、議員同士が相互に認識できる議場に出席し、議論を尽くして表決することを要請しています。国民主権と議会制民主主義の大原則です。
衆議院で高橋参考人は、憲法五十六条一項はルールを定めた規定であり、厳格に解釈すべきだと述べ、この規定は会議体を成立させる最低限の要件として、少数者を保護し、あるいは権力の濫用を防止するために置かれたものだと指摘しました。国会も国家権力の一つであり、多数派による立法権行使の濫用、暴走を防ぐ上で条文解釈は厳格になされるべきです。
当審査会で赤坂幸一参考人は、国会議事堂という場で国民代表の声が出されていることが重要であるとして、特定の事情で議会が物理的に集会できないような場合にのみ例外的ないし限定的にオンライン審議を行うことも議会の形成権に入るだろうと述べました。もっとも、それがどういう場合に生じるかは予見するのが難しく、濫用の懸念については全会一致ルールを併せ考える重要性を指摘しています。
長谷部恭男参考人は、憲法五十六条一項は準則としての性格が濃いとして、オンライン出席が認められるのは、それを認めない限り国会としての最低限の機能をも果たすことができないという例外的な事情が客観的に認定される場合に必要最小限の範囲内のみとすべきだとし、それは誰が見ても本会議に集会できるような状況ではない、多くの人に元々コンセンサスがある場合であろうと述べました。
両参考人の意見は、いずれもオンライン出席を必要とする場面は極めて限られるという前提に立つ慎重なものです。予見し難い事態を軽々に想定すべきではなく、当審査会で、現下のコロナ対策と絡めたりいたずらに危機感をあおったりして、結論を急ぐべきではありません。
新型コロナ対応と憲法に関わっては、臨時国会の召集義務違反に触れざるを得ません。憲法五十三条は、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」としています。ところが、二〇二〇年七月と二〇二一年七月、野党が求めた臨時国会召集を安倍内閣、菅内閣は拒み続けました。赤坂参考人は問題があると言い、長谷部参考人も学界の通説は赤坂参考人が述べたとおりとしました。
国民の生存権が脅かされる中、憲法の明文に反して国会を開こうともしなかったことへの反省もなく、緊急時の国会出席を殊更論じるのは不可解です。コロナ危機に乗じて、権力集中を伴う緊急事態条項の創設に向け、改憲論議を加速する呼び水という疑いすら抱かせます。
今政治に求められるのは、新型コロナ第七波を見据えた対策の強化やウクライナ侵略を受けた更なる物価高騰に備える補正予算を組み、暮らしと経済を支えることです。予算委員会を始め徹底した審議を行うべきであり、憲法審査会を動かすべきではないことを強調し、意見とします。