憲法審査会

2022-11-09 参議院 全70発言

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会議録情報#0
令和四年十一月九日(水曜日)
   午後一時三十一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月三日
    辞任         補欠選任
     石井 準一君     進藤金日子君
 十一月八日
    辞任         補欠選任
     佐藤 正久君     吉井  章君
     浅田  均君     柴田  巧君
     東   徹君     片山 大介君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         中曽根弘文君
    幹 事
                浅尾慶一郎君
                片山さつき君
                堀井  巌君
                牧野たかお君
                山本 順三君
                小西 洋之君
                吉田 忠智君
                西田 実仁君
                音喜多 駿君
                大塚 耕平君
                山添  拓君
    委 員
                青山 繁晴君
                赤池 誠章君
                臼井 正一君
                衛藤 晟一君
                加藤 明良君
                小林 一大君
                古庄 玄知君
                進藤金日子君
                中西 祐介君
                松川 るい君
                松下 新平君
                丸川 珠代君
                山田  宏君
                山谷えり子君
                吉井  章君
                石川 大我君
                打越さく良君
                熊谷 裕人君
                古賀 千景君
                辻元 清美君
                福島みずほ君
               佐々木さやか君
                矢倉 克夫君
                安江 伸夫君
                山本 香苗君
                猪瀬 直樹君
                片山 大介君
                柴田  巧君
                礒崎 哲史君
                舟山 康江君
                仁比 聡平君
                山本 太郎君
   事務局側
       憲法審査会事務
       局長      加賀谷ちひろ君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
 本法制に関する調査
 (憲法に対する考え方について)
    ─────────────
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中曽根弘文#1
○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
 本日は、憲法に対する考え方について意見交換を行います。
 まず、各会派から意見表明を行った後、委員間の意見交換を行います。
 全体の所要は二時間を目途といたします。
 発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。
 また、御発言は着席のままで結構でございます。
 なお、委員間の意見交換において発言を希望される方は、各会派からの意見表明の間にあらかじめ氏名標をお立てください。
 それでは、まず各会派一名ずつ、各七分以内で御意見を順次お述べいただきたいと存じます。
 山本順三君。
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山本順三#2
○山本順三君 自由民主党の憲法審査会筆頭幹事を務めております山本順三でございます。
 本日、今国会最初の参議院の憲法審査会が開催できることになりました。与野党幹事の皆様方の御尽力にまずは心から感謝を申し上げたいと思います。
 本憲法審査会は、さきの国会でも、憲法第五十六条第一項の出席に関する議論や、あるいは合区問題を中心に極めて有意義な議論を重ねてまいりました。今国会でも更に活発な活動となることを期待をいたしております。
 日本国憲法は前文で、主権が国民に存すること、そして日本国民はこの憲法を確定することを表明するとともに、憲法第九十六条では、国民投票を通じて憲法改正について最終的な判断を下すのは日本国民であるというふうに規定をいたしております。まさに憲法は国民のものということだと思います。
 日本国憲法は施行後七十五年を経過をいたしました。その間、社会も人々の考え方も大きく変化をいたしております。このような状況の中にあるからこそ、国民の皆様お一人お一人に今憲法はどうあるべきなのかとお考えを深めていただくことが大切だと思っております。そのためにも、憲法改正原案等の審査機関である参議院憲法審査会は、憲法についてそれぞれの意見を率直に開陳し、じっくりと議論を深めていかなければならないと考えているところでございます。
 続いて、我が会派が議論を深めるべきと考えている四つの項目について申し上げます。
 私ども自由民主党は、改正の条文イメージとして、一、自衛隊の明記、二、緊急事態対応、三、合区解消・地方公共団体、四、教育充実の四項目を提示をいたしております。
 北朝鮮によるかつてない高い頻度での弾道ミサイル等の発射や一向に止めない核開発、中国の海洋進出や軍事力の急拡大、さらにはロシアによるウクライナ侵略を見れば、我が国の安全保障環境は極めて厳しい状況にあると言えます。国際秩序を根底から覆す事態が東アジアで発生しないと言い切ることはできません。そのような中で、憲法における自衛隊の位置付けが今のままでよいのか、ますます考えなければならない時期にあると感じております。
 また、感染症や自然災害の脅威が現実のものとなったことからも、万が一のときにどう国会や行政の機能を維持させるのかという緊急事態条項の問題についても、憲法第五十六条第一項の出席との関係も含めて議論を進めていかなければならない問題です。
 教育の充実も、将来世代の未来を切り開く上で考えていかなければならない課題でございます。
 そして、とりわけ参議院において議論を進めるべき項目は、合区解消・地方公共団体であります。
 そもそも、参議院は、地方代表、職域代表から成る院として二院制の一翼を担ってまいりましたが、今から七年前、大都市圏への人口集中と地方の過疎化が進む中、投票価値の平等を追求していくためにやむを得ず一部に二県合区を導入いたしました。しかしながら、導入後、合区対象県では投票率低下や無効票の増加などの弊害が明らかになっております。投票価値の平等は重要ではありますが、それを追求する余り、合区が有権者の選挙離れを引き起こし、投票率を低下させたとすれば、民主主義の根幹に関わる問題でございます。
 全国知事会など地方六団体、そして三十五もの県議会からも見直しの要望や決議が出されております。いずれも、このままでは人口の少ない地方の声が国政に届かなくなるのではないかという切実な危機感の表れであります。
