厚生労働委員会

2022-11-16 衆議院 全250発言

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会議録情報#0
令和四年十一月十六日(水曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 三ッ林裕巳君
   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君
   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君
   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君
   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君
      青山 周平君    東  国幹君
      畦元 将吾君    石井  拓君
      石原 正敬君    泉田 裕彦君
      上田 英俊君    柿沢 未途君
      勝目  康君    川崎ひでと君
      小泉進次郎君    小林 史明君
      後藤田正純君    高村 正大君
      佐々木 紀君    塩崎 彰久君
      新谷 正義君    鈴木 貴子君
      田村 憲久君    高階恵美子君
      土田  慎君    中川 郁子君
      中西 健治君    西野 太亮君
      橋本  岳君    長谷川淳二君
      鳩山 二郎君    平沼正二郎君
      藤井比早之君    古川 直季君
      堀内 詔子君    牧原 秀樹君
      松本  尚君    三谷 英弘君
      山口  晋君    阿部 知子君
      井坂 信彦君    大西 健介君
      西村智奈美君    野間  健君
      山井 和則君    吉田 統彦君
      早稲田ゆき君    池畑浩太朗君
      一谷勇一郎君    早坂  敦君
      吉田とも代君    古屋 範子君
      吉田久美子君    田中  健君
      宮本  徹君    仁木 博文君
    …………………………………
   議員           井坂 信彦君
   厚生労働大臣       加藤 勝信君
   厚生労働副大臣      羽生田 俊君
   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君
   政府参考人
   (内閣官房こども家庭庁設立準備室審議官)     野村 知司君
   政府参考人
   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           西條 正明君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         間 隆一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 堀井奈津子君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君
   政府参考人
   (厚生労働省子ども家庭局長)           藤原 朋子君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君
   参考人
   (国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部長)   藤井 千代君
   参考人
   (全国「精神病」者集団運営委員)         桐原 尚之君
   参考人
   (一般社団法人日本難病・疾病団体協議会常務理事) 辻  邦夫君
   参考人
   (一般社団法人全国地域で暮らそうネットワーク代表理事)          岩上 洋一君
   参考人
   (日本弁護士連合会高齢者・障害者権利支援センター精神障害のある人の強制入院廃止及び尊厳確立実現本部本部長代行)      池原 毅和君
   厚生労働委員会専門員   若本 義信君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十六日
 辞任         補欠選任
  上田 英俊君     石原 正敬君
  勝目  康君     石井  拓君
  小林 鷹之君     青山 周平君
  塩崎 彰久君     平沼正二郎君
  橋本  岳君     中西 健治君
  長谷川淳二君     東  国幹君
  三谷 英弘君     鳩山 二郎君
  遠藤 良太君     池畑浩太朗君
同日
 辞任         補欠選任
  青山 周平君     泉田 裕彦君
  東  国幹君     古川 直季君
  石井  拓君     西野 太亮君
  石原 正敬君     上田 英俊君
  中西 健治君     橋本  岳君
  鳩山 二郎君     三谷 英弘君
  平沼正二郎君     塩崎 彰久君
  池畑浩太朗君     早坂  敦君
同日
 辞任         補欠選任
  泉田 裕彦君     小林 史明君
  西野 太亮君     勝目  康君
  古川 直季君     山口  晋君
  早坂  敦君     遠藤 良太君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 史明君     佐々木 紀君
  山口  晋君     長谷川淳二君
同日
 辞任         補欠選任
  佐々木 紀君     鈴木 貴子君
同日
 辞任         補欠選任
  鈴木 貴子君     藤井比早之君
同日
 辞任         補欠選任
  藤井比早之君     中川 郁子君
同日
 辞任         補欠選任
  中川 郁子君     小林 鷹之君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)
 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案(道下大樹君外十名提出、衆法第一一号)
     ――――◇―――――
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三ッ林裕巳#1
○三ッ林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案及び道下大樹君外十名提出、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案審査のため、参考人として、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部長藤井千代君、全国「精神病」者集団運営委員桐原尚之君、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会常務理事辻邦夫君、一般社団法人全国地域で暮らそうネットワーク代表理事岩上洋一君、日本弁護士連合会高齢者・障害者権利支援センター精神障害のある人の強制入院廃止及び尊厳確立実現本部本部長代行池原毅和君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず藤井参考人にお願いいたします。
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藤井千代#2
○藤井参考人 このような意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の藤井です。
 今回の法改正に向けた検討会に構成員として参加いたしました。法改正に全体として賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
 私は、今回の法改正に向けた検討会の前年に開催された、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会にも構成員として参加しておりました。その中では、精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるよう、包括的な支援体制を確保する、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構築することの必要性が示されました。
 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムは、地域共生社会の実現に向かっていく上では欠かせないものであるとされております。
 現在、日本の各地域では、地域共生社会の実現に向けた取組が始まっておりますが、メンタルヘルス不調や精神疾患、精神障害を持つ人など、精神的な不調を抱えた方々に対するスティグマはいまだに根強くあり、真にインクルーシブな社会を目指す上では、精神的な不調を抱えた方たちが社会に包摂されることが重要です。
