坂本雅子の発言 (内閣委員会)
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○参考人(坂本雅子君) 坂本です。よろしくお願いいたします。
ちょっと報告が長いものですから、大急ぎで読みます。ただ、ⅡとⅢは少しはしょりながら読ませていただきます。目次に書いてありますように、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳといった順で御報告したいと思います。
Ⅰ、経済安保は、軍事的な安全保障政策と一体。
(1)、本法律案は四つの柱、すなわち、①重要物資の安定的な供給の確保に関する制度、サプライチェーンの強靱化、②基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度、基幹インフラの安全性、信頼性の確保、③先端的な重要技術の開発支援に関する制度、先端的な技術分野の官民協力、④特許出願の非公開に関する制度、特許の非公開から成る。
(2)、本法案は、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律というその正式名称のとおり、単なる経済成長戦略や国内の技術、生産の発展政策ではない。経済の安全保障政策である。軍事的な安全保障政策と同じく、外から日本を襲う危機、外敵から日本経済を防衛しつつ発展を展望しようというもので、軍事的な安保政策と一体不可分のものである。
(3)、今回の経済安保法案は、軍事面での日本の安全保障政策が新たな段階に入ったこと、その根本には、日本の重要な同盟国米国が軍事面と経済面で新しい戦略、中国との対抗を軸に据えた世界戦略を展開しつつあることと一体で浮上したものである。
本日は詳しくは申し上げませんが、米国は二〇一〇年代後半から中国を主敵に据える国防文書を次々出しています。特に二〇一八年のトランプ政権では、中国との戦争すら前提として、そのときの作戦文書まで、機密ですけれども、出しております。米国の世界戦略と一体で浮上したと。
それを宣言したのが菅・バイデン大統領の日米首脳共同声明、二〇二一年四月十六日であり、日米はここで軍事面での新たな安保政策と一体となった経済安保の必要性と日米の連携を公式に宣言した。
共同声明の経済安保に関わる部分としては、第五世代無線ネットワーク、5Gの安全性及び開放性へのコミットメントを確認し、信頼に足る事業者に依拠することの重要性につき一致したとする箇所がまず挙げられる。
この部分は今回の法案で、②基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度、基幹インフラの安全性、信頼性の確保、これは二ページに入ります、の項目につながる。信頼に足る事業者に依拠するとの真の意味は、米国が国防権限法、二〇一九年、の八百八十九条で、米国の情報インフラからファーウェイなど中国の通信関連事業者五社を指名、名指しで排除したことを指しており、日本もそれに同調することを表明したものである。
次の星印。日米両国はまた、両国の安全及び繁栄に不可欠な重要技術を育成、保護しつつ、半導体を含む機微なサプライチェーンについても連携するとの箇所。
今回の法案では、①重要物資の安定的な供給の確保に関する制度、サプライチェーンの強靱化の項目につながる。米国は二〇二一年六月に米技術革新・競争法を成立させ、重要物資の脱中国を前面に出したサプライチェーンの強靱化策を開始したが、日本もこれに歩調を合わせ連携することを表明したものである。この合意と連動して、日本政府は台湾企業、TSMCの半導体工場の熊本誘致の検討も開始した。
情報技術面でも日米連携を宣言し、より緊密な防衛協力の基礎的な要素である両国間のサイバーセキュリティー及び情報保全強化並びに両国の技術的優位を守ることの重要性も強調した。
今回の法案では、③先端的な重要技術の開発支援に関する制度と、④特許出願の非公開に関する制度の双方につながる。米国は、中国への機微技術の流出を防ぐための法律を制定する一方で、二〇二一年六月、米技術革新・競争法で重要技術開発への官民一体となった援助を行うこととした。③、④は、米国のこうした法律と歩調を合わせ、日米が重要とする分野、特に情報技術の研究開発を援助、推進する。情報技術はこれからの経済発展の趨勢を決めるものだが、新しい技術やサイバー戦にとっても枢要である。
