杉尾秀哉の発言 (本会議)
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○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。
私は、会派を代表して、令和二年度、二〇二〇年度の歳入歳出決算四案と国有財産増減及び現在額総計算書に反対、また、国有財産無償貸付状況総計算書と内閣に対する警告決議に賛成の立場から討論します。
三次にわたる補正を経た二〇二〇年度の決算は、歳入百八十四・五兆円、歳出百四十七・五兆円、翌年度繰越額三十・七兆円、不用額三・八兆円と、いずれも過去最大となりました。その結果、決算のプライマリーバランスは八十・四兆円の赤字となっています。
今や国及び地方の長期債務残高は千百六十五・七兆円と、対GDP比でついに二〇〇%台に達しました。にもかかわらず、今回の決算委員会で何度も指摘された野方図に繰り返される予算の無駄遣いに改めて強烈な危機感を表明するものです。
以下、二〇二〇年度決算に反対の理由を述べさせていただきます。
まずは、巨額の予備費の計上を含め、いたずらに規模を膨らませた新型コロナ関連予算と、そのずさんな執行の結果についてです。
未曽有の感染拡大の中にあって、緊急対応が必要であったことは否定するものではありませんが、幾ら何でも無責任や場当たり、それに思い付きが過ぎると言わざるを得ません。
中でも、無駄遣いの最たるものが中小企業庁による持続化給付金事業です。電通やパソナなどが設立に関わったサービスデザイン推進協議会が事業を受託しましたが、再委託費率は何と九九・八%で、最大九次下請まで繰り返され、参加者は延べ七百二十三者にも上りました。一体どれぐらいの中抜きが行われたんでしょうか。
こうした結果、必要なところに必要な給付が迅速に行われなかった一方、チェックが甘くなり、多額の給付金が詐取される事態が起きました。これまでに判明しているだけでも、不正受給による自主返還額は実に百六十六億円、そして、巨額詐欺事件に、あろうことか経済産業省のキャリア官僚や、税の知識を悪用した東京国税局職員まで加担していた事実が判明するに至っては、まさに開いた口が塞がりません。
かかる犯罪は、国への信用を失墜させ、国家公務員への国民の信頼を大きく損なうものです。もっとも、魚は頭から腐るという言葉どおり、国のトップによる様々な不祥事が末端の行政職員のモラルにまで影響を与えている可能性は否定できません。これでどこが美しい国なんでしょうか。
その美しい国へという我が国が目指す形を説いた安倍元総理のコロナ対策も、一言で言ってひどいものでした。
科学的知見を無視した全国一斉休校に始まり、中でも極め付けは、私も再三国会質疑の中で取り上げてきた世紀の愚策、いわゆるアベノマスクと呼ばれる布製マスク配布事業です。総理側近の官邸官僚の思い付きで始まった、誰も使わなかった布製マスクの配布事業には四百六十六億円もの巨費が投じられたにもかかわらず、結局、八千三百万枚、百十五億円相当が使われないまま倉庫に山積みされ、巨額の保管費用まで垂れ流しが続けられてきました。
さらには、実際の在庫枚数が計算上の枚数より五十三万枚も少なく、異物の混入や汚れの付着など不良品は一五%にも及び、在庫管理に必要な記録さえ残されていませんでした。これが国の事業かとあきれるばかりです。
おまけに、鳴り物入りで始めたCOCOAアプリも惨たんたる状況です。
ソフトウエアに不具合があって感染者との接触を確認できていなかったことが報じられるや、使えないアプリという評価が一気に定着しました。
先週の本会議で後藤厚労大臣は、社会経済活動を維持したまま感染拡大を防止するITツールとして引き続き意義があると強弁しましたが、そんなことを信じる国民は誰もいません。私の周りでも、一回もアプリを入れたことがないか、あるいは削除してしまった人ばかりです。かく言う私も、一回も通知が来ず、結局、消去してしまいました。
そういえば、このCOCOAに象徴されるような、行政のデジタル化の遅れを取り戻すために去年秋、鳴り物入りでスタートしたデジタル庁は一体どうなったんでしょうか。
事務方のトップであるデジタル監は、就任後僅か八か月で異例の退任。さらに、職員六百人のうち三分の一を占める民間出身者が大量に辞めていると伝えられています。赤坂の超一等地に豪華なオフィスを構え、期待を一身に集めて発足したデジタル庁も、早くも迷走ぎみです。後の決算委員会で壮大な無駄遣いと指摘されないよう、組織の抜本的見直しを早く進めた方がよろしいかと思います。
