小西洋之の発言 (本会議)

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○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之です。会派を代表し、質問します。
 冒頭、一昨日の震災について、衷心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 立憲民主党は、党綱領において、健全な日米関係を軸に、と我が国の外交・安全保障における日米同盟の本質的重要性の認識を明記し、後に菅政権の総合海洋政策本部参与会議より同様の提言がなされることになった、尖閣諸島を守り抜くための領域警備・海上保安体制強化法案の提出など、外交安保において真に現実的かつ実効性のある提言を行っています。
 審議の前提として、まず日米同盟の本質に関する政府の見解を伺います。
 かつて、駐留経費の膨大な負担増を訴えていたアメリカのトランプ氏は、大統領就任後の最初の訪日で、アメリカ軍を駐留させてくれてありがとうと述べました。これは、アメリカにとって言わば地上最大のグッドディールというべき日米同盟の本質を当選後に勉強し、理解されたものと解されます。
 すなわち、私は、世界で唯一のアメリカ海軍の空母機動艦隊の海外母港であり、対中国の航行の自由作戦の拠点である横須賀の海軍基地、嘉手納や岩国などの空軍や海兵隊の航空基地等々、日米同盟に基づく在日米軍基地がなければ、アメリカは、アジア太平洋地域はもとよりインド洋、中東地域に至るまで実効的な軍事プレゼンスを一秒たりとも保持できず、一言で言うならば超大国たり得なくなるのであり、アメリカにおいて日米同盟こそが世界最重要の同盟関係であると考えます。
 加えて、安倍内閣以前からの日米ガイドラインにおいても、この日本領土である在日米軍基地を守る主担当は精強なる我が自衛隊であるとされており、安定した親米社会、まさに本協定の莫大な駐留経費負担とそれによる高度な技術力等々、日本のような同盟国をアメリカはインド太平洋地域はもとより世界のどこを探しても見付けることはできず、いかなる代償を提供しても手にすることはできないと解されます。
 以上申し上げたような事実関係などを踏まえ、政府としても、日米同盟はアメリカにとっても世界で最重要の同盟であり、他に劣ることがない重要な同盟であるとの認識にあるのか、横須賀第七艦隊などの守備範囲たる前方展開範囲、あるいは自由で開かれたインド太平洋の実現における在日米軍基地の役割などの重要な具体例を示しつつ、外務大臣の明確な答弁を求めます。
 さらに、政府は、日米同盟はインド太平洋地域の公共財とも述べていますが、もしアメリカが日米安保第五条の日本防衛義務を果たさないことがある場合は、これだけの圧倒的かつ死活的ともいうべき恩恵を被っている同盟関係の約束をたがえ、世界最重要地域の公共財を破棄してしまうものとして、国際社会におけるアメリカの信頼は失墜し、かつ、日米同盟ですら機能しないという意味で、アメリカが他国と有する同盟関係の信頼も対処できないほどに毀損してしまうのではないかと考えますが、外務大臣の見解を伺います。
 また、この関連で、政府は、アメリカの日本防衛の一環とする核抑止力について、その実効性に何か疑問を持っているのか、もし持っていないのであれば、現在、安倍元総理や茂木前外務大臣などが主張などしている核共有の必要性などの議論は政策的な合理性を有するものなのか、外務大臣の見解を求めます。
 また、あわせて、岸田総理が答弁している自衛隊の戦闘機などが核兵器を使用する核共有の事例は、法理として、憲法九条との関係で可能なものかどうか、九条に違反しないとする場合はどのようなものがあり得るのか、当該事例を政府の九条解釈に当てはめて政府統一見解を外務大臣に求めます。
 このように、日米同盟はアメリカにおいても、冷戦期から中国の軍備増強の今日に至るまで、他に代替の利かない圧倒的かつ死活的なメリットを提供する条約関係であり、ゆえに、歴代政府は、日本がアメリカの防衛義務を負わない安保条約を双務条約であるとしてきました。安倍内閣が強行した安保法制の集団的自衛権行使は、この双務関係を超えて自衛隊にアメリカに対する武力攻撃を排除する役割を与えたものであり、今日においては、日米同盟は日本が基地提供だけでなく、アメリカの防衛義務を負った片務条約になっているのではないか、外務大臣の見解を伺います。
