岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 浅田均議員の御質問にお答えいたします。
 マスク着用についてお尋ねがありました。
 マスクの着用については、屋外では原則として不要です。屋内でも、人との距離が確保できて会話をほとんど行わない場合は不要です。なお、このように答弁を行う際には、飛沫やエアロゾルが発生することからマスク着用が推奨されています。
 政府としては、こうしたマスク着用の考え方についてリーフレットの周知やテレビCMを行ってきており、引き続き、国民の皆様への広報の強化、努めてまいります。
 新型コロナの感染症法上の位置付けについてお尋ねがありました。
 先月、ウイズコロナの新たな段階への移行についての全体像をお示しし、全数報告の見直しなど、社会経済活動との両立を強化しているところです。
 その中で、新型コロナの五類への引下げを含めた感染症法上の扱いの更なる見直しについては、今後、ウイルスに新たな大きな変異が生じる可能性や、第八波に向けた病床、発熱外来の確保、ワクチン接種の促進、高齢者施設における療養体制の強化などの備えが必要であることも踏まえる必要があります。
 引き続き、専門家の意見も聞きながら、エビデンスに基づき議論を進めていきたいと考えています。
 弾道ミサイル等の破壊措置、Jアラートについてお尋ねがありました。
 十月四日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルについては、自衛隊の各種レーダーによる航跡情報の解析の結果、我が国の領域に落下するおそれがないと判断したために破壊措置は行いませんでした。
 その上で、本件のように、弾道ミサイルが我が国の領域に落下するおそれがなくとも、上空を通過する可能性がある場合には、万が一の落下物に備え、Jアラートによる情報伝達をすることとしております。一方、弾道ミサイルが我が国の領域内に落下するおそれがなく、かつ上空を通過する可能性がない場合には、Jアラートの送信は行っておりません。
 国民の安全確保に万全を期すため、政府一体となって引き続き適切な情報伝達に努めてまいります。
 国民保護法に基づき指定する有事の際の避難施設についてお尋ねがありました。
 弾道ミサイル攻撃による爆風等からの直接の被害を軽減するため、都道府県知事等がコンクリート造りの堅牢な建物や地下施設を緊急一時避難施設として指定することとなっています。
 政府としては、令和三年度からの五年間を集中取組期間として指定に向けた働きかけを行っており、これにより、地方の施設を含め、着実に指定が進んでいるところです。地下鉄網が発達した都市部以外の地域においても、地下道、地下駐車場、学校の校舎等の堅牢な建物の指定を推進しているところです。
 引き続き、地方自治体と緊密に連携した取組を推進し、避難施設の確保、着実に進めてまいります。
 副首都設置等についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、災害等への備えとして、首都中枢機能の継続性を確保するためにバックアップ体制の整備等を推進すること、これは極めて重要であり、また、人口及び諸機能の分散を図ることは地方分権改革の推進にも資するものであると認識をしております。
 このため、政府としては、各府省の地方局が集積する各都市を中心に代替拠点の確保等に係る検討を行っているところであり、引き続き、こうした形で首都圏のバックアップ体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
 専守防衛についてお尋ねがありました。
 専守防衛は、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使するといった、憲法の精神にのっとった我が国防衛の基本方針です。
 御指摘のように、安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、国民の命や暮らしを守り抜くために十分な備えができているのか、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速しています。この検討は、これまでるる申し上げているとおり、憲法及び国際法の範囲内で日米の基本的な役割分担を維持しつつ進めており、今後とも専守防衛は堅持してまいります。
 中距離ミサイルの配備についてお尋ねがありました。
 そもそも、防衛力の内容に関する検討は、我が国として主体的に行うものであることが前提です。その上で、我が国は、非核三原則や原子力基本法を始めとする法体系との関係から、一切の核兵器を保有しないという原則、これを堅持しています。
