高橋立顕の発言 (国土交通委員会)

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○参考人(高橋立顕君) 本法案に対する意見を述べる機会を与えていただいたことに感謝いたします。
 私は、全日本建設交運一般労働組合、略称建交労の全国ダンプ部会の高橋と申します。
 私は、日常的に、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県を活動地域としている東海ダンプ支部の書記長として、静岡市の事務所で専従者としての仕事をしています。
 昨年七月の静岡県熱海市の土石流災害については、令和元年から静岡県に残土条例制定の求めていた者として、じくじたる思いに駆られております。亡くなられた方にお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々にお見舞い申し上げ、二度とこのような災害が発生しないように、現場実態を知る労働組合として実効性のある法律や条例の整備を求めていきたいと考えているところです。
 建交労全国ダンプ部会は、資料一から五にもありますように、昭和四十一年猿投ダンプ事故を契機に制定された土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法、通称ダンプ規制法で規定されている、大型ダンプカーを自己所有し、元請業者や砕石業者の指揮命令に従って建設発生土や建設骨材を運搬している車持ち労働者を組織しています。
 労働組合として、組合員の単価や労働条件を改善する闘争とともに、国交省も認知しておられる交通安全運動を熱心に取り組んでいるダンプ規制法十二条団体等として、過積載の撲滅を始めとする交通安全運動を推進しています。また、工事現場における違法行為を監視し是正させる運動にも取り組んでおり、今回の残土問題の解決のための要請行動を令和元年から国交省や都道府県へ行ってきました。
 私たちは、危険な盛土をなくしたいと願う立場で、本法案では触れられていない民間ストックヤードのことについて危惧している点を申し上げます。
 首都圏など都市部では、建設現場から発生する土量が多く、民間業者が運営するストックヤードに搬入されるケースが少なくありません。元請業者が施工中に管理するストックヤードと混同されがちですが、私が述べるのは元請業者とは別の民間業者が運営するストックヤードのことです。建設現場から都市部近郊に搬出した方が運搬費込みの処分代を抑えられるという建設業界のニーズによってつくられた業態です。
 私たちが事前に国交省から伺った説明や、五月十一日の本会議や十二日の委員会などの御答弁を伺っていても、様々なストックヤード業者を一くくりにしているのではないかと奇異な感じを受けていましたが、十二日の委員会で国交省としてストックヤードの実態把握をするとの御答弁がありましたので、是非実態を早急に調べていただきたいと思います。
 このストックヤードですが、これを運営する事業者は、自治体の土砂条例の許可を取得し、近隣の工事現場から搬入される土砂をストックしています。しかし、工事現場ごとに仕切られていません。ヤードのスペースは限られていますから、満杯になるのには時間は掛からず、ストックヤード業者は搬出を別の処分業者に依頼することになります。ストックヤード業者は、建設発生土の処分として建設会社から受け取る処分代と搬出する処分業者に支払う費用の差額で利益を得ることになりますので、どんどん土を入れてどんどん土を搬出します。そして、少しでも安く処分してくれる業者に依頼することになります。
 ストックヤード業者と処分業者との間では、土質やダンプの荷台のサイズによって異なりますが、基本はダンプ一台当たりの運搬費と処分代込みの契約になっています。処分業者がその土をどこに処分するかをストックヤード業者が管理するのですが、実際は処分業者に丸投げというケースが少なくありません。処分業者はダンプ業者なのでダンプを保有していますけれども、足らない場合は他社に依頼するという重層下請になる場合もありますので、余計に分からなくなってしまいます。運搬距離は単価に反映されず、処分業者は利益確保のため、運搬コストの掛からない距離にある安い処分代の処分場を探します。この処分場はリスト化されておらず、同業者の口コミで紹介されたりします。その一部が危険な盛土になります。このような処分場は、適正に管理されている処分場に比べて処分代が安いのが一般的です。
 処分代込みで建設発生土を運搬することもある組合員に聞き取りをした、資料七の、処分費、ダンプでいうといわゆる捨て賃、この相場の一覧を御覧ください。
 ここには掲載されていませんが、神奈川県は大体一万七千円から二万円です。ありていに申せば、田舎や残土規制条例のない自治体では捨て賃が安い傾向にあります。具体的に言うと、埼玉県南部地域のストックヤードから栃木県北部の処分場まで運搬する場合、法定積載量の三倍以上の三十五トンの過積載をして、一台五万円程度が処分代込みの単価として支払われているようです。燃料代、高速代など経費を引くと、ほとんど利益は出ません。このため、帰りの空車をなくすために砕石などの運搬を行いながら、一日に十三時間くらいの稼働で仕事をしている実態もあるようです。資料八の公共工事への積算単価とでは比較にならない低い水準だと思っています。
 熱海災害以降、自治体の審査が厳しくなり、新規の許可も出にくい状況が続いて、処分場不足が深刻な状況です。それに伴い処分代が上がっています。
 ストックヤードから運ばれる処分場は自治体の条例の許可を取得していますが、取得していない処分場もあります。処分場の業者が今まで許可を取得していたとしても、別の新しい処分場の申請で許可されないケースが生まれているようです。
