本会議

2022-10-07 参議院 全34発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
令和四年十月七日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第三号
  令和四年十月七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、日程第一
 一、永年在職議員表彰の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、裁判
  官訴追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
     ─────・─────
この発言だけを見る →
尾辻秀久#1
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第七十一番、比例代表選出議員、宮崎勝君。
   〔宮崎勝君起立、拍手〕
この発言だけを見る →
尾辻秀久#2
○議長(尾辻秀久君) 議長は、本院規則第三十条の規定により、宮崎勝君を農林水産委員に指名いたします。
     ─────・─────
この発言だけを見る →
尾辻秀久#3
○議長(尾辻秀久君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
山口那津男#4
○山口那津男君 公明党の山口那津男です。
 私は、公明党を代表し、岸田総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 岸田政権が発足して一年。岸田政権は、自公連立政権合意に基づき、国民の声を聞き、謙虚な姿勢で真摯な政権運営を心掛け、諸課題に対し全力で当たってきました。
 この間、我が国は、長引くコロナ禍、物価高騰、急激な円安、ロシアによるウクライナ侵略など、多くの重大な危機に直面しており、今日ほど政治のリーダーシップが求められているときはありません。
 同時に、持続可能な社会を目指し、全世代型社会保障の構築、エネルギー、食料の安定供給の確保、気候変動対策、災害に強い国づくりなどの諸課題への改革も果敢に実行すべきときを迎えています。
 特に現在、物価高騰について、国民や事業者が極めて深刻な状況にあり、最優先に取り組む必要があります。
 また、感染防止対策とともに、コロナ禍からの力強い経済再生に向けた対策を大胆に講じなければなりません。
 その上で、総理は先般、総合経済対策を指示されました。
 公明党は、総理指示に先立ち、総合経済対策の柱として、電気料金を含めた物価高騰対策、新型コロナ対策、投資促進と需要喚起策、外交・安全保障の充実などの四点を政府に提言しました。
 今後、公明党として、更に具体的な内容を提言する予定です。
 政府においては、国民の先行き不安を払拭し、安全、安心の基盤を強化するため、総力を挙げて、総合経済対策を万全なものに仕上げ、補正予算の編成、成立を図り、迅速に実施していただきたいと思います。
 以下、公明党が考える政策提案を含め、質問をいたします。
 最初に、物価高騰対策についてお尋ねします。
 現在、食料品の値上げが相次ぎ、電気・ガス料金は今後も更なる高騰が見込まれます。政府は予備費を活用し、低所得世帯や、特に影響の大きい事業者への追加支援策を実行しましたが、国民生活への影響は既に広く及んでいます。
 そこで、公明党は、全ての家計を支援すべく、電気代、ガス代の高騰に対応すべきと総理に提言しました。我が党の提言を踏まえ、この度総理が、電力料金負担の増加を直接的に緩和する、前例のない思い切った対策の実行を表明されたことは高く評価します。
 是非とも、生活者や事業者が負担の軽減を実感できる制度設計をお願いしたいと思います。
 加えて、ガス料金についても、価格高騰を抑え込む支援策を検討していただきたいと思います。
 また、食料品については、その価格動向を注視し、政府がこれまで実施してきた肥料や飼料、輸入小麦等への価格高騰対策を継続して実施するべきです。
 物価高騰対策について、総理の答弁を求めます。
 コロナ禍に加え、円安、原油・物価高騰の影響で、多くの中小企業が厳しい経営環境にあります。また、日本商工会議所の調査では、六四・九%の企業が人手不足を感じており、賃上げをその解決策として挙げる企業が五割以上に上っています。
 本来であれば、コスト増を適切に価格転嫁することで成長への投資や賃上げの原資を生み出し、消費拡大につなげるという成長と分配の好循環を生み出すべきところですが、適正な価格交渉、価格転嫁ができていない上に、人手も確保できない事業者がいまだ多いのが実情です。
 政府は、元請と下請企業の共存共栄を図るパートナーシップ構築宣言の推進や下請Gメンの倍増など、転嫁円滑化パッケージを進めています。九月に実施した価格交渉促進月間には岸田総理自ら動画を配信するなど、様々な取組を展開されました。
 全企業の九割以上を占める中小企業の成長こそ、日本経済再生の鍵です。これまでの対策の効果を検証し、きめ細かい実効性ある施策を実行すべきです。
 下請取引・価格転嫁対策について、総理の答弁を求めます。
 人材投資についてお尋ねします。
 総理が、賃上げと生産性の好循環を生み出すため、人への投資を五年間で一兆円投入すると表明されたことを高く評価します。
 その実行に当たっては、これまで我が国で学び直しが進まなかった原因を見極めた上で、個人のニーズを踏まえた支援を強化するとともに、企業や地域、教育機関が一体となって推し進める環境整備が必要です。
 特に、女性の学び直しは不可欠です。
