前川清成の発言 (憲法審査会)

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○前川委員 日本維新の会の前川清成です。
 冒頭、岩谷委員の発言の中で読み間違いがありましたので、訂正させていただきます。
 日本維新の会は、緊急事態宣言は、事前ではなく、事後の国会承認を要するというふうに提案をいたしております。
 さて、憲法九条を変えたなら、日本は戦争に巻き込まれるのでしょうか。逆に言えば、憲法九条が今のままなら、日本は戦争に巻き込まれることはないのでしょうか。憲法九条と同じ条文がウクライナにあったなら、ロシアはウクライナを侵略しなかったのでしょうか。答えは明らかです。全て、いいえです。憲法は、戦争そのものを防いではくれません。日本が外国からの侵略を受けないために必要なことは、外交、防衛の努力です。
 平和のために憲法ができることがあります。それは、時の政権が、あるいは戦前のように軍部が勝手に戦争を起こさないよう、権力をルールで縛ることです。
 それでは、今の憲法九条は、時の政権の暴走を止めるルールとして機能しているのでしょうか。二〇一四年、安倍政権は、憲法九条の解釈を閣議決定で変更してしまいました。しかし、憲法によって縛られているその時の政権が自らの手でその縛りを緩めてしまったならば、法の支配は機能しません。あれほど大きな解釈変更を許してしまう現行憲法九条の文言は、法の支配という観点からは不十分です。時の政権による恣意的、便宜的な解釈変更を許さないよう、明確に規定する必要があるのではないでしょうか。
 分かりやすいように、安保法制の存立危機事態を例に挙げます。自衛隊法七十六条一項二号は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される事態において、内閣総理大臣は、自衛隊に出動を命じることができると定めています。しかし、この文言は不明確、不明瞭なので、地球の裏側にまで出かけて戦争するのかという批判がありましたし、当時の安倍総理は、存立危機事態の例としてペルシャ湾が封鎖された例を挙げました。
 この点、維新は、存立危機事態について、条約に基づき我が国周辺の地域において我が国の防衛のために活動している外国の軍隊に対する武力攻撃が発生し、これにより、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険があると認められるに至った事態と対案を示しています。
 維新案であれば、どのような場合に自衛隊に出動を命じるか明確ですし、また、かかる場合の防衛出動であれば、国民も、そして世界も納得します。憲法九条に関しても、このように条文を明確、厳格化するのであれば、時の政権が、あるいは戦前のように軍部が暴走し、勝手に戦争を起こすことがあってはならないと考える全ての政党に御賛同いただけるかと思います。
 五五年体制下の憲法論争は、自主憲法制定と九条を変えるなのイデオロギー論争でした。しかし、憲法はイデオロギーではありません。スローガンでも心構えでもなく、政治権力を制限し、もって国民の自由や人権を守るための技術です。だから、この審査会の議論も政治的な論争ではなく、現行憲法が今のままでいいのか、あるいは現行憲法に足りない点や改めるべき点はないのか、一つずつ結論を求める科学的で技術的な、いわば研究会のようなものでなければ、いつまでたっても結論は得られません。
 最後に、投票価値の平等について申し上げます。
 前回、敬愛する階猛委員から、本日、中川幹事からも発言がありました。私も、東京への一極集中が続くことは極めて好ましくないと思っています。しかし、投票価値の平等は、人は皆、全て生まれながらにして自由で平等であるという個人の尊厳から導かれます。法の下の平等は、日本国憲法特有の概念ではなく、近代憲法共通の基本原理です。
 投票権は、この国の主権者である国民一人一人に与えられているのであって、土地に与えられているわけではありません。したがって、地方に議員定数を手厚く配分するために投票価値の平等を損ねたならば、それは法の下の平等を否定することにほかなりません。
 法の下の平等は、たとえ憲法改正手続においても改正することが許されない現行憲法の根本規範であり、よって、今回ばかりは階委員の発言に反対をいたします。
 以上です。

発言情報

speech_id: 121004183X00420221117_021

発言者: 前川清成

speaker_id: 22257

日付: 2022-11-17

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会