阿部克臣の発言 (消費者問題に関する特別委員会)

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○参考人(阿部克臣君) ただいま御紹介いただきました全国霊感商法対策弁護士連絡会、弁護士の阿部克臣と申します。
 本日は、お話しさせていただく機会をいただき、ありがとうございます。
 私自身は、全国霊感商法対策弁護士連絡会に二〇〇九年から所属しており、統一教会、その他宗教被害、カルト被害の救済活動に当たっております。本日は、特に法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案、こちら新法と申し上げますけれども、こちらを中心に意見を申し上げたいと思います。
 まず最初に、この間、新法の成立に向けて御尽力いただいた岸田首相を始め政府の皆様、与野党の皆様の取組と熱意に心より感謝申し上げます。統一教会被害者の救済という三十年以上にわたり国が対応してこなかった問題について、七月の銃撃事件を契機として真剣に議論を重ねていただき、悪質な寄附勧誘を規制した法律が成立に向けて審議されているということ自体、大変非常に意義が大きいと考えております。
 ただ、統一教会の被害救済という意味では、新法の内容は余りにも不十分と言えます。見直すべき点は幾つもあります。また、今国会で議論できなかった問題もあります。
 これから、そのうち特に重要と考える三点について意見を申し上げたいと思います。
 まずは、家族被害の救済です。
 新法では、家族被害の救済について、債権者代位権行使の特例、第十条により行うものとされています。しかし、この制度では、要件が厳しく、また、扶養義務に係る定期金債権の範囲で取り消せるにすぎず、ほとんど家族被害の救済になりません。特に、未成年者である二世が権利行使をするのが極めて困難な制度となっております。
 消費者庁の霊感商法検討会でも、成年後見制度の改正を含めた財産管理制度を設けるべきとの意見が出されているように、家族被害を抜本的に救済し、かつ被害者本人の保護を図っていくためには、家庭裁判所の監督の下で第三者が本人に代わって寄附を取消しし管理する制度、すなわち立憲、維新案に入っていた特別補助制度のような制度が必要だというふうに思います。
 債権者代位権という構成を取りますと、基本的には信者本人が相手方ということになります。すなわち、家族同士が対立する構図になってしまいます。この点、家庭裁判所の監督の下で第三者が権利行使する制度であれば、家族間の対立が生じにくいというメリットがあります。
 政府は、このような制度は本人の財産権侵害になり憲法違反になるから難しいとしておりますが、違法な伝道、教化により本人の自由な意思が抑圧されていることを前提に、開始、終了の要件や取り消せる範囲などを合理的に定めることにより、本人の財産権等との調整をした上で制度をつくることは可能であると考えております。正面からこの制度を議論していただきたいと考えております。
 次に、新法で現実的に家族被害の救済を図り得るものとしては、行政処分、勧告、命令しかありません。ここでは、遵守すべき事項を示してこれに従うべき旨、第六条一項、当該行為の停止その他の措置をとるべき旨、第七条二項、を勧告ないし命令できるとされておりますが、当該法人への寄附の返金を求めるところまで含まれるのかは明らかではありません。この点につきましては、被害救済の観点から、含まれることを明らかにしていただきたいというふうに考えております。
 次に、禁止行為等の範囲、適用対象についてです。
 新法では、禁止行為や取消し権等の対象となる行為の範囲が狭過ぎ、統一教会被害について言えば被害救済にほとんど役に立ちません。例えば、寄附の勧誘に関する禁止行為、第四条の寄附の勧誘に関し、あるいは困惑、あるいは必要不可欠などの文言では、裁判において禁止行為の範囲が限定される可能性が高く、統一教会の寄附勧誘手法を捕捉できません。この点、岸田首相は今国会で幾つかの文言についてかなり広い解釈を明らかにしましたが、そのような解釈を取るのであれば端的に条文に書き込んでいただきたいというふうに思います。
 また、配慮義務には十分にとの文言が入り、勧告、公表に結び付けられましたが、そうだとしても実効性の観点からはやはり不十分であり、端的に禁止行為にすべきというふうに考えます。
 また、新法では、適用対象が法人や代表者若しくは管理者の定めのある社団、財団に対する寄附に限られており、この点、狭過ぎます。統一教会では、解散命令により法人格を失ったとしても、その幹部信者が個人として、あるいは代表者等を定めないまま宗教団体として違法な寄附勧誘を勧誘するおそれが高いと思われますが、この法律では規制できなくなります。適用対象も広げるべきです。
 さらに、宗教二世の支援です。
 宗教二世問題に関し、衆議院の附帯決議では、子供が抱える問題等の解決に向け、法的支援、精神的支援、児童虐待や生活困窮問題の解決に向けた支援などの支援体制を構築するとされております。
 このような体制を速やかに構築していただきたいのはもちろんですが、宗教二世問題は子供だけが抱える問題ではありません。成人した二世の方でも、かつて受けた虐待などにより、現在でも病院に通っていたり、働けなかったり、家族との葛藤を抱えていたりするなどして苦しんでいる方が多くいます。こうした成人した二世の方への支援体制も構築していただきたいというふうに思います。
 最後に、結びとなりますけれども、以上のとおり、新法には被害者救済という意味では余りにも不十分な点が多々あります。その理由としましては、この間、特に政府・与党において被害者の生の声を聞いた時間、量が圧倒的に少なかったというのが大きいと思います。その被害実態についての情報量、理解の差が政府・与党側と被害者側の認識の差になっているというふうに思います。
 現在、多くの被害者の方が勇気を出して声を上げております。是非、被害者の声を継続的に聞くための場を設けていただき、一人でも多くの被害者の生の声を聞いていただきたいというふうに思います。
 以上の点について、少なくとも参議院での附帯決議案に入れていただきたいというふうに考えております。その上で、速やかに検討会を設置していただき、見直しなどを行っていただきたいというふうに考えております。
 以上です。

発言情報

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発言者: 阿部克臣

speaker_id: 17235

日付: 2022-12-09

院: 参議院

会議名: 消費者問題に関する特別委員会