 スティグマは、社会構造レベルのスティグマと個人レベルのスティグマに大別されます。社会構造レベルのスティグマとは、精神科医療の提供体制が身体科医療の提供体制と比較して不十分であったり、精神保健や精神医療に関するシステムが一般の地域保健や医療とは別に扱われたりといった、社会や制度の仕組みにおける差別のことを指します。個人レベルのスティグマとは、精神疾患は怖いといった誤った認識や、一緒に働きたくないといった心理的抵抗感など、個人が持つ認識や態度などを指します。
 現在の日本の状況を見ると、関係者や当事者、御家族の努力により、医療や福祉の質、メンタルヘルスリテラシーの向上が一定程度進んできておりますが、精神の不調に対するスティグマは、個人レベルのみならず、社会構造レベルにおいても今なお存在しています。
 私は、今回の法改正を、このようなスティグマの解消に向けてのステップとして生かしていかなければならないと考えております。
 精神障害のあるなしにかかわらず、地域には様々な生きづらさや困難を抱えた方がいらっしゃいます。地域住民全てが、制度の隙間に陥ることなく、必要なときに必要な支援を過不足なく受けられることが必要です。そのためには、住民の身近にあって福祉の支援体制を既に構築している市町村が、こうした支援ニーズを取り込んで支援できる体制の強化が重要であると考えます。
 本改正案において、精神障害者等に対する包括的支援の確保の必要性を明記していただいたことや、精神障害者のみならず、精神保健に関する課題を抱える方についても自治体における相談や援助の対象者として明記していただいたことで、地域全体の支援強化につながるものと考えております。
 一方で、市町村が義務として行っている様々な地域保健福祉関連業務の多くが精神保健と関連していることは、私どもの研究からも明らかです。今回、市町村の精神保健業務に関する規定を設けていただきましたが、これを是非実現した上で、今後は、市町村間の支援に格差が出ないよう、精神保健業務に必要な人員配置や予算措置にも支援をお願いしたいと思います。
 市町村における精神保健業務のニーズが年々高まっていることも私どもの調査により示されておりますので、地域保健の中に精神保健をしっかりと位置づけていただけるように、予算措置や下位法令の整備などが必要であると考えております。これは、精神の不調を抱える人を別扱いしない社会構造を目指す上で非常に重要です。
 また、法改正で、都道府県は市町村の求めに応じてバックアップするよう努めなくてはならないと明記していただいたことはありがたいことなのですが、保健所、精神保健福祉センターも、市町村と同じく人的資源が不足していることに十分な配慮をお願いしたいところです。
 医療保護入院の在り方についてですが、今回の改正は、入院期間の法定化や入院理由の告知、退院支援措置の拡充など、医療保護入院をより適正に行う方向での見直しと理解しており、このような見直しは進めていただきたいと考えます。
 なお、医療保護入院の同意に関しては、家族等同意を維持せざるを得ないということであれば、今回の改正案のように市町村長同意となる要件を広げる方向で致し方ないと考えますが、従前から、家族等同意は、家族に過大な負担を強いるばかりでなく、当事者と家族の関係性にも悪影響を及ぼしかねない制度であるとの指摘もありますので、より適切な手続の在り方について引き続き議論を重ねる必要があります。改正案の附則第三条にあるとおり、当事者等の意見を聞きつつ、検討すべきと考えます。
 障害者権利条約の対日審査では、総括所見において、実際の障害又は危険であると認識されることに基づく障害者の強制入院を認める全ての法的規定を廃止することとされました。非同意入院に関しては、精神科臨床における倫理課題の中でも最も重要なものの一つであり、国内外で様々な立場から長年にわたり議論されています。障害者権利条約の第十四条ガイドラインあるいは国連障害者権利委員会からの勧告を受けて、批准国では、非同意入院の在り方についてこれまで以上に真剣な検討が行われています。ですが、私が知る限り、非同意入院に代わる具体的かつ現実的な対応策については、現在までのところ、まだ模索が続いている状況です。
 注目に値する取組として、北アイルランドでは、非同意入院を行うに当たって、精神障害があることを前提とするのではなく、本人が自律的とみなされる意思決定ができない場合であって、非同意入院が本人にとっての最善の利益であると判断された場合にのみ容認する法律の運用が開始されています。すなわち、精神障害のみを別扱いとせずに、原因のいかんを問わず、自律的な意思決定ができるか否かを前提とした、かなり画期的な法律です。
 この法律の運用はまだ段階的に始まったばかりですし、ほかの国でも障害者権利条約に可能な限り準拠するための努力が続けられているところですので、そのような海外の動向も注視しつつ、附則第三条に基づく検討を進めていただきたいと思います。
 その際には、できれば、精神保健福祉法に規定される範囲の検討にとどまらず、保健医療福祉体制全体において、精神障害者等が精神障害を有するがゆえに別扱いとなる仕組みをなくしていくと同時に、精神疾患、精神障害という疾患特性、障害特性に配慮した仕組みとなるように、関連法を含めて検討することが望ましいと考えます。
 次に、入院者訪問支援についてです。
 精神科病院では、職員が治療や支援に真摯に取り組み、法令に基づく権利擁護が行われています。当事者と医療従事者が治療方針について話し合いながら決定していく共同意思決定についても、まだ十分とは言えないながらも、精神医療現場で進みつつあります。
 それでも、入院医療の特性上、患者さんはおのずと外部と隔てられ、集団生活の規律を守り、医療機関の職員の指示に沿って治療を受けないといけない立場にあり、孤独、孤立感や自尊心の低下が起こりやすく、本来その人が持っている権利の行使が難しいことがあります。こうした方が、病院外の常識から見れば当たり前の権利を行使できるためには、本人の立場に立った味方が必要です。こうした支援のことはアドボカシーと呼ばれています。
 アドボカシーは、医療機関などの支援提供側が行うフォーマルアドボカシーや、家族や友人によるインフォーマルアドボカシー、同じような属性を持つ仲間によるピアアドボカシーのみならず、独立した第三者が行う独立アドボカシーがあることが望ましいとされています。
 今回、入院者訪問支援事業が改正案に盛り込まれましたが、こうした独立アドボカシーの考え方が一定程度反映されたものと考えております。この事業が御本人の力を引き出し、権利擁護に資することが重要であり、より広く普及することを期待しています。
 障害者虐待防止の義務化や通報については、今回、精神科病院においてそれらが制度化されたことに賛同したいと思います。前に述べましたとおり、精神科病院では職員による様々な権利擁護の取組がなされていますが、非常に熱心な病院から、そうでもない病院まで、その取組状況には差があります。今回、虐待防止の取組が義務化されることにより、病院間の取組状況がよい方向に均てんされることを期待したいと思います。
 障害者虐待防止法の附則第二条において、医療機関などにおける障害者虐待についても、施行後三年をめどに必要な措置を講ずるとしていることや、医療機関における虐待は精神科病院だけで生じているわけではないことなどもあり、将来的には、より広く、医療機関における虐待防止の規定を設けることについて引き続き検討していただきたいと考えておりますが、まず精神保健福祉法に規定されることで、早期に実効性ある執行体制が整うという利点があるものと考えます。
 最後に、今のコロナ禍において、精神的な不調を抱える方が増えていることを鑑みても、精神保健医療福祉の取組は、国民全体の生活と健康を守る上で極めて重要です。法案の内容の実現を望むとともに、精神保健医療福祉について、国を挙げての一層の取組をお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。拍手
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三ッ林裕巳#3
○三ッ林委員長 ありがとうございました。
 次に、桐原参考人にお願いいたします。
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桐原尚之#4
○桐原参考人 全国「精神病」者集団の桐原です。
 全国「精神病」者集団は、一九七四年に結成した、精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。結成当初から、精神障害者への保安処分や精神衛生法に基づく入院制度の撤廃を求めてきました。
 この度の束ね法案は、障害者を分断するものです。
 難病の仲間にとっては、待ちに待った改正であり、我々、精神障害者にとっては、参議院先議でありながら廃案という前代未聞の末路をたどった精神保健福祉法改正法案の五年ぶりの出し直しということになります。参議院先議の法案が廃案になるのは憲政史上初のことであり、前代未聞の出来事でした。私たちは、難病法改正を否定したいなどとこれっぽっちも思っていないのですが、仮に法案に反対しようものなら、難病の仲間からはそのように見られてしまうことになります。まさに、当事者間の評価が真逆の法案を束ねて、障害者同士の分断を誘発するものでした。
