北岡伸一の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(北岡伸一君) 私が就任しましたのは二〇一五年の十月でございまして、それはちょうどインドネシアのジャカルタ―バンドンの新幹線を中国に負けた後なんですよね。私はジャカルタ―バンドンの新幹線は関与していませんが、私は個人的には反対でした。といいますのは、あそこは百七十キロしかないんです。新幹線のベストは東京―大阪なんです。長さが五百キロ。そして、そこの沿線には大勢の人口がいると。そして、割合お金があると。これに比べると、ジャカルタ―バンドンは短過ぎるんですよね。つまり高過ぎると。その他、それで結局浮上したのがインドの新幹線で、インドは長さがちょうどで、インドの中では割合発展しているところなのでいいんですけれども。
途上国から見ると、日本のものはとにかく高いと、性能はいいけど高いと。もうちょっと安く、性能は低くていいから、例えば日本の新幹線は三分、四分に一本走って、五十年間死者が出ていないんですよ、そんなでないからいいから、もうちょっと安くしてくれと。そんな、その程度のちょっとレベル下げたものを日本の会社は造れないんですよ。ですから、向こうのニーズに合わせていくと我々は中国に負けるんです。しかし、何が何でも日本が取りたいというと、いろんな細工をしなくちゃいけないんですよ。うんと安く、安い値段に、できないんですよ、安い値段のふりをして後で上がってくるとか、いろんな条件を付けて日本から物を売りに行くようにすると。
その結果、幾つかの国から、JICAは、日本のために、日本はその国のために支援してくれているのかと思っていたのに、日本のものを要するに売りたいのかという不満が聞こえてくるようになったんです。私、これゆゆしい事態だと思ったんですよね。
やっぱりうちの、我々のODAの根っこにあるのは信頼です、あなたの国にやっています、私、戦略的利害の話もしていますけれども、これは言わば付随的な価値で言っているんであって、本命は、あなたの国の役に立つことをやりますと、それでやっているうちに相手が信頼してくれるというのが筋だと思うので、そちらにかじを切りたいと思って、その結果、当時幾つか浮上していたマレーシア―シンガポールとかタイの新幹線というのは、私はどっちかというと抑える方に回りまして、インフラはバランスの取れたものにしようと。
しかし、インフラも大事です。今非常に盛んなのは地下鉄と通勤線です。ベトナム、フィリピン、インドネシア。インドネシアで初めての地下鉄ができて、地下鉄は大体中産階級の乗り物なんです。途上国の欠点は、物すごい金持ちは運転手付きの車に乗り、そうでない人はぼろぼろのバスに乗ると。こうじゃなくて、みんなが、普通の人が快適に行ける地下鉄あるいは通勤線、それはCO2削減にも効果があるんですよね。そういうのを中心にやっております。
同時に、私は、併せて人づくりの方をちょっと重視しようというので、現地の教育から留学生までいろんなことを始めた次第であります。
日本の弱点は幾つもあります。JICAも結構官僚的です。官僚組織なので官僚的です。それ以外は、やっぱり我々後れを取っているのはIT化の遅れです。もう東南アジアに行ったら、まあITの先端は中国でいいよと、そうでないのをお願いしますと言われるんですよね。もう本当に腹が立つ話なんですけれども。
実際、もう古くは二〇〇八年に、ケニアではエムペサという、スマホでお金の受渡しができるようになっています。もうその頃から、私も行ってショックだったんですけれども、二〇〇八年、九年ぐらいに、みんなマサイ族が自転車に乗りながらスマホで電話でしゃべっているんですよね。それに比べて日本はIT化で遅れているというので、これが弱点です。
タイなんかではそこをよく冷やかされるんですよね。ですから、タイは、かつては日本研究も盛んでしたし、日本との関係は深かったんですけれども、まだまだ協力の余地はあります、医療協力とかいっぱいあるんですけれども、幾つかそういうところでは後れを取っていて、タイは、したがって、元来タイというのは旗幟鮮明にしない国なんですけれども、今はどっちかというと、親日というよりは中国に向いているという感じがいたします。