有村治子の発言 (憲法審査会)
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○有村治子君 自由民主党の幹事を務めております有村治子です。
憲法審査会岡崎事務局長と川崎法制局長の実に的確な御報告に感謝を申し上げ、本日は合区問題について持論を申し述べます。
平成二十七年の公職選挙法改正で、島根、鳥取、また徳島、高知という四県による二つの合区が導入をされました。これら四県においては、投票率の低下、また合区反対と書かれた多くの無効票が出るなど、合区に対する不満が顕著に出ています。鳥取県の地方紙による調査では、合区反対の世論が七六%もあり、このままでは人口の少ない地方の声が国政に届かなくなるのではという切実な危機感があります。人材や食料、エネルギー等を大都市に供給してきた地方の貢献なくして国民生活が成り立たないことは明らかです。
また、足掛け三年となるコロナ禍で更に出生率が低下し、どの都道府県においても早晩人口減少に直面していくことが予想される中、人口だけが民主主義を測る唯一の物差しとなっている現状のままでよいのでしょうか。人口の多い少ないを唯一の指標とする計算を行い、その算定に一喜一憂を繰り返すことで、果たして私たちは人口減少社会、日本の将来に備えられるものなのでしょうか。
人口減少や高齢化率が急速に高まっている離島が国境を守る島々であったりもいたします。厳しい自然環境や過疎化が進む地域であっても、父祖伝来の地に住み、ふるさともお墓も暮らしも守りたいと人々がその地に住み続けられることで、国境や漁業権や漁場、里山も守られている。この現実に向き合い、国政の中枢に現状を伝えて政治的な光を当てていく議会人が少なくなっていくことが、国家全体の経営という視点で健全なことだとは思えません。政治的、社会的関心を寄せ続けなければ、厳しい環境における地方の人口減少が加速度的に進んでしまうことを憂慮いたします。
都道府県単位での地方の声を着実に国政に届けられる選挙制度の実現を目指して、全国知事会、全国市長会、全国町村会、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会という地方を代表する公的な六団体は全てそれぞれ独自に合区解消に対する決議を採択しています。これに加えて、現在までに三十五の県議会が合区解消の意見書を採択しています。大事な民意です。
もちろん、投票価値の平等という理念は、それ自体極めて大事な価値であることを承知しておりますが、一方で、最高裁判決では、先ほど御紹介いただいたように、投票価値の平等は唯一、絶対の基準となるものではないとも言っています。たった一つの物差し、絶対的な基準ではないと司法自身も明言しているわけです。
地方区と全国比例によって構成される参議院においては、四県による二合区が導入される前まで、地方区選挙は都道府県単位で行われ、その全域の民意と職責を負う議会人を選出してきました。都道府県は、明治二十年来の府県制以来百三十年の歴史を重ねてきた社会の単位であり、その区域ごとに行政府、議会、警察、教育委員会などが設置され、農林水産、医療、保健、商工業といった様々な組織、団体が合意形成を図り、国と市町の間で調整機能を果たしてきました。今般の感染症対策でも現に法的責任を負っている行政単位であり、自衛隊に対する災害派遣要請も知事により都道府県単位で行われています。
このように、都道府県は、歴史的、政治的、経済的、社会的、文化的にも意義と実体を有し、国民にとって重要な役割を果たしてきました。
以上の観点から、自由民主党として、参議院は、全国比例選挙と都道府県を単位とする地方選出によって構成する価値を堅持し、合区を解消することが肝要だと考えます。自由民主党として、憲法改正を行う際の最重要事項四項目の一つに合区解消の価値を掲げるゆえんです。
都道府県という行政単位をまたいだ合区制度の副作用については、合区の対象となっていない全国ほとんどの地域には実感としてなかなか見えにくい傾向があります。四県により二つの合区選挙区において選出された同僚議員が語られる切実な現実にも真摯に耳を傾けながら、地方も都市も持続可能な日本にする憲法審査会議論が深まっていくことを願い、自由民主党、有村治子の意見表明とさせていただきます。
以上です。