 現在、本年七月の参議院議員選挙における投票価値の平等をめぐる高裁判決が出されているところです。各高裁は、それぞれ合憲判決や違憲状態判決、違憲判決といった判断を下しておりますが、最終的には最高裁判決を待つことになると考えます。ただ、ここまでの高裁判決の幾つかは、参議院改革協議会や参議院憲法審査会での議論を事情に含めて、立法府の較差の是正を施行する姿勢について判断しています。
 参議院改革協議会では、立ち上げられた後、本年六月に取りまとめられた報告書を土台とした議論が始まることになろうと思いますが、同時に、参議院憲法審査会としても、引き続き、憲法との関係において、合区解消についての議論を進めていくべきと考えております。
 我が党といたしましては、抜本的には憲法を改正して合区を解消してはどうかと考えておりますが、地方の府としての参議院の特徴に着目し、その独自性を法的に位置付けることで衆議院の機能と差別化すれば、毎回の選挙において全ての都道府県から少なくとも一人は議員を送り得る可能性があると考える憲法学者の意見もあります。
 さきの国会での参議院憲法審査会でも、参考人から、投票価値の平等ということからこぼれ落ちる利益を確保する観点で、参議院の役割を制度化してはどうか、あるいは、参議院の役割を制度化し、都道府県との結び付きが衆議院と異なることを示すことができれば、最高裁の今の判決法理にのっとっても違う結論が出るのではないかといった趣旨の発言もございました。
 このような意見があることを踏まえながら、参議院憲法審査会では引き続き憲法との関係において議論を深めてまいりたいと思います。
 最後に、参議院だからこそ全会派そろって粛々と、憲法は国民のものという考えの下、憲法審査会での議論を進めていくことでその責務を果たしていくべきだと申し上げて、私の発言を終わります。
 ありがとうございました。
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中曽根弘文#3
○会長(中曽根弘文君) 小西洋之君。
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小西洋之#4
○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之です。会派を代表して、憲法に対する考え方を述べます。
 まず、改めて、全ての論議の前提として、憲法審査会が担う憲法及び国会法上の法的任務について共有をお願いしたく存じます。
 お手元の資料ですが、憲法審査会の所掌事務を定めた国会法百二条の六は、日本国憲法及び憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行いと明記し、この趣旨について、次のページですが、去る十月十九日の本院予算委員会を始め、衆参の議会法制局長は、憲法違反に関する調査はまさしく含まれ得る、憲法違反の事実などが生じていないかといった事項も当然に含まれていると繰り返し明言しています。
 すなわち、本審査会は、全議員の憲法九十九条の憲法尊重擁護義務の下に、主権者国民の最高法規憲法について、議会や政府がそれに違反していないかを調査審議する法的責務を国会法により課されたただ一つの委員会であり、言い換えれば、憲法審査会は、憲法違反問題の調査審議により主権者である国民の手に憲法を取り戻し、同時に、憲法がよって立つ法の支配と立憲主義を立法府と行政府において守り、再生するための委員会であるのであります。
 そして、まさにこの実践として、本審査会においては、平成二十八年より、集団的自衛権の行使の容認などを始めとするあまたの違憲問題に関する幹事会協議事項が積み上げられています。
 したがって、私ども会派は、憲法審査会が開催されたときは必ず、昨年のデルタ株に続く今夏のオミクロン株の惨禍の中での臨時国会召集義務違反などを含め第二次安倍政権以降の様々な憲法違反問題の調査審議を求め、憲法違反を犯した政府の存立に責任を有する与党の先生方などに対して見解を質問等をさせていただく所存です。こうした本審査会の運営こそが、平成二十六年本審査会附帯決議第一項、二項の、立憲主義及び憲法の定める国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義に基づいて徹底的に審議を尽くすの趣旨にかなうものと考えます。
 この点、旧統一教会、国葬をめぐる問題は、法の支配、立憲主義の逸脱のあしき例であり、我が会派として本審査会での徹底した調査審議を求めます。
 すなわち、岸田総理が全面撤回した宗教法人法の解散命令に係る違法な解釈は、憲法七十三条の政府による法律の誠実執行義務の違反であり、東京高裁決定の曲解という司法判断の潜脱による暴挙であり、真相究明と徹底した再発防止策を講じなければなりません。
 さらに、旧統一教会と政府・自民党の政教分離問題、違法な名称変更や刑事捜査回避などの特権付与の疑い、さらには、自民党の改憲案や改憲運動そのものが旧統一教会の影響を受けたものではないのか、同性婚などのLGBTの権利擁護や、家族や教育政策の在り方がゆがめられていないのかなど、極めて深刻かつ多岐にわたる旧統一教会をめぐる憲法問題を指摘しなければなりません。
 また、国葬儀は、安倍元総理への敬意と弔意を国全体で表すとされるなど、その法的根拠がないことを含め、国民、国会、裁判所との関係で、国民主権、議院内閣制、三権分立、さらには個人の尊厳尊重、思想、良心の自由など、重大な違憲、違法問題を生じています。さらには、日本国憲法の下で天皇、上皇の大喪の礼以外の国による葬儀が法的に可能なのか、徹底した論究が必要です。
 他方、立憲民主党は、立憲主義に基づく論憲によって、種々の憲法問題の主体的かつ真摯な検証を重ね、必要と考えるものは本審議会での議論を求めてまいります。
 具体的には、衆院での国会議員の任期延長の改憲議論については、参院緊急集会の実施及び衆院議員の任期満了までに必ず総選挙を実行する国会法及び公選法の改正によって、改憲によらずに法律で解決できると考えます。
 加えて、日本維新の会の安保法制を理由とする憲法裁判所の設置は、行政事件訴訟法改正による九条の民衆訴訟にて対処できると考えます。
 以上のような我が会派の論究は、立法措置によって可能とすることができるかどうか徹底的に審議を尽くす、すなわち改憲の必要性及び合理性に係る立法事実がないものは改憲論議の対象としないと定める本審査会附帯決議第三項の実践と認識しております。
 さらに、冒頭の議会法制局長答弁にあるように、憲法がその趣旨どおりに実施されているかどうかに関する調査も本審査会の重要な任務です。すなわち、物価高騰、格差社会、ツインデミック危機のコロナ禍における生存権、少数者の権利保障など、真摯な調査審議が求められます。さらに、我が会派は、当然に国民投票法附則四条のCM、広告規制の法改正も求めてまいります。
 最後に、さきの通常国会において、衆参憲法審の四名の憲法学者の全員が、衆議院のオンライン出席の見解文書を憲法五十八条の議院自律権の濫用と指摘等されたように、衆議院の憲法審査会の改憲ありきの毎週開催は憲法を軽んじる行為と言わざるを得ません。この点、本審査会の自民党会派の代表意見において、衆議院とは異なる議院自律権の考え方を表明されたことは深く敬意を表する次第です。
 さらには、さきの本審査会において、地方問題や災害対策などをより十全に調査審議する機能を参議院に付与する国会法改正などにより、憲法改正を行わずに合区制度を廃止する方策について、高名な二名の公法学者の参考人より、違憲判決は想定し難いとの旨の陳述がなされたことは誠に意義深く、この改革の憲法論議を一層深めていく必要があるものと考えます。
 中曽根会長の下に、良識の府にふさわしい格調高い本審査会の運営を実践するとともに、立憲主義に基づく論憲の力によって改憲ありきの不要不急の改憲論議等に真っ正面から対峙し、かつ憲法違反を正し、憲法の価値を国民生活に具現化する審議を求める決意を申し上げて、私の意見とさせていただきます。
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中曽根弘文#5
○会長(中曽根弘文君) 西田実仁君。
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西