 全国「精神病」者集団は、唯一、賛否を決める基準として、障害者権利条約の総括所見に基づく法制度の見直しの検討を附則で担保することを示し、それをしなければ反対すると主張してきました。しかし、附則には、障害者権利条約の実施について精神障害者等の意見を聞きつつ検討するとあり、ここで言われている障害者権利条約の実施が総括所見を含み得るのかどうかは、条文上からは分からないようになっています。先日の加藤大臣の答弁で初めて、総括所見を踏まえることが明らかになりました。ただ、附則第三条の、精神障害者などの意見を聞きつつの部分は、病院団体側からの意見も含まれるのだと思います。結局、総括所見の内容や精神障害者、障害当事者の意見よりも、最終的に病院団体側の意見が優勢になってしまうのではないかと憂慮します。
 この度の参考人でさえも、当事者の数は少ないです。障害者権利条約の監視機関とされる内閣府障害者政策委員会の中にも、精神科病院を代表する団体の構成員が入っているのに、精神障害や知的障害の当事者は構成員として入っていません。厚生労働省の地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会は、当事者の構成員が数の上では増えましたが、常に病院団体側の意見が優位との印象を拭えませんでした。
 特に日本精神科病院協会は、与野党の国会議員に影響力を持っています。省庁からの提案は、政党の政調部会や総務会において反対意見が出ると白紙になると聞きます。それを恐れて、省庁は忖度します。国会議員の中には日精協から献金を受けている者もいるため、立法府内も病院団体の優位に陥りやすい構造があります。
 私は、検討会において、当事者としての立場に依拠しつつも、病院側も含めた他団体とのコンフリクトを回避できるように論理を組み立てて意見を出したのに、日精協から、全くかみ合ってもいない、根拠に基づかない意見によって議論の蓄積を全否定されました。
 具体的には、医療保護入院について、将来的な廃止が、誰もが安心して信頼できる入院医療が実現されるようへと大幅なトーンダウンをしたことが挙げられます。
 私は、同検討会において医療保護入院の廃止を主張した際に、非同意だから廃止すべきなどとは一言も言いませんでした。あくまで、精神保健指定医と家族等という二者に負担が集中した現行の医療保護入院制度のたてつけの困難さを廃止という形で乗り越え、同意によらない医療開始の手続を一般医療と同質にしていくことを当面の方策として望んでいるのだと意見しました。
 すなわち、非同意の入院が必要であることと、医療保護入院が必要であることを切り分けた上で、非同意の入院自体は必要だが、医療保護入院は廃止すべきであると主張したわけです。
 しかし、日精協は、非同意の入院が必要だから医療保護入院が必要であるとし、医療保護入院が廃止されたら精神医療が崩壊すると言いました。このことは新聞誌面でも取り上げられました。
 当事者は、医療保護入院が廃止されても医療が受けられなくなる不安は感じていません。むしろ、医療保護入院によって医療不信になり、かえって医療保障が遠ざかると感じています。改めて医療保護入院の廃止に向けて検討することを確認してほしいと思っています。
 身体的拘束の告示改正の検討では、事前に日精協と調整した新要件案が事務局案として出されました。その内容には多くの構成員が反対し、修正を求める意見が出ましたが、検討の中で形を変えて残り続けました。不透明なところで不透明な形の合意が図られ、その内容が公開された検討会の中で覆らないことに対し、当事者の無力さを感じました。
 精神科病院における虐待についてです。
 精神科病院における虐待事件は、神出病院事件を始め、枚挙にいとまがありません。精神保健福祉法の枠組みでは自浄作用が働きにくく、明るみになっていない虐待も数多く存在するものと思われます。
 私は、二〇一八年から二〇一九年にかけて厚生労働省が行った障害者虐待防止法附則第二条に基づく検討について納得していません。
 検討の結果、二点の理由で法改正をしないこととなりました。一つは、障害の有無に関係なく利用する機関においては、障害者への虐待のみが通報対象となる不整合が生じるということ、もう一つが、各機関における虐待に類似した事案を防止する学校教育法や精神保健福祉法等の既存法令と重複する部分の調整の必要性が生じることでした。
 しかし、現行の使用者による虐待は、障害の有無に関係ない職場を対象とした制度なので、現行の法律と検討結果の間に深刻な矛盾が生じています。また、医療機関には通報義務こそありませんが、通報自体はできることとされているため、通報義務に伴って新たに重複する部分の調整が必要になるはずもなく、現行の法律との間に深刻な矛盾が生じています。
 精神保健福祉法に精神科病院における虐待の通報義務が設けられたことで、障害者虐待防止法の改正が行われなくなることがないよう、障害者虐待防止法附則第二条の再検討を求めます。
 私は、当事者も病院団体も立法も行政も、知性に基づく論議によって解決しようとする姿勢を見せる必要があると思います。いかに強い立場の人であったとしても、当事者の意見をないがしろにした知性によらない要望は堂々とはねのける勇気がなければ、この社会を変えることはできません。
 障害者権利条約に基づく日本政府への勧告には、精神保健福祉法に基づく非自発的入院や身体的拘束を含む行動制限、医療観察法の廃止、精神保健福祉法の廃止を含む精神医療の一般医療への編入、成年後見制度の廃止などが書かれています。国連が廃止を勧告している政策は、障害者と他の者を分け隔てる考え方の上に成り立っているものであり、これらを廃止して、障害者を包摂する社会モデル的な政策へと抜本的に見直す必要があります。
 精神保健福祉法の場合、精神障害者が病状のために治療の必要性を判断できないという病気の特性があるという医学モデル的な前提に立ち、その上で、医療保護入院、措置入院、任意入院という精神障害者だけを別の枠組みに位置づけた入院制度と病床の位置づけ、そして報酬体系があります。
 精神障害者は、池田小学校事件や津久井やまゆり園事件のような事件が起きると、度々、犯罪素因者のような扱いを受けて、医療観察法や退院後支援ガイドラインといった制度がつくられてきました。偏見が助長されないようにするためにも、退院後支援の警察参加は、全国に不安を抱える仲間がいるので、警察は参加しないようにしてほしいです。医療観察法は、長期入院の問題が指摘されている中、当初予定されていた以上の病床が整備されていることから、病床整備を凍結させるとともに、法律の廃止に向けた検討を開始してほしいです。
 医療計画には、非自発的入院を縮減できるよう、指標例を実数で補足してほしいです。
 この社会における精神障害者を取り巻く問題の根本は、精神障害者と関わろうとせず、病院に入れておけばいいのだという市民の意識にこそあります。精神科病院は、こうした市民の意識を引き受けて精神障害者を入院させていきます。すると、地域から精神障害者がいなくなっていき、地域の人々が精神障害者と関わり合いを持たなくなっていきます。精神障害者との接し方が分からない中で長期入院者を受け入れていこうとはならず、現状の問題を帰結しています。私たちは、先に市民の理解を得てから、それから地域移行を進めるという順番ではなく、病床を減らすことで入院者を減らし、地域で精神障害者と実際につき合っていくことを通して、包摂に向けた創意工夫が実践されていくことになると考えています。
 精神科病院が市民の要求に応えているのは事実だと思います。しかし、そのようなところに自信を持ってほしくはないです。そうではない社会を目指すための議論を共にしてほしいです。
 本日は、貴重な場を設けてくださったことに感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。拍手
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三ッ林裕巳#5
○三ッ林委員長 ありがとうございました。
 次に、辻参考人にお願いいたします。
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辻邦夫#6
○辻参考人 日本難病・疾病団体協議会の辻邦夫と申します。
 本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私ども日本難病・疾病団体協議会、JPAは、資料一にございますように、昭和四十七年の難病対策要綱の前後に、続々と難病の患者団体が誕生し、その全国組織が幾つか集まった中で、二〇〇五年に大人や子供の難病それから長期慢性疾患の団体が一つに集まった、加盟、準加盟、今九十八の団体で構成される全国組織でございます。
 本年も貴院で採択いただきました国会請願や難病患者サポート事業などを始め、個別の患者団体や地域難病連単体では解決が難しい課題について様々に活動しており、先週末も難病フォーラム二〇二二を開催し、たくさんの議員の先生にも御参加いただきました。誠にありがとうございます。
 私自身は、JPAで常務理事をしておりますが、指定難病の一つである慢性炎症性脱髄性多発神経炎という神経難病の一患者であり、また、全身性エリテマトーデスという指定難病の娘を持つ当事者の家族でもあります。
