岩上洋一の発言 (厚生労働委員会)
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○岩上参考人 皆さん、こんにちは。一般社団法人全国地域で暮らそうネットワーク、通称チイクラネットというんですが、その代表をしております岩上でございます。
本日は、貴重な機会に出席をさせていただきまして、本当にありがとうございます。
私ども全国地域で暮らそうネットワークは、社会的な支援が必要な精神障害者の地域移行に向けた課題の解決及び未来の創造の下、希望する地域で自分らしく生活することができる持続可能な社会づくりに寄与することを目的として活動しております。
また、私自身は、埼玉県の南埼玉郡宮代町で社会福祉法人じりつという法人を経営しております。委員長の幸手市、杉戸町も私どもの地域でございまして、基幹相談支援センター、地域生活支援拠点も受託をさせていただいているところでございます。
資料を御用意させていただきましたので、御覧いただければと思います。
最初に写真が載っておりまして、これはキャンドルナイトという、私どもの事業所で、法人でやっているイベントなんですが、障害者の皆さんが町内の七つの小中学校に出向いて、障害当事者のお話と、そして、感謝の気持ちを紙コップに書いてもらうということをお願いして、十六年たちました。私どもの町では、障害者の方が地域で暮らすということはごく自然なこととなっています。そんな中、三万人の町で三千個の紙コップですから、十人に一人は参加をしているということで、かるたを募集したところ、このキャンドルナイトが第五位で、「ろうそくに感謝を灯すキャンドルナイト」というのが、かるたになっております。
何でこんなことをお話ししますかというと、私たちは、やはり、公的な制度を活用して障害のある人の暮らしぶりを支援する障害福祉サービス等には、こうした地域に必要とされ、地域を元気にする役割が求められていると思っております。そういったことを大切にして事業運営をしているところです。
それでは、意見を続けて述べさせていただきたいと思います。
今般、内閣提出の法改正案に対して、私は全体として賛成の立場で意見を述べさせていただきます。
共同生活援助について意見を述べたいと思います。
一年以上入院している長期在院者は、退院後の暮らし方について大変不安です。しかし、通過を前提としたグループホームがあると、これからの生活を病院で考えるのではなく、退院してから考えることができるので、絶好の機会となります。この考え方は、御本人の望んでいる暮らし方の選択の範囲を広げ、児童養護施設や社会的な支援が必要な若い世代の方々にも大変有効だというふうに思っております。私もそうしたことで実践をしております。独り暮らしのための訓練をすることは想定はしておりません。むしろ支援者の方が、彼らが地域で暮らすためにどのような支援をしていくかということを考える重要な機会で、訓練されるのはむしろ支援者だと思っております。
次に移ります。
市町村を基盤とした支援体制の構築ということで、基幹相談支援センターと地域生活支援拠点等、協議会プラス精神保健が柱となります。本来、これについては義務化が望ましいと考えているところです。
基幹相談支援センターは、人材育成、相談支援体制構築、協議会運営を担う機関です。地域生活支援拠点は、地域生活の緊急時対応、福祉救急や地域移行を推進するサービスの拠点となります。これもサービスのありようを見直す絶好の機会となります。平時の対応を充実させることで、本人の一大事でも、緊急対応にはなりません。真に緊急とは、今までに関わりのなかった人の一大事のことです。そのためには、類型を問わず、地域のネットワークが要となります。
地域移行を実効性のあるものにするには、地域移行支援を担うコーディネーターを地域生活支援拠点等と施設、精神科医療機関の双方に配置することが必要です。
そして、地域生活支援拠点のコーディネーターには、平時、緊急時対応を行う者と、地域移行を専任で担う者の複数配置が必要で、地域移行を担うコーディネーターには一定の権限を与える必要があります。これは、私は精神科領域で仕事をしていますが、施設に対しても同様で、特に施設の地域移行についてはこのような配置が望ましいと思っています。