次に、この間の決算審査でも厳しい論戦が行われた、二〇二〇年度、二一年度合わせた十四兆六千五百億円もの巨額のコロナ予備費の使用についてです。
そもそも、予備費は予見し難い予算の不足に充てるため、使途を定めずに計上されるものです。予算の事前議決の例外として憲法で認められておりますが、我が国では当初予算のほかに補正予算の制度もあることから、国会開会中は原則として予備費の使用は行わないことが閣議決定されています。
ところが、実際には閣議決定に反する運用が常態化しており、この問題について、我が会派の小沼議員が決算委員会で何度も何度も何度も何度も指摘してきましたが、これに対する政府の対応は、まさにのれんに腕押しでした。
その結果、一体どういうことが起きているんでしょうか。例えば、二〇二〇年度のコロナ予備費の使途の一例として、戦略的な政府広報や子供の居場所づくりなどといった経費が国会開会中に使用されています。もちろん、これらの事業内容を全否定するものではありませんけれども、元々当初予算に計上して通年で実施するような事業である上、不測の事態に対処する目的で使用されるべき予備費にふさわしい政策であるとは到底思えません。
さらに、これも予算委員会で取り上げられました、コロナ予備費が使用された地方創生臨時交付金でシャンパンタワーや公用車購入といったような事例は、まさに氷山の一角にすぎないとも言えます。大手経済新聞が「国費解剖」というシリーズ企画で行った、予備費のうち十一兆円が使途不明になっているという指摘はSNSなどで拡散し、大きな反響を呼びました。
こうした指摘や、今回の二十項目にも及ぶ措置要求決議でも取り上げられたように、予備費等の予算の執行状況に係る情報開示の在り方や透明性の向上は、もはや待ったなしの課題とも言えます。
政府に対しては、国民からやりたい放題と言われないように、予備費の使用や支出の状況を厳しく反省するとともに、これまで以上に国会や国民に対して十分な説明責任を果たすよう求めます。
最後に、我が国財政の持続可能性について申し上げます。
私は、去年十二月の本決算をめぐる本会議の代表質問で賢い支出、ワイズスペンディングの重要性を訴え、財政の効果検証の手段としてのPDCAサイクルの重要性や、国のばらまきを監視する独立財政機関、IFIの創設などを訴えました。
ところが、岸田政権では、例えば、先週閣議決定された骨太方針でも財政健全化の目標年限に関する記述が消えるなど、財政健全化に取り組む意思が後退しているのは明らかです。このままでは、我が国の財政の持続可能性について、国内外からも深刻な疑問が呈されるのは時間の問題かもしれません。
このような事態に至らないよう、国家が財政活動を行うに当たっては、国民の代表で構成される国会での議決が必要であるとの考え方に基づき規定されたのが憲法八十三条です。ですから、この財政民主主義をないがしろにするような予備費の濫用は決してあってはなりません。
しかし、これまで見てきたように、安倍、菅政権の財政民主主義軽視の姿勢は顕著であり、岸田政権もそのまま引き継いでいるように見えます。その象徴が先月成立したばかりの補正予算で、予備費の使途を当初の説明から勝手に変更した上で、その予備費の穴埋めを補正予算で行いました。こんなでたらめが許されるのなら、極端な言い方をすれば、国家予算を全て予備費にして、政府があらゆる予算を好き勝手に使うことまで許されることにつながりません。
そこで、私は、この議場にいらっしゃる全ての皆さんに問いたい。これほど議会を軽視した予算編成と執行の在り方を議会人として許していいんでしょうか。それとも、どのようなやり方であれ、自分たちもその配分方法の一端に関われれば、それでよしとするんでしょうか。
重ねて申し上げます。こうした予備費の濫用は、財政民主主義のみならず、議会制民主主義の否定にもつながりかねません。後世に禍根を残しかねないことを、決して許してはなりません。こうした強い危機感を表明するとともに、あわせて、私たちは、今般の異次元の物価上昇、いわゆる岸田インフレと徹底的に戦うことを宣言して、私の討論を締めくくります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)