森屋隆の発言 (本会議)

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○森屋隆君 立憲民主党の森屋隆です。
 ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問をいたします。
 まず冒頭、今回のロシアによるウクライナ侵略は多くの民間人を犠牲にし、その被害は女性や子供たちにまで及んでいます。この暴挙を厳しく非難するとともに、政府にはこれまで以上に関係諸国と連携をして一刻も早いロシア軍の撤退と最大限の人道支援を進めることを強く求めます。
 また、一昨日、東北を中心に大きな地震が発生しました。お亡くなりになられた方に心よりお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた方にお見舞いを申し上げます。この一週間程度は自分の身を守る行動も心掛けていただきますようお願いを申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の世界的流行が始まってから約二年が経過しました。この感染症は、私たちの暮らしを一変させ、我が国の経済、そして雇用に対して甚大な影響を与え続けています。この危機に対しては、雇用調整助成金の特例措置により、失業者の増加をある程度抑制できたものと理解しています。
 しかし、二年以上に及ぶ特例措置の影響などにより、失業等給付の積立金の残高は、来年度末には約五百億円と底をつくことが見込まれており、雇用保険制度は機能不全に陥るリスクに直面しています。
 このような状況で提出された今回の法律案ですが、基本手当に関する暫定措置の延長や、雇用調整助成金の一部を国庫で負担する特例措置の延長など、評価できる面もあります。当初、交通運輸業界では特例措置の運用がなされないとの判断もあり、雇用に対する大きな不安を感じていました。しかし、この制度が適用されることにより、公共交通を始め、航空やホテル、旅館、観光事業者に活用されることになりました。この安心感があったからこそ、この二年間を耐えてこられたと思います。
 その一方、雇用保険制度の各給付における国庫負担割合を雇用保険法の本則に戻すべしとする衆参厚生労働委員会の附帯決議は今回も無視されてしまいました。それどころか、この法案では、コロナ禍での多額の国庫繰入れを言い訳に、国庫負担に関する本則自体を変えてしまうという、我々が想像もしていなかった改正内容が含まれています。
 確かにコロナ禍での国庫負担は莫大なものです。しかし、労働者の生活はコロナ下も続いていくのです。このような改正内容で、雇用政策に対する国の責任が将来にわたって果たせると本当に言い切れるのでしょうか。
 以上のような問題意識を踏まえて、雇用保険法の改正について質疑を行います。
 まず、雇い止めに遭った労働者の基本手当の給付日数を拡充する暫定措置の延長についてお尋ねします。
 雇い止めに遭った有期雇用労働者については、新型コロナの影響が顕著になる前から再就職先を見付けるのが困難な状況が続いており、基本手当の受給期間中に再就職することができた方は令和元年度でも約五六%にとどまっています。こうした状況を踏まえ、平成二十一年の暫定措置創設以降、三度の延長が繰り返され、今回で四度目の延長ということになりました。
 コロナ禍の厳しい状況も踏まえて三年間の延長ということですが、雇い止めに遭った有期雇用労働者の再就職が厳しい環境が続く限り、この暫定措置は今後も継続することが必須であると考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 また、雇い止めに遭った有期雇用労働者の再就職が厳しい状況はなぜ続いたままなのでしょうか。厳しい状況が改善されない理由をどう分析し、どのような対応が必要と考えているのか、厚生労働大臣の見解を伺います。
 雇用調整助成金の特例措置延長による今後の雇用保険財政の見通しについてお尋ねします。
 令和四年度予算案では、令和四年度末の積立金残高は僅か五百億円しか残らないという見通しが示されています。雇用調整助成金の特例措置が六月末まで延長されることになりましたが、今後の雇用保険財政の見通しを厚生労働大臣に伺います。
 また、今回の特例措置延長によって財源不足に陥り、雇用保険制度の各給付の支給が滞る事態だけは避けなくてはなりません。
 各種特例措置が感染症対応という事情によるものであることを踏まえると、令和四年度中に財源不足に陥ったときには、保険料率の引上げや給付の削減ではなく、国庫からの繰入れで対応すべきと考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 国庫負担割合の見直しについてお尋ねします。
 政府案では、失業等給付の財政状況に関する指標である弾力倍率が一未満となる場合、かつ基本手当の受給者実人員が七十万人となる場合についてのみ、国庫負担割合を四分の一にするとしており、それ以外の場合は国庫負担割合を四十分の一とするとしています。
 雇用保険部会では、四分の一と四十分の一では余りにも差が大き過ぎると指摘する声もあったと承知しています。しかし、衆議院本会議では、四十分の一の根拠について、現行の国庫負担割合を基にしていると答弁したにすぎず、合理的な説明が全くありませんでした。
 そもそも現行の国庫負担割合はあくまでも時限的な措置であり、令和二年度の衆参厚生労働委員会の附帯決議でも、令和三年度までの二年度間に厳に限った措置とすることを求めています。この附帯決議の要請をどのように受け止めているのか、厚生労働大臣の見解を伺います。
 また、雇用保険財政の安定的運営という観点から、国庫負担四十分の一という数字にどのような合理的根拠があるのか、また国庫負担割合で本当に国の雇用政策への責任を示していると言えるのか、それぞれ厚生労働大臣の見解を伺います。