 また、あわせて、政府は、集団的自衛権行使を容認した七・一閣議決定以前に、アメリカから我が国が憲法規範やその解釈を変えて集団的自衛権行使を容認するよう求められたことは一度もないと繰り返し答弁していますが、岸田内閣においても同様の事実認識にあるのか、外務大臣にお尋ねします。
 ここで、こうした日米同盟の本質を顧みることなく安倍内閣が強行し、岸田内閣に引き継がれている集団的自衛権行使の容認は、昭和四十七年政府見解の中の外国の武力攻撃という文言を同盟国に対する外国の武力攻撃の意味に恣意的に読み替え、曲解し、歴代政府の九条解釈の基本的な論理なるものを同見解の中に捏造した法解釈ですらない不正行為による憲法違反であることが国会質疑により立証され、そのことが元最高裁判事、元内閣法制局長官の安保国会での参考人陳述、複数の公法学者の学術論文、朝日新聞、東京新聞の社説報道などでも確認されています。
 他方、この違憲の集団的自衛権行使の容認は、同時に、日米安保条約第三条に違反するものともなっています。
 実は、安保条約三条には、日本はアメリカのために違憲である集団的自衛権を行使しなくてよいと、主権国家同士の国際約束が明記されているのであります。すなわち、アメリカが上院決議により、全ての同盟国と締結している共通条項である第三条が、日米安保第三条だけは特別の文言変更がなされているのであります。このことは、安保改定当時の政府答弁において、集団的の能力という文言をそれぞれの能力と変更し、憲法九条を意味するとの外相説明とともに、憲法上の規定に従うことを条件としてとの文言を付け加えるなど、日本による集団的自衛権行使を法的に免責した条文として作り込まれたことが明確かつ詳細に答弁されているのであります。
 さらには、当時の岸信介首相は、後の証言録において、日本の憲法によれば、日本は、アメリカの日本防衛に相応する義務をアメリカに負えないわけだからね、日本としては、ただ基地を提供するとか、憲法の範囲内で防衛力を漸増するという非常に気の抜けた対応になっているわけだ、などと述べています。
 岸防衛大臣に伺います。
 条約は、法的効力において法律に優位します。この岸元首相の証言や安保改定当時の政府答弁をどのように理解し、考えるのかを具体的に示しながら、限定的な集団的自衛権行使の容認は日米の国会条約承認権を侵奪した違憲、違法と考えるかどうかについて答弁を求めます。
 さらに、健全な日米同盟の維持、発展のためには、日米同盟の本質について、我が国が世界最強の軍事力を有するアメリカの抑止力、防衛力を受けるという目的、効果の一方で、そのリスクについても直視し、隠すことなく国民に説明する必要があります。
 防衛大臣に伺いますが、仮に台湾海峡有事、すなわち、アメリカと中国の本格的な武力紛争が生じた場合には、アメリカ軍の軍事作戦の死活的基盤である嘉手納や岩国、佐世保などの在日米軍基地が中国軍の攻撃対象となる、あるいはなり得るというのは、見識ある軍事専門家の誰もが一致する見解ですが、政府もそのような認識にあるのか、答弁を求めます。
 さらに、外務大臣に伺います。
 安保条約に基づく岸・ハーター交換公文において、米軍が在日米軍基地を用いて戦闘作戦行動を行う場合は日本政府への事前協議が義務付けられていますが、一般論として、アメリカ軍が在日米軍基地を利用して他国領域に向けたミサイル発射を行う場合は、戦闘作戦行動に該当し、事前協議の対象となると考えているのでしょうか。同交換公文には、戦闘作戦行動とは直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動とされ、その典型例として、在日米軍基地からの航空部隊による爆撃などが示されていることとの論理的整合性に触れつつ、答弁を求めます。
 さらに、在日米軍基地をめぐっては、オミクロン株の流入をも引き起こした日米地位協定の他国に比しての多大なる制約、辺野古基地建設の強行、横田空域、低空飛行、騒音、環境問題等々、解決すべき深刻な問題が存在することを指摘し、以下、従来とは本質的な変容を遂げている本特別協定の質問に入ります。
 政府は、本特別協定より、同盟強靱化予算との通称を設定し、これまでの在日米軍の駐留支援に重きを置いた経費負担から、日米同盟を一層強化する基盤構築に重点が移ったと説明していますが、どのような負担内容の変更により、かつての思いやり予算が同盟強靱化予算へと変容したのか、外務大臣に説明を求めます。