西田実仁#6
○西田実仁君 公明党の西田実仁です。
 憲法審査会が活動を開始したのは二〇一一年です。それから十一年が過ぎました。その間、私は、参議院の在り方については、特にその役割と選挙制度について議論してきました。この審査会でもたくさんの発言の機会をいただきました。その際、いつも心にあったのは、主権在民、党派を超えてということです。
 そこで、一番記憶に残っている発言を会議録で再度読み直してみて、今日皆様にお話をすることにしました。二〇一六年十一月十六日の発言です。一部そのまま会議録を読み上げさせていただきます。
 国民主権に基づく二院制と議院内閣制という仕組みの中で、第二院の参議院は第一院の衆議院を具体的にどうバックアップすればよいのか。国民主権が参議院改革の基本の視点であり、改憲論議においてはなおさら国民主権の徹底が必要です。
 そう考えれば、当然、衆議院議員も参議院議員も全国民の代表という性格付けが適切ではないかと私は考えます。主権は国民全体にあるからです。参議院議員も全国民の代表であるからこそ、参議院には、衆議院が解散されていても、国に緊急の必要がある場合の緊急集会の規定が置かれていると言えます。緊急集会が参議院に置かれることとなった経緯や規定の制定理由を見れば、緊急集会は第二院の参議院が第一院の衆議院をバックアップする典型であることは明らかです。
 参議院改革については、これまでも様々な議論がありました。二院制を支持する者の共通認識は、参議院は行政監視機能をより重視すべきであるということです。良識の府である参議院は、公共の利益の実現を目指し、党派を超えて努力すべきです。特に、解散のない六年という長い任期を与えられている参議院は、行政の組織、人事に対する統制という観点が重要であり、政府と官僚機構をつくる衆議院、それを監視する参議院という新たな視点から国会の行政監視機能を見直すべきではないか。
 この考え、特に行政監視は参議院を中心とすべきという点については全く変わっておりません。しかし、幾つかの点で憲法審査会として注目すべき議論の進展が見られますので、それについてお話をします。
 第一に、行政監視とは何か、定義についてです。驚くべきことですが、学説で行政監視の定義がないというのであります。これは大変におかしな話でありますので、この憲法審査会の場で定義を明らかにすることにしました。
 行政監視とは、簡単に言えば公務員の働きぶりを見張ることを意味しますが、これを憲法規定と法令用語に合わせて言えば次のようになります。行政権の行使について国会に対し責任を負っている内閣が、法律を誠実に執行するという憲法上の義務に違反していないかどうかを国会が常時注意して見ること、これが行政監視の定義ですが、更に本質的な説明がされています。公共の利益の実現のために、主権者である国民に代わって国権の最高機関である国会が政府と官僚機構の活動を法の誠実な執行の確保の観点から常時注意して見ること、これが日本国憲法の下での行政監視であると。以上は、二〇一六年二月十七日、参議院憲法審査会で参考人出席した荒井達夫元参議院憲法審査会首席調査員、現千葉経済大学特任教授によるものです。
 荒井説による行政監視の定義と本質的な説明で、行政監視はどのような活動をどのような体制で行えばよいか具体的に考えられるようになります。例えば、行政監視機能において、行政監視強化において、衆参でどのような役割の違いがあるかという非常に重要な問題を議論できることになるわけです。
 第二に、行政監視と参議院の選挙制度の関係についてです。
 参議院を行政監視のための院とすることで選挙制度との関係が明らかになります。投票価値の平等と全国民を代表する議員を基本条件とする選挙制度です。行政監視は、公共の利益の実現のために、主権者である国民に代わって国権の最高機関である国会が行う活動であるからです。
 この点、参議院を地方のための院であることにして、一票の較差拡大も認めようとする意見も一部にありますが、疑問です。
 参議院が地方のための院なら、衆議院は国のための院としなければなりませんが、衆議院で国の問題だけに限定する議論が可能とは考えられないからです。その必要性もなく、コロナ対策一つ取っても不合理で、公共の利益に反する結果を招きます。
 また、一票の較差拡大を認めることを基本とする考えは、主権が国民にあるとの憲法思想に反します。全ての国民は憲法の下に対等の条件で政治参加が保障されるというのが民主主義の基本の考え方であり、そうでなければ本当の主権在民とは言えないからです。
 第三に、憲法保障の議論の重要性について触れたいと思います。
 私は、参議院の将来像を描くに当たり、行政監視と並んで憲法保障の議論が非常に重要ではないかと考えています。行政監視はすなわち法律の誠実な執行の監視、憲法保障はすなわち憲法の誠実な執行の監視で、どちらも法が主権者国民に対して誠実に執行されているかどうかを見張るという意味があるからです。
 憲法保障に関しては、参議院憲法審査会の客員調査員をされた桃山学院大学の田中祥貴教授が著書「参議院と憲法保障」で、本年度、日本公共政策学会の著作賞を受賞されました。間違いなく参議院改革のための有益な資料になると思いますので、ここで紹介させていただきました。
 私の発言は以上でございます。
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中曽根弘文#7
○会長(中曽根弘文君) 猪瀬直樹君。
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猪瀬直樹#8
○猪瀬直樹君 日本維新の会、猪瀬直樹です。
 最近、インターネットで、ウクライナに千羽鶴を贈ったと、ウクライナ側では迷惑しているというのがネットで炎上しているんだけれども、そもそもそのウクライナに千羽鶴を贈ったという話自体がフェイクニュースっぽい。まあそういう混乱したその世論が起きているのは、国際貢献ということについて、ウクライナで戦争がある、日本は何をしているのかということの議論が足りないからだというふうに思うんですね。
 そこで、世界の中の日本としての国際貢献をどのように憲法に位置付けるべきなのかについて考えを述べたいというふうに思っています。
 かつて、一九九一年の湾岸戦争のときに、日本は多国籍軍への財政支援として百三十五億ドル資金援助を行いました。当時の為替レートで一・七兆円、年間防衛費の四・二兆円の実に四割に当たる大きな金額でした。にもかかわらず、当時のアメリカ・ブッシュ大統領が一般教書演説で言及した貢献に感謝する国々や、湾岸戦争終結後にクウェート政府が発表した感謝国リストの中に日本の名前は存在しませんでした。金だけ出して人的貢献をしない日本の姿勢に対して世界各国から批判を浴びることになったわけであります。
 このことを機として、国際貢献をどう出すべきか国内でも議論となり、紆余曲折の結果、一九九二年にいわゆるPKO、PKO協力法が成立、施行されました。その後の安全保障環境の変化に伴って数度にわたり改正も行われ、戦闘状態にない各国に対しては様々な人的、物的国際協力が行われるようになりました。
 内閣府の資料によれば、一九九二年のPKO協力法施行以来、日本はこれまでに二十九の国際平和協力業務に対し、延べ一万二千七百名の要員を派遣してきたということです。また、二〇一五年の国際平和支援法の成立により、国連決議に基づく諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等が実施できるようになりました。
 このように、我が国の国際貢献の幅は徐々に広がりつつありますが、この間、憲法九条の制約との兼ね合いは常に議論の種となってきました。
 一方、世界情勢は近年急速に緊迫の一途をたどり、本年三月にロシアがウクライナに対して侵略戦争を仕掛けるに至りました。このウクライナ戦争に対する日本政府の対応について、問題点を指摘したいと思います。
