寺島紘士の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(寺島紘士君) 寺島でございます。
 本日は、この重要な調査会で意見を発表する機会をいただきまして、ありがとうございました。
 私は、今日お配りしたレジュメに沿ってとは思いますが、二十分という時間の中でいくためには、ちょっと最初の方はかなり大きな流れだけを御説明していこうと思います。私の意見陳述のタイトルは、「海を通じて世界とともに生きる日本のために 我が国に必要な総合的海洋政策」でございます。
 御存じのように、海は地球表面の七割を占める広大な海洋空間でして、ずっと長い歴史の中で海を律する海洋秩序は海洋の自由でありましたけれども、二十世紀後半、これが大きく変化をいたしました。やはり、地球人口が増え、独立国も増え、その国々が自分のところの沿岸の海域に対する権利主張をそれぞれ繰り返すというような状況になりましたので、これに対応するために海洋基本計画と、あっ、違う、海洋法条約という国際条約が、長い、十年ぐらい議論をしてようやく二十世紀の一九八二年に成立しました。ただし、それが発効するのには更に十二年ほど掛かって一九九四年にようやく発効したということで、やっぱり海の問題を取り扱うというのは非常に、世界各国が関連しているので、なかなか大変だということが分かると思います。
 したがって、実際に海を、海洋を管理するということになりますと、それはまさに二十一世紀の課題であろうと思います。そういう意味で、しかも、それは我が国だけの問題ではなくて、海を通じて世界とともに生きるという、まさに日本が目指していることになる基盤、土台になるものであります。したがって、国連海洋法条約、それから環境問題が非常に二十世紀起こりましたので、持続可能な開発ということで、リオの地球サミットで行動計画アジェンダ21などが作られましたが、その中でも、海洋については、その第十七章で海域の総合的管理と持続可能な開発というのを沿岸国の義務としていろんな行動計画を定めて、これが十年ごとに開かれる持続可能な開発会議の、ヨハネスブルグ、それからリオ・プラス20などに引き継がれ、二〇一五年には、各国首脳が集まって持続可能な開発目標を掲げる、持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダというのが作られているわけです。
 したがって、海の問題をどう取り組むかというのは、我が国の問題でもあり、同時に各国、世界各国の問題ですが、そのときに基盤になるのは国連海洋法条約、そして持続可能な開発の行動計画であります。
 ちなみに、この国連海洋法条約、現在たしか百六十八か国が締約国だと思いますが、アメリカはまだやっておりません。しかし、アメリカは深海底などの規定に対してで海洋条約を批准していないと言われていますが、この深海底部分以外の大部分の規定を国際慣習法という形で認めてやっているということであります。
 そういうことで、この新海洋秩序がつくられ、国連海洋法条約のところで取組が行われているんですが、沿岸国として重要なのは、この海洋法条約によって領海の幅も十二海里に拡大され、さらに、その外側にEEZ、排他的経済水域というのが設けられたというようなところで、これらはまさに沿岸国が管理する、海を管理する問題であります。
 二ページのところにちょっと図を作りましたが、各国の周りに二百海里の海域を図示しますと、御覧になって分かりますように、日本を含む東アジアが、それから、いわゆるオーストラリアに向かっての西太平洋、この辺が非常にEEZが重なっている、重なってはいないですが、まあ重なっている部分もありますけれども、EEZ、各国のEEZで海域がこう埋められているというところであります。
 したがって、これらの海域を、新しいそういう国連海洋法条約、UNCLOS、それから持続可能な開発のための行動計画に基づいてどう管理していくのかというのが非常に重要なものであります。
 我が国は、実は、一九九六年に海洋法条約を批准しておりますけれども、そのときにこの排他的経済水域それから大陸棚に関する法律についても法律を制定しているんですが、この法律自体は急いで作られたものですので、たった四条で簡単な法律です。実際にこの排他的経済水域などをどうやって管理していくのかということについては詳しく定められておりません。
 そういうような状況でありますが、実は各国は、この国連海洋法条約が一九九四年に発効した後、それぞれ各国の海域について法律を定めたり、あるいは政策をつくったりということでやってきております。だから、それが二〇〇〇年代の前半にかけて世界各国でそれぞれの海の取組をしておるんですが、残念ながら我が国は、そういうことに関して言うと、その後の対応がどうも進まなかったという状況でございました。
 そして、そのために、やっぱりこれではまずいということで、二〇〇〇年代に入って、いろんな方々が、これではまずいということを言うだけじゃなくて、経団連とか日本沿岸域学会とか日本財団などから、いろいろな海洋政策、総合的な海洋政策の推進についての提言が出されております。それが三ページのところの我が国の海洋の総合的管理の取組に書いてあるところでありますが、その結果として、二〇〇七年に海洋基本法が制定されました。
 これは、結局、なかなか海洋の問題、いろんな各、非常に幅広い各省にまたがります。なかなかその総合的な取組は難しいという状況でございましたので、二〇〇五年の海洋政策研究財団の提言を基に、二〇〇六年に海洋基本法研究会という、政学産民の関係者、有識者が集まり、なおかつそれに関係府省もオブザーバーで参加して研究会が開かれまして、それで海洋基本法案が検討されました。これに基づいて、二〇〇七年四月に、これは議員立法なんですが、海洋基本法というのが制定されて、二〇〇七年に施行されたということでございます。
 この、一応海洋基本法で、我が国の海洋政策を総合的に進めるための仕組みとして、海洋、六つの基本理念あるいは十二の基本的施策を定めまして、おおむね五年ごとに海洋基本計画を策定して取り組んでいくと、で、内閣に内閣総理大臣を本部長とする総合海洋政策本部を設置するということを定めた海洋基本法ができております。
