伊藤孝恵の発言 (文教科学委員会)
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○伊藤孝恵君 本改正案についての衆議院の質疑、附帯決議、また衆参両院の調査室の資料では、我が国の博物館政策についての充実した課題抽出が行われておりました。
私からは、本改正案の論点の一つである登録博物館たることのインセンティブについて伺いたいと思います。
博物館一館当たりの社会教育費の公費支出はピークの三分の一になってしまったにもかかわらず、期待される役割というのは増すばかりです。多様化、複雑化、高度化しているにもかかわらず、施設基盤も人員も予算も圧倒的に不足しておりますし、この脆弱な調査研究環境、非正規の問題や行政職出身館長の課題など、こういった学芸員制度改革については、文化審議会の答申や学術会議からの提言でも既に指摘されているところではありますが、今回も抜本改正は先送りされました。
もとい、大臣に寄附税制についての御意見を伺いたいと思います。
例えば、日本で美術品のコレクターの方が亡くなった場合、遺族は相続税を納めねばならないので、結果として、家や土地を売るよりも、そのコレクションしたものというのをオークションに出してキャッシュをつくるという方が多いんだそうです。結果、大概は名画等が海外に渡ってしまいます。もちろんこの納税を猶予する制度というのはあるんですけれども、結局は免除じゃなくて猶予でありますので、対象も重要文化財や登録有形文化財に限られるなど、利用のハードルは極めて高いです。
じゃ、これを寄附すればいいのかといえば、そこにもハードルがありまして、現在、国公立や地方公共団体等に美術品を寄贈する場合、個人なら所得控除、企業なら損金算入されるのが一般的ですが、これにも上限額がありますので、価値があるものであるほど納税のために売るしかない、海外に流出していくルートをたどるしかないといったような状況です。
更に言うと、この額は購入価格です。買ったときの値段ということになりますので、例えば、作品を買ったときは駆け出しの若いアーティストだったんですけど、その方が超有名になって市場価格が上がったとしても、あくまで買ったときの値段、購入価格なんです。一方、先ほども事例でたくさん出てきていますが、アメリカなどでは、寄附する時点の市場価格の一〇〇%が控除される、つまり時価評価額で控除され、しかも五年間の繰越控除も可能だそうなので、個人の寄附が年間三十兆円にも上り、それらが良い作品を国内にとどめる理由になっているそうです。
この寄附する時点の時価評価というのが、コレクターたちが若いアーティストの作品を青田買いする動機になっているというふうに聞きました。これ、何というか、夢もあるし若い世代の育成のエンジンにもなっている、そういう税制になっているそうです。今回、この改正案を拝見して、もし改正するならこういったところにもやっぱり踏み込んでいただきたかったなというような思いがいたします。
というのも、やっぱり博物館の命というのはコレクションの内容だと思うんですね。人は別に館に来るわけではなくて、その中の作品を目指して来る、それを見に来るわけです。その作品を集めてきて、それを守って、魅力ある企画にして展示をしていく、それをたくさんの人に見てもらう、そういうようなものが本質であるし、それをする人たちの環境整備というのは、先にこれを、頑張って人を呼びなさい、もうけなさいっていうよりも先の課題だと思うんです。
今回の改正によって民間企業やNPO法人も登録博物館になれることになりましたので、この登録博物館になるとどういういいことがあるのか。例えば寄附をしてもらいやすくなる、例えば今は国等に限られています寄附の際の所得控除等の対象を拡大したり、また取得時ではなく時価の評価、この二点について御検討されてはいかがかなと思うんですが、先ほど大臣、令和四年度から寄附獲得についての実証実験されるというふうに御答弁されていましたので、こういった今私が御指摘申し上げたこの二点も含めてフィージビリティーされるのかどうか、そこも含めて御答弁をお願いいたします。