 公明党が力強く推進してきた女性デジタル人材育成プランが本年度策定され、女性の経済的自立や成長産業への就労に直結するスキルの習得支援を自治体や企業等が連携して三年間集中して取り組むことになりました。迅速かつ重点的に実施できるよう、地域女性活躍推進交付金を拡充し、しっかりと後押しすべきです。
 政府の教育未来創造会議の提言では、デジタル、脱炭素化等の成長分野を牽引する人材育成のため、理系学生を五割程度に引き上げることが掲げられました。
 理工系分野においても女性の活躍が望まれますが、男女で理数系の学力に差が見られないにもかかわらず、女子は理系に向いていないといった固定観念も影響し、大学で理工系に入学する女子学生は僅か七%です。女性の多様な視点で新たなイノベーションを創出するためにも、理工農系の女子学生に対しての修学支援や卒業後の活躍の機会の確保が重要です。
 また、理工系を希望する学生のニーズに対応できるよう、成長分野の組織再編に取り組む大学、高専に対して、補正予算で基金をつくり、中長期的に支援するなど、政府が本気で取り組む姿勢を示すべきです。
 女性デジタル人材育成プランへの強力な取組、理系女子の活躍推進について、総理の考えをお尋ねします。
 政府は、先般、脱炭素社会の実現には官民合わせて十年間で百五十兆円規模のGX投資が必要と試算しました。その活用に当たっては、水素、アンモニアの研究開発等に加えて、地域やライフスタイルの脱炭素化への抜本的な支援も重要です。
 本年六月、さいたま市浦和美園地区へ行き、政府の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の採択を受けた住宅街区を視察しました。そこでは、各家庭で発電した再生可能エネルギーを地域内で共有し、効率よく利用しており、エネルギー自給率は六割を超えています。この街区には、先月、アメリカの環境保護局長官も視察に訪れるなど注目されており、このような先進的で質の高いモデルを全国に波及させるべきであります。
 また、政府は現在、子育て世帯等に対し、高い省エネ性能を有する新築住宅の取得について、こどもみらい住宅支援事業を実施していますが、同事業はニーズが高く、住宅価格が高騰していることも踏まえ、引き続き子育て世帯等への支援を行うべきです。
 同時に、省エネが進んでいない既存住宅への対策として、断熱リフォーム等への支援も重要であります。
 地域、ライフスタイルの脱炭素化を含むGX投資について、総理の答弁を求めます。
 デジタル田園都市国家構想の実現についてお伺いします。
 公明党が提案したマイナポイント第二弾によって着実に普及が進んだマイナンバーカードは、今後、スマホによる行政手続の拡充や運転免許証の搭載など、活用範囲が広がっていきます。全国民が恩恵を実感できるよう、更なる利便性の向上に取り組んでいただきたい。
 さらに、地域の魅力向上や災害対策、また個人の仕事、結婚、子育てなどでの課題解決のため、デジタル化の加速が重要です。今夏のDigi田甲子園では、視覚障害者の自立歩行をサポートする前橋市の施策、めぶくEYEが優勝するなど、デジタル化のユニークな取組が話題となりました。
 各地域がこうした施策に思い切って取り組めるよう、政府は環境整備に努めるべきです。そのためにも、新たな交付金の創設など、必要十分な予算を確保するとともに、各自治体が意欲的に取り組めるよう、柔軟な制度設計に取り組むべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 次に、感染症に強い国づくりに向けてお尋ねします。
 新たな感染症危機に備えるため、今国会に感染症法改正案が提出されると伺っています。これまでの新型コロナへの対応を十分に踏まえ、感染の初期段階から的確、迅速に対策を講じることのできる実効性ある法改正としなければなりません。
 特に、検査能力の強化については、新型コロナ流行の初期段階から公明党も政府に対して強く求めてきました。先般、政府の有識者会議が取りまとめた報告書においても、感染症対応の基本はまず検査を正確に行うことであるとして、検査体制を抜本的に強化する必要性が強調されています。
 一方で、感染拡大時においては、病床や医療人材などをいかに確保するかが重要な課題となります。コロナ医療のために確保されたはずの病床が、通常医療や医療人材の確保を含めた様々な問題により、十分稼働できないケースも生じました。こうした課題を克服し、医療関係者等に広く協力いただける体制整備が重要です。
 検査能力の強化及び病床や医療人材の確保を踏まえた法改正が必要と考えますが、総理の見解を求めます。
 国産ワクチンの開発・生産体制の構築についてお伺いします。
 コロナ禍において、検査体制や医療提供体制の脆弱性とともに、海外からのワクチン供給の遅れなどが不安視される局面もあったことから、公明党は早くからコロナワクチンの国産化を推進してきました。こうした後押しもあり、国内企業によるコロナワクチンの開発は着実に進んでおり、第三相試験を開始している企業も複数あります。変異株への対応を含めて、国による最大限のバックアップをお願いしたい。
 あわせて、次の感染症を見据え、ワクチンの国産化、国内製造を国家戦略として進めることも急務です。
 国内生産を進めるため、経済産業省が用意しているデュアルユース補助金には予想を超える応募があったと聞いています。一方で、日本にワクチン製造拠点を整備する意向を示している海外メーカーも出てきました。
 感染症に強い国づくりに向けて、ワクチンの国内における開発・生産体制を構築することは極めて重要であり、まさに今、国の戦略性が問われています。
 国内におけるワクチンの開発・生産体制の構築に向けて政府はどう取り組むのか、総理の答弁を求めます。