 さて、今回の難病法、児童福祉法の改正案では、患者も参加いたしました難病対策委員会等で検討が進められた結果をおおむね反映しており、治療研究と福祉の両面の推進を図る点が盛り込まれている点で、その成立に患者としても大変期待をしております。また、コロナ禍で、当初の五年以内の見直しが、ほぼ七年後の見直しになっている点にも鑑み、早急に御審議をいただきたいと考えております。
 一方、まだまだ積み残された課題が多いのも現状です。本日はこれらの点につき、意見を述べさせていただきたいと思います。
 最初に、難病法の成立経緯でございますが、若干振り返らせていただきます。
 資料二の、二〇一一年の十二月、中間的な整理、また、厚生労働大臣の基本方針にもあるように、難病は、その確率は低いものの、国民の誰にでも発症する可能性があり、難病の患者及びその家族を社会が包含し、支援していくことがふさわしいことを基本認識とするとされております。
 また、資料三にありますとおり、治療研究の推進と、なかなか光の当たってこなかった難病患者への福祉、両面の推進を基本理念として法制化が進められました。その過程で、患者の意見はもちろん、医療、福祉、行政の担当者や有識者、そして超党派の議員の皆様の御支援、後押し、御賛同を得て成立に至ったものです。
 そして、今回の五年以内の見直しにつきましても、コロナ禍により何回か中断を余儀なくされましたが、難病対策委員会とそのワーキンググループでの検討、各地でのヒアリングや患者へのアンケート、医療者、支援者、行政担当の意見なども踏まえた上で、制定時と同様、検討が進められた結果である点は評価できるものというふうに考えております。
 では、今回の改正案の具体的なポイントについてですが、まず一点目、資料四にございます、重症化した際に迅速に医療を受けられる制度については、発症後、更なる重症化を防ぐ、あるいは遅らせる治療をできるだけ早く開始することが、医療の観点からも、本人の日常、療養生活の観点からも大変重要であることは、医療関係者、患者双方が認めるところであります。
 今回、医療費助成の開始を、申請時から重症化時点まで一定期間遡ることは、実際に助成が治療開始に間に合わないという例が多くある中、重症化や治療控えを避けるためにも法の趣旨に沿う改正であり、患者としても早急に是非実現していただきたいと考えております。
 ただし、資料では、遡りの期間の案が原則一か月となっており、患者が安心して適切な治療が開始できるよう十分な期間が保障されるよう設定していただきたいと考えております。
 といいますのは、指定医が申請に必要な臨個票というものを作成する期間は、通常二週間から一か月かかると言われており、指定医のいる病院は決して身近な医療機関ではないことを考えますと、とても一か月では余裕がないことは明らかです。患者としては、原則三か月をお願いしたいところでございます。
 二点目として、資料五になりますが、各種支援を円滑に利用できるようにするための登録者証を発行する点につきましては、患者としても、生活の質の充実と向上、治療研究や根治療法の研究促進に資するものとして、こちらも大変期待するものです。
 なお、登録証の情報を基に、希少疾患への偏見や差別などにつながらないように十分配慮するとともに、個人情報の保護と安全管理措置を十分に行っていただきたいと思います。その点からも、法案説明にありますマイナンバーカード連携への不安はまだまだ大きく、そのデメリットやメリットの丁寧な説明を行い、しっかりとした検討の上で、慎重に進めていただく必要があると強く考えております。
 また、今回の登録証は、指定難病ではない総合支援法の対象疾患の患者は含まれておりません。それらの患者も同様の利便性が持てるよう施策を早急に考えていただき、同じ法律での支援に差異や谷間が生じないよう、十分な対策を講じていただきたいというふうに考えます。
 そのほか、資料六にあります、難病患者の療養生活支援の強化などなどについては、福祉と治療法開発の研究の両面を推進するものとして、患者の立場からも是非お願いするものです。
 さて、以上、改正案について述べてまいりましたが、そのほか、前回の附帯決議も多くが現在課題として残っており、今回の法改正に盛り込まれていない点や、法の運用面についても、これから述べる点について、課題として残っていることを述べたいと思います。
 これらの点については、五年以内の見直し規定を再度定めていただくとともに、資料七、八の難病法制定時の附帯決議を引き続き継続して政府に要請していただきたく、また、資料九の点について政府に検討を要請していただきたいと強く考えております。
 一点目は、トランジションの問題始め小慢対策についてです。
 トランジションの問題始め小慢における医療や福祉に対する対策について、患者やその家族の要望の多くは、今回の改正法案には反映されない、若しくは不十分なものでした。要望は、他の法律との関係や福祉政策とのバランスなど、難病法、児童福祉法だけでは解決できないものも多いため、大変難しい課題ですが、是非、患者、家族の声に耳を傾け、引き続き早急に小慢対策の充実を図るようお願いいたします。
 難病患者の約半数は、障害者手帳等の手帳を未所持でございます。そのため、法定雇用率の対象とならず、特にその就職時の困難性は一律に非常に高いと考えております。難病患者を法定雇用率の対象とし、難病患者の特性を踏まえた就職支援、就労継続支援を、また、他の病気を持つ者への支援策との連携を図るなどして、適切に講じていただきたいと考えます。
 また、難病患者就職サポーターは、概して県に一人しかおらず、その質のばらつきも、多くの患者団体が指摘するところです。増員のほか、身分、処遇の改善、支援の質と量、双方の向上を図るとともに、ハローワークでの難病患者支援の充実を図っていただきたいというふうに思います。
 国民皆保険の下、国民目線に立った医療政策や欧米に負けない研究開発、患者本位の医療を実現するためには、医療全般へ広く患者参画を進め、健全な患者視点を入れることが必須と考えます。難病法の下であれば、難病患者の日常生活又は社会生活の支障の評価ですとか、難病ゲノム医療等新たな医療の進展への対応などへの患者参画を推進するとともに、社会資源としての患者活動を適切に支援して、産官学に患が加わった連携かつ協業して医療の健全な発展に寄与するよう、有効な施策立案が必要と考えます。
 難病患者の最も身近なところにあるべき難病相談支援センターですが、保健師や看護師である支援員とピアサポーターの連携が薄かったり、行政や医療、福祉、また就労や教育等の機関との連携についても地域差があるのが現状です。患者の意見を十分に反映して、地域格差のない質の高い支援につながるよう、職員の増員、身分や処遇の改善、福祉専門員の配置なども行っていただきたいと考えます。
 指定難病の中でも、比較的希少な疾患や歴史の浅い疾患は、一時的であれ、その治療法や適応薬が、そうでない疾患に比べて非常に少なかったり、研究者も少なく、研究が進みにくいという点が挙がっております。比較的希少な疾患に対する治療法研究を促進するよう、予算と施策の充実を検討していただきたいと思います。
 最後に、地域においては、障害者基本法に基づく障害者施策推進協議会はもとより、総合支援法に基づく自立支援協議会においても、難病患者は当事者としてほとんど参加できていません。支援法と同様に、障害者基本法にも難病等が対象であることを明記し、国の障害者に対する諮問委員会や地域の協議会等において、目標設定や実現への道筋を明らかにするなどして、当事者としての難病患者の参加を促進し、真の共生社会の実現を目指せるようにしていただきたいと思います。
 意見は以上となります。
 その次に、参考資料として、法改正を速やかに実施していただきたいという本年四月の要望書を添付しておりますので、御参考にしていただければと思います。
 今日はどうもありがとうございました。拍手
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三ッ林裕巳#7
○三ッ林委員長 ありがとうございました。
 次に、岩上参考人にお願いいたします。
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岩上洋一#8
○岩上参考人 皆さん、こんにちは。一般社団法人全国地域で暮らそうネットワーク、通称チイクラネットというんですが、その代表をしております岩上でございます。
 本日は、貴重な機会に出席をさせていただきまして、本当にありがとうございます。
 私ども全国地域で暮らそうネットワークは、社会的な支援が必要な精神障害者の地域移行に向けた課題の解決及び未来の創造の下、希望する地域で自分らしく生活することができる持続可能な社会づくりに寄与することを目的として活動しております。
 また、私自身は、埼玉県の南埼玉郡宮代町で社会福祉法人じりつという法人を経営しております。委員長の幸手市、杉戸町も私どもの地域でございまして、基幹相談支援センター、地域生活支援拠点も受託をさせていただいているところでございます。
 資料を御用意させていただきましたので、御覧いただければと思います。
 最初に写真が載っておりまして、これはキャンドルナイトという、私どもの事業所で、法人でやっているイベントなんですが、障害者の皆さんが町内の七つの小中学校に出向いて、障害当事者のお話と、そして、感謝の気持ちを紙コップに書いてもらうということをお願いして、十六年たちました。私どもの町では、障害者の方が地域で暮らすということはごく自然なこととなっています。そんな中、三万人の町で三千個の紙コップですから、十人に一人は参加をしているということで、かるたを募集したところ、このキャンドルナイトが第五位で、「ろうそくに感謝を灯すキャンドルナイト」というのが、かるたになっております。
