大島伸生の発言 (国土交通委員会)

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○参考人(大島伸生君) 神奈川県県土整備局長の大島でございます。
 本日は、このような機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
 私からは、神奈川県における盛土等の規制に関する取組について、地方公共団体の立場から意見を述べさせていただきます。
 お手元の資料を御覧ください。
 一ページを御覧ください。
 こちらの写真は、昨年七月三日に静岡県熱海市で発生した土石流災害の崩壊地を撮影したものでございます。熱海市は神奈川県の県境に位置する都市でございまして、神奈川県内にも同じような地形がございますので、決して他人事ではないという、痛感した次第でございます。
 二ページを御覧ください。全国知事会からの要望についてです。
 神奈川県としては毎年国に対して法制化を要望してきたところでありますが、本県の黒岩知事は全国知事会の危機管理・防災特別委員会の委員長として、早急に国に対して緊急要望を行う必要があると判断いたしました。そのため、被災地の復旧を促進するための緊急要望を取りまとめまして、七月二十日になりますが、棚橋内閣府防災担当大臣に対して、八月四日には渡辺国土交通副大臣と堀内環境副大臣に対して、全国知事会を代表して要望を行いました。その後、八月の大雨の際にも知事は同様の緊急要望を取りまとめまして、九月七日には防災担当大臣に対して改めて直接要望を行いました。
 三ページを御覧ください。
 こちらは九月七日に棚橋内閣府防災担当大臣に対して要望した内容ですが、風水害対策等の強化に関する項目の一つとして、建設残土に関して法制化による全国統一の基準、規制を早急に設けることなどを要望させていただきました。このことは、盛土を規制する法律は複数あるものの、区域や規模によって対象とならない盛土が存在することや、建設発生土の処理について直接規制する法律がないことから、各自治体の条例により対応しているのが現状であるため、これらの要望を行ったものでございます。
 四ページを御覧ください。国の検討会での意見発表についてです。
 令和三年十月二十九日に、国が設置されました盛土による災害の防止に関する検討会の第二回会議におきまして関係団体へのヒアリングが行われまして、知事が自治体の立場から意見発表を行いました。ヒアリングの中では、全国知事会として、法制化により全国統一的な基準による盛土の規制を要望いたしました。また、この場で、神奈川県条例による規制の取組や、全国知事会のアンケート結果を基に盛土の規制に関する全国の状況や法制化に関する要望、意見について紹介をさせていただきました。
 五ページを御覧ください。盛土の規制に関する都道府県の意向についてです。
 先ほど御説明いたしました全国知事会のアンケート結果の中から、各都道府県の法制化の意向について御紹介いたします。
 四十七都道府県に対して法制化の希望の有無について聞いたところ、四十六の都道府県が希望すると回答し、一団体がどちらとも言えないとの回答でありました。ただし、どちらとも言えないと回答した一団体も法制化による規制については賛同しており、当時は法律に規定される内容が明らかでなかったことからこのように回答したとのことでした。法制化が必要な理由は、広域的な規制が必要、条例の罰則に限界があり、全国統一の基準が必要、他法令の規制では限界ありなどとなっております。
 このように、ほぼ全ての都道府県が盛土の規制に関する法律が必要と考えております。
 スライド六ですが、ここからは本県の盛土規制に関する取組について御説明いたします。県条例の導入に至った背景についてです。
 神奈川県では、バブル経済を背景に、昭和六十三年頃から建設発生土の不法投棄が多発いたしました。資料にお示しした写真はそれらの中でも特に規模の大きいものでございまして、平成七年頃にかけまして東京ドーム約三杯分に相当する四百万立方メートルを超える大規模な不法投棄が発生いたしました。
 七ページを御覧ください。
 当時は、土砂の処分に関する法的な規制がないため、不法投棄が行われている土地に対し農地法、森林法、河川法などの個別法令で対応いたしました。しかし、個別法令では森林や農地など適用される区域や盛土の規模などの条件が限定されており、また土砂の処分を規制する法体系ではないため、個別法令による対応に限界がありました。そのような背景から、庁内での検討を踏まえ、平成十一年十月になりますが、神奈川県土砂の適正処理に関する条例を施行いたしました。
 八ページを御覧ください。県条例の概要についてです。