 今回の戦争で、日本は民主主義陣営の一員として一体どれだけの貢献をしてきたのかと。外務省がまとめた日本政府による対ウクライナ問題支援資料によれば、自衛隊による装備品の提供として、三月八日より、防衛装備移転三原則にのっとり、防弾チョッキ、ヘルメット、防寒服、テント、カメラ、さらには衛生資材、非常用糧食、発電機等、ウクライナに提供されました。その後、四月十九日に民生用ドローンの提供、また、八月四日に新たに民生車両をウクライナ政府に提供し、小型ドローンの追加提供も発表されています。
 自衛隊は、自前の装備品の中から分け与えることしか許されておらず、しかも、防衛装備移転三原則により、その品目は非殺傷の物資、つまり相手を殺してはいけないという、そういう物資に限られています。このような制約の下、車両はたったの数台、小型ドローンも追加分合わせて僅か四十数台、微々たる規模でしか貢献することはできません。
 一方、外務省は、ODA予算を活用した総額約五億ドルの緊急支援を行ってはいるが、物的支援は国際機関を通じた生活必需品や保健医療、衛生関係などの物資にとどまっています。ほかに、ウクライナ政府に対する六億ドルの借款、民間から寄贈された物資の輸送協力、避難民の受入れ支援などが行われていますが、現状の制約条件の中で事務方に任せていてはこの程度の支援にとどまざるを得ないのが自明であります。
 事務方の判断ではそれしかできない、厳しい言い方をすれば、ただのアリバイづくりでしかない。このようなときに必要なのは、政治の決断がなければいけないけれども、全く見えてこないです。こんな程度で本当に目に見える国際貢献を日本が果たせるかということが問題なんです。
 ウクライナでは、武器弾薬はNATO諸国が支援をしています。また、報道によれば、現地の民間支援団体がウクライナ軍に対してピックアップトラックの提供を行っているとのことです。言うまでもなく、自動車は日本が世界に冠たる基幹産業の一つであります。トヨタを始め世界的なメーカーが幾つもあります。これこそが日本が貢献すべき分野ではないでしょうか。
 自動車は民生品であり、防衛装備移転三原則には抵触しません。また、提供した車両が現地で何を装備されるか、どう改造されるかは現地のニーズ次第です。特に、世界中で評価の高いトヨタのいわゆるランクル、ランドクルーザーや日産のパトロールのようなクロスカントリー車、あるいはトヨタのハイラックスや日産のナバラのようなピックアップトラック、こうしたオフロードに適した車両は、前線と後方をつなぐ人員輸送や物資の補給など、幾らでも活用方法は見付かるはずです。例えば、思い切って一千台の車両をウクライナに送っても、一台一千万円としてたったの百億円です。
 湾岸戦争から約三十年たちました。あのときの屈辱を二度と味わうことがないよう、機を捉えて国際的プレゼンスを向上させていくことが肝腎です。
 この話は岸田総理にも届かないといけないんですが、防衛大臣や外務大臣にも勇気を持って決断していただきたい。今、具体論の話をしていますが、なぜそうしているかというと、ウクライナ戦争で日本がどれくらい国際貢献をしているのかということですよね。
 北朝鮮が連日のようにミサイルを日本海に向けて発射して日本を威嚇している、中国は台湾併合への意欲を隠さなくなってきている。これらの事態に対して、何となく遠くの他人事と思っている国民に向けて今なし得る現実的な政策を提示し、その実現を目指していくことが必要なんです。
 そうした国際的な視点を持たずに、憲法九条の改正に対する賛成、反対を幾ら議論しても、それは観念的なイデオロギー論争にとどまり、何をゴールとしてなぜ改正を進めていくのかの具体的なコンセンサスは決して得られない。具体的にどんな課題に対処するために憲法の何をどう変えていくのか、それを考えることが議論の前提であると強くお伝えし、私の話を終えたいと思います。
 ありがとうございました。
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中曽根弘文#9
○会長(中曽根弘文君) 大塚耕平君。
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大塚耕平#10
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
 憲法審査会での議論を始めるに当たり、国民民主党として今年の参議院選挙時に公約集に明記した内容に基づいて発言します。
 基本的スタンスは、人権、国民主権、平和主義を守るために憲法の規範力を高める議論を進めるという立場です。
 人権分野では、憲法制定時には予測できなかった時代の変化に対応するため、人権保障のアップデートが必要と考えます。特に、人工知能とインターネット技術の融合が進む中、国際社会では個人のスコアリングや差別の問題、国民の投票行動に不当な影響を与えるネット広告の問題などが懸念されています。デジタル時代において個人の自律的な意思決定を保障し、データ基本権を守るための憲法上の議論が必要です。
 統治分野に関しては、憲法上の定めが少なく規律密度が低いため、権力による恣意的な解釈、運用を許しやすいという問題があります。その弊害を是正するため、総理の解散権制限、臨時国会の召集期限明文化、憲法裁判所設置などの工夫が考えられます。
 コロナ禍で顕在化した課題を解決する観点から、緊急時における行政権限を統制するための緊急事態条項を創設し、いかなる場合であっても立法府の機能を維持できるようにすることが必要と考えます。とりわけ、議員任期満了時に、外国からの武力攻撃、内乱、テロ、大規模災害、感染症の大規模蔓延等の緊急事態に直面し、選挙ができない場合を想定し、議員任期の特例延長を認める規定の創設について議論すべきと考えます。
 憲法九条については、これまで九条が果たしてきた役割に配意しつつ、自衛権行使の範囲、自衛隊の保持、統制に関するルール、戦力不保持、交戦権否認を規定した二項の在り方の三つの論点について議論が必要と考えます。
 国民民主党は、護憲、改憲という二元論に陥ることなく、国民の皆さんと憲法対話を続け、国会で建設的な憲法論議を進めていきます。
 以上の公約集に明記した内容に加えて、二点申し述べます。
 第一は、参議院の合区問題に関してです。
 本年六月十日の本会議で発言した内容を要約して申し上げます。
 国民民主党は、合区はやめるべきだという立場です。その論拠として、憲法に定める法の下の平等は、国民は自らが居住する都道府県代表を最低一人は参議院に選出できることだと考えるからです。法の下の平等が人口割りの単純平等であるとは、憲法にも法律にも明記されているわけではありません。
 最高裁平成二十九年判決においても、各選挙区の区域を定めるに当たり、都道府県という単位を用いること自体を不合理なものとして許されないとしたものではない、議員定数の配分に当たり考慮を要する固有の要素があると指摘しているほか、令和二年最高裁判決も、都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮することを是認しています。
 合区によって県代表を参議院に送り出せないことが間接的に当該県の行政機能や行政サービスの内容や水準に影響を与え得るという観点から、司法が法的根拠の明確ではない人口割り、単純平等だけで立法府の構成について見解を述べることは三権分立の観点から問題があると考えます。
 憲法上の三権分立は、相互牽制にこそ意味があります。立法府、行政府の至らざる点は司法府の見識をもって臨むべきである一方、立法府の意思、行政府の責任に及ぶ問題を司法府が明文上の法的根拠がない判断基準をもって臨むことには、立法裁量権、行政裁量権の侵害という面もあります。裁判官に専門的知識が十分ではない問題や、住民に対する行政サービスやライフライン提供に関して責任が持てない問題に関して、司法が国民世論を二分するような判断を示すことは適当ではありません。
 以上のような観点から、三権分立に関する議論も必要だと考えます。
 第二に、中央銀行と憲法の関係についてです。
 一九九八年の日銀法改正時に私自身は日銀側で仕事をしていましたが、中央銀行の独立性と憲法第六十五条の関係も論点の一つでした。すなわち、同条において「行政権は、内閣に属する。」と定めていますが、中央銀行の権能は行政権に属するか否かという議論です。