 何でこんなことをお話ししますかというと、私たちは、やはり、公的な制度を活用して障害のある人の暮らしぶりを支援する障害福祉サービス等には、こうした地域に必要とされ、地域を元気にする役割が求められていると思っております。そういったことを大切にして事業運営をしているところです。
 それでは、意見を続けて述べさせていただきたいと思います。
 今般、内閣提出の法改正案に対して、私は全体として賛成の立場で意見を述べさせていただきます。
 共同生活援助について意見を述べたいと思います。
 一年以上入院している長期在院者は、退院後の暮らし方について大変不安です。しかし、通過を前提としたグループホームがあると、これからの生活を病院で考えるのではなく、退院してから考えることができるので、絶好の機会となります。この考え方は、御本人の望んでいる暮らし方の選択の範囲を広げ、児童養護施設や社会的な支援が必要な若い世代の方々にも大変有効だというふうに思っております。私もそうしたことで実践をしております。独り暮らしのための訓練をすることは想定はしておりません。むしろ支援者の方が、彼らが地域で暮らすためにどのような支援をしていくかということを考える重要な機会で、訓練されるのはむしろ支援者だと思っております。
 次に移ります。
 市町村を基盤とした支援体制の構築ということで、基幹相談支援センターと地域生活支援拠点等、協議会プラス精神保健が柱となります。本来、これについては義務化が望ましいと考えているところです。
 基幹相談支援センターは、人材育成、相談支援体制構築、協議会運営を担う機関です。地域生活支援拠点は、地域生活の緊急時対応、福祉救急や地域移行を推進するサービスの拠点となります。これもサービスのありようを見直す絶好の機会となります。平時の対応を充実させることで、本人の一大事でも、緊急対応にはなりません。真に緊急とは、今までに関わりのなかった人の一大事のことです。そのためには、類型を問わず、地域のネットワークが要となります。
 地域移行を実効性のあるものにするには、地域移行支援を担うコーディネーターを地域生活支援拠点等と施設、精神科医療機関の双方に配置することが必要です。
 そして、地域生活支援拠点のコーディネーターには、平時、緊急時対応を行う者と、地域移行を専任で担う者の複数配置が必要で、地域移行を担うコーディネーターには一定の権限を与える必要があります。これは、私は精神科領域で仕事をしていますが、施設に対しても同様で、特に施設の地域移行についてはこのような配置が望ましいと思っています。
 また、地域保健、これについては健康と福祉を併せたもので、福祉との親和性は極めて高いものです。本人、家族、地域を包括的に支援することができますので、この精神保健を、市民の健康はもちろんのこと、孤立、孤独、生活困窮、引きこもり等の課題、重層的な支援体制整備事業等の基盤として位置づける必要があると思っています。
 ページをめくっていただきまして、今般の法律改正に当たって厚生労働省等が示しているポンチ絵ですけれども、この上に、「精神保健を基盤として」、そうした考え方を加えていただきたいと思っています。
 次に、就労支援です。
 私たちの支援の基本は、本人の意思を中心にした生活です。生活とは、命と暮らしと生きざまです。就労支援も、本人の望む幸せを上位概念に置いて就労を支援します。このため、就労選択支援は重要なサービスとなることが期待できます。
 一方で、事業所の囲い込みにならない仕組みが必要です。事業所を決める前に市町村に申請を行う。そして、中立公正である相談支援専門員に適切な権限を与える必要があります。協議会の評価も重要と考えます。
 次に、精神保健福祉法の改正です。
 私は、今回の法改正に向けた、地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会に構成員として参加しました。私自身、この十年間、検討会に参加した経験がありまして、大変失礼ですけれども、あと三回法改正するつもりで取り組まないと山積する課題の合意形成は難しいという立場で議論をしました。つまり、地域では精神科医療機関を必要な社会資源と認識しながら、国レベルになるとどうしても、病院が悪い、国が悪いといったある意味偏見が根強くあり、議論がかみ合わなくなるんです。
 そんな中、今回の検討会では、多くの重要な課題に対して、構成員がその立場を超えて議論を深めてまとめることができたと思っています。障害当事者の立場からの積極的な提案もあり、精神保健医療福祉領域において長期にわたり議論が続けられていた課題について一定の方向性を共有でき、これからの取り組むべき方向性も共有できたと思っています。目指すべき方向性は、国民の精神保健の向上、良質な精神医療の提供、患者の権利擁護に資する法律体系にすることだと思います。
 医療保護入院の在り方です。
 今回の改正により、入院期間が法律に定められ、退院支援措置の拡充が行われるなど、医療保護入院が適正化されることとなり、人権擁護の要請に対しても、一歩前に進むことになると思います。
 長期在院者への支援については、市町村が精神科病院との連携を前提に、病院を訪問し利用可能な制度の説明等を行う取組を行う必要があります。患者の同意が得られない場合の入院医療の在り方などに関して、課題の整理を進め、見直しについて速やかに検討していくことが必要と考えています。
 入院者訪問支援事業の創設。
 精神科医療機関は入院患者の権利擁護を行っていますが、非同意入院では、その特性上、医療機関がその任務を全て行使することには限界があります。そのため、外部の第三者が面会に行く、この権利擁護に資する仕組みとなることを期待しています。医療機関が行う共同意思決定支援とこの外部機関が行使する必要がある入院者訪問支援は、権利擁護機能としては区別する必要があると考えています。
 今後の検討課題として、こうした支援を望む全ての非同意入院患者に支援がより広く普及する、そうした体制の構築が必要と考えています。個別給付の対応も考え方の一つだと思っています。
 精神科病院における虐待防止に向けた取組の一層の推進。
 最も重要なことは、虐待が起こらない組織風土を醸成することです。今回の法改正が、虐待防止法で培ってきた、虐待の深刻化を防ぎ、より軽微な段階で通報しやすい組織風土等の醸成を図り、障害者の権利利益の醸成に資する仕組みとなることを期待しています。
 今後の推進力として。
 地域生活への移行を推進するため、地域の基盤整備を着実に進めるための財政的な措置をお願いしたいと思います。
 障害者支援体制の更なる構築を考えると、社会保障審議会の障害者部会は、大局的な在り方を議論する場として、検討会等を併設して課題等の整理を行う必要があると考えます。
 また、国民の精神保健の向上、良質な精神医療の提供、患者の権利擁護に資する議論をするために、常設の検討の場が必要ではないかと考えているところでございます。
 以上でございます。
 本日は、貴重な機会を大変ありがとうございました。拍手
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三ッ林裕巳#9
○三ッ林委員長 ありがとうございました。
 次に、池原参考人にお願いいたします。
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池原毅和#10
○池原参考人 本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
 最初に、お配りしてある資料について確認をさせていただきたいと存じます。
 資料一は、本年十一月九日付で日本弁護士連合会会長が発出いたしました精神保健福祉法改正案の見直しを求める声明でございます。
 資料二は、日本精神神経学会の委員会が医療保護入院の市区町村長同意制度を中心に調査、分析した報告でございます。
 資料三は、精神医療審査会による医療保護入院の定期病状報告の審査の資料ですけれども、衆議院調査局厚生労働調査室が作成された、先生方お持ちの白表紙の参考資料の二百七十六ページと同じ内容ですので、そちらを御覧いただきますとよいかと存じます。
 資料四は、日本が批准しております市民的及び政治的権利に関する国際規約、いわゆるB規約、それから拷問等禁止条約、そして障害者権利条約などにつきまして、各条約の委員会から日本に対して出された勧告の中から、精神保健福祉法に関するものをまとめたものでございます。
 そこで、まず最初に御覧いただきたいのは資料四でございます。
 国連の障害者権利委員会は、本年九月に日本に向けた総括所見で、強制入院は障害を理由とする差別的な自由の剥奪になるとして、強制入院を廃止することを要請しております。この総括所見に法的拘束力はないからそれに従う必要がないというような考え方は、国連の意義をないがしろにし、その機能をおとしめるものでありまして、法の支配を基本的な価値とし、国際社会で名誉ある地位を確保することを目指す日本が取るべき考え方とは言えないと思います。