 続いて、子供政策の抜本的な充実についてお伺いします。
 コロナ禍において、児童虐待の相談対応件数は二年連続で二十万件を超え、不登校も二十万件近くと、いずれも過去最多になりました。また、いわゆるネットいじめや、子供、若者の自殺者数も急増し、子供たちをめぐる環境は厳しい状況にあります。こうした中、来年四月からはこども基本法が施行され、こども家庭庁が創設されます。それを大きな転換点として、子供政策を抜本的に充実していくべきと考えます。
 公明党は子育て応援トータルプランを年内に策定、公表し、ライフステージや子供の年齢に応じた支援の充実など、その実現に取り組んでいきます。
 例えば、出産費用が増加傾向にあるため、出産育児一時金を大幅に増額すべきです。
 また、男性の育児休業取得率は、国家公務員では二九%に上る一方で、取得率の低い警察や消防を含む地方公務員や民間では一三%台にとどまります。今月からは新たに産後パパ育休制度がスタートしていますが、今後、新制度の利用状況や好事例を把握、分析し、男性の更なる育児休業の促進へとつなげていくことが重要です。
 また、非正規雇用で働く女性などで出産前に離職した方や、フリーランス、自営業で働いている方は育児休業給付の対象外となっており、誰もが安心して出産、子育てをできるよう、新たな支援の仕組みを検討すべきと考えます。
 子供政策の抜本的な充実について、総理の答弁を求めます。
 先月、静岡県の認定こども園において、送迎バスの車内に三歳の女の子が約五時間も置き去りにされ熱中症で亡くなるという、余りにも痛ましい事件が起こりました。バスに一人残され、どんなに心細く苦しかったか。胸が締め付けられる思いです。
 同様の事件は昨年七月にも福岡県の保育所で起き、政府が安全管理を徹底するよう全国の自治体へ通知をしていましたが、再び幼い命が失われてしまいました。こうした悲劇を二度と繰り返さないように、対策の強化を急ぐべきです。
 大切なのは、ソフトとハードの両面から対策を見直すことです。
 ソフト面では、福岡県が昨年の事件を受けて独自に指針を作り、置き去り防止等のルールが職員に周知徹底されているか定期監査でチェックしており、こうした先行事例も参考にしながら、都道府県、市町村による定期的な監査体制、方法を検討すべきです。
 ハード面では、人的ミスをカバーするために送迎バスへの安全装置の設置を義務化するとともに、経済対策、補正予算により設置費用を支援すべきです。また、窓ガラスの透明化など、バスの仕様を見直すことも重要です。
 幼稚園、保育所等における送迎バスの安全対策について、総理の答弁を求めます。
 近年、フリーランスとして働く方が増加し、四百六十二万人に上ると試算されています。一方で、発注者からの報酬の支払遅延や一方的な仕事内容の変更といったトラブルを経験する方も増えており、また、特定の発注者、依頼者への依存度が高い傾向にありますが、いわゆる下請法といった旧来の中小企業法制では対象にならない方が多くなっています。
 フリーランスが安心して働ける環境の整備に向けて、相談体制の充実とともに、フリーランスへ業務委託を行う事業者に対して、契約内容を書面やメールで交付することを義務付けるなど法整備を行い、実効性のある対策を早期に講じるべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
 次に、防災・減災への取組についてお尋ねします。
 八月の大雨や、台風十四号、十五号等による災害が日本を襲い、各地に甚大な被害をもたらしました。
 亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 今後起こり得る水害などに備え、ハード面での対策の充実強化を図るとともに、ソフト面の防災対策も非常に重要です。
 公明党は、災害時に住民の避難行動を支援するため、タイムラインの活用を防災基本計画に位置付けることを提案しました。これは、防災関係機関が災害時の状況などを事前に想定、共有した上で行うべき防災行動などを時系列で整理した計画です。
 これを受け、政府は、六月に開催した中央防災会議において、国の防災基本計画を改定し、タイムラインの策定を市町村などに求めました。高く評価するものであります。
 命を守るタイムライン作成を全国的に推進すべきと考えますが、国土交通大臣の答弁を求めます。
 先月、関東圏の鉄道やバスにおいて、障害者用ICカードが導入されることが決定し、来年三月中にサービスが開始されることが発表されました。
 これまで公明党は、サービスの実現に向けて、障害者団体の皆様とともに政府へ要望を行うなど、積極的に訴えてまいりました。
 真の共生社会実現に向けた新たなバリアフリーの取組を、国土交通大臣の強いリーダーシップの下、推進していただきたい。
 他方、本年四月に奈良県で視覚障害者の女性が踏切内で特急列車にはねられ亡くなられた痛ましい事案が発生しました。
 これを受け、国土交通省は踏切道での安全対策のためのガイドラインを改定しましたが、更なる対策が必要です。
 具体的には、踏切内外における点字ブロックの整備を進めるとともに、将来的には、一部の鉄道事業者で試験を実施しているAIを活用した監視システムを導入するなど、踏切道の更なる安全対策を進めるべきです。
 国土交通大臣の答弁を求めます。
 次に、ウクライナへの人道支援についてお伺いします。
 ウクライナ侵略から七か月が経過し、これまでにウクライナ周辺国へ逃れた難民は一千百万人を超えました。いまだ戦争終結の兆しは見えず、周辺国などへ逃れた人々の避難生活は長期化しています。
 こうした中、公明党は、先月十一日から十八日にかけて、調査団をポーランド、モルドバ、ルーマニアへ派遣し、避難民や支援に携わる国際機関、NGOから実情や支援ニーズを伺い、意見交換を行ってきました。