 これに関し、今回初めて実動、バーチャル、仮想敵による、いわゆるLVC訓練システム、サイバー実戦訓練装置、戦闘射撃訓練用標的装置の調達費用を負担していますが、こうした米軍が所有することになる軍隊の装備品そのものを特別協定でこれまで負担したことがあったのか、また、なぜこれらの資機材を在日米軍の駐留に伴う経費負担と観念することができるのか、さらには、これらの資機材を自衛隊が訓練で共用することもあるということを大義名分としていますが、そもそも、自衛隊自ら日本防衛のためにこれらの資機材を調達する必要はないのか、それぞれについて両大臣に質問をいたします。
 さらに、政府は、提供施設整備についても、航空機の掩体及び整備用格納庫など、在日米軍の即応性向上及び抗堪性強化に資する事業に重点化していくとしていますが、近年の嘉手納基地の例では部品倉庫、貨物管理棟、家族用住宅などの整備であったものが、在日米軍基地への武力攻撃の防護施設であり、言わば武力の構成要素そのものである掩体、格納庫などへの重点整備と変容させるその目的や、それにより内外に生じ得る影響に関する認識について外務大臣にお尋ねします。
 いずれにしても、政府は、特別協定を日米地位協定第二十四条に定める米国の経費負担の原則の暫定的、限定的、特例的な措置との説明を変えていませんが、アメリカ軍の装備そのものの負担を引き受け、武力の構成要素そのものの負担に重点化していくことが果たして暫定的や限定的などの対応にとどまり得るものなのか、将来的に同盟強靱化の名の下に米側から過大かつ場合によっては同盟関係の在り方をも変容し得るような要求を受けることにはならないのか、さらには、そもそも同盟強靱化予算との通称は、駐留に伴う経費との説明では合理的な説明が困難な負担を糊塗するために用いられた名称ではないか、外務大臣の答弁を求めます。
 結びに、かつての中曽根総理の答弁を皆様に御紹介申し上げます。
 憲法及びその憲法に基づいてできている日米安全保障条約、その重みというものは非常に重いものでありまして、その命ずるところに従って国政は行われるべきであり、防衛は行われるべきである、それを逸脱してはならない、これは鉄則であります。
 この答弁は、昭和五十八年二月の八日、衆議院の予算委員会で、ソ連のバックファイアなどの爆撃戦闘機がアメリカの第七艦隊を攻撃する、それを自衛隊が守らなくてよいのか、すなわち、冷戦さなかの米ソ正面戦争という安倍内閣の安保法制の設定とは比べ物にならないほどの烈度における限定的な集団的自衛権の行使について、その憲法適合性、自衛隊の行動のあるべきについて問われたものです。
 当時の角田内閣法制局長官は、自ら第一部長として作成に関与した昭和四十七年政府見解を用いながら、ソ連の侵攻意図など、我が国に対する武力攻撃の着手に至らない事例設定である以上、この限定的な集団的自衛権行使は明確に違憲であると断じ、それに対する質疑者の、それで日本の防衛が全うできますかとの更問いに対し、中曽根総理はさきのような鉄則答弁をしています。
 中曽根元総理の憲法の基本原理などに関する見解は私とは大きく異なるところもございますが、この法の支配、立憲主義及び日米同盟の本質に基づく見解については深く敬意を表するところです。
 他方、安全保障は、武力によってのみなされるものではなく、平和主義の理念の力による取組も本質的に重要であります。
 去る三月二日の本院ロシア侵略非難決議においては、ウクライナ国民が憲法前文の平和的生存権を有することを宣言し、三月七日の本院予算委では、岸田総理が私の質疑に対し、同趣旨の政府見解並びに世界各国の市民による、侵略を非難し、ウクライナ国民の生命、尊厳を思い、連帯する行動は、憲法前文のもう一つの平和主義、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する」の具体的表れであると答弁しています。
 まさに、我が国を始め世界各国の国民による様々な反戦運動や人道支援はもとより、困難を引き受けてでも、ロシアへの経済制裁などを支持する力などの源泉がここにうたわれているものと存じます。
 現下のウクライナ情勢を始めとして、政府が憲法前文の平和主義の理念をどのように外交の力に生かそうとしているのか、また、政府として、元総理の鉄則見解を現在も引き継ぎ、国防、外交・安全保障を大目的として包含すると解される平和創造、ピースクリエーションのために、我が国としてどのような平和創造戦略があるべきと考えているのか、外務大臣に格調高い答弁をお願いして、私からの質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120815254X00820220318_011

発言者: 小西洋之

speaker_id: 27444

日付: 2022-03-18

院: 参議院

会議名: 本会議