 また、B規約については、非自発的入院の要件が極めて広範であると指摘をされています。強制入院を最小限の期間にすべきことも求めています。
 拷問等禁止条約については、医療保護入院の決定を民間の私立病院が行えること、そして、長期入院が続いていることに懸念が示されています。
 日本の精神科病床数はOECD諸国の三七%を占めていると言われまして、大量の入院者がおり、その約半分が医療保護入院を中心とした強制入院者です。白表紙の資料の二百六十四ページ、これを御覧いただきますと、医療保護入院者の約六三%が一年以上の長期入院者で、五年以上の入院者が三〇%以上もいらっしゃいます。
 他国に例を見ない長期で大量の入院者と強制入院を多用しているということについて、B規約の委員会は、強制入院の要件が緩過ぎるということ、それから、必要最小限度を超えた入院を許しているということに原因があるというふうに見て、改善を求めているわけです。
 拷問等禁止条約の委員会は、大量の強制入院者と入院の長期化の要因として、裁判所でも行政機関でもない民間の私立病院が医療保護入院を行えることに問題があると見て勧告をしています。
 そして、障害者権利委員会は、精神障害のある人だけを対象にする強制入院がそもそも差別的であるということを指摘しているわけです。自傷他害の危険性があっても一般の人は強制的に収容されませんし、内科や外科の患者さんを判断能力がないとして本人の意向に反してでも入院させてしまうという制度はないわけですから、障害者権利委員会の総括所見も、その意図を私どもは真剣に受け止める必要があるというふうに考えます。
 これらの条約は、批准によって国内法になっておりまして、法律より上位の法規範になっているということも忘れてはいけないと考えます。
 以上のように、日本が批准している各条約は、強制入院を少なくとも最小化すること、本来であればなくしていくことまで求めています。こうした大きな方向性から、今回の精神保健福祉法改正を検討していくことが必要だと考えます。
 そこで、資料一の日本弁護士連合会の会長声明を見ていただきたいと思いますが、第一に、医療保護入院の期間を限定しながらも、何度でも更新できるという点を問題にしております。問題は、更新の判断が公正かつ厳格に行われるかどうかにかかっています。
 現行法では、精神医療審査会が、十二か月に一度、各病院からの定期病状報告を審査して入院継続が不要であると判断すれば、都道府県知事等が退院命令を出すことになっております。その手続の流れは、白表紙の資料の二百七十三ページを御覧いただくと分かりやすいと思います。
 しかし、この二百七十六ページの表から分かるように、精神医療審査会が入院継続不要と判断した事例は、毎年、何とゼロ%ということになっています。精神医療審査会は、独立性に問題があるとされていますが、それでも病院とは別の機関です。その機関でさえも入院継続不要の判断をほぼしていないのに、改正法による入院期間の更新は、患者さんを入院させている病院が自ら行うわけですから、ほぼ自動更新になってしまうということが予想されます。少なくとも更新回数を一、二回に限定するぐらいの工夫をしなければ、強制入院の縮小化、長期入院の解消という効果は期待できないというふうに考えます。
 第二に、家族が医療保護入院の同意若しくは不同意の意思表示を行わない場合に、市区町村長の同意で医療保護入院を行えることにしてしまう点にも問題があります。
 資料二を御覧いただきますと、市町村長が同意して医療保護入院をさせた患者さんについて、本人への支援や主治医との連携、その他の担当者との連携を半年に一回以上はしたとする市町村は一、二%にとどまっています。適切な入院判断ができていない、形式的で形骸化しているという市町村担当者の回答が多く見られます。精神医療審査会の委員からは、市町村の担当者が入院後全然関わっていない、同意が形式化して無責任、制度そのものが形骸化しているなどが多かったとされています。
 市町村長同意の実態について十分な立法資料を集めずに、家族の同意が得られない場合に市町村長同意で代用するという改正は、形式的で形骸化した同意によって医療保護入院を拡大してしまい、入院をさせたまま放置して、長期入院を更に増やしていくという作用を果たすことになります。以上のような法改正の方向性は、強制入院の縮小化の方向性に逆行するものです。
 第三は、虐待防止についてです。
 問題点の第一は、障害者虐待防止法では市町村が虐待通報の窓口になっているのに対して、法改正案では都道府県だけが窓口になって、市町村の役割が抜けている点です。
 市町村は、身近で小回りの利く機関として、障害者福祉の第一線を支えており、障害者虐待についても第一次的な役割を果たしています。法改正案が、医療保護入院については市町村長に同意権限を拡張するということにしていながら、入院患者に対する虐待については市町村の権限を認めないというのは、制度的矛盾と言うべきだと考えます。
 問題点の第二は、都道府県等が指定する指定医に病院への立入りと診察の独自の権限を付与している点です。
 虐待の立件は、虐待の法的構成要件に該当する事実の確認が必要になります。その認定作業は、本来法的なものが、司法的なものが典型的になりますが、行政機関の職員も法的素養を備えて同様の対応をすることが期待できます。しかし、医師は、司法的な事実認定について専門性を有する職種ではありません。ですから、ここで指定医に独自の権限を与えるのは見当違いであり、むしろ同僚審査の弊害を招くおそれがあると思います。医学的所見が必要であれば、担当職員が医師を補助者とすれば足りるのであって、医師の所見は司法的、行政的事実認定の一つの要素になるにとどまると理解すべきです。
 障害者権利委員会への次回の日本からの報告は二〇二八年とされております。本年九月の総括所見の勧告について、二〇二八年までにどれだけ誠実な努力をしたのかが問われることになります。現在の法改正案では、残念ながら、強制入院をなくしていくべきであるとする障害者権利委員会の要請には全く届きません。強制入院の要件を厳格化し、強制入院は必要最少限度のものに縮小し、長期入院をなくしていくべきだとするB規約や拷問等禁止条約の委員会の要請にも応じることができていません。むしろ国連からの要請に逆行していると批判を受けることになってしまうでしょう。
 今回の法改正が小さな一歩であるとしても、それが向かっていく方向を誤ることがないように、市町村長同意の実態調査なども実施して、多くの国民の納得を得られる法改正を行っていただきたいと思います。
 ありがとうございました。拍手
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三ッ林裕巳#11
○三ッ林委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
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三ッ林裕巳#12
○三ッ林委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。川崎ひでと君。
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川崎ひでと#13
○川崎委員 おはようございます。自由民主党の川崎ひでとです。
 本日は、初めて参考人質疑をさせていただきます。こうして参考人の皆様には朝早くから御参加いただき、本当にありがとうございます。
 この障害者総合支援法は大変多岐にわたる分野でございます。様々な観点から御見解を聞かせていただきました。本来であれば、皆様全員に質問させていただきたいところではございますが、質問の時間が限られておりますので、要点を絞って質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、岩上参考人にお話をお聞かせいただきたいと思います。
 今回の障害者総合支援法の改正では、地域で暮らす障害者の支援を強化するというのが目的だと理解しております。精神障害者の支援については、福祉からの支援と、そして医療、保健からの支援、この両方が大事であるというふうなお話であると理解いたしました。
 今回の法改正の意義、特に福祉の関係者にとってどのような意義があるのか、岩上参考人のこれまでの実績に照らし合わせて、御見解をお聞かせいただければと思います。
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岩上洋一#14
○岩上参考人 御質問ありがとうございました。
 今回、法改正、総合支援法と精神保健福祉法ということだと思うんですけれども、まず、基盤として、市町村に精神保健を位置づけるということは非常に重要なことだと思っています。それが今まで位置づいていなかったのかというふうに思われるかもしれませんけれども、適切には、法的には位置づいてございませんでした。今回、精神保健法で精神保健として位置づけて、その中で市町村にも努力規定を課したということは非常に重要なことだと思います。
 先ほども申し上げましたように、様々な課題、引きこもりであるとか自殺であるとか生活困窮であるということで、それに対して福祉としては対応をしています。しかし、それは、後から出てきたことに対応するということになるので、基盤としての精神保健、そして地域保健の中の精神保健として位置づけることは非常に大きなことで、その保健と福祉が連携をしていくということが非常に重要なことだというふうに考えています。