 冬場を前に寒さ対策が急務であり、住宅や暖房施設、学校、医療、インフラの復旧が必要であること、ウクライナとの懸け橋になる在キーウ日本国大使館を早期に再開すること、総理自らのウクライナ訪問や周辺国への対面外交を積極的に行っていくことなど、現場のニーズを踏まえた提言を、先週、総理に提出させていただきました。既に、一昨日、在キーウ日本国大使館は再開されました。
 残る点について、今般の総合経済対策等にもしっかりと盛り込むことが重要であるとともに、明年、G7議長国として、ウクライナ人道支援に対するリーダーシップを最大限発揮していくことが大切ではないでしょうか。
 今後のウクライナ支援について、総理の答弁を求めます。
 ウクライナを始め世界各地で既存の国際秩序が試練にさらされ、国連の信頼性が危機に陥っています。一方、紛争のほかにも、気候変動や食糧危機といったグローバルな課題解決のために国連が果たす役割はこれまで以上に重要です。
 そうした中、さきの国連総会で、総理は、安保理改革の実現に向け、具体案を持ち寄って交渉を早期に始める必要性を訴えられましたが、深く賛同いたします。
 日本は、来年、安全保障理事会の非常任理事国になります。安保理の議論に当事者として関与できるこの機会を捉え、改革の進展へ主導的役割を果たすべきです。
 安保理改革を含む国連全体の機能強化について、総理の御決意を伺います。
 ウクライナでロシアが行った核兵器による威嚇、ましてや使用は断じて許されません。北朝鮮は異例の頻度でミサイル発射を繰り返し、四日には日本上空を通過させるという暴挙に出ました。七回目の核実験が行われる懸念さえあります。我が国は、唯一の戦争被爆国として、国是である非核三原則を堅持し、国際社会と結束して核廃絶に向けた取組を進めるべきです。
 八月のNPT運用検討会議では、ロシアの反対により、成果文書は不採択に終わりました。しかし、総理がアクションプランを示し、その趣旨が最終文書にも生かされたこと、また、最終成果文書案が議長による作業文書として登録され、次回検討会議の資料として担保されたことを評価します。
 その中に、核使用及び核実験による被害者及び環境修復支援に関する関心の高まりを歓迎するとともに、核被害の対処への関与を締約国に求める旨が述べられており、我が国の経験が生かされるべき分野であり、積極的関与を求めたいと思います。
 六月に核兵器禁止条約の第一回締約国会議が行われました。核保有国と非保有国の橋渡しのためにも、締約国会議へのオブザーバー参加を強く求め、批准に向けての環境整備を行っていくべきではないでしょうか。
 年内の賢人会議、さらに来年のG7サミットが広島で開催されることは、我が国が核兵器のない世界への主導力を発揮する大きなチャンスです。被爆の実相を世界の指導者に直接知ってもらうため、関連会合の広島、長崎での開催、平和資料館の訪問等を強く推進していただきたい。我が党も核廃絶への取組の大いなる推進役として政府を後押ししてまいります。
 日本のオブザーバー参加と国際会議などを通した今後の核廃絶への取組について、総理の答弁を求めます。
 地球環境問題についてお伺いします。
 公明党は、環境の党として、気候変動の脅威から将来世代の生活と生命を守るため、持続可能な地球環境の創出に力を尽くしていきます。
 中でも、近年、健全な生態系がもたらす価値に注目が集まっています。例えば、花粉を運ぶ野生蜜蜂等の花粉媒介動物の経済効果は、国内だけで年間三千三百億円に上ります。また、森林等の保護は国土強靱化や地球温暖化防止にも役立つなど、生物多様性を保全することは非常に重要です。
 昨年、日本を含めたG7各国は、二〇三〇年までに生物多様性の損失を食い止めるため、同年までに陸と海の三〇%以上の生態系を保全する目標、サーティー・バイ・サーティーの達成を約束しました。本年十二月には生物多様性COP15が開催されますが、この世界目標の達成に向けて、豊かな生物多様性を有する我が国が、先進的な知見と経験を生かし、議論をリードすべきです。
 生物多様性保全に向けた取組、COP15に向けた決意を総理に伺います。
 最後になりますが、今日の危機を乗り越えるためには、政府・与党一体となり、総力を挙げて取り組んでいかなければなりません。
 その際、大事なことは、総理が国民の声を聞くとおっしゃるとおり、生活現場からの小さな声をも受け止めて諸施策に反映していくことであり、その姿勢が今改めて政治に求められています。
 また、民主主義の土台は政治に対する国民の信頼であると肝に銘じ、襟を正して国民のための政治を貫いてまいります。
 公明党は、引き続き岸田政権を全力で支え、大衆とともにとの立党精神を胸に、日本を前へ進めていくことをお誓いし、私の質問を終わります。拍手
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
岸田文雄#5
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 山口那津男議員の御質問にお答えいたします。
 電力・ガス料金、食料品価格の高騰対策についてお尋ねがありました。
 電気・ガス料金、食料品価格については、家計、企業の負担軽減のため、先月には追加策を取りまとめ、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の創設や、特に家計への影響が大きい低所得世帯向けの給付金の創設など、緊急の支援策を講じました。
 これに加え、電力料金の急激な値上がりリスクに対応すべく、家計、企業の電力料金負担の増加を直接的に緩和する、前例のない思い切った対策を講じ、まずは全ての家計、企業が直面する電力高騰対策に全力を挙げます。
