山本太郎の発言 (憲法審査会)
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○山本太郎君 れいわ新選組代表の山本太郎です。
コロナで危機感を持った国民がいる間に憲法改正を進めようという声が聞こえてきます。そのやり口を詐欺と呼びます。災害便乗型の詐欺です。本審査会の尊敬する諸先輩方の中にはそのような火事場泥棒的発想を持つ人はいないので、今日は安心して発言できることを感謝申し上げます。
憲法改正は、立法府が取り組むべき優先順位としてかなり低いものであることをしっかり政治家が認識しなければなりません。
二〇二二年参議院選挙後の七月に行われた共同通信世論調査、選挙で投票する際、最も重視した政策を見てみると、一位が物価高、経済対策四二・六%、二位が年金、医療、介護一二・三%、三位が子育て、少子化対策一〇・四%、四位が外交や安全保障九・六%、五位以降にコロナ対策、原発、エネルギー対策と並び、憲法改正五・六%。国民が求める国政における重要課題は憲法改正ではないと分かります。
国民にとっての最重要課題は、目の前の生活です。不安しかない将来、老後です。改憲を直ちに進めたいという人には申し訳ない話なんですけれども、憲法を変えなければ直ちに不都合がある状態ではございません。逆に、現行憲法が遵守されなければ、命や暮らしが脅かされる事態が存在します。二十五年間に及ぶ経済不況、そこにコロナの感染拡大、そして輸入物価高という三重苦の中で、明らかに生存権や幸福追求権が脅かされ続けている。
本年、岸田政権の経済財政報告の資料にあった所得の中央値、全世帯で所得の中央値が二十五年間で百三十一万円も減少したと。先進国の中で唯一不況が続き、衰退し続ける国が日本、先進国の中で唯一日本だけが賃金が上がらない国、高い所得から低い所得、全て並べて真ん中の値、中央値が百三十一万円も低下、一部の勝ち組以外は多くが貧しくなった、それが日本なんですね。
この三十年近くの間、ほぼ一部資本家のためだけに政治は機能してきた。直間比率の是正の掛け声とともに、大企業に対する大減税を行い、それと両輪で消費税を減税、働き方の流動化の名の下に、労働環境を不安定にし、いつでも首を切れる非正規労働者を増やす、海外からの低賃金労働者も流入させ、賃金が上がりづらい圧力を強める。人々の収入を減らし購買力を奪い、事業者の収益を減らし国内の需要を落ち込ませる無限ループ。国内産業は新たな需要を求め国外に移転、国内の空洞化は加速しました。一方で、資本家は過去最高益を上げ続ける。賃金を削り、未来への投資、設備投資も削り、株主への還元を最大化する株主至上主義に転換、内部留保は十年連続過去最高、昨年は五百十六兆四千七百五十億、一一年度からの増加率は約八割です。
その一方、国民生活どうなっていますか。コロナの前、二〇一九年、厚労省大規模調査を見れば、生活が苦しい、やや苦しいと答えた割合、全世帯で五四・四パー、母子世帯で八六・七パー。コロナの前から憲法二十五条違反なんですよ。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と、憲法二十五条守られていませんよね。憲法改正云々言う前に、やるべきことあるんです。
将来に不安しかない、そういった人々の認識が広がれば生きる希望も失われます。厚労省人口動態統計を見ると、二〇一九年時点で、十五歳から三十九歳の若者の死因、死ぬ原因の第一位は自殺です。
子供から大人まで死にたくなる社会を広げたのは、紛れもないここ永田町。社会不安を自分たちの手でつくっておきながら、その責任も感じない政治家たちが今もあぐらをかいている状態ですが、自分たちがまいた種により、見捨てられた就職氷河期、老老介護、介護離職、介護殺人、ヤングケアラーなど、社会問題は肥大化しています。
個人として尊重されるどころか、自助、共助で何とかしろ、甘えるな、国にもたれかかるなという憲法十三条違反はずっと前から続いています。まさにこの世が地獄、そこにコロナの感染拡大、打撃を受けたのは、ここの三十年で最も政治が切り捨ててきた弱い立場の方々です。
特に、女性の貧困と自死が加速。二〇二一年、横浜市が行ったロスジェネ、非正規女性の調査。年収はほぼ二人に一人が二百万円未満、貯蓄は十万円未満が最も多い。収入の低さから病院にもなかなか行けないという実態が明らかに。二〇二一年自殺対策白書、飲食サービス業など非正規女性が多い現場の雇用環境が悪化。二〇一九年までの五年間の平均と比べ、女性の自殺者数は三割近く増加。学生も困窮、親の収入が減少、バイト先の仕事もなくなり、経済的事情で退学を余儀なくされた者もいる。
これらは過去の話ではありません。毎週土曜に民間が行う新宿都庁前での食料配布、受け取る人の数はコロナ前で四十人から七十人程度でした。今年の十月二十九日には、過去最高六百三十一人、コロナ以前の十倍もの状態。永田町の政治家が想像するよりもはるかに時代は悪化の一途をたどっている。
政府は、目の前の物価高騰に策を打つと言いますが、見当違いも甚だしい。二十五年以上の不況、そしてコロナ、そこに輸入物価高騰、この三重苦を何とかする意識と気概と政策がなければこの国は立て直せない。そして、この憲法違反の状況は是正されません。消費税を廃止、悪い物価高騰が収まるまで一律の現金給付は、緊急対策としてマストです。
本審査会は、憲法がその趣旨どおりに実施されているか、憲法違反が生じていないかを調査する役割を持つと先日の理事懇談会でも確認されました。憲法を通しての行政監視を行える唯一の本審査会で、本日私が発言した二十五条違反、十三条違反はもちろんのこと、それ以外にもほごにされ続けている憲法違反及び疑いに関する調査を徹底的に行い、しっかりと是正するよう政府を導き監視する、そのような本審査会の本来の本格的活動に期待して、私からの発言を終わります。