 現在の日本銀行が大規模な財政ファイナンスを行っていることに加え、日銀は自力で短期間のうちに金融政策を正常化することができない状況に陥っていること、その一方で、今後の諸施策のために財源捻出も不可欠であること等を鑑み、国民民主党は、日銀保有国債の一部永久国債化という技術的手法を提案するに至っています。
 加えて、ウクライナ戦争等の影響から物価高騰が恒常化する懸念がある中、今後は中央銀行の独立性と憲法第二十五条との関係も議論する必要があります。
 第一項では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、第二項では「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定していますが、中央銀行の政策が手詰まりに陥っている中で、自己正当化のために憲法第二十五条に抵触するような金融政策を続けようとする場合、第六十五条に定める行政権の帰属との関係で、中央銀行の独立性を憲法上どのように位置付けるかという論点です。
 他にも憲法審査会で議論すべき論点は多岐にわたりますので、国民民主党としては、今後も憲法審査会で闊達な議論が行われることを期待します。
 以上で発言を終わります。
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中曽根弘文#11
○会長(中曽根弘文君) 仁比聡平君。
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仁比聡平#12
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。
 日本国憲法は、今年、施行から七十五年を迎えました。大日本帝国憲法下、幾多の戦争によって我が国とアジア太平洋諸国民の自由と平和が侵害された歴史を振り返るとき、日本国憲法と戦後日本の歩みには計り知れない重みがあります。
 ところが、岸田政権にはその認識が驚くほど欠けています。安倍元首相の国葬強行はその一つです。戦前、国葬は、大日本帝国が国民の自由と権利を圧殺し、植民地支配と侵略戦争へ突き進む中で発せられた大正十五年十月の勅令、国葬令に基づいて、戦争遂行へ国民を精神的に総動員するてことされました。だからこそ、日本国憲法の下、国葬令は失効し、国葬の法的根拠は失われたのです。それは、天皇絶対の戦争国家から主権在民、恒久平和を希求する平和日本へという我が国の歴史の根幹に関わる問題であり、それを一閣議決定で行えると考えたこと自体、驚くべき浅はかさと言うべきです。
 反社会的不法行為を続けてきた統一協会と自民党の底なしの癒着はどうでしょうか。
 国民の怒りと不信が沸騰する中で、岸田政権は、関係を絶つと言いながら、これまでの関係のどこが問題で、なぜ関係を絶たなければならないのか、何度聞かれても自らの言葉で語れず、政府・自民党としての責任ある調査を行おうとしません。その根本には、岸信介元首相以来半世紀を超える深い闇があります。
 一九七八年四月、福田赳夫首相は本院予算委員会で、統一協会と関係を絶てと迫る我が党議員に、勝共連合というのは、自由民主党といろいろ反共という点で共通する点があるんです、そう悪いことを一般的にしておるというような認識ではございませんので、調査するということは考えませんと開き直りました。
 一九八七年七月、中曽根康弘首相は本会議で、自民党は縁を切れとかなんとか言っておられますが、これは思想と行動の自由に対する重大なる侵犯発言であると私は考えていますと居直りました。
 政府・自民党が統一協会と反共、改憲、ジェンダー平等への敵対で一致し、相互に利用し合い、重大な人権侵害の後ろ盾、広告塔になってきたことは重大な憲法問題です。
 既に、一九九九年、日本弁護士連合会は、統一協会による人権侵害を民法上の不法行為と断じた幾つもの判決やヨーロッパの取組を踏まえ、宗教的活動に係る人権侵害についての判断基準を示していました。そこからでも四半世紀以上、全く反省のない岸田政権に憲法改定を語る資格はありません。
 立憲主義を取り戻し、日本国憲法が求める人権、平和、民主主義を全うならしめることこそ国会の責任です。ウクライナ危機に乗じて日本の政治に起こっている敵基地攻撃能力保有や核共有など、大軍拡と憲法九条改悪の大合唱は重大です。それは、専守防衛を捨て、戦争をする国へ、逆に戦火を呼び込み、暮らしと自由を壊す危険な道にほかなりません。
 戦争に勝者はありません。戦争は政治の敗北にほかなりません。ロシア・プーチン政権が核兵器で世界を威嚇し、ウクライナ侵略を続ける中、六月、ウィーンで開かれた核兵器禁止条約第一回締約国会議は、核兵器の非人道性を再確認し、核兵器のない世界に向けた希望あるメッセージを発して、画期的な成功を収めました。そこには、植民地体制の崩壊、百を超える主権国家の誕生という世界の構造変化の下、全ての国々が対等、平等の資格で国際政治を動かす生きた力を発揮する新しい時代が開かれつつあることが示されています。
 米国と軍事同盟を結ぶドイツ、ノルウェー、ベルギー、オランダ、オーストラリアの五か国がオブザーバー参加し、例えばドイツが、ロシアによる核威嚇には核使用を禁止する規範の強化が必要だとし、心を開き誠実に対話することが必要不可欠だと述べるなど、立場の違いはあっても建設的な対話を続けていこうという姿勢は注目されました。
 唯一の戦争被爆国日本には特別の役割と責任があります。戦後七十七年、被爆者がどれほど苦しめられてきたか、その非人道性を世界に訴え、核兵器禁止条約を批准し、核兵器のない世界へ先頭に立つときです。力ずくで他国の領土や民族を支配しようとする歴史の逆流を決して許さず、何としても二度の世界大戦を経て人類が到達したどんな紛争も戦争にしないという国連憲章に基づく平和の秩序を取り戻し、強化する平和外交こそ必要です。
 私は、弁護士として、目の前の一人の被害者の後ろには同じように苦しむ千人の人たちがいると肝に銘じ、被害ある限り絶対に諦めないと力を合わせてきました。憲法は国民のものです。国民は改憲を求めていないのに、上から押し付けようとするところに根本的な矛盾があります。この憲法審査会を動かすことは、勢い改憲項目をすり合わせ発議への地ならしとなる重大な危険をはらんでいます。
 審査会は動かすべきではないことを改めて強く申し上げ、意見表明といたします。
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中曽根弘文#13
○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。
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山本太郎#14
○山本太郎君 れいわ新選組代表の山本太郎です。
 コロナで危機感を持った国民がいる間に憲法改正を進めようという声が聞こえてきます。そのやり口を詐欺と呼びます。災害便乗型の詐欺です。本審査会の尊敬する諸先輩方の中にはそのような火事場泥棒的発想を持つ人はいないので、今日は安心して発言できることを感謝申し上げます。
 憲法改正は、立法府が取り組むべき優先順位としてかなり低いものであることをしっかり政治家が認識しなければなりません。
 二〇二二年参議院選挙後の七月に行われた共同通信世論調査、選挙で投票する際、最も重視した政策を見てみると、一位が物価高、経済対策四二・六%、二位が年金、医療、介護一二・三%、三位が子育て、少子化対策一〇・四%、四位が外交や安全保障九・六%、五位以降にコロナ対策、原発、エネルギー対策と並び、憲法改正五・六%。国民が求める国政における重要課題は憲法改正ではないと分かります。
 国民にとっての最重要課題は、目の前の生活です。不安しかない将来、老後です。改憲を直ちに進めたいという人には申し訳ない話なんですけれども、憲法を変えなければ直ちに不都合がある状態ではございません。逆に、現行憲法が遵守されなければ、命や暮らしが脅かされる事態が存在します。二十五年間に及ぶ経済不況、そこにコロナの感染拡大、そして輸入物価高という三重苦の中で、明らかに生存権や幸福追求権が脅かされ続けている。
