青木愛の発言 (本会議)

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○青木愛君 立憲民主党の青木愛です。
 立憲民主・社民の会派を代表して、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
 地球温暖化問題は、一九八〇年代から科学者の間で認識が強まり、気候変動に関する政府間パネル、IPCCが一九九〇年に公表した第一次評価報告書を受けて国連で議論が始まりました。
 一九九七年に京都で開催された気候変動枠組条約第三回締約国会議、COP3において京都議定書が採択され、先進国に対し法的拘束力のある温室効果ガス排出削減の数値目標が設定されました。
 議定書の採択を受け、我が国では、翌一九九八年に国内における地球温暖化対策の枠組みとなる地球温暖化対策の推進に関する法律、略称温対法が制定され、国、地方公共団体、事業者、国民のそれぞれが行う責務等が定められました。
 直近の二〇二一年の改正では、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を受け、二〇五〇年カーボンニュートラルが法律に明記されるとともに、地域脱炭素化促進事業などが盛り込まれました。
 二〇一九年秋以降、ゼロカーボンシティが急増していますが、具体的なアクションへと結び付く例はまだ少なく、モデルとなる事業の創出が必要となっています。また、国と地方の協働、共創による取組が不可欠です。
 二〇一三年から環境省が所管する地域脱炭素投資促進ファンド事業により基金が創設され、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構が基金設置法人として事業を運営しています。地域の脱炭素化プロジェクトに対して出資を行い、民間資金を呼び込むことで地域の資金循環を拡大し、脱炭素社会の実現と地域活性化の両立を目指しています。
 今回の改正は、このような状況を踏まえ、二つの柱から成る施策を定めることにより、我が国の脱炭素社会実現に向けた対策の強化を図ることとしています。
 一つは、脱炭素事業を支援する株式会社脱炭素化支援機構という新たな官民ファンドを創設することです。もう一つは、脱炭素に取り組む自治体を国が財政支援する努力義務の規定です。
 以下、山口環境大臣に質問いたします。
 まず、一本目の柱、新たな官民ファンドの設立についてお伺いをいたします。
 現在、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構は地域脱炭素投資促進ファンド事業を実施しており、同事業では、一定の採算性、収益性が見込まれる地域の脱炭素化プロジェクトに対する出資が行われています。
 今回、法律を改正して、財政投融資を活用した新たな官民ファンドを設立することになります。なぜグリーンファイナンス推進機構の拡充ではなく、新たな官民ファンド、株式会社脱炭素化支援機構を創設するのか、その意義と必要性についてお伺いします。また、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構はこれまでどのような実績を上げてきたのか、順調に運営されてきたのか、それとも問題があったのか、これまでグリーンファイナンス推進機構が出資してきた事業は今後どうするのかについてお伺いします。
 環境省は、我が国の脱炭素化に必要な投資額を、二〇三〇年に向けた、二〇二六年から二〇三〇年の五年間の年平均の投資額を約十三兆円程度と試算していますが、二〇二〇年時点での脱炭素分野への投資額は約五兆円にとどまっています。
 こうした状況の中で、環境省は、新たな官民ファンド設立に当たり、新たな出資制度として、令和四年度財政投融資計画に二百億円を計上しました。それを呼び水として、八百億円の民間資金を喚起させ、約一千億円の脱炭素事業の実現を見込んでいます。想定どおりの呼び水効果が得られるのか、その根拠をお伺いします。
 新制度は財政投融資を活用した制度であることから、政策性とともに収益性の確保が求められます。新機構は株式会社の形態を取っているのですから、なおさらです。
 一般的に、ファンド投資では、設立当初は収益よりも費用が先行するため累積損失が計上され、投資期間の後期になって累積損失を解消して収益を上げるという収益構造が想定されています。
 しかし、これまでに設置された一部の官民ファンドでは、投資資金の回収に関する見通しが甘いことなどにより、収支状況が悪化し、多額の累積損失を発生させていることが大きな問題となっています。グリーンファイナンス推進機構においても、プロジェクト投資ベースでは黒字を確保しているとのことですが、機構全体の収支で累積損失が発生しています。
 新機構が収益性を確保するため、どのような長期的な見通しを想定しているのか、また、既存事業から強化した点についてお伺いします。加えて、収益性の確保の観点からは、各支援事業への投資後においても、対象事業者の財務情報や経営方針等の企業情報を引き続き継続的かつ適切に把握する必要がありますが、投資後のモニタリングに係る方針をお伺いします。
 本法律案では、取締役である委員の三名から七名で構成される脱炭素化委員会が、あらかじめ環境大臣が設定する支援基準に基づき、対象事業者やその内容を決定することとしています。これらの意思決定を取締役会ではなく同委員会が行うことにした理由、及び取締役、同委員会の人選に係る方針についてお伺いします。
 また、機構は、公的な支援を受けて業務を行う組織であることから、同委員会での意思決定には公平性、中立性、透明性が求められますが、その確保に向けた運営方針及び同委員会に対するガバナンスの在り方についてお伺いいたします。
 今回の新たな出資制度の政策的意義には、脱炭素を契機とした地方創生の実現も含まれることから、地域へ貢献する事業に対して必要十分な資金供給が行われるよう適切に、適正に支援基準を策定することが必要だと考えますが、見解をお伺いします。
