山下芳生の発言 (本会議)

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○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 会派を代表して、温暖化対策推進法改正案について関係大臣に質問します。
 南太平洋に浮かぶソロモン諸島では、既に五つの島が海に沈みました。インド洋で水没の危機にあるモルディブの元大統領は、一・五度に抑える目標を放棄することは我々への死刑宣告だと昨年のCOP26で訴えました。南極では、氷河の先端が海にせり出した棚氷の崩壊が急速に進んでいます。最新の研究ではこれを引き金とする大規模な氷床の崩壊が危惧されており、そうなれば大規模な海面上昇となります。
 温暖化による海面上昇は百年、二百年と長く続きます。将来世代の被害を少しでも和らげるためにCO2の排出削減は急務です。
 山口環境大臣、こうした温暖化の深刻さを政府と国民がリアルに認識することが温暖化対策の土台になると考えますが、その認識はありますか。
 COP26では、平均気温の上昇を一・五度に抑える努力を追求することで合意しました。そのために残された炭素排出量、カーボンバジェットは、今のペースだと十年ほどで使い切ってしまいます。最新のIPCCの報告書では、今世紀末に一・五度に抑えるためには、温室効果ガスの排出量が遅くとも二〇二五年までにピークに達し、減少に転じる必要があると指摘しました。
 人類に残された時間は僅かしかありません。松野官房長官、日本の二〇三〇年四六%削減の目標では一・五度と整合しないのではありませんか。直ちに削減目標を引き上げ、先進国としての責任を果たすべきではありませんか。
 昨年、G7共同声明は石炭火力発電が世界の気温上昇の最大の原因であると指摘し、COP26は石炭火力を削減していくことに初めて合意、IEA、国際エネルギー機関のロードマップは二〇三〇年までに先進国における石炭火力の全廃を求めました。
 グテーレス国連事務総長は、大量排出を続ける政府と企業に対し、彼らは、より安価で再生可能な解決策が雇用やエネルギー安全保障、価格の安定性を提供しているときに、化石燃料への既得権益と歴史的投資に基づいて地球を窒息させていると厳しく指摘し、再生可能エネルギーの迅速で大規模な導入、石炭火力の全面停止、化石燃料への補助金の廃止を要求しています。
 しかし、日本は、昨年に続いて今年もG7の共同声明に石炭火力の二〇三〇年までの廃止を盛り込むことに反対し、大型石炭火力の新規建設を依然として続けています。
 官房長官、いつまで世界の流れに背を向け続けるつもりですか。G7の中で唯一石炭火力を廃止する期限を示していないという恥ずべき地位から即刻抜け出すべきではありませんか。お答えください。
 岸田政権は、石炭火力の維持策として、アンモニアや水素などの混焼によるゼロエミッション火力の推進を掲げています。しかし、この方式は、国際的には排出削減対策とは認められていません。
 株主や政策決定者向けの提言を行っている英国のシンクタンク、トランジション・ゼロは、今年二月、アンモニア混焼に関するレポートを発表しました。レポートは、日本政府が二〇三〇年の実用化を目指す二〇%の混焼率でもCO2の排出量は最新の石炭火力並み、五〇%の混焼率に引き上げたとしてもLNG火力より排出量は多いと指摘しています。コストの面では最も安いダークアンモニアでも石炭の二倍となり、NOxやPM二・五が発生するリスクもあるとされています。さらに、アンモニアの生産は海外に依存せざるを得ず、エネルギー安全保障上の疑問も呈されています。
 その上で、同レポートはアンモニア混焼について次のように結論付けています。
 アンモニアが法外な高コストの発電技術であり続けることが見込まれ、カーボンニュートラルという日本の目標達成に対してはほとんど効果がない、経済と環境に対する説得力のある論拠が存在しない状況から考えると、根底にある動機は石炭火力発電所の存続と受け取れる、日本企業が発電においてアンモニアを追求し続けることは不必要な株主価値下落につながることになる。
 萩生田経産大臣、アンモニア混焼に対するこうした問題点の具体的な指摘にどう答えますか。
 環境大臣、本法案で設立される官民ファンドの支援対象は、効果も見通しもない事業ではなく、国際的基準に合致した排出削減対策に限るべきではありませんか。
 欧米では、化石燃料産業から再生可能エネルギー産業への公正な移行が図られています。しかし、日本では、こうした方針が明確に示されない中、老朽石炭火力の延命が行われています。長崎県の松島石炭火力は、老朽化による廃止が予定されていましたが、ガス化設備を追加し延命させる計画が進んでいます。この計画の環境アセスに対する環境大臣意見では、可能な限り早期にバイオマスやアンモニアの導入を進めることなどとして、アンモニア混焼を前提に計画を容認しています。
 環境大臣、このように不確かな対策で石炭火力を延命することになれば、日本各地で逆脱炭素ドミノを引き起こすことになるのではありませんか。政府として、再生可能エネルギー産業への公正な移行について明確な方針を示すべきではありませんか。
 岸田首相は、脱炭素を名目に、原子力を最大限活用するとしています。しかし、深刻な原発事故を起こした日本で原発の再稼働、新増設はやれないし、やるべきではありません。
 再生可能エネルギーこそ未来への道です。
 環境省の試算では、再生可能エネルギーの潜在量は電力需要の五倍もあります。研究者は、自然エネルギーの設備に必要な面積は国土のおよそ一ないし二%で、既にある省エネ・再エネ技術だけで、二〇三〇年にCO2排出を五五%減らし、二〇五〇年に九三%減らすことが可能だと指摘しています。しかし、こうしたポテンシャルや技術が生かされていません。
 典型は、電力不足と騒ぎながら、他方で実施している再エネの出力抑制です。出力抑制は、九州電力だけでなく、四国、東北、中国、北海道の五電力にまで広がっています。その根本には、再エネよりも原発が優先して動かされていること、電力会社間で電力を融通する連系線の整備が遅れていることがあります。
 経産大臣、これらの問題にメスを入れ、再エネ電力の抜本的な拡大を図るべきではありませんか。また、小規模な再エネ発電事業者の負担になっている発電所から送電網への接続は、大手送電事業者の責任で行うべきではありませんか。
 再エネ導入で電力が不安定になるとの主張があります。しかし、送電網による電力融通や揚水ダムなどの調整システムを整備すれば、安定供給は可能です。電力の安定供給というなら、原発や巨大石炭火力のような一極集中の方がむしろリスクが大きいことが北海道電力のブラックアウトで明らかとなりました。
 地域分散、地産地消となる再エネの大規模な普及によって安定した電力を確保する。化石燃料頼みから再エネの大量導入へと転換し、僅か一〇%程度しかない日本のエネルギー自給率を引き上げる。これこそ真の安全保障ではありませんか。環境大臣の見解を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣山口壯君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 山下芳生

speaker_id: 9284

日付: 2022-05-13

院: 参議院

会議名: 本会議