 なぜかといえば、許可を申請する際、発生元証明を出します。これは、どこの工事現場からどのくらいの土を搬入するかを発生元の建設業者が証明する書類です。搬入されるべき土とは全く別のところから搬入されているというような実態があるため、解決策として、ある自治体では発生元として証明をした業者に電話で確認をするようになったため、その業者が証明書を発行しなくなり、処分場の業者は申請ができなくなってしまったという事例があります。これは、まずいことをしている証拠にほかならないと思っています。このような建設業者と関連しているストックヤード業者のヤードも、実は公共工事の指定処分先になっています。
 本法案では今後は盛土を都道府県知事の許可制にするようですが、国交省のように専門職の職員数が圧倒的に少ない自治体の状況を考えると、職員の負担が増えるだけになりますし、国交省でも職員数が定員に達しない出張所も多数あり、品質確保法で規定されている国交省が自治体を支援、援助することが十分にできないと思っております。このため、法律どおりに本当に執行できるのか危惧しているところです。
 やはり、建設発生土の発生元である各現場で発注者や元請業者が管理する必要性と同時に、自治体任せではなく国の関与を強めるためにも、国交省の職員の増員や再任用の処遇改善が必要なのではないかと考えています。
 また、衆議院の委員会で、指定処分先の徹底やトレーサビリティーシステムの必要性について議論されていたと思います。しかし、問題はどこに指定するかであり、どこまでトレースするかです。そこの議論が抜けたままでは、法案が成立しても大きな抜け道を残すことになりかねません。
 私たちは、この問題について国交省の見解を聞く機会がありました。職員の説明では、ストックヤードに搬入された土はそのストックヤード業者に所有権が移転するので管理責任もその業者に移転すると考えており、トレースは排出現場からストックヤードまでというものでした。
 しかし、ストックヤード業者は建設業者から土を購入するのではなく処分を依頼される処分業者ですから、ストックヤードから最終処分場までトレースしなければ意味はないと思っています。もし仮にストックヤードまでのトレースで発注者や元請の責任が完了すれば、そこから先の土の行方はより巧妙に闇の中になると思っています。
 五月十二日の委員会において、発注者と元請責任についての議論がありました。斉藤大臣は、民間工事では発注者が個人の場合もあり、専門家でもある元請業者が責任を持つこと、持つべきことが基本としながらも、過度な負担となる可能性があると御答弁されておられました。この過度な負担とは、建設発生土が混じってしまうということ、ストックヤードから最終処分まで長時間を要し、施工後も管理しなければならないという点を挙げられておられました。
 しかし、ストックヤード業者に建設発生土を区分することを義務付けること、そして、先ほども述べましたけれども、ストックヤード業者はヤードが満杯になれば処分業者にすぐ搬出させているということからも、思っているような時間は掛からないと思います。十分に施工期間中に可能になると思っております。この期間に、最終処分業者から元請への受領証明を義務化するなど、そういうような仕組みをつくれば問題は解決するのではないかと思っています。
 また、民間工事の発注者が個人の場合であっても、建設発生土の処分を含めた工事施工を元請業者に依頼するのですから、個人が家電や乗用車を廃棄する場合にリサイクル料を支払うことと同様に、元請業者に適正な処分費を支払うことで発注者個人としての責任は完了するはずですし、適正な処分費を受領した元請業者が最後まで責任を持つのは当然です。
 これがNEXCOやJRなどの民間企業が発注する大規模かつ長期間の工事の場合、公共工事同様に、NEXCOやJRは自分で設計、入札を行いますから、発注者として最後までどういうふうに設計すればいいのかと考えて入札を行えばいいと思っております。この点は、内閣府の盛土による災害の防止に関する検討会の提言の二十五ページに、「公益性の高い事業を行っている会社等は率先して取り組むことが求められる。この旨をガイドライン等で明確化すべきである。」と指摘していることからも明らかだと思います。
 例えば、静岡県での新東名高速道路や中部横断自動車道の建設工事において、各工区で発生した施工中に処分し切れない建設発生土を一時ストックし、道路開通後にその一時ストックした建設発生土を他工区へリサイクルを含む最終処分場に運搬するという工事を発注し、元請も施工している事例があります。この工事を別発注とするのか、道路建設工事に含めて発注するのかはありますけれども、あらかじめ決めておけば、元請若しくは発注者の方も施工を考えていきますので、それほど過度な負担になるとは思えません。
 さらに、処分場については、民間任せにするのではなく、自治体が管理する処分場を各地に設置していただきたいと思います。
 茨城県では県建設技術管理センターがストックヤードを運営管理していますし、京都府の整備公社が最終処分場を運営しています。これは、全国的にも検討してもらいたい事例だと思っています。
 私たちの意見をまとめると、四点になります。
 一、建設発生土の排出者である発注者、元請がその現場から発生した土について最後まで管理すること。二、適正な処分費用が最終処分場までの業者や末端で働くダンプ労働者にまで支払われるようにすること。三、国と自治体の責任で適正に管理されたストックヤードを処分する処分場を確保すること。四、委員会での御答弁にあるように、民間ストックヤードについて、自治体任せではなく、実態把握を国交省が行い、必要な措置を早急に講じること。
 この四点が実現すれば、盛土問題は大きく改善されます。
 最後に、五年以内に必要な場合は法整備を行うとの衆議院での修正案がありますが、五年と言わずに早期に法整備を行ってください。でなければ、資料九のように、違法改造車による不法残土処分が継続されてしまいます。今後も全国で熱海のような災害が生じてしまうのではないかと大変憂慮しているところです。行政や立法の不作為によるこれ以上の犠牲者が出ないように御審議いただきたいと思います。
 以上で意見陳述を終わります。

発言情報

speech_id: 120814319X01320220517_007

発言者: 高橋立顕

speaker_id: 31363

日付: 2022-05-17

院: 参議院

会議名: 国土交通委員会