 これによって、我が国の海洋政策、総合的な海洋政策、それで、その下で各省はそれぞれの海洋政策を進めておるわけですが、なかなか、かなりこの第三期、現在、第三期の海洋基本計画の期間ですが、かなりその当時関係者が実現を望んでいた主要な施策の取組は進んでいき、第三期計画では多くがかなり本格的に動き出してきているというように実感をいたしますが、なかなか進まない部分がある、それは海洋秩序の重要部分である海洋・沿岸域の総合的管理についての取組であります。
 この機会に、残りの時間少なくなりましたけれども、二点、二つの施策の推進を提言したいと思います。
 まず、この三ページ目に行きますけれども、まず一つは、排他的経済水域の開発、利用、保全の推進でございます。
 これは冒頭にも言いましたように、この三ページの図にもありますが、我が国は、四百五万平方キロメートルでしょうか、の排他的経済水域、その内側に領海がありますので、四百四十七万平方キロメートルと言われる二百海里水域を持っておるわけです。しかもこれは、その国の領域ではなくて、国連海洋法条約に基づいて、UNCLOSに基づいて沿岸国に付与された権利義務でありますので、それをきちんと管理していくためには、やっぱりそれに必要な政策を定め、管理、法制を整備して取り組む必要があります。
 で、四ページのところですが、各国は、EEZ、大陸棚を管理するために法制度を整備し、あるいは海洋空間計画などを策定して、自国の周りのEEZの管理の取組を進めております。これはもういろんな国がやっておりますが、例えば、イギリスの海洋及び沿岸アクセス法とか、中国の海域使用管理法とか、いろいろございます。
 しかし、残念ながら我が国ではそのレベルの排他的経済水域あるいは大陸棚管理法というのがまだ整備されていないと。この辺については、やっぱり早急に取り組む必要があるというふうに考えます。
 EEZは、我が国の天然資源の確保、海域の円滑な利用、海洋環境、海洋生態系の保全にとって重要でありますが、それだけでなくて、これ国際的な取組に基盤を置いておりますので、国家の安全保障、そして国際協調、協力にとっても重要な基盤でございます。
 EEZの境界画定等の協議がなかなか日本の周りで進んでおりませんが、この中で積極的に周辺諸国は海洋進出を進めておりますので、その関係でも、我が国がUNCLOSや持続可能な開発利用の国際的取組に基づいてEEZをきちんと管理するということを示すことは極めて重要であると思います。
 そこで、この関係では、EEZ、我が国のEEZの開発、利用、保全、管理を進めるための提言ということで、そこにありますように、我が国の排他的経済水域を国際約束並びに海洋の持続可能な開発利用のための国際的取組に基づいて総合的に管理するため、排他的経済水域管理法を制定すると。その法律に海洋空間計画の策定、施策の推進体制その他EEZの管理に必要な事項を定めるということと、具体的にどうするかという点につきましては、この我が国の排他的経済水域は亜寒帯から熱帯までをカバーする広大な海域ですので、これを全部一つの計画でというのは難しいので、中規模の海域に、幾つかの中規模の海域に分割して、その海域ごとに海洋環境、海洋生態系、天然資源、海域利用等に関するデータ、情報を整理、分析して、それに基づいて海域の持続可能な開発利用、海洋生態系の保全、多様化する海域利用の推進などの海域計画を策定するということが必要ではないかということでございます。
 それからもう一つ、これも重要なのは、海域の管理の、まず沿岸からその排他的経済水域、更にその外側の公海というようなふうになるわけですが、そういう意味では、我が国の海の重要な部分である沿岸域の総合的管理、これも実は国際的にはかなりもう各国が進めております。二十世紀の後半のやっぱり高度経済成長で各地で沿岸域の環境、生態系の劣化が進み、生物資源や沿岸域の利用の競合などの問題が生まれましたので、アメリカのサンフランシスコ湾辺りから始まった沿岸域の総合的管理の取組、これは各国に広がっております。
 そして、リオの地球サミットで、アジェンダ21の第十七章が、沿岸国は自国の管轄下にある沿岸域及び海洋環境の総合的管理と持続可能な開発を自らの義務とするというような行動計画を定めたことによって、この沿岸域の総合的管理、国際的にはインテグレーテッド・コースタル・マネジメント、ICMと言われて、この政策がもう世界各国で進められているということであります。
 それに対して、我が国でも、各地で沿岸域の環境問題に対して地域の人々がこの沿岸域の環境回復や森川里海の連携などに取り組み、政府や地方もそれなりに対応してきておりますが、国際的に取り組まれているICMとして通用する沿岸域の総合的管理はまだ制度的に確立していない。海洋基本法もこの問題を取り上げておりますが、なかなか進展して、制度的な、しかも国、地方が連携、協力してやるという取組はなかなか進んでいないということであります。
 この沿岸域の総合的管理の推進に関する提言もそこに大きく四点掲げておりますが、重要なポイントはその①、我が国は三万五千キロという長い海岸線がございますが、その長い海岸線に沿った沿岸域を、海洋・沿岸域の総合的管理と持続可能な開発利用のための国際的な取組を念頭に置いて総合的に管理する、そのために沿岸域管理法を制定する。その同法は、我が国沿岸域の陸域及び海域を沿岸域として一体的に捉えて、その環境、生態系の保全、開発利用に、ここが重要ですけれども、国、都道府県、市町村が重層的に、総合的に取り組むシステムを構築するということでございます。
 ちょっと時間なくなりましたので、詳しい内容については②、③、④というようなことでありますので、それはそちらを御覧いただければと思います。
 取りあえず、これで私の意見陳述を終了させていただきます。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 寺島紘士

speaker_id: 10861

日付: 2022-04-06

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会