 この条例の特徴としましては、対象区域は県内全域とし、許可、届出の対象は、二千平方メートル以上の区域において土砂の埋立てを行う場合は許可が必要となり、また、建設工事の現場から五百立方メートル以上の土砂を搬出する場合は届出が必要となります。違反に対する罰則も定めており、条例で規定できる上限の二年以下の懲役又は百万円以下の罰金としています。
 九ページを御覧ください。県条例の施行、埋立て等の監視についてです。
 県条例に係る許認可事務等については各地域の土木事務所が所管することとしておりますが、これに加えまして、埋立て等の監視を担当する部署を設置いたしました。この部署の体制ですが、人員は六名、うち四名が警察関係者となっており、神奈川県警察との連携も図っております。
 業務内容は、県条例の施行に係る立入検査等や無許可埋立て等の監視パトロールとなっております。監視パトロールの実績ですが、令和四年四月の時点で監視パトロールの対象箇所数は四十一か所、その内訳は記載のとおりでございます。監視パトロールは、土日祝日を除きほぼ毎日実施しておりまして、年間の回数は、令和三年度実績で申し上げますと、延べ二百八十三回、箇所数にして延べ九百五十九か所となります。
 十ページを御覧ください。
 ここでは、神奈川県の地図に先ほどの監視パトロールの対象箇所数四十一か所についておおむねの位置を赤い丸で図示いたしました。監視パトロールを行う部署の、厚木南駐在事務所と申しますが、この事務所は神奈川県のほぼ中央に位置しておりまして、ここから毎日複数箇所の監視パトロールを行っております。
 十一ページを御覧ください。県内市町の取組についてです。
 神奈川県内では、三十三市町村のうち政令指定都市である相模原市一市を含む十九の市町が土砂条例を制定しておりまして、盛土等の規制を行っております。
 十二ページを御覧ください。
 多くの市町では、県条例の対象外となる五百平方メートル以上二千平方メートル未満の埋立てについて、市長や町長の許可を必要とするなどの規制を行っております。また、相模原市では、許可申請の前に、保証金を定期預金により金融機関へ預け入れした上で、市を質権者とする質権設定契約の締結を事業者等に求める独自の取組を行っております。
 十三ページを御覧ください。県条例における主な課題についてです。
 県条例の施行後に問題となった盛土の主な事例について御説明申し上げます。
 一点目は、許可内容と異なる盛土が施工され是正指導を求めてきましたが、是正措置前に行為者が倒産した事例です。従前は土地所有者に是正を求めても対応されませんでしたが、平成二十四年七月に条例を改正いたしまして、土地所有者の義務とし、勧告や命令ができるようにいたしました。それでもなお、条例改正前の案件に対しては適用できないといった課題は残っておりました。
 二点目は、無許可や許可内容と異なる行為等の違反行為に対して行為者が条例に基づく是正指導等に従わない事例です。これについては、条例の罰則には限界があり、違反行為に対する抑止力の効果が弱いために発生することと考えられます。
 十四ページを御覧ください。盛土等対策の法制化についてです。
 県条例の課題に対応する法案のポイントとしては、盛土の工事完了後も土地所有者等が常時安全な状態に維持する責務を有することが明確化され、また、原因行為者等に対しても是正措置等を命令可能、罰則を条例より高い水準に強化となっており、盛土規制法案の成立により、県条例の課題にも対応でき、有効な土砂対策が期待できるものと考えております。また、全国一律の基準、罰則による抑止力の強化など、要望を反映していただいた形で法律案を作成していただいたものと考えております。
 十五ページを御覧ください。最後に、更なる安全対策の推進についてです。
 本県では、法案の内容を踏まえ、更なる安全対策の推進に向けた当面の取組を進めてまいります。具体には三点ありまして、まず一点目は、農地、林地を含め関係法令、部局が多岐にわたるため、庁内及び関係市町村との連携体制を強化いたします。二点目は、規制区域の早期指定に向け、既存の地形データ等々の活用を含め、効率的な調査、調整の進め方について検討を行ってまいります。三点目は、建設関係団体等の関係業界団体を含め、災害の防止に向け普及啓発の推進を図ってまいります。
 これらの取組を進めていく上で、国から地方公共団体への技術的、財政的支援が支えとなりますので、極めて重要であると考えております。
 最後に、県民の安全、安心を確保するため、早期の盛土規制法の施行と国からの技術的、財政的支援をお願いいたしまして、私からの意見発表とさせていただきます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 大島伸生

speaker_id: 9727

日付: 2022-05-17

院: 参議院

会議名: 国土交通委員会