増田悦子の発言 (消費者問題に関する特別委員会)

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○参考人(増田悦子君) 公益社団法人全国消費生活相談員協会の増田でございます。
 この度は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 本協会は、全国の消費生活センターに勤務する消費生活相談員を主な構成員とする公益社団法人です。本日は、消費生活相談員の立場で意見を述べさせていただきます。
 初めに、この度の消費者契約法の改正についてですが、現行四条三項六号が拡大され、対象範囲が広がることで被害救済に資するものと思います。現行の逐条解説においても、例えば家族の死亡や病気であっても、当該消費者に重大な不利益を与える事態に該当し得ると解説されていますが、法律に明記されたことで活用しやすくなると考えます。
 しかし、元々活用が難しい規定ですので、逐条解説を更に充実していただき、消費生活相談において広く活用できるようにしていただくようお願いいたします。
 また、取消し権の行使期間を伸ばすことについても、被害に気が付くまでに時間の掛かることが多くあるため、大変有効なものと思います。
 しかし、この度の期間伸長は、霊感等による告知によるものが対象です。被害に気が付くまでに時間が掛かるのは、実は霊感商法だけではありません。知識、経験が少ない若年者は、精神的にもセンシティブで悩みを抱えていることが多くありますので、それに付け込む悪質な勧誘によって精神修養講座やマルチ取引などに引き込まれ、ある種マインドコントロールされてしまうケースがあります。
 高齢者においても、話し相手や相談相手がいない、情報収集が困難などの環境に置かれ、付け込まれることがあり、孤立している場合、被害の発見が遅れます。このようなケースでは早期に本人から相談が寄せられることは期待できず、相当程度時間が経過してからやっと相談してきたり、高齢者の周りの方が気が付いて相談してくるということになります。当事者が気が付いたときには既に時間が経過していることから、諦めるということも多いのではないかと思われます。
 マルチ取引、精神修養講座、占いサイトなどの相談においては、やめさせたいという親や友人からの相談を受けることがあります。当事者にどのような情報を提供するか、どのように問題点を伝えるかということを家族等に助言をしますが、家族にとっては大変難しく、その後何度も連絡が来ることがあります。当事者に消費生活センターに来てもらうことに時間が掛かり、やっと来てもらっても、その取引の問題点を説明して、解約の意思表示をするまでには更に時間も労力も掛かります。
 消費者契約法の今後の課題として、いわゆる付け込み型の不当な勧誘があった場合の取消し権の導入、マインドコントロール下にあって合理的な判断ができない状況での契約を取り消すことができる制度としていただくこと、そして、霊感商法以外の取引においても取消し権の行使期間を伸長していただきたいと思っています。
 次に、国民生活センター法の改正についてです。
 国民生活センターのADR、紛争解決委員会は、消費生活センターにおいてあっせんをしても解決が困難である事案が多く寄せられています。紛争解決委員会では、申請人から丁寧な聞き取りや事案の整理を事務局でしていただき、委員会では、弁護士の先生の法的整理と、消費生活相談員とともに説明することの相乗効果によって、事業者の方にも理解していただきやすいと実感してきました。
 法改正によって紛争解決委員会が強化されることは、消費生活相談員、一般の消費者にとって大変有益であると考えます。また、国民生活センターによる事業者名公表は、私たち消費生活相談員と非常に近い問題意識での速やかな公表となるのではないかと期待しています。そして、法律に明記されることで事業者に対しても説明しやすくなるのではないかと思います。適格消費者団体へのADR情報の提供も大変有益であると考えています。
 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案についてですが、非常に短期間に作成され、大変な御尽力であったと思います。新法ができたことは、今までよりも救済の幅が広がるスタートとして期待しています。そして、真に救済ができるかどうか課題があるという指摘がありますので、運用状況を見ながら、速やかな見直しを検討していただくことが必要だと考えます。
 消費生活相談体制の充実についてです。
 消費生活センターでは、寄せられた相談に対して、できるだけの助言、情報提供を行い、必要に応じてあっせん交渉をすることが基本です。これまで、相手方が宗教法人であっても、宗教に関連して商品や役務の取引をしたという場合は消費生活相談としても対応し、その取引に不当な勧誘等があれば、必要に応じてあっせん交渉を行ってまいりました。
 しかし、寄附やお布施についての対応は困難でした。当事者が寄附、お布施という認識で金銭を渡している場合に、当事者から相談が来るということはほとんどありません。当事者がマインドコントロールされていたり信用してしまって合理的な判断ができなくなっているような場合、親族等が相談してくるケースでは、助言、情報提供にとどまります。消費生活相談だけでなく、一般の方や事業者、宗教法人においても、寄附やお布施が取消しの対象となったり無効になり得るという理解はされていなかったのではないでしょうか。
 今後は、寄附、お布施の見解を広く周知していただく必要があります。それによって寄附、お布施に関する相談が寄せられるようになり、新法によって当事者でなくても子や配偶者に生じた被害の救済が一定程度可能となることを伝えることができます。
 それらは恐らく大変困難な事案ですので、消費生活センターで解決できないことが多いと思いますが、相談を整理して問題点を明確にし、適切な相談窓口を案内することができます。消費生活相談員が対応することで、自分の落ち度ではないこと、自分だけの問題ではないことが分かり、心の整理が付きます。そして、相談員の助言によって次のステップに進むことができると考えています。被害に加えて、精神不安定になったり体調不良に追い込まれることがないようにする必要があります。
 社会の変化に伴って消費生活相談も変化します。今回、寄附、お布施についての整理をしていただきましたので、消費生活相談において、消費者問題としてしっかり受け止め、できる限りのことを行うことが求められています。
 しかし、現状では、消費生活相談員は、これらの相談にどうすれば適切な対応ができるのか不安に思っていると思います。今回の消費者契約法の改正、新法について十分な研修をしていただくこと、法テラス、弁護士会、精神福祉関係との強い連携が必要です。これまで、精神的、福祉的な支援をすることは難しかったと思いますが、今では、オンラインゲームやギャンブル等、依存症の問題においても非常に重要です。これらの連携がなければ、消費生活相談員は安心して相談を受けることができません。是非具体的に連携強化していただくようお願いします。
 最後に、消費者啓発、消費者教育についてです。
 被害に遭っている人が被害であることを認識しないと表面化しにくいと考えられますので、法律の内容を一般市民に向けて丁寧に説明、啓発すること、更なる消費生活センターの周知をお願いいたします。そして、全ての年代に対しての消費者教育、情報提供が何より重要だと思います。誰もが脆弱になる可能性があり、マインドコントロールされることがあり得ることを知ってもらいたいと思います。そのために教材作成や講座を展開していただくようお願いいたします。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 増田悦子

speaker_id: 31867

日付: 2022-12-09

院: 参議院

会議名: 消費者問題に関する特別委員会