 また、一部の地域では、再生可能エネルギーに関する施設等の開発により、生活環境への影響に対する住民の不安が高まっています。資金供給に加えて、地域の合意形成に対する機構の取組が重要と考えますが、見解をお伺いします。
 機構が個別支援事業を決定する際には環境大臣等が意見を述べる機会について規定されています。どのような方針の下に意見を述べられるのでしょうか。また、事業開始後、支援事業が環境へ悪影響を及ぼすなど不適切な行為により地域でトラブルが生じた場合、環境大臣はどのように対処されるのか、お伺いをいたします。
 次に、二本目の柱、地方公共団体に対する財政措置等についてお伺いをいたします。
 環境省は、令和二年十月の二〇五〇年カーボンニュートラル宣言以降、地域の脱炭素化に向けた取組に対し、補助金等による支援を強化してきました。こうした状況の中、本法律案では、地域の脱炭素化に取り組む地方公共団体に、国が財政上の措置その他の措置を講ずるよう努める旨を規定しました。
 今回、法律を改正して、国の地方公共団体への財政支援等の努力義務を法律上明記したことの意義及びその効果についてお伺いします。
 現在、地域の脱炭素化に向けた取組においては、専門的知見を有する人材や取組の中核となる人材が不足しています。特に、小規模の自治体は適切な人材の確保が困難な状況です。地域の脱炭素化の実現には、このような地域人材の育成、確保に係る支援措置の強化が欠かせないと考えますが、見解をお伺いします。
 地域における脱炭素を実現するための地域脱炭素ロードマップにおいて、脱炭素先行地域が位置付けられています。二〇三〇年度までに地域内の民生部門の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロの実現など、脱炭素ドミノを起こすためのモデル地域として位置付けられています。
 その選定に当たっては、事業規模のみならず、地域の特性を生かし、地域への貢献度の高い案件が積極的に選定されることが重要だと考えます。環境省は、今回実施した第一回目の公募では、七十九件の応募に対し二十六件を選定しました。脱炭素先行地域の選定方針及び、二〇二五年までに少なくとも百か所を選定するということですが、その見通しについてお聞きいたします。
 脱炭素先行地域の公募では、複数の自治体による共同提案も可能とされています。他方、再エネ導入ポテンシャルが高いものの財源や人材が限られているため脱炭素化への取組を進めるのが難しいとされる小規模な地方自治体と、エネルギー需要は大きいものの再エネ導入ポテンシャルが限られている都市部の地方公共団体との間において、電力融通などによる連携を行うことは地方経済の発展に寄与するものと考えます。
 このような真に双方にメリットとなる連携を含め、地域間連携で期待される効果と推進方策、現在の検討状況についてお伺いをいたします。
 脱炭素に向けては、CO2を排出させないこととともに、CO2の吸収の視点も必要です。
 CO2の吸収に関して、地球規模で考えますと、陸域での森林などの植物による炭素吸収は年間十九億トンですが、海域からはそれを上回る二十五億トンもの脱炭素、吸収をしております。その中でも、日光が届く比較的浅い海域では、海藻や藻類が光合成によって十・七億トンもの炭素を吸収しています。森林が吸収するグリーンカーボンに対して、海の植物による吸収はブルーカーボンと呼ばれています。ブルーカーボンに関しても、脱炭素先行地域として選定し、地方公共団体の取組を支援するとともに、前段の脱炭素化支援機構の支援対象とすべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。
 最後に、再生可能エネルギーの需給調整について、萩生田経済産業大臣と山口環境大臣にお伺いをいたします。
 再生可能エネルギーは、発電時にCO2を発生しない特徴がありますが、発電量が気象状況などに左右されることが課題となっています。太陽光発電は、夜間は発電せず、曇りや雨天では発電量が落ちます。風力発電は、昼夜にわたり発電しますが、風がやんだときや限度を超えた強風時には発電ができません。一方、好天時には太陽光の発電量が大幅に増え、供給が需要を上回る事態も発生しています。これまでの九州電力の管内に加え、今年に入り、四国、東北、中国、北海道の各電力会社の管内でも、発電事業者に対する出力制御が行われました。これでは再生可能エネルギーが無駄に捨てられることになり、再生可能エネルギーの普及とも矛盾してしまいます。
 今後、脱炭素に資する再生可能エネルギーの拡大と並行して、需給バランスを調整するための電力の貯蔵、送電における再生可能エネルギーの優先及び日本全域での電力調整などを進めることが極めて重要ですが、具体的にどのような対策を検討しているのか、お聞きいたします。
 結びに、現在、世界が直面する気候変動問題は待ったなしの深刻な課題です。これまでの経済活動や生活様式の根本的な変革が迫られています。我が国においても、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、国、地方公共団体、事業者、国民が、それぞれに課せられた責務を自覚し、行動することが求められます。特に、経済を所管する経済産業大臣と環境に責任を持つ環境大臣には、両輪となって社会全体を牽引する強いリーダーシップを発揮していただかなければなりません。
 この艱難を越えた後には世界が共生する明るい未来が待っていることを確信して、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣山口壯君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120815254X02220220513_005

発言者: 青木愛

speaker_id: 10067

日付: 2022-05-13

院: 参議院

会議名: 本会議