 本年、岸田政権の経済財政報告の資料にあった所得の中央値、全世帯で所得の中央値が二十五年間で百三十一万円も減少したと。先進国の中で唯一不況が続き、衰退し続ける国が日本、先進国の中で唯一日本だけが賃金が上がらない国、高い所得から低い所得、全て並べて真ん中の値、中央値が百三十一万円も低下、一部の勝ち組以外は多くが貧しくなった、それが日本なんですね。
 この三十年近くの間、ほぼ一部資本家のためだけに政治は機能してきた。直間比率の是正の掛け声とともに、大企業に対する大減税を行い、それと両輪で消費税を減税、働き方の流動化の名の下に、労働環境を不安定にし、いつでも首を切れる非正規労働者を増やす、海外からの低賃金労働者も流入させ、賃金が上がりづらい圧力を強める。人々の収入を減らし購買力を奪い、事業者の収益を減らし国内の需要を落ち込ませる無限ループ。国内産業は新たな需要を求め国外に移転、国内の空洞化は加速しました。一方で、資本家は過去最高益を上げ続ける。賃金を削り、未来への投資、設備投資も削り、株主への還元を最大化する株主至上主義に転換、内部留保は十年連続過去最高、昨年は五百十六兆四千七百五十億、一一年度からの増加率は約八割です。
 その一方、国民生活どうなっていますか。コロナの前、二〇一九年、厚労省大規模調査を見れば、生活が苦しい、やや苦しいと答えた割合、全世帯で五四・四パー、母子世帯で八六・七パー。コロナの前から憲法二十五条違反なんですよ。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と、憲法二十五条守られていませんよね。憲法改正云々言う前に、やるべきことあるんです。
 将来に不安しかない、そういった人々の認識が広がれば生きる希望も失われます。厚労省人口動態統計を見ると、二〇一九年時点で、十五歳から三十九歳の若者の死因、死ぬ原因の第一位は自殺です。
 子供から大人まで死にたくなる社会を広げたのは、紛れもないここ永田町。社会不安を自分たちの手でつくっておきながら、その責任も感じない政治家たちが今もあぐらをかいている状態ですが、自分たちがまいた種により、見捨てられた就職氷河期、老老介護、介護離職、介護殺人、ヤングケアラーなど、社会問題は肥大化しています。
 個人として尊重されるどころか、自助、共助で何とかしろ、甘えるな、国にもたれかかるなという憲法十三条違反はずっと前から続いています。まさにこの世が地獄、そこにコロナの感染拡大、打撃を受けたのは、ここの三十年で最も政治が切り捨ててきた弱い立場の方々です。
 特に、女性の貧困と自死が加速。二〇二一年、横浜市が行ったロスジェネ、非正規女性の調査。年収はほぼ二人に一人が二百万円未満、貯蓄は十万円未満が最も多い。収入の低さから病院にもなかなか行けないという実態が明らかに。二〇二一年自殺対策白書、飲食サービス業など非正規女性が多い現場の雇用環境が悪化。二〇一九年までの五年間の平均と比べ、女性の自殺者数は三割近く増加。学生も困窮、親の収入が減少、バイト先の仕事もなくなり、経済的事情で退学を余儀なくされた者もいる。
 これらは過去の話ではありません。毎週土曜に民間が行う新宿都庁前での食料配布、受け取る人の数はコロナ前で四十人から七十人程度でした。今年の十月二十九日には、過去最高六百三十一人、コロナ以前の十倍もの状態。永田町の政治家が想像するよりもはるかに時代は悪化の一途をたどっている。
 政府は、目の前の物価高騰に策を打つと言いますが、見当違いも甚だしい。二十五年以上の不況、そしてコロナ、そこに輸入物価高騰、この三重苦を何とかする意識と気概と政策がなければこの国は立て直せない。そして、この憲法違反の状況は是正されません。消費税を廃止、悪い物価高騰が収まるまで一律の現金給付は、緊急対策としてマストです。
 本審査会は、憲法がその趣旨どおりに実施されているか、憲法違反が生じていないかを調査する役割を持つと先日の理事懇談会でも確認されました。憲法を通しての行政監視を行える唯一の本審査会で、本日私が発言した二十五条違反、十三条違反はもちろんのこと、それ以外にもほごにされ続けている憲法違反及び疑いに関する調査を徹底的に行い、しっかりと是正するよう政府を導き監視する、そのような本審査会の本来の本格的活動に期待して、私からの発言を終わります。
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中曽根弘文#15
○会長(中曽根弘文君) 以上で各会派の意見表明は終了いたしました。
 次に、委員間の意見交換を行います。
 一回の発言時間は各三分以内でお述べいただきたいと存じます。
 なお、発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。
 牧野たかお君。
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牧野たかお#16
○牧野たかお君 自由民主党の牧野たかおでございます。
 私は、合区解消と地方公共団体、特に地方公共団体の憲法上の位置付けの明確化について申し上げたいと思います。
 現在の日本国憲法では、第八章として、第九十二条から第九十五条までに四条を設けて、地方自治の基本原則、地方公共団体の機関、直接選挙、地方公共団体の権能及び特別法の住民投票について規定をしております。
 同じ統治機構について記述している国会、内閣、司法、それに財政の部分に比べてもその分量は極めて少ないものであり、広域地方公共団体の都道府県と基礎的な地方公共団体としての市町村の位置付けも憲法上明確ではありません。
 全国知事会がまとめた報告書でも、基礎的な地方公共団体と、これを包括する広域的な地方公共団体と明示する条文改正を含む地方自治に関する憲法の改正草案が提示されております。
 地域の自主性を尊重し、多様な魅力を生かすことができる社会を実現していくためには、現代における分権型社会の在り方も念頭に置きつつ、現在の都道府県と市町村を広域の地方公共団体と基礎的な地方公共団体として憲法に位置付けることで、都道府県と市町村の基盤の安定化と地方自治の強化を図っていくことが必要だと考えております。
 同時に、都道府県が災害対応や感染症対策などを政府と連携しながら進めている現実を直視しますと、国と一体となって救出や復旧活動に当たり、また、地域の民意をまとめて責任を持って国政につないでこれを反映させる機能を持っている都道府県という単位に代わる存在は、現時点ではほかにありません。
 また、我が国が明治以降育み、今も住民になじんでいる都道府県という区分を無視した二県合区の弊害についても、憲法に投票価値の平等の規定があるから仕方がないといって諦めることはできません。
 参議院としての責任を果たすべく、この憲法審査会においても、与野党を超えて、合区解消と地方公共団体の憲法上の位置付けの明確化について一日も早く具体的な議論を進めていき、国民の皆様に最終的な判断を委ねるべきだと考えております。
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中曽根弘文#17
○会長(中曽根弘文君) 熊谷裕人君。
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熊谷裕人#18
○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷裕人でございます。
 去る十月二十五日に自民党は、党改革実行本部のガバナンスコード改訂案を総務会で正式に決定をし、旧統一教会及びその関連団体との関係遮断を徹底し、活動を助長する行為及びこれらの組織、団体からの不当な政治的な影響を受ける行為については、厳にこれらを控える方針を明確に打ち出しております。
 裏を返せば、これまでこれらの行為が行われてきた可能性を認めるものではないかと私は思っております。
