浅尾慶一郎の発言 (財政金融委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○浅尾慶一郎君 私は、今、黒田総裁言われたとおりだと思っておりまして、基本的にこの間、日本銀行が行ってきた金融政策は一定程度の効果を出してきたんだろうというふうに考えております。
 一方で、この例えば日銀のバランスシートを見てみますと、十年前と比べると約、そうですね、六倍ぐらいになっているんですかね、バランスシートの大きさは六倍になっていると。これ、一般の人が想像されるのとは違って、いわゆるお札、お札というものは、旧券以外で七十兆円だったのが今百十四兆円になっていますと。ところが、当座預金、十年前が、二〇一二年の三月末で三十四兆円だったのが今四百九十三兆円になっていると。ですから、預金が相当増えていると。要は、日銀がお金を出したものが結果として銀行から日銀に戻ってきているということであります。
 同時に、その銀行券の方も、多分ほかの国の経済と比べると、いわゆるお金の回転率というんですかね、百十四兆円の現在の日銀券、実はその古いやつ、まあ古いやつと言うとちょっと、古いお札ですね、お札が、今でいうと六兆六千億円、聖徳太子とかまだ戻ってきてないと。戻ってきてないというか、この古いお札は使うと、仮に銀行に行けば裁断されるのでなくなるはずなんですが、使われていないでどこかにあるということでありまして、私は、基本はこのお金が回っていないということが一番の問題でありまして、日銀はやれることをやっているんだけどお金が回っていない、ここを変えない限りは、安定的に、特に人件費が上がっていくような形の物価安定目標の二%は達成できないんではないかなというふうに思っております。
 この政府と日銀とのアコードを見ますと、第三項に、例えば、政府は我が国経済の再生のため、いろんなことが書いてありますが、イノベーション基盤の強化、これは大変重要なことでありまして、このことについては、私は、日本発の人工光合成をやって新たな技術を日本の中で生み出していこうと、これはかねて主張していますが、こういったことをやっていったらいいと思いますが、同時に、多分、すぐ効くものは何かというと、規制・制度改革の中で、特に労働市場の改革なんではないかなというふうに考えています。
 今、労働市場、実はかなり逼迫をしておりまして、逆転現象と言ってもいいようなことが起きているんではないかと。具体的に言うと、非正規の方の給与の上昇率の方が長い期間にわたって正規の方よりも上がっていると。それから、正規の仕事であっても、ジョブ型と定義されているようなそういった仕事、例えばITの仕事なんかは割とその仕事の内容が定義されていてジョブ型になっておりますが、こういったものの上昇率が高いわけでありまして、いわゆる正規の中で、メンバーシップ型、終身雇用を前提とした大企業の雇用のところの賃金がなかなか上がってきていないということでありまして、この労働市場の改革、かなりドラスティックなことをやる場合には、いわゆる金銭解雇を中心としたようなことを認めていく、あるいは、例えば年間の給与の何倍、まあ例えば二倍ぐらいを払ったら労働が流動化していくというようなことをすると全体が市場的になっていくんじゃないかなというふうに思っておりまして、これは日本銀行の仕事ではなくてむしろ政府の方の仕事ということになりますが、こうしたことを政府の中で是非やっていっていただけたらいいのかなというふうに思います。
 もう一つ、これは是非、今日は鈴木財務大臣に、お越しでいらっしゃるんで、是非御検討いただきたいことがあるんですが、実は、日本の場合はこの労働市場の中で国がお金を払っているところで働いている方の割合が多分比較的大きいんではないかなというふうに思います。これは公務員の数が多いということを言っているわけではありません。国のお金で働いている人の割合が多い。
 具体的に言うと、医療、介護の世界、これは全て診療報酬でもって賄われておりますけれども、この診療報酬は国が点数を決めていると。今、介護の世界でいうと、なかなか人が集まらないので特別養護老人ホームでも廃業をしようというところも出てきているということも聞いておりますけれども、例えば思い切ってこの介護の人にその人件費を増やしていく。これは財政の支出ということ、特別会計からの支出という形になるかもしれませんが、ということにもなってくるかもしれませんが、そういったことを考える余地はないのか。
 あるいはまた、今防衛費を増やしていこうということになりますが、例えば十八歳の人口を考えますと、十八歳で大体八十万人ぐらいということなんではないかというふうに思いますけれども、この防衛予算を倍にするときに、今の防衛予算の構成を見ますと半分弱が人件費ですが、じゃ、八十万人の中で、今でさえ定員の充足率が足りないところでそれを少しでも増やそうと思ったらどうやっていったらいいか。それは任期付自衛官の処遇をかなり大幅に改善していくということが必要なんではないか。
 こういった、かなりドラスティックな政策ではありますけれども、思い切ったことをすることによって、言わば人件費型のクラウディングアウト、クラウディングアウトというのは民間の投資需要を国が借金をすることによって取り上げてしまうということでありますが、逆に国の方で高い人件費を払うことによって今の労働市場を改革していくということも、先ほど申し上げました労働市場の改革と併せてやれることなんではないかというふうに思いますが、できる範囲で、思い切って踏み込んだ御答弁を是非鈴木大臣にお願いしたいと思います。

発言情報

speech_id: 121014370X00420221117_011

発言者: 浅尾慶一郎

speaker_id: 14944

日付: 2022-11-17

院: 参議院

会議名: 財政金融委員会