 一方で、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速してまいります。
 関係国との連携についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く国際情勢が一層厳しさを増す中、政府全体の情報収集・分析能力の向上を図ることが不可欠です。
 その際、関係国との連携強化を深めていくことも極めて重要であり、このような認識の下に、我が国は、米国、英国を始めとする関係国と平素から緊密に連携し、様々な情報交換等を行っております。
 詳細については、事柄の性質上、お答えは差し控えますが、引き続き、御指摘のサイバーインテリジェンスを含む我が国の情報収集・分析能力の一層の充実強化、取り組んでまいります。
 集団的自衛権と集団安全保障についてお尋ねがありました。
 戦後、国連憲章で国際関係における武力行使が原則として禁止をされ、国連安保理を中心とした集団安全保障措置が定められた一方、安保理が必要な措置をとるまでの間、個別的そして集団的自衛権に基づく武力行使が認められているとされています。
 国連憲章に基づく正規の国連軍による軍事的措置がとられたことはありませんが、武力行使を容認する国連安保理決議に基づく措置は、伝統的な意味での戦争とは異なり、国連憲章に基づく集団安全保障措置であると考えます。
 物価上昇率についてお尋ねがありました。
 今般の物価上昇は、G20の多くの国で七%台以上の消費者物価の上昇率となるなど、世界的な現象となっています。
 我が国においては、ウクライナ情勢等による国際的な原材料価格の上昇に加え、円安の影響もあって輸入物価が高騰しており、食料品とエネルギーを中心に、生活に身近な商品の値上がりが続く状況になっています。
 このような世界的な物価高騰に直面する中で、足下の最優先の課題として全力で国民の生活を守り抜いてまいります。
 経済対策の規模についてお尋ねがありました。
 経済対策については、中身がまず重要であると考えており、物価高・円安への対応、構造的な賃上げ、成長のための投資と改革、この三つを重点分野として取りまとめます。
 与党とも連携しながら、国民生活に高い効果のある具体的な政策を積み上げ、今の経済情勢も踏まえ、納得してもらえる思い切った経済対策といたします。あわせて、御指摘の規模についても、経済的な効果、これ考えていきたいと思います。
 価格転嫁を促す施策としての減税や社会保険料の減免についてお尋ねがありました。
 所得税、法人税や保険料で対応する場合、元々負担の少ない方への効果が小さいなどの問題があり、消費税は全世代型社会保障制度を支える重要な財源であるため、減税や社会保険料の減免で対応することは考えてはおりません。
 住民税非課税世帯への給付についてお尋ねがありました。
 これまで、コロナ禍において、あるいは物価高の影響を大きく受ける低所得世帯を支援するための、広く住民税非課税世帯を対象とする現金給付、計二回、一世帯当たり計十五万円行っており、おおむね約四分の一の世帯が対象となっています。
 この内訳について、住民税非課税世帯に占める年金受給世帯の正確な割合をお示しすることは困難であります。
 また、地方創生臨時交付金では、地方の実情に応じて、住民税非課税以外の世帯も含めてきめ細かい支援が行われているところです。
 更に必要となる対策については、今後取りまとめる総合経済対策に盛り込んでまいります。
 これらの政策、施策を重層的に組み合わせながら、支援を必要とされる方に迅速かつ効果的に、必要な支援、届けてまいりたいと思います。
 物価高騰対策としての地方創生臨時交付金の措置についてお尋ねがありました。
 厳しい物価高騰の影響を受けている方々に対し、迅速かつ効果的な支援をお届けするためには、必要に応じた国による一律の措置と、地域の実情に応じたきめ細かな支援を講じるべきであると考えます。すなわち、この両方を講ずるべきであると考えております。
 このため、特に家計への影響が大きい低所得世帯向けの給付金を創設した上で、地方創生臨時交付金において、これまでの自治体の物価高騰への対応状況を踏まえて、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金として所要の額を確保したというところであります。
 引き続き、自治体とも連携しつつ、地域の実情に応じたきめ細かな支援、後押ししてまいります。
 原子力政策についてお尋ねがありました。
 昨今の国内外の状況の、情勢変化を踏まえ、エネルギー安定供給の確保のため、原子力発電の問題に正面から取り組みます。