 そこで、本審査会で憲法議論を進めていく前に、自民党の委員の皆さんがこの選挙で世界平和連合から推薦確認書の提示を受けたり、それに署名をしたことがあるかの確認、そして、旧統一教会、世界平和統一家庭連合の推薦を受けていないかということの確認、そしてさらに、昨年六月に発足し、本年八月末に解散した自民党の日本・世界平和議員連合懇談会という議員連盟への所属などについてまずは確認をさせていただきたいなというふうに思っております。
 というのも、統一教会の構成団体と関連団体に関しては、平成十三年六月二十九日の札幌地裁の確定判決で国際勝共連合は統一教会の構成団体と認定をされているからであります。そして、その国際勝共連合と姉妹団体である世界平和連合と付き合っていると、先ほど述べました日本・世界平和議員連合懇談会の会長代行であります奥野信亮衆議院議員は付き合っていると明言をしており、そして会議には国際勝共連合の幹部も出席しておりました。委員の皆さんが様々な形でこれらの団体からの推薦や議連の所属ということであれば、政策的な影響を受けたのではないかという疑念が拭えないからであります。
 国際勝共連合が訴える憲法改正条項と、先ほど山本幹事も言及しておりました自民党の改憲四項目は近似している上、家族観やLGBTQ、性教育に関する考え方なども近似しているので、残念ながら憲法議論へは進めないのではないかというふうに考えております。
 私は、まず、小西幹事も言及していた憲法違反問題の議論を進めるべきと考えており、そして憲法審査会は、この憲法審査会を速やかに進めていくためにも、委員の皆さんへ、先ほど述べた推薦確認書や推薦、議連への所属に関することについて一人一人確認をさせていただきたいところでありますが、時間がないので資料の提出を求めたいと思っております。
 後ほど幹事会の協議事項として取り扱っていただくように会長へお願いをさせていただいて、私からの意見表明とさせていただきたいと思います。
 以上です。
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中曽根弘文#19
○会長(中曽根弘文君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会において協議いたします。
 堀井巌君。
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堀井巌#20
○堀井巌君 憲法審査会は、憲法調査会及び日本国憲法に関する調査特別委員会を引き継いで設置された機関であり、一つ、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制についての広範かつ総合的な調査、一つ、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等の審査を行う審査会であると認識しております。
 国民からの負託を受け、その代表として審査会に出席している我々は、憲法上の重要な論点について国民に分かりやすく各々の考え方を示すことが重要であると思います。憲法について多様な意見があるのは民主主義が機能している証左でもあります。私は、多様な意見に真摯に耳を傾け、他の委員の方々とともに国民の方々に論点をお示しをしていきたいと考えています。
 憲法九条について一言述べたいと存じます。
 国家の最大の目的は、言うまでもなく国民の生命、身体、財産を守ること、すなわち平和を守り抜くことであります。第二次世界大戦後において、我が国は最も厳しい安全保障環境に置かれており、またロシアによるウクライナ侵略に見られるように、国際法を無視した力による一方的な現状変更の試みが多くの人々の命を奪っている現状を鑑みたとき、安全保障の核である自衛隊の存在を憲法上どのように考えるのか国民に示していくことは政治の責任であると思います。
 現在、政府において、いわゆる安全保障三文書の改定作業が行われています。与党においても精力的に議論をしています。その中で、議論の土台というべき憲法上の自衛隊の位置付けについて、いまだ多くの憲法学者が違憲論としているのが現状です。有事の際に自衛隊の存在や活用を前提しているのであれば、憲法上の自衛隊の解釈を確定することが重要と考えます。
 私は、自民党案のとおり、憲法九条に実力組織である自衛隊を明記し、合憲であることを明確にすべきであると考えます。もし九条を改正すべきでないという会派があれば、なぜ自衛隊を明記せず、違憲論がある状態を継続することが我が国の平和を守り抜くことになるのかを分かりやすく説明をいただきたい、そして議論を深めたいと考えております。
 憲法制定以来、最も大きな争点でもある憲法九条について、各党各会派が現在の安全保障環境に照らしつつ各々の考え方を示し、平和を守り続けるためにいかなる規定ぶりが適切なのか、国民とともに考えるきっかけとなる建設的な憲法審査会になることを切望しています。
 以上です。
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中曽根弘文#21
○会長(中曽根弘文君) 音喜多駿君。
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音喜多駿#22
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
 我が党の猪瀬委員より具体論について申し述べましたので、私からは総論について意見を申し上げたいと思います。
 我々日本維新の会は、二〇一六年に公表した憲法改正原案、教育の無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置の三項目に加えて、今年に入り、平和主義、戦争放棄を堅持しつつも、自衛のための実力組織として自衛隊を憲法に位置付ける憲法九条の改正及び緊急事態条項の制定を公表しております。これは、ウクライナ情勢や新型コロナ対策という直近の事態で明らかになった日本社会の課題にも対応するために加えたものであります。
 ところで、直近の衆院選、参院選において、ほぼ全ての政党が日本の課題として挙げていたものが幾つかあります。例えば、人口減少、少子高齢化はどの政党も課題と捉え、政策を掲げておりました。あるいは、東京一極集中と地方の衰退や我が国の安全保障を取り巻く脅威といった点も多くの政党が共通課題と考え、解決に知恵を絞っているという状況です。
 一方で、憲法はその間に何をしていたかというと、制定以来一度も改正を経験していない。すなわち、政治、経済、社会や国際情勢の変化に対して憲法は何らの応答をしてこなかったという敢然たる事実がございます。この点を主張いたしますと、憲法改正をしなくとも、立法や行政権の行使により課題解決を図ることは可能であるという反論もございます。確かに、憲法に求められる高度の安定性を踏まえれば、傾聴に値する御見解です。
 この安定性を礎に、憲法改正をしなくても課題解決ができることもあるし、そうした時代もあったことでしょう。しかしながら、憲法には政治、経済、社会の動きに適応する可変性もまた不可欠です。可変性を失った硬質過ぎる憲法は、その硬質度ゆえに内閣法制局や時の政権によって恣意的に解釈、運用され、結果的に軟性的な憲政へ向かっていきます。これは、いわゆる護憲派と呼ばれる方々にとってもむしろ最も忌避するべき事態ではないでしょうか。
 そして、憲法制定時には想定していなかった現代社会の課題を解決するには、憲法にふさわしいグランドデザインを書き込むことが必要です。例えば、我が党が改正案として提示している教育の無償化、これが実現すれば、時の政権が替わったとしても、教育の機会平等を国民の総意による普遍の理念として位置付けることができます。今は極端に少ない教育予算についても、憲法事項として政策実施することになり、そのための予算の確保においても最優先事項となり得ます。
 イデオロギーに関係なく、現代社会の課題解決のために必要となる憲法事実について、衆参の憲法審査会の場で審査をし、国民に選択肢を示すべく結論を出すこと、このことこそが現代社会の課題解決という職務を担っている国会議員、憲法審査会のメンバーの重大な職責であるということを強く申し上げて、私からの意見とさせていただきます。
 ありがとうございます。