 加えて、令和三年度補正予算では国から二・二兆円の繰入れを行いました。それならば、令和四年度から国庫負担を四分の一に戻し、そのための国庫負担金として令和四年度予算案に約二千億円を確保し、残る二兆円を令和三年度補正予算に計上すべきだったのではないでしょうか。こうした対応を取らなかった理由を財務大臣に伺います。
 厚生労働省は、受給者実人員が七十万人以上という基準について、原則の雇用保険料率を設定するに当たっての基本想定としている六十万人と、近年で最も高い水準の八十五万人の中間程度の水準をもって設定したと説明しています。私たちは、この七十万人という要求水準が極めて厳しく、事実上発動されないのではないかと懸念を持っています。この点、衆議院の厚生労働委員会では、今後の労働政策委員会における検討において、七十万人という募集、基準の見直しもその対象となり得ることを確認しておりました。
 今後、新型コロナウイルス感染拡大の雇用情勢も踏まえ、政令上の基準を見直すべきと考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 国庫負担割合の見直しと併せて、今回、新たに国庫からの任意繰入れ制度が導入されることになります。
 先ほど申し上げたように、国庫負担割合が四分の一となる要件は大変厳しく、実際の発動は困難です。それゆえ、この国庫からの任意繰入れ制度の実効性が本当に確保されるのかという点は、本法律案の重要な論点です。雇用保険部会においても、こうした懸念が労使双方の委員から示されたものと承知しております。
 そこで、雇用保険部会報告書では、任意繰入れが発動されるべき具体的な状況を四つ挙げ、当該状況に該当する場合などには、時点を問わず雇用保険部会に報告し、財政安定化のために必要な財源の内容やその確保策も含めて議論を行い、その意見を踏まえて必要な対応を取るべきであると厚生労働省に対応を求めています。
 しかし、本法律案には、任意繰入れ制度の運用の考え方は一切条文に書かれておりません。少なくとも政省令に制度の運用の考え方を規定しておく必要があると考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 衆議院本会議では、報告書の内容が本当に実行されるのかを確認する質問が幾つも行われましたが、厚生労働省としては、こうした議論を踏まえつつ、適切に対応してまいりますとの答弁が繰り返されました。
 改めて伺います。
 雇用保険部会報告書で示された状況に至った場合には、直ちに労働政策審議会に諮問を行い、国庫からの任意繰入れが必要との結果に至った場合には、財政当局とも議論を行い、必要な財源を確保する、そうお約束いただけないでしょうか。厚生労働大臣の御決意をお聞かせください。
 そもそも、任意繰入れは国による裁量が強い仕組みです。今回の見直しは公労使三者の合意により運営されている雇用保険制度に対する財政当局の裁量を強化することにもつながりかねません。
 また、今回、見直しの内容自体、財政制度等審議会の建議の影響を強く受けたものと印象があることは否定できません。
 今後、任意繰入れ条件として、財政当局から保険料率の引上げや給付水準の引下げを要求されることが懸念されますが、厚生労働大臣として、そうした要求にはきちんと反論していくと明言をいただけないでしょうか。今回の改正に対する懸念を払拭するためにも、厚生労働大臣の御決意を伺います。
 次に、職業安定法の改正についてお伺いします。
 募集情報等提供事業者が労働市場において果たす役割は年々大きくなっており、令和二年の雇用動向調査では、約三割が求人メディア等を通じて就職していることが明らかとなっています。
 職業安定法第五条の三第一項では雇用仲介事業者、及び第二項では求人者に対して労働条件の明示を義務付けていますが、これらの規定では募集情報提供事業者が対象外となっています。
 職業安定法の指針では、原則として、求人者が求職者と最初に接触する時点までに全ての労働条件を明示すべきとしていることは承知しています。しかし、求人者が求職者と実際に接触する段階、つまり面接などの選考に進む前の段階であっても、求職者には職務経歴書の準備など、大小様々な負担が掛かっています。
 こうした状況を踏まえると、求職者保護という観点から、求人者が募集情報等提供事業者に対して求人広告等の掲載を依頼するようなケースでは、業務内容、賃金、労働条件等の、労働時間等の労働条件を募集情報等提供事業者に対して明示することとともに、募集情報等提供事業者にも労働条件明示を義務付けておく必要があるのではないでしょうか。厚生労働大臣の見解を伺います。
 また、本法律案では、募集情報等提供事業者等に対し求人情報の的確表示義務を課すとしていますが、情報を正確かつ最新の内容に保つため、措置については、具体的な基準を法成立後に関係部会で議論することとしています。
 求職者が事実と異なる労働条件を信じた結果、不利益を被ることがあってはなりません。正確性等を保つための措置については、求職者保護という観点を最大限尊重した上で検討する必要があると考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 雇用保険制度は、我が国の労働者の生活を支える重要なセーフティーネットの一つです。立憲民主党は、この重要な制度を将来にわたって万全なものとするために全力を尽くすことをお誓い申し上げ、私の質疑といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120815254X00820220318_035

発言者: 森屋隆

speaker_id: 32376

日付: 2022-03-18

院: 参議院

会議名: 本会議