 今後を見据えてあらゆる選択肢を確保するため、安全確保を大前提とした運転期間の延長など既設原発の最大限活用や、次世代革新炉の開発、建設を含め、年末に向け、専門家による議論の加速を指示したところです。専門家の意見も踏まえ、年末までに具体的な結論を出せるよう、検討を進めてまいります。
 GXの推進及び省エネ、あっ、再エネの拡大についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラルを見据え、経済、社会、産業の大変革であるグリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを加速させるためには官民を挙げた投資が必要であり、年末に向け、GX推進のためのロードマップ検討を加速いたします。
 また、GXを進める上での大前提となるエネルギー安定供給の確保については、昨年取りまとめたエネルギー基本計画に基づき、再エネ、原子力、火力などあらゆる選択肢を追求していきます。
 その中で、再エネは重要な脱炭素電源であり、最大限導入に向け、御指摘のような再エネに関する規制の見直し、既設太陽光パネルの増出力に向けた投資促進等について検討してまいります。
 また、立地制約を克服するためにも、新たな再エネの技術の開発に取り組みます。例えば、グリーンイノベーション基金を活用し、ビルや建築物の壁面にも設置できる国産の次世代太陽電池の開発を推進してまいります。
 足下では、ウクライナ侵略による世界的な燃料高騰の、燃料価格の高騰による卸電力価格の高騰、それによる新電力の撤退などの問題が生じています。
 安定価格、失礼、安定供給に支障が生じないよう、まずは電力システム全体の再点検を進めるとともに、こうした状況が再エネの普及に影響しないよう、先ほど申し述べたような政策に取り組んでまいります。
 ディマンドリスポンスの取組についてお尋ねがありました。
 ディマンドリスポンスは、家庭や工場などの使用電力を状況に応じて抑制をしたり、工場等に設置された蓄電池からの放電により電力を創出したりすることで電力の需給バランスを調整する取組であり、再生可能エネルギーの導入拡大や効率的なエネルギーの需給調整に資するものです。既に電力市場において活用が始まっており、先般の電力の需給逼迫においても、工場などでのディマンドリスポンスが活用されたと承知をしております。
 先般の通常国会で改正した省エネ法において、大規模需要家のディマンドリスポンスの取組について定期報告を義務化し、取組を促すことといたしました。
 また、御家庭や企業の節電の実施に対して対価をお支払いする事業者の取組を促進する節電プログラム促進事業に加え、ディマンドリスポンスにも活用できる蓄電池や電気自動車等の導入拡大を進めています。
 こうした取組を通じ、ディマンドリスポンスの普及拡大を進めていきます。
 円安への評価と為替介入、構造改革等についてお尋ねがありました。
 円安は、経済に対してプラス面、マイナス面双方の様々な影響を与えますが、最近見られたような急速で一方的な円安の進行は望ましくないと考えています。
 先般実施した為替介入については、最近の為替市場で、投機的な動きも背景に、急速で一方的な動きが見られる中、為替相場は市場で決定されるのが原則ではありますが、投機による過度な変動が繰り返されることは決して見逃すことができないという考えの下で実施をしたものであります。
 為替相場の見通しについてコメントをすることは差し控えますが、いずれにせよ、足下の円安に対しては、インバウンド観光の復活など円安のメリットを最大限引き出すとともに、企業投資の国内回帰や農林水産物の輸出拡大などを進めることとしており、これらはこの経済構造の強靱化にもつながるものであると考えております。
 給与のデジタル払いの影響についてお尋ねがありました。
 いわゆる給与のデジタル払いについては、現在、厚生労働省の審議会において、労使双方の意見を踏まえつつ、制度設計について議論が行われている段階です。
 このため、マネタリーベースや日銀券残高、銀行への影響について、現時点で確たることを申し上げることは困難ですが、いずれにせよ、労働者の利便性の向上やイノベーションの促進によるサービスの向上を期待しているところです。
 法人農地取得の特例についてお尋ねがありました。
 養父市において適用されている法人農地取得の特例について、令和三年の法改正により、特例の適用期限を二年間延長いたしました。
 当該期限が来年八月に到来するため、本年実施した特例制度のニーズと問題点に関する調査の結果を取りまとめているところです。この結果に基づき、次のステップに向けた法案を提出することとしております。