 ガスについては、ほとんどが長期契約で調達され比較的調達価格の安定性が高いこと、ガスには電気におけるFIT制度のような賦課金制度がないことなど、諸般の事情を総合的に勘案し、今後の家計、企業の負担の状況を見ながら対応してまいります。
 また、食料品の価格高騰に対しては、輸入小麦、肥料、飼料などの対策を機動的に講じてきており、引き続き価格動向を注視していくとともに、様々な意見も丁寧に伺いながら、農産物や肥料、飼料の国内生産を通じた食料安全保障の確保などに取り組みます。
 価格転嫁対策についてお尋ねがありました。
 原材料等の高騰に伴う負担が下請事業者のみにしわ寄せされることはあってはならず、中小企業における賃上げを実現するためにも、適切な価格転嫁が必要不可欠です。
 これまで、事業者が取引先との共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言の拡大や下請Gメンの倍増に取り組むとともに、毎年九月と三月を価格交渉促進月間として、私自身も動画で価格転嫁に向けた呼びかけを行いました。
 また、転嫁の状況を把握するため、中小企業十五万社へのフォローアップ調査も実施しており、この結果を活用し、価格転嫁対策の効果の検証も進めつつ、更なる価格転嫁対策を実行していきます。
 加えて、価格転嫁対策により実効的なものと、価格転嫁対策をより実効的なものとするため、政府として、取引適正化を進める公正取引委員会等の執行体制を強化してまいります。
 私自身も、機会を捉えて、経済団体代表や大企業の経営者に直接要請するなど、価格転嫁の実現に向けて引き続き先頭に立って取り組んでまいります。
 女性デジタル人材育成プラン及び理系女子の活躍推進についてお尋ねがありました。
 女性デジタル人材の育成は、成長分野への移動を促し、女性の経済的自立を実現する観点から重要です。御党の御提案も踏まえて、本年四月に策定した女性デジタル人材育成プランを着実に実行するため、地域女性活躍推進交付金を拡充してまいります。こうした取組を通じ、地域の女性が置かれた実情に応じた取組を更に後押しし、女性のデジタルスキル向上と就労支援を進めてまいります。
 また、理工農系の女性の皆さんが活躍できる社会を構築していくことが重要です。このため、成長分野への大学等の学部再編等に対する基金を含めた継続的な支援策の検討、大学が民間企業等と連携して理工農系の女子学生の修学や卒業後の活躍機会の確保への支援を行うための大学の体制整備の促進策、女性研究者の活躍促進を目的としたライフイベントと研究活動の両立に向けた大学等の取組の支援策などについて、効果的な対策にしっかりと取り組んでまいります。
 地域、ライフスタイルの脱炭素化を含むGX投資についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、地域の脱炭素化や国民のライフスタイル変革も重要です。政府としては、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金も活用して、二〇五〇年を待つことなく前倒しでカーボンニュートラル達成を目指す脱炭素先行地域の創出等に取り組んでいます。二〇二五年までに少なくとも百か所の先行地域を選定するなど、先進的で質の高いモデルの全国展開に取り組んでまいります。
 また、二〇三〇年度削減目標の達成に向けては、家庭部門において約六六%の大幅な削減が必要です。子育て世帯を含め、省エネ性能の高い住宅の新築や住宅の断熱改修等を着実に進め、暮らしにおける脱炭素化にもしっかりと取り組みます。
 年末に向け、GX推進のための今後十年のロードマップを策定し、百五十兆円超のGX投資を実現していくことで経済、社会、産業の大変革につなげてまいります。
 地域のデジタル化についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、デジタル技術による地域の課題解決や魅力向上を図る上で、地域の実情に応じた取組が、取組を進められるようにすることは重要です。こうした取組を全力で後押しするため、十月末に取りまとめる総合経済対策において、デジタル田園都市国家構想交付金を創設いたします。
 この交付金では、これまでの交付金から支援内容を拡充し、官民一体で取組を進められるよう、民間事業者の施設整備も支援対象とするなど、柔軟な制度としていきます。
 地方のニーズや御党を含む様々な御意見を踏まえ、各自治体の意欲的な取組を後押しする制度となるよう、必要な予算の確保を含め、しっかりと取り組んでまいります。
 感染症法改正案についてお尋ねがありました。
 本日、次の感染症危機に備えるため、感染症法等の改正案を閣議決定いたしました。
 この法案には、検査・医療提供体制の強化について、地方衛生研究所の体制整備など自治体の責務規定の創設、感染症の発生、蔓延時に備えた病床、人材、検査能力の確保等に関する都道府県と医療機関等の協定の締結やその履行確保措置等を盛り込んでいます。こうした措置により、機動的かつ効果的な緊急事態対応が可能になるものと考えております。
 国内におけるワクチンの開発・生産体制の構築についてお尋ねがありました。
 ワクチンを国内で開発、生産できる体制を確立しておくことは極めて重要と考えており、医療に関わる経済安全保障にもつながるものです。
 新型コロナワクチンに関しては、国内企業に対し、日本医療研究開発機構、AMEDの事業を通じた研究開発支援、厚生労働省によるワクチン生産体制の整備への補助などの支援を行っているところです。