 以上でございます。
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川崎ひでと#15
○川崎委員 ありがとうございます。
 引き続き岩上参考人にお伺いいたします。
 地域で生活するためには、グループホームや、あるいはそこから独り暮らしして例えばアパート暮らしをするなど、いろいろな形があると思います。私自身も、自身の地元からお話を伺いますと、独り住まいをしてしまうとごみ屋敷になってしまう、又は近所においてトラブルを起こしてしまう、だからグループホームを選びましたなどといったような御意見もあります。
 長年障害者の地域生活を支援されてきた御経験から、グループホームが果たしていくべき役割や、地域生活を送る精神障害者等への支援の在り方について、改めて御見解をお伺いいたします。
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岩上洋一#16
○岩上参考人 ありがとうございます。
 グループホームは非常に重要な機関だと思います。先生方にも育てていただいたというふうに認識をしています。選択肢としてグループホームがあり、そこで暮らしていくということは、非常に重要です。
 あとは、独り暮らしをただ目指したいという方もいらっしゃるわけですから、そこを支援する必要がある。独り暮らしをした場合、非常に心配であるという御懸念がございますが、これについても、前回の総合支援法の改正で、自立生活援助というサービスをつくっていただきましたので、自立生活援助は、御本人がどのような生活をすると自分らしく生活できるかということについて適切にアセスメントして支援を組み立てるという、大変重要なサービスをつくっていただいたと思っています。それも利用していただくということになります。
 また、前回の報酬改定でピアサポートという位置づけをつくっていただきまして、当事者が当事者を支援するという枠組みをつくっていただき、全国で研修が今行われているところでございます。そうした当事者同士の支援も活用いただくと、自分がどういう暮らしをしていくのかということが非常に分かりやすくなると考えています。
 以上でございます。
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川崎ひでと#17
○川崎委員 大変分かりやすい御見解、ありがとうございました。
 引き続きまた岩上参考人に質問になります。
 今回の改正法案において、基幹相談支援センターや地域相談支援拠点の設置が努力義務になったということは、私も非常に大きいことだと考えております。現在では約五割の自治体がこの支援センターや拠点整備などができている状況ではございますが、言い換えれば、できていないところが五割ある。
 ここのできていないところの御意見を聞くと、実は、こうした法律で明文化されていないから、地方自治としても予算が取りづらいんだ、だからこそ、今回こうして明文化されることには大変意義があるというふうに御意見もいただきました。
 一方で、もう一つの懸念点としては、しっかり予算措置ができても人員が確保できるのか、これが各自治体共通の言葉として出てきました。この分野においては、経験や知識に加えてコミュニケーションスキルの高さが必要になるのではないかというふうに考えております。
 そうした点においては、なかなか人材確保というものに本当に苦労すると思います。是非、この人材確保あるいは人材の早期育成という観点から、もし御見解があれば教えていただきたいと思います。
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岩上洋一#18
○岩上参考人 ありがとうございます。
 確かに、委員が御指摘のとおり、人材を確保するというのは非常に重要な課題だと思っています。少子化もございまして、福祉人材がなかなか集まらないということもございます。
 福祉は、ふだんの暮らしを福祉と申しますので、ふだんの暮らしの実践者は市民の皆さんですから、必ずしも従来福祉を勉強した方だけでなく、地域で暮らされている方で是非福祉に携わりたいという方にも参画をしていただきたい、そういう仕組みも必要ではないかと思っています。
 先ほど御指摘ございました基幹相談支援センターというのは、地域の相談支援体制をつくる機関になって、相談支援も、育成にも協力していくという形になりますので、是非いろいろな方に参画していただきたい、子供たちにも福祉に身近になっていただきたいと考えています。
 以上でございます。
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川崎ひでと#19
○川崎委員 ありがとうございます。
 時間も差し迫ってまいりましたので、次は藤井参考人にお話をお伺いしたいと思います。
 入院者訪問支援事業についてです。
 入院者訪問支援事業として、患者の体験や気持ちを丁寧に聞くということが今回盛り込まれております。これによって、病院に入院される患者は具体的にどのような支援を受けることができるのか、また、入院患者にはどのようなメリットがあるのか、この二点について、今回の法定化に当たり、研究班の代表として御検討に携わられた立場から、具体的に御紹介をいただけますと幸いです。
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藤井千代#20
○藤井参考人 御質問ありがとうございます。
 今回、入院者訪問支援事業が法制化、法案に盛り込まれたということで、今御指摘のとおり、傾聴、入院されている方のお話を十分に聞くということや、誠実に対応すること、あるいは情報提供をしっかり行うということが盛り込まれているかと思います。
 それによって、入院されている方、先ほど意見陳述の中でも申し上げましたけれども、特に精神科の病棟に入院されている方は、多くの方が閉鎖空間に入院することになります。そうしますと、おのずと外部と遮断された状況になりますので、いかに病院の職員の方が丁寧に話を聞き、真摯に支援を行っていても、やはり疎外感を感じてしまったり、孤独感を感じてしまったりということは少なからずあるというふうに考えられます。実際、そのような声が多く寄せられています。
 実際のところは、病院の職員がそのような話をしっかり聞いて情報提供を行う、それをすればいいのではないかというように考えられる向きもあるかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、実際に支援をする側とされる側とでは立場の違いもありまして、支援をされている側からすると、なかなか言い出しにくいことがあったりとか、特に強制入院をされている場合には、医療従事者の方に気持ちを開きにくいような状況にあることもございます。
 そのような場合に、外部から第三者的な立場の方が来てくださって、違う立場で話を聞いてくださることによって孤独の解消であるとか、しっかり話を聞いてもらう、外部の方から大事にされるという経験から自尊心の回復というものが期待されるというふうに考えます。それによって本人が元々持っている力を引き出して、いわゆるセルフアドボカシーと申しますけれども、そのような力を引き出すことによって、御本人が自ら自分の言葉で医療従事者の方に自分の意見や気持ちを伝えたりしやすくなるというような効果が期待されるのではないかというふうに考えております。
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川崎ひでと#21
○川崎委員 御説明ありがとうございます。大変分かりやすいお言葉で説明をいただきました。ありがとうございました。
 引き続き藤井参考人にお伺いいたします。
 今回の法案では、メンタルヘルスに関する相談支援を身近な市町村で受けられるような改正法が、盛り込まれております。
 市町村では、子育てや介護、生活困窮等、各分野の相談支援が現在行われておりますが、メンタルヘルスに関する市町村の取組の重要性について、こちらも、研究班の代表として地方自治体のメンタルヘルスの相談支援について御検討に携わられていた立場からお話を聞かせていただければと思います。
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藤井千代#22
○藤井参考人 御質問ありがとうございます。
 この点につきましては、先ほどの岩上参考人からのお答えに重複するところもございますけれども、市町村では、今御指摘のように、母子保健でありますとか、生活困窮者支援でありますとか、高齢者の支援でありますとか、ライフステージに沿ったような形で、様々な生活課題についての支援が、支援体制が今構築をされております。さらには、改正社会福祉法の規定に基づく重層的支援体制整備事業のようなものも行われつつありますので、そのような形で住民支援が行われていますけれども、その中で、非常に重要な視点として、メンタルヘルスがございます。