 今後は、法案の提出に向け、現在取りまとめを進めている調査結果や養父市における取組状況の評価や全国各地でのニーズなどを総合的に勘案しながら、引き続き検討してまいります。
 放送事業の電波オークションについてお尋ねがありました。
 現在、携帯電話用周波数については、5Gの導入等により利用ニーズが増大しており、更なる電波の有効利用が必要であることから、新たな割当て方式の在り方について検討を進めているところです。
 放送事業については、動画配信サービスの伸長等によりテレビ離れが進むなど、放送を取り巻く環境が大きく変化していることから、新たな周波数の利用ニーズが乏しく、周波数の新たな割当て方式への要望も存在しないのが現状であります。
 他方、新たな割当て方式のニーズが生じるまでの間、このような放送分野についても既存の枠組みにとらわれない変革が必要との認識の下、放送の将来像について検討を行い、より喫緊の課題である放送における資本規制の見直しなどから、順次、制度整備等を進めてまいります。
 薬学部の新設抑制についてお尋ねがありました。
 薬学部の定員については、昨年、厚生労働省が取りまとめた薬剤師が将来的に供給過剰になるとの需給推計を踏まえ、文部科学省や厚生労働省の有識者会議において、学部、学科の新設及び収容定員の増加に関しては、抑制方針を取ることと併せて、地域における薬剤師の人材需要がある場合には例外的に新設を認めること、薬学教育の質の向上に資する適正な定員規模の在り方や仕組みなどを検討し、対応策を実行すること、これらが先般提言されたと承知をしております。
 薬剤師を志す学生が質の高い薬学教育を受け、薬剤師として社会で活躍することが重要であり、文部科学省において、提言を踏まえ、関係省庁と連携しながら、政府全体の成長戦略に資するよう取り組んでまいります。
 トークンエコノミーについてお尋ねがありました。
 本年六月に閣議決定された骨太の方針等において、ブロックチェーン技術を基盤とする非代替性トークンの利用等のウエブ3の推進に向けて政府一体となって取り組むこととしております。デジタル庁に設置したWeb3.0研究会では、規制と税制の国際的な動向や、国内における官民の検討や取組の状況を整理し、推進に向けた課題等を年末までに取りまとめる予定にしております。
 労働移動の円滑化や高齢者雇用対策などについてお尋ねがありました。
 私が述べた労働移動の円滑化とは、希望する労働者がリスキリングなどを通じて主体的に成長分野の企業、産業への転職を可能とする取組のことですが、就職支援などのセーフティーネットの確保にも努めながら、労働者が主体的に安心して労働移動ができるよう支援をしてまいります。
 また、解雇ルールの在り方については、多くの労働者が賃金によって生計を立てていること等を踏まえ、企業の雇用慣行や人事労務管理の在り方とも合わせ、労使間で十分に議論が尽くされるべき問題であると考えております。
 高齢者の雇用については、御本人の希望や能力に応じて働けるよう、事業主に対する六十五歳までの雇用機会確保の義務及び七十歳までの就業機会確保の努力義務、シルバー人材センターを活用した生きがい就労の提供、こうした多様な取組を行っています。また、シルバー人材センターの会員数は近年やや減少傾向にある一方で、企業で働く六十歳以上の高齢者はこの三年間で六十六万人増加しているなど、より多くの高齢者の方々が希望や能力に応じて多様な形で働かれており、今後とも高齢者が活躍できる環境整備に取り組んでまいります。
 そして、最後に、大阪・関西万博についてお尋ねがありました。
 万博はオールジャパンの体制で取り組んでいく必要があり、政府としては、現在四十七名の職員を派遣しておりますが、更なる増員をしてまいります。
 万博会場の工事発注の事業費千八百五十億円については、物価上昇リスクを踏まえたものとなっておりますが、引き続き、価格動向を注視しつつ、しっかりとした会場が実現できるよう取り組んでまいります。
 万博では、未来社会の実験場をコンセプトに掲げ、民間企業の先端技術の活用を促すこととしております。政府では、万博会場における空飛ぶ車や多言語同時通訳などの技術の活用に向けたアクションプランを取りまとめており、政府支援の下、既に開発プロジェクトが動き出しています。引き続き、事業に参画する企業とも連携しながら、先端技術の万博会場での実装に必要な支援を行ってまいります。(拍手)

発言情報

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発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2022-10-07

院: 参議院

会議名: 本会議