 一方、次の感染症危機を見据えたワクチンの開発、生産については、ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づき、AMEDに先進的研究開発戦略センターを設置するとともに、世界トップレベル研究開発拠点の形成の推進、デュアルユースのワクチン製造拠点の整備など、ワクチン開発・生産体制の強化、進めています。
 政府としては、国民の皆様により早く必要な国産ワクチンをお届けできるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
 子供政策についてお尋ねがありました。
 こどもまんなか社会を実現するための新たな司令塔として、こども家庭庁を来年四月に創設し、子供政策を強力に推進いたします。
 このこども家庭庁の下で、子供の視点に立って、必要な子供政策が何かをしっかりと議論した上で体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて、子供政策の充実に取り組んでまいります。
 こども家庭庁の発足を待つことなく、出産育児一時金の大幅な増額を早急に図るとともに、育児休業期における給付の拡充など、親の働き方にかかわらない子供の年齢に応じた切れ目のない支援強化の在り方について検討を指示したところであり、今後、全世代型社会保障構築会議において、年末に向けて議論を進めてまいります。
 送迎用バス内の置き去り事故についてお尋ねがありました。
 今回の大変痛ましい事故を踏まえ、政府として、二度とこうした悲劇を繰り返すことがないよう、対策を徹底する必要があると考えます。
 このため、御指摘の先行事例を参考にしながら、都道府県に対し、指導監督等における留意事項等をお示ししたいと考えています。また、送迎用バスにおけるスモークガラス等の使用については、安全管理マニュアルを策定し、方向性、お示ししたいと思います。さらに、送迎用バスの安全装置の義務化と装備のための支援措置を含むハード、ソフト両面の緊急対策を取りまとめ、速やかに実行してまいります。
 フリーランスが安心して働ける環境の整備についてお尋ねがありました。
 新しい働き方に対応するため、個人がフリーランスとして安定的に働ける環境をつくることは重要であり、しっかり取り組んでまいります。このため、フリーランスの方への相談体制の充実を図るとともに、フリーランスの方が報酬の支払遅延などでトラブルに直面しないよう、取引適正化のための法案を今国会に提出をいたします。
 今後のウクライナ支援についてお尋ねがありました。
 日本はこれまで、ウクライナ及びその周辺国等、影響を受けた関係国に対して約十一億ドルの人道、財政、食料関連の支援を表明しており、これら実施中の支援を通じて越冬支援も行っています。今般いただいた御党からの御提言も勘案しつつ、冬の厳しい寒さが待ち受ける中での人道・復旧支援について、総合経済対策の中でしっかり検討してまいります。
 一昨日、十月五日、キーウの在ウクライナ日本大使館、再開いたしました。ウクライナとは同館を通じて一層緊密に連携していきます。また、御指摘いただいた私自身のウクライナ等訪問については、諸般の事情も踏まえ、適切に対応してまいります。
 来年のG7議長国として、ウクライナの確固たる自由を守り抜く行動を引き続き積極的に後押ししてまいります。このため、今後とも、国際社会と連携しつつ、人道及び復旧支援においても積極的に役割を果たしてまいります。
 安保理改革を含む国連の機能強化についてお尋ねがありました。
 ロシアのウクライナ侵略等により国際秩序の根幹が揺らいでいる中、国連憲章の理念と原則に立ち戻り、国連の信頼を回復するため、国連自身の機能強化が重要です。
 安保理改革については、国連において長年にわたり議論が積み重ねられてきていますが、現下の国際情勢に鑑みれば、議論のための議論でなく、改革実現に向けた行動を開始すべきときを迎えていると考えます。先般の国連総会の各国の一般討論演説では、私からこうした立場を発信し、また、バイデン米国大統領やクールシ国連総会議長を含む多くの国々も安保理改革の必要性に言及をいたしました。
 一方、安保理改革は各国の立場の違いも大きく、これまで大きな進展が得られていないのも事実です。G4と言われる日本、ドイツ、インド、ブラジルによる枠組みを通じ、また、アフリカや米国を含む関係国とよく意思疎通をし、早期に進展が得られるよう、引き続き努力をしてまいります。
 核兵器禁止条約の締約国会合へのオブザーバー参加を含め、核兵器のない世界に向けた取組についてお尋ねがありました。
 核兵器のない世界に向けた取組について、八月のNPT運用検討会議において、ロシアの反対により成果文書が採択されなかったことは極めて遺憾ですが、核軍縮に向けた新たな議論の土台が示されるとともに、NPTの重要性が再確認されました。
 核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約です。しかし、現実を変えるためには、核兵器国の協力が必要ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加をしておりません。我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力をしていかなければなりません。
 よって、まずは同盟国である米国との信頼関係を基礎としつつ、年内に広島で開催予定の国際賢人会議も活用しながら、ヒロシマ・アクション・プランに沿って、核兵器のない世界に向けた現実的かつ実践的な歩みを進めてまいります。
 被爆の実相に対する理解の向上については、これまでも様々な取組を行ってきたところであり、私自身、訪日する要人などに対して被爆地の訪問を呼びかけてきました。
