階猛の発言 (憲法審査会)

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○階委員 立憲民主党の階猛です。
 本日、私からは、国民投票法などについてお話しします。
 先回申し上げた旧統一教会の憲法問題、あるいは今新藤先生からお話があった緊急事態条項の問題は、同僚議員から時間の許す限りでお話しさせていただきたいと思います。
 さて、一昨日、憲法審査会の幹事懇談会が久々に行われました。その中で、ある幹事からは、自由討議を続けても同じことの繰り返しになってしまう、目標時期を定めて憲法改正の議論を進めるべきだとの御意見がありました。この御意見は、半分当たっていますが、半分外れていると思います。
 半分当たっているというのは、我が党がかねてから御提案している国民投票の公平公正の確保のための国民投票法改正案につき、私や同僚議員が繰り返しその意義を述べたにもかかわらず、いまだに審議が進んでいないからです。後ほど、その必要性、重要性を述べます。
 そして、半分外れていると申し上げたのは、当審査会の任務には、憲法やそれに密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査したり、国民投票法改正案を審議したりすることも含まれるからです。
 もちろん、この審査会で様々な憲法問題を熟議した結果、特定の問題について憲法改正を必要とする具体的かつ合理的な事実が存在する確証が得られれば、憲法改正の議論に進むことは十分あり得ると思います。
 例えば、一票の格差の問題。これを二倍以内にするための十増十減法案が施行された後の議席と、我が国が右肩上がりだった約六十年前の議席とを比較してみました。総定数は四百六十七から四百六十五に二の減少ですが、三大都市圏はプラス七十の二百八十七、それ以外の地方圏はマイナス七十二の百七十八です。六十年前は地方圏の議席が三大都市圏を三十三上回っていましたが、今は百九も下回っているのです。
 法案審議の中で、この傾向は今後も続く旨、政府は答弁しました。憲法四十三条で国会議員は全国民の代表とされていますが、自分に縁のない地域よりも、自分の慣れ親しんだ地域の期待に応えるために仕事をしがちであることは否めません。
 また、法案審議の中で、人口が密である東京二区と過疎地である北海道十二区とで、面積の格差が七百五十五倍になるとの試算も示されました。東京二区と異なり、北海道十二区の有権者は、選挙区や議員会館の事務所を訪ねて地元の代議士に要望を伝えるのも容易ではありません。地方の議席が減るにつれ、地方の生の声は国政に反映されにくくなり、地方がますます衰退するという悪循環が起きてしまいます。
 大災害や感染症のリスクを軽減し、出生率や食料自給率、エネルギー自給率を高める意味でも、地方の存在は今後ますます重要になります。地方が衰退することは、都市部を含め、我が国全体が衰退することにつながります。こうした問題を解決するため、デンマークやノルウェーのように、人口だけでなく、面積を勘案して選挙区割りを決めるという法改正を行うことも考えられます。しかし、現行憲法の下では、最高裁は違憲判決を下す可能性が極めて高いのではないでしょうか。
 そこで、私としては、投票価値の平等という要請と地方圏の意見を国政に適切に反映するという要請を調和させるための憲法改正の是非につき、当審査会で調査を進めることは非常に重要であると考えています。
 次に、我が党の国民投票法改正案の立法事実と改正案の概要について改めて説明します。
 これに関して、今年四月の当審査会で私が述べた内容をポンチ絵にして配付しましたので、適宜御参照ください。
 そもそも、憲法改正の国民投票は、主権者たる国民にとって極めて重要な機会です。だからこそ、公平公正の確保が強く要求されます。このことは国民投票法が制定された十五年前にも意識されていたでしょうが、その後、今日までに大きく環境が変化しました。すなわち、情報の供給量を増やし、受け手の知る権利に応えることを重視していた時代から、視聴者の関心と時間を奪い合う競争の激化やフェイクニュースの増加など、情報供給の行き過ぎによる受け手への悪影響も考慮しなくてはならない時代へと変化したということです。
 我が党の国民投票法改正案には、多種多様で適切な情報を得た上で賛否の意思を形成できる仕組み、落ち着いた物理的、精神的環境の中で平穏かつ積極的に投票できる仕組み、この二つを盛り込みました。前者の具体策は三つ、後者の具体策は二つです。
 まず、前者のうち、放送CM規制については、当審査会において、民放連が法的規制にも自主規制にも消極的な見解を示しました。しかし、放送CMは刺激性と波及性が強く、視聴者は無意識のうちに憲法改正案の賛否の判断材料にする可能性が高いと言えます。業界の自主規制では不十分です。
 次に、ネットCM規制については、事業者が国内外、大中小含めて膨大な数に上り、実効性ある規制の仕組みをどのように構築するかが問題です。加えて、ネット使用歴等から個人情報を収集し、各個人の嗜好に合ったCMを閲覧させるマイクロターゲティングの問題があります。多種多様な情報に接する機会が奪われ、意思決定の自由が侵害され、民主主義の基盤が崩される危険があるのです。
 こうした問題意識については大方の委員が共有していると思います。我が党の案が最善の解決策だと言うつもりはありません。他の委員からも御提案がありましたが、ネット広告の分野の専門家を招いての参考人質疑を私からも提案します。森会長にお取り計らいをお願いいたします。
 三つ目の資金規制は時間の関係で省略します。
 後者の具体策にも触れます。
 一つ目は、ネット等の適正利用の確保です。フェイクニュースや誹謗中傷の蔓延により、落ち着いて憲法改正案を検討し、国民投票に積極的に参加する意欲が損なわれないようにする趣旨です。
 ただし、ネットCM規制と同じく、これが最善の案と言うつもりはないので、専門家や各委員の知見をおかりして、よりよいものに仕上げたいと思います。
 最後の一つは、投票に集中できる環境の整備ですが、これも時間の関係で省略させていただきます。
 以上、各項目は、国民投票法附則四条に掲げられている検討項目に合致しています。公職選挙法と平仄を合わせるための国民投票法でお茶を濁すのではなく、時代の変化に応じた抜本的な改正にも早急に取り組むべきです。
 これを行わないまま、万一、憲法改正の国民投票に突き進めば、英国のEU離脱の国民投票や前回の米国大統領選挙と同様に、国民の間に取り返しのつかない分断を招くおそれがあります。そのことを強く申し上げ、私の意見陳述を終わります。

発言情報

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発言者: 階猛

speaker_id: 32961

日付: 2022-11-10

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会