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中曽根弘文#23
○会長(中曽根弘文君) 片山さつき君。
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片山さつき#24
○片山さつき君 ありがとうございます。
 自由民主党の片山さつきです。
 今年の三月は、国民の多くが核共有についての憲法上の制約の有無を含め議論は避けるべきでないとお考えであるということを申し上げました。今回は、自衛隊の処遇面での改善において、自衛隊の憲法九条明記が果たし得る役割に触れさせていただきます。
 自衛隊を評価される国民は九割にも達しておりますけれども、いざ、じゃ、自衛隊は合憲なのか、あるいはそういう質問については分からないとか、まあまあ否定的な答えもあります。政府解釈では自衛隊の合憲性を一貫して言っているわけでございますが、憲法に明文の根拠規定がありません。
 だから、ここで神学論争に終止符を打とうというのが提案の一つの理由ですが、その一つの切り口として、現状の自衛官の俸給の在り方があります。つまり、発足前に警察予備隊であった自衛隊であることもあってか、自衛官の俸給表は二佐クラスでは警察官、刑務官等と同等の公安職がベースでありまして、一佐になりますと、行政職の(一)というのは、もう私もそうでしたけれども、役所の課長さんとか課長補佐さんとか、そういう俸給表に並びになり、さらに、将とか将補になりますと、行政の指定職、局長とか審議官と並びになるんですね。で、危険を伴う業務がいろいろ多様化してきたことによって、特殊勤務手当をとにかく増やして積み上げてきて、イラクのときにはついに日額二万四千円まで行ったわけですが、今、防衛力強化に七割から八割の国民が御賛成をいただいて、三文書の議論もしているわけでございます。
 そして、処遇の改善には非常に多くの割合の国民がポジティブな反応をいただいているわけですから、今この状況で、若者が少なく人手不足の日本では募集は非常に困難になっております。
 自衛隊の憲法明記は自衛隊の地位を高めることにもつながりますが、新たに任務や権限を与えるわけではありません。いろいろ御懸念の皆様が心配されるようなことなく、基本的な処遇を、そして俸給体系を引き上げるきっかけになり得ることと思います。
 先般来日された元太平洋司令官のブレアさんは勲一等旭日大綬章なんですね。ただ、自衛隊のトップの統合幕僚長になっても勲二等瑞宝章であります。万が一の場合の功労金や報償金も、警察の方は九千万円ですが、自衛隊は今六千万円までになっており、ミサイルの能力も向上し核実験も取り沙汰されているこの状況の中、防衛力強化に国民の八割が賛成している今、何とか自衛隊の九条への明記について本審査会でもできるだけ早く議論としていただきたいと考える次第です。
 ありがとうございます。
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中曽根弘文#25
○会長(中曽根弘文君) 山添拓君。
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山添拓#26
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 参院選後のNHK世論調査で、政府が取り組むべき政策課題として憲法改正を挙げた人は六%にすぎませんでした。改憲は政治の優先課題ではありません。
 憲法審査会は、憲法改正原案及び改憲発議の提出と審査を任務とする機関であり、国民が求めていない中、動かすべきではありません。安保三文書の改定を見据え、憲法を壊す動きが加速していることこそ大問題です。
 政府・自民党は、敵基地攻撃と言いながら、相手国の指揮統制機能等を含むとし、日本でいう総理官邸や防衛省本省などをも攻撃できる能力を持とうとしています。攻撃型の兵器は憲法の趣旨に反するため保有できないとしてきた従来の立場を大転換し、専守防衛を投げ捨て、事実上先制攻撃まで可能にしようとするものです。
 安保法制、集団的自衛権の行使とセットで使われる危険は深刻です。日本が攻撃されてもいないのに、アメリカが戦争を始めると、自衛隊が米軍と一体に敵基地攻撃能力で相手の国に攻め込む、相手にとっては先制攻撃となり反撃を招きます。日本を守るための抑止力などではなく、米軍を守るために使われ、日本を戦争に巻き込むものと言わなければなりません。軍事費をGDP比二%、この先五年で四十八兆円もの大軍拡に突き進めば、増税か他の予算の削減か国債発行か、いずれであれ暮らしと経済を圧迫することは明らかです。
 軍事的抑止力への依存は、いざというときには戦争し、勝てるだけの能力を保有し、誇示することにほかなりません。それは安全保障のジレンマに陥り、緊張関係を高めるばかりです。
 日本共産党は、米中をも包摂した平和の枠組みが必要だと提起してきました。ASEAN諸国は、軍事同盟ではなく、東アジア・サミットの枠組みを強化することで紛争の平和的な解決を目指しています。この枠組みを米中を含む東アジア全域に広げる、こうした外交ビジョンを持つべきです。
 日本国憲法前文は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを決意しています。今行うべきは、空前の大軍拡に突き進むことでも憲法を変えることでもなく、憲法九条を生かし、対話と協力の地域をつくるために知恵と力を尽くすことだと強調し、発言といたします。
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中曽根弘文#27
○会長(中曽根弘文君) 浅尾慶一郎君。
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浅尾慶一郎#28
○浅尾慶一郎君 自由民主党の浅尾慶一郎です。発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私は、日本国憲法の前文について取り上げていきたいというふうに思っておりますが、まずその前に、この日本国憲法が制定した過程、もう皆さん、先生方御存じのとおりだと思いますけれども、帝国憲法を全面的に改正したものであるということを改めて申し上げておきたいと思います。
 そして、この憲法が制定されたときは、我が国は主権が制限された中で制定されていたものであり、なおかつ国際社会に目を向けた場合には、まだ米ソ冷戦という状況ではなかった、そういう中で制定された憲法であるということをまずもって申し上げておきたいと思います。
 加えて、その後の変化、特にロシアがウクライナを侵略するといったようなことが起きておりますし、あるいはまた、日本の近郊においても北朝鮮が日々様々な核開発あるいはミサイルを発射する、そして、中国と台湾との間で様々な緊張があるというようなこと、そうした国際情勢の変化があるということも併せて付言をさせていただきたいと思います。
 大切なことは何かというと、先ほど来お話がありますけれども、国民が求めているかいないかということとは別に、どういう国際情勢の中で、冷静に判断をしながら私たちが取り組むべきことに取り組んでいくことが必要なんではないかなというふうに思います。
 時間の関係で、前文のところで一つだけ申し上げておきたいと思いますが、例えば前文の中で、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、」という文言がありますが、この平和を愛する諸国民の公正と信義の中に、では果たしてロシアや北朝鮮が含まれるのかどうか。こうしたことを考えた場合には、様々な議論をして正しい憲法に変えていくということは私は当然のことではないかと思いますんで、是非委員の皆様方の御議論をお願い申し上げたいと思います。
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中曽根弘文#29
○会長(中曽根弘文君) 吉田忠智君。
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