 今後、G7広島サミットを始め、被爆地での開催が予定されるイベントの機会などを活用しながら、引き続き、各国要人や世界の人々が被爆の実相に触れる機会を確保できるよう努力をしてまいります。
 生物多様性の保全とCOP15に向けた決意についてお尋ねがありました。
 私たちの経済社会は、自然から得られる様々な恵みに依存している一方で、自然の回復力を超えた利用により、その恵みは過去五十年間で劣化傾向にあることが指摘をされています。生物多様性の保全は、気候変動対策と並ぶ地球規模での重要な課題であり、国内はもちろん、国際社会全体で取組強化が必要です。
 本年十二月に開催される生物多様性条約COP15は、御指摘のサーティー・バイ・サーティー目標を含む新たな国際枠組みの採択を目指す節目の会議です。
 我が国は、COP15での採択を見据え、本年四月にサーティー・バイ・サーティー目標を国内で達成していくためのロードマップを公表いたしました。また、年度内には国内施策の指針となる次期生物多様性国家戦略を策定すべく取り組んでいるところです。
 こうした先進的な取組の発信を含め、COP15に向けた国際的な議論をリードしてまいりたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。拍手
   〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
斉藤鉄夫#6
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 山口那津男議員から、タイムラインの作成についてお尋ねがありました。
 激甚化、頻発化する自然災害による被害を軽減するためには、河川整備などのハード対策のみならず、議員御指摘のタイムラインの作成などソフト対策を実施することも重要です。
 国土交通省では、住民の円滑な避難行動を支援するため、市区町村と連携し、国管理河川沿いの全ての市区町村と、そして都道府県管理河川沿いの九割を超える市区町村において、洪水時に市区町村長による避難指示等の発令を支援するタイムラインを作成してきたところでございます。
 さらに、今年度からは、公共交通機関などの多くの関係者が連携する流域タイムラインの作成にも着手いたしました。
 国土交通省としては、引き続き、関係機関と連携し、全国的なタイムラインの作成や活用を推進してまいります。
 公共交通のバリアフリー及び踏切の更なる安全対策の推進についてお尋ねがありました。
 国土交通省では、共生社会の実現に向けて、四つの柱、一つに障害者用ICカードの導入、二番目に特急車両における車椅子用フリースペースの導入、三、ウエブによる障害者用乗車券の予約、決済の実現、四、精神障害者割引の導入促進、この四つの柱について、当事者目線に立ったバリアフリー施策を着実に推進しているところでございます。
 引き続き、私のリーダーシップの下で、障害者等の当事者の方々からの御意見を丁寧に伺いながら、共生社会の実現に向けて、この四つの柱を中心にしっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。
 また、踏切の更なる安全対策については、踏切道において視覚障害者が安全かつ円滑に通行できるようにするため、道路のバリアフリー対策に関するガイドラインを改定したところであり、引き続き、関係者と連携してガイドラインの更なる周知徹底を図ってまいります。
 さらに、御指摘のありましたAIを活用した踏切監視システムについては、早期の実用化に向けて実証実験に対する財政的な支援を実施しております。
 国土交通省としては、このような財政的な支援などを通じて、踏切の更なる安全性の向上に向けて取り組んでまいります。
 以上です。拍手
    ─────────────
この発言だけを見る →
尾辻秀久#7
○議長(尾辻秀久君) 浅田均君。
   〔浅田均君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
浅田均#8
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
 私は、会派を代表して質問いたします。
 我が国には今、すぐに解決しなければならない課題が山積しております。しかし、政府が具体的な対応を示さないため、結果として多くの国民が実際にどう行動すればよいのか分からず、迷い、戸惑い、困惑しております。
 この三年、国民は日々マスクを着けて過ごしてきました。政府は、本年五月にマスクの着用基準を明確化しました。屋外では、他人と二メートル以内で会話を行う場合を除き、マスクをする必要はない。また、屋内では、他人と二メートルの距離があり、会話をほとんど行わない場合にはマスク着用の必要はないとしています。しかし、実際はどうでしょうか。いまだに、マスクを外していると周りから白い目で見られてしまうのが実情ではないでしょうか。国民は迷い、戸惑い、困惑しております。
 今国会開会後、今日も総理は議場でマスクを着けたまま答弁をされています。演壇と議員席、大臣席は明らかに二メートル以上の距離があるのに、なぜマスクを着けているのですか。総理にお伺いします。
 国民に向かって、自ら基準にのっとって行動して啓発する重要性を総理はどのように認識されているのでしょうか。総理が、政府が、国会が身をもって態度を示していくことが必要なのではないでしょうか。
 新型コロナ感染症について、我が党は、社会経済活動との両立を図るべく、感染症法上の扱いをいわゆる二類相当以上から五類感染症に変更するよう主張し続けてきました。第七波も落ち着きを見せ始めている中、今変更しなくていつやるのですか。物価高、円安に国民の皆さんがあえいでいる中、今こそ経済社会活動を回復軌道に乗せていかなければと多くの人が思っているのに、なぜいまだに二類相当のままなのか、一体政府は我が国の経済をどう考えているのか。国民は戸惑い、困惑しています。総理、お答えください。
 去る四日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、青森県上空を通過し、太平洋に着弾したと報道されています。防衛省は、日本の領域に落下するおそれはないと判断し、自衛隊法に基づくミサイル破壊措置はとりませんでしたが、一方で、五年ぶりにJアラートが発令されました。
 今回、防衛省がミサイル破壊措置をとる必要がないと判断した理由、飛来のおそれなしとの判断がありながら、Jアラートを発出して緊急避難を呼びかけると判断した理由、そして、これまでの日本海側への着弾においてJアラートを発出しなかった理由について、総理にお伺いします。
 北朝鮮から日本に向かう中距離弾道ミサイルの発射から着弾までは七、八分。アラートが出されるまで数分掛かるとすると、逃げる時間はほぼないと考えられますが、その中で建物や地下に逃げ込むようにと呼びかけられた国民は戸惑い、困惑しています。
 本年三月、大阪府と大阪市、堺市は、大阪メトロの地下鉄の駅百八か所を国民保護法に基づく有事の際の避難場所として追加指定しました。また、五月には、東京都が百五か所の地下鉄駅を含む計百九の地下施設を緊急一時避難施設に指定しました。
 地下鉄網が発達している都市部ではこうした対応が可能ですが、そうではない地方における避難場所の確保は重要な課題と考え、課題であると考えますが、政府として、国民が避難する場所をどのように確保していくのか、地方自治体任せなのか、総理の見解をお伺いします。
 こうした有事やテロ、首都圏直下型災害への備えとして、首都圏のバックアップとなる副首都の必要性が高まってきています。副首都設置に対する総理のお考えについて、地方分権推進に対する考えと併せて認識を伺います。
 北朝鮮のミサイルを迎撃システムで迎え撃つのは技術的には難しく、Jアラートで警告が出ても国民の避難が実態として困難ということであれば、結局は撃たれる前に撃つというのが選択肢です。
 専守防衛は、一発目の攻撃を受けるまで攻撃はしないというのが基本であり、一昔前の発想です。今や、一発の攻撃で全てが終了すると言っても過言ではない兵器が存在するのに、果たしてそれで国民の生命、財産を守れるのでしょうか。総理、専守防衛という、今や非現実的な政策をいつまで墨守するつもりですか。そこまで固執するのはなぜですか。国民の生命、財産と従来方針とどちらを優先すべきとお考えですか。
 プーチン大統領は、ウクライナ侵略開始直後の二月二十四日に続き、九月二十一日の全国向け演説で、ロシア領土の保全への脅威に対しては、あらゆる武器を使ってでも防衛する、これは脅しではないと語り、再び核兵器使用を示唆しました。
 私たちは、現在、直ちに我が国が核武装するということには反対です。しかし、昨今の米中対立を前提にすれば、将来、同盟国から一定の装備を求められる可能性は決して否定できません。今後、中距離ミサイルの配備を検討していくに当たっては、これも自衛権行使の均衡性原則、つまり目には目を、核兵器には核兵器をという原則に反するものではないので、核弾頭、非核弾頭両用のものを保持すべきという意見もありますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
 米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドというアングロサクソンの五か国によるインテリジェンス協力の枠組みであるファイブアイズへの加盟の可否に関して、セキュリティークリアランスに関する法整備をした上で加入するべきという声もありますが、総理の見解をお尋ねします。
 加盟する場合には、我が国が独自の同等の情報機関を持っていないこと、アトリビューション、攻撃者の特定等を始めとする我が国のサイバーインテリジェンスシステムの脆弱性等の課題に対してはどう向き合っていくおつもりですか。オールジャパンによる我が国独自のプラットフォーム構築を行う考えはありませんか。総理の見解を求めます。
 そもそも、日本の平和主義は国連の平和主義と同じであるはずなのに、なぜか一国平和主義ともいうべき利己的な平和主義に固執しているように感じられます。国際問題に関しては国内法より国際法を優先すべきであり、したがって、集団的自衛より集団安全保障を基本とすべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 国連憲章では、加盟国が侵略されたときは、まず経済制裁を課し、それでも不十分な場合は軍事的措置をとることになっていますが、これは戦争なのか、制裁なのか、総理の見解をお伺いします。
 さて、国民は今、賃金が上がらない中で、ロシアのウクライナ侵略による燃料油、穀物価格の高騰に加え、円安によるコスト上昇による数多くの商品の値上げラッシュ、電気、ガスを始めとする光熱費の上昇にあえいでいます。
 消費者物価は、エネルギーや食料品を中心に八月時点で前年比三・〇%増、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価、コアコアCPIは前年同月比一・六%と高い水準になりました。輸入品は原材料価格上昇と円安進行を要因とした上昇が続き、円安の影響は七月時点で全体の上昇幅の五割程度に占めるまでに至っています。総理は、こうした現在の物価上昇率をどのように捉えていらっしゃいますか。
 現在の我が国の経済全体の総需要と供給力の差である需給ギャップについて、内閣府は八月試算として約十五兆円の需