 これは、どなたでもメンタルヘルスの不調を抱える可能性があるということ、さらに、生活上の困難、生きづらさとメンタルヘルス不調というのは非常に密接な関係がございまして、例えば、経済的に困窮すれば誰でも精神的な不調になるというのは非常によく経験されることだと思いますし、想像に難くないと思います。ですので、生活上の課題とメンタルヘルスの支援というものは切り離して考えること自体が難しい、それは無理であるということです。
 これは、保健師さんの活動を思い浮かべていただければ非常によく分かると思うんですが、市町村の保健師さん、家庭を訪問されたりとか、様々な支援の中で、赤ちゃんから御高齢者の方まで世帯ぐるみに支援をされているわけです。その中では、メンタルヘルスの課題というのは必ず出てまいります。ですので、現時点でも、市町村の職員の皆さん、特に保健師の方々は、精神保健の支援だと明確に意識をしないままにメンタルヘルス支援を行っている状況だと思います。
 ただ、状況によっては、メンタルヘルス支援が、専門的な支援が必要とされる場合がありまして、その場合に、なかなか保健師の方が精神医療の専門職に相談ができなかったり、あるいは必要な連携が取れなかったりというような状況もございますので、生活に密着した課題であるメンタルヘルス支援を市町村の業務としてしっかり位置づけることによって、そのような住民支援の質の向上でありますとか、様々な支援の制度のはざまに陥るような方がこぼれないようにするというふうな効果も期待できるというふうに考えております。
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川崎ひでと#23
○川崎委員 ありがとうございました。
 私、昨年、初当選をさせていただきました。今回のこの法案に携わらせていただくに当たって、現場からも様々な御意見をいただきました。引き続き、現場の、地元の皆様が様々な支援を受けられるように私も精いっぱいヒアリングを続けてまいりますので、また皆様からの御指導のほどよろしくお願いします。
 質問を終わります。ありがとうございました。
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三ッ林裕巳#24
○三ッ林委員長 次に、早稲田ゆき君。
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早稲田ゆき#25
○早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。
 今日は、参考人の皆様方には貴重な御意見を賜りまして、心から感謝申し上げる次第でございます。また、日頃より、JPAの辻さん、そしてまた日弁連の池原先生には御指導を賜りますことを心から感謝を申し上げます。
 本来ならば皆様に御質問させていただきたいところでございますが、時間の関係もございますので、桐原参考人に伺わせていただきます。よろしくお願いいたします。
 二〇一六年に、神奈川県の相模原市の障害者施設津久井やまゆり園で、大変多くの犠牲者を出した痛ましい事件がございました。安倍政権下では、措置入院歴がある精神障害者が起こした犯罪ということにフォーカスをしまして、入院措置解除後のフォロー、支援計画、それからまた監視を強める内容、これを都道府県に義務づける精神保健福祉法改正案を二〇一七年に参議院に提出をいたしました。先ほど桐原参考人からもお話がございましたとおりですが。その改正内容が精神障害者の人権を著しく侵害するおそれがあるとして、参議院では徹底した議論が行われ、そして最終的に廃案となったわけです。このことについても伺いたいと思います。
 この五年前に出た法案について桐原参考人の評価と、それからまた、参議院での議論を踏まえて、その後五年間、厚生労働省の取組、さらには今回の法案改正について、どのような評価をされているでしょうか、伺います。
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桐原尚之#26
○桐原参考人 ありがとうございます。
 廃案になった精神保健福祉法改正法案は、措置入院の運用の協議と退院後支援が規定されています。退院後支援は、津久井やまゆり園事件の再発防止策を契機としたものであり、精神障害者と犯罪を結びつける偏見が助長されて、医療現場が治安的にゆがめられてしまわないかと憂慮する声が高まりました。
 廃案になってからは、措置入院の運用に関するガイドラインと、地方公共団体による精神障害者の退院後支援ガイドラインという二つのガイドラインで運用される運びとなりました。
 退院後支援ガイドラインは、法案審査での指摘を反映して、医療保護入院や任意入院を対象としています。しかし、この五年で整備された、精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築推進事業と診療報酬では、措置入院者の退院後支援だけを対象としています。
 また、精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築支援事業により作成された、精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築のための手引き二〇一九年度版には、退院後支援のモデル事例として鳥取県の取組が紹介されています。鳥取県措置入院解除後の支援体制に係るマニュアルは、精神保健福祉法改正法案の廃案になったものに則していて、治安的な印象を否めません。冒頭には、津久井やまゆり園事件を受けて作成されたとも書かれています。
 運用ガイドラインに規定された協議の場には、困難例という表記でグレーゾーン対応が残っており、退院後支援ガイドラインも、個別支援の警察参加を例外的に認めています。私は、検討会において、警察の参加しないことへの確認を求める意見を出しましたが、結果として退けられました。
 このことから、五年前と比較して改善された事項もありますが、今回の法案では解決されなかった課題も残されているものというふうに考えます。総括所見に基づき、関連法制度の見直しを始めとする必要な措置を講じることが不可欠であると考えます。
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早稲田ゆき#27
○早稲田委員 改善された部分もあるけれども、課題もまだたくさん残っているということを理解いたしました。
 それでは、閣法の五本束ね法案と一緒に並行審議をしております議員立法について伺います。
 重度訪問介護を就労と就学に拡大するこの議員立法について、参考人の評価をお尋ねいたします。
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桐原尚之#28
○桐原参考人 重度訪問介護を職場や学校で使えるようにすることを目指すとしたものであって、成立を強く望みます。
 特別事業については、使いにくさが指摘されており、実績も九十二名にとどまります。しかも、約半数は自営業で、そのうち決して少なくない数が介護事業所の管理者です。彼らは、所得を得るために事業所を立ち上げたのではなく、地域の介護体制が不十分であることから、地域生活を続けていくために自ら事業所を立ち上げて、利用者兼管理者になっています。それでも、重度障害者が事業所の管理者になることは社会参加の一つだと思います。しかし、管理者には常勤義務があって、それに相当する時間は、所得の有無に関係なく就業しているとみなされて、重度訪問介護の支給が認められないという問題が各地で生じています。管理者を辞めて社会参加の機会を失うか、管理者を続ける代わりに、特別事業と重度訪問介護のそれぞれの請求事務の負担を負うか、その二択を迫る状態になっています。
 加えて、重度訪問介護は、見守りを中心とした唯一の制度であり、介護保険では提供できないサービスのはずですが、重度訪問介護のニーズに対して介護保険を優先して適用する自治体が散見されます。例えば、要介護五に該当しないと支給決定しないという自治体もあって、介護保険優先原則によって重度訪問介護の利用が妨げられています。
 また、ALSなどの場合は症状が進行するため、申請時と支給決定時で障害の状態が違うので十分対応できていないし、精神障害の場合は、認定調査というのをやるんですけれども、その項目が対応していないため、見守りのニーズがあっても重度訪問介護の利用はできないといった問題があります。
 まだまだ必要な人が使えていないという問題はありますが、この度の法案は大きな前進であるというふうに考えています。
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早稲田ゆき#29
○早稲田委員 ありがとうございます。成立を目指して頑張ってまいります。
 それから、検討会の議論の運びについて伺いたいと思います。
 精神病院における身体的拘束について、検討会のメンバーとして御参加の桐原さんですけれども、参考人に伺いたいのは、検討会の報告書に、不適切な隔離、身体的拘束をゼロにするための取組として、大臣告示第百三十号の第四章、身体的拘束の対象となる患者については、不穏及び多動が顕著である場合ということがございまして、これについての改正についてですが、この改正後の文章はどのように提案をされて、そしてまたどのように報告書に記載をされたのでしょうか。
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