また、地域保健、これについては健康と福祉を併せたもので、福祉との親和性は極めて高いものです。本人、家族、地域を包括的に支援することができますので、この精神保健を、市民の健康はもちろんのこと、孤立、孤独、生活困窮、引きこもり等の課題、重層的な支援体制整備事業等の基盤として位置づける必要があると思っています。
ページをめくっていただきまして、今般の法律改正に当たって厚生労働省等が示しているポンチ絵ですけれども、この上に、「精神保健を基盤として」、そうした考え方を加えていただきたいと思っています。
次に、就労支援です。
私たちの支援の基本は、本人の意思を中心にした生活です。生活とは、命と暮らしと生きざまです。就労支援も、本人の望む幸せを上位概念に置いて就労を支援します。このため、就労選択支援は重要なサービスとなることが期待できます。
一方で、事業所の囲い込みにならない仕組みが必要です。事業所を決める前に市町村に申請を行う。そして、中立公正である相談支援専門員に適切な権限を与える必要があります。協議会の評価も重要と考えます。
次に、精神保健福祉法の改正です。
私は、今回の法改正に向けた、地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会に構成員として参加しました。私自身、この十年間、検討会に参加した経験がありまして、大変失礼ですけれども、あと三回法改正するつもりで取り組まないと山積する課題の合意形成は難しいという立場で議論をしました。つまり、地域では精神科医療機関を必要な社会資源と認識しながら、国レベルになるとどうしても、病院が悪い、国が悪いといったある意味偏見が根強くあり、議論がかみ合わなくなるんです。
そんな中、今回の検討会では、多くの重要な課題に対して、構成員がその立場を超えて議論を深めてまとめることができたと思っています。障害当事者の立場からの積極的な提案もあり、精神保健医療福祉領域において長期にわたり議論が続けられていた課題について一定の方向性を共有でき、これからの取り組むべき方向性も共有できたと思っています。目指すべき方向性は、国民の精神保健の向上、良質な精神医療の提供、患者の権利擁護に資する法律体系にすることだと思います。
医療保護入院の在り方です。
今回の改正により、入院期間が法律に定められ、退院支援措置の拡充が行われるなど、医療保護入院が適正化されることとなり、人権擁護の要請に対しても、一歩前に進むことになると思います。
長期在院者への支援については、市町村が精神科病院との連携を前提に、病院を訪問し利用可能な制度の説明等を行う取組を行う必要があります。患者の同意が得られない場合の入院医療の在り方などに関して、課題の整理を進め、見直しについて速やかに検討していくことが必要と考えています。
入院者訪問支援事業の創設。
精神科医療機関は入院患者の権利擁護を行っていますが、非同意入院では、その特性上、医療機関がその任務を全て行使することには限界があります。そのため、外部の第三者が面会に行く、この権利擁護に資する仕組みとなることを期待しています。医療機関が行う共同意思決定支援とこの外部機関が行使する必要がある入院者訪問支援は、権利擁護機能としては区別する必要があると考えています。
今後の検討課題として、こうした支援を望む全ての非同意入院患者に支援がより広く普及する、そうした体制の構築が必要と考えています。個別給付の対応も考え方の一つだと思っています。
精神科病院における虐待防止に向けた取組の一層の推進。
最も重要なことは、虐待が起こらない組織風土を醸成することです。今回の法改正が、虐待防止法で培ってきた、虐待の深刻化を防ぎ、より軽微な段階で通報しやすい組織風土等の醸成を図り、障害者の権利利益の醸成に資する仕組みとなることを期待しています。
今後の推進力として。
地域生活への移行を推進するため、地域の基盤整備を着実に進めるための財政的な措置をお願いしたいと思います。
障害者支援体制の更なる構築を考えると、社会保障審議会の障害者部会は、大局的な在り方を議論する場として、検討会等を併設して課題等の整理を行う必要があると考えます。
また、国民の精神保健の向上、良質な精神医療の提供、患者の権利擁護に資する議論をするために、常設の検討の場が必要ではないかと考えているところでございます。
以上でございます。
本日は、貴重な機会を大変ありがとうございました。(拍手)