しかも、実はその多くの分野で中国は技術面で先行、凌駕しており、これは図三、図四、図五と書いてありますが、最後の、八ページに、例えば三です。
日米中の特許出願件数順位ということで、その下にあるようなこういう先端十分野についてどこの国の一位が何個あるかということを日経新聞が出したものですが、二〇一七年では中国がここの十分野中九分野で一位です。遡って二〇〇三年は実は日本が十分野中六分野で一位を占めていたんですが、二〇一三年以降はゼロになり、米国は二〇〇四年に六分野で一位だったのが、二〇一七年には一分野のみとなっています。
その次の四図の量子暗号、量子通信。まあ量子コンピューターというのもありますけど、軍事的には量子暗号、量子通信の方が重要なんですが、そこでも中国の物すごい急速なスピードがお分かりと思います。それで、その次の五図でも、AIでやっぱり中国が物すごい勢いで日米を追い上げていると。
御承知のように、中国はもう既に日本のGDPの三倍に、十年ちょっと、十数年でなったわけですね。そういう量的な拡大のみならず、技術的にも異例の速度で成長していると。やっぱり米国は、自らの経済的、軍事的覇権のためにやっぱりここで中国をたたくという方針に出たわけであります。
元のレジュメに戻りまして、三図、四図、五図参照の後ですが、米国は徹底した中国企業排除、分離と同時に、新技術開発に乗り出した。軍事面でも、これからの戦争は言わば情報技術戦となり、衛星網からの情報によって宇宙でも地上でも、衛星コンステレーション、地上でも自走するミサイル合戦というような新しい技術による未来戦争となる。どんな戦争になるか、そこで勝利できるかは今後の技術開発に懸かっているのだ。
共同声明は、軍事的な安全保障政策でも新段階に入ったこと、すなわち日米が共同で中国に反対することも表明した。米国は、日米安全保障条約第五条が尖閣に適用されることを再確認し、核を含むあらゆる種類の米国の能力を用いた日本の防衛を宣言したと。また、東シナ海、南シナ海での中国による既存の国際秩序と合致しない行動を日米共同で反対するとともに、台湾問題にも踏み込んだということです。日米首脳の共同文書に台湾が記されるのは一九六九年以来で、五十二年ぶり、三ページに、ぶりです。
米国は、中国が台湾に軍事侵攻する台湾有事を想定し、それに向けた日米の共同軍事訓練まで開始する。有事の際には、米軍は、第一列島線、これはまた表の一図を参考していただければいいんですが、に沿う日本の沖縄、南西諸島、日本の南西諸島が、沖縄、小笠原、いや、小笠原じゃない、沖縄、奄美、宮古、そうした南西諸島、二百の南西諸島がこの第一列島線に連なっているんですが、その日本も、第一列島線に沿う日本の沖縄等の南西諸島に地上移動式ミサイルを無数に配備し、中国に向けて撃ち込むと。これは、先ほどちょっと申しましたトランプ政権時代のインド太平洋における米国の戦略を詳しく論じた米国の戦略的枠組みという文書で論じられているんですが、もう米中戦争、台湾をめぐる米中戦争の勃発を想定し、そこから、日本の南西諸島からミサイルを中国に撃ち込むと。それぞれ五百から七百人以上のミサイル部隊をこの日本の自衛隊もそこに配備しているということです。
台湾有事の際には、日本の国土の島々から日米が共同して対中国ミサイル戦を展開する。日米だけでなく、英、米、仏、独の艦隊、軍隊も台湾有事を想定した共同軍事演習に参加するようになっており、日本近海や南西諸島で頻繁に行われるようになった。この図、二図は十、十一月だけに限っています。その前後については、いっぱいやっているんですけど、ここに私の論文があります。そこを御参考ください。
(5)、経済安保の根底にはこのような米国の世界戦略の大転換がある。それは、軍事、経済、情報戦を一体化して、中国との対峙と脱中国を図るものである。ただし、日本の法案では、米国のように中国への技術流出を防止するとか中国由来の物資を排除するといった文言がないため、極めて分かりにくいものになっている。
Ⅱ、先行する米国の経済安保、数年前から本格始動。これはちょっと飛ばしながら行きます。
二〇一八年八月にトランプ政権で経済安保の本格始動しまして、国防権限法八百八十九条、外国投資リスク審査近代化法、輸出管理改革法の三法が成立と。米国はこれらの法律によって、米国経済から中国企業と中国由来の重要物資、そして中国資本による対米投資と対中国重要物資の輸出を排除する法整備、規制を本格化。
①から③の法律は国防権限法で成立しまして、国防権限法では、政府の、まず最初に政府と取引することを禁じたわけです。中国五社、ファーウェイとかZTE、ハイクビジョンというようなその五社を指定しまして、一九年八月に第一弾の規制を開始し、政府調達においてこれら五社の利用を禁止すると。政府調達ではもう納入させないということです。そして、翌八月に第二弾の規制。五社とその関連企業の製品を使う企業が米政府と取引することも、それを使う企業がアメリカ政府とも取引してはならないということです。米政府と取引ある企業は三十九万社に上るとされ、それら全てが中国の五社の排除に乗り出さねばならないと。中国製機器を使うと企業や国家の機密が抜き取られるというのが、まあ本当、うそ、別にして、彼らが言っている理由です。
②外国投資リスク審査近代化法は、外国企業による対米投資を厳しく審査すると。たとえ支配権は握れない少額投資であっても、重要技術、個人データにアクセスできる投資やインフラに関わる投資も、軍事施設に近い不動産も、次、四ページ行きます、取得も審査の対象になる。これも中国企業の対米投資を主なターゲットとすると。
③輸出管理改革法は、輸出管理の対象を新興技術、基盤技術までに拡大する。その対象として、米商務省は、AI、バイオテクノロジー、測位技術、マイクロプロセッサー、先進コンピューティング、データ技術、量子コンピューティングというふうな先進技術ですね、それを例示します。この分野は②の投資規制にも対象にされるということです。従来のようにテロ支援国家への武器や軍事転用の可能性のあるものということでなく、幅広い先端技術の分野の製品を対象にしたということです。
(2)、二〇二一年六月、バイデン政権下で④米技術革新・競争法が上院を通過。補助金による先端技術の開発、育成を支援。同時に、中国からの重要物資の輸入をやめ、国内生産増を図ると。総額日本円で二十七兆円も充てて開発や生産増に当たるということです。
(3)、米国政府は、日本の企業、政府に対して上記の法律に同調することを、もうやった途端に公式、非公式に要求してきています。
例えば、国防権限法第二弾の開始の数日前の八月六日にクラック国務次官はテレビ会議で、日本企業六社、NTT、KDDI、ソフトバンク、楽天、富士通を呼び出して、中国五社の製品の利用を排除しろというふうに命令します。同時に、日本政府に対して、ファーウェイやZTEを使わないというコミットメントを出すように説得してほしいと言うんですね。ちょうどそのクラックが電話で呼び出したその前日にポンペオ国務長官が、クリーンネットワーク、つまりネットワークから中国企業を排除する、これを全米に呼びかけたばかりだった。で、翌日には日本企業に働きかけた。
例二、米技術革新・競争法が上院を通過した六月八日、バイデン大統領はサプライチェーン見直し等に関する報告書を公表。そこでは、脱中国のために、国内生産強化だけでなく他国と協力すること、特に半導体では日本や韓国と最近の成功を生かすと明記していると。最近の成功とは、韓国に対しては、米国内でサムスン電子の新工場新設を表明させたこと、日本に対しては、菅・バイデン首脳会談で半導体を含む製品供給網の強化で合意し、日本はTSMCの工場の熊本誘致も開始したこと、これを指しています。これはもうアメリカの議会で得々と成果だというふうに言っているわけです。だから、それはもうアメリカの戦略がもちろん元々そうだと。
例三、米国の中国企業排除策は、施行直後から日本企業でも部分的に適用されたと。国防権限法も日本企業八百社が対象になると。それから、NTTデータは、そのためにもう、米政府と取引がある子会社があるため世界中で他社製品に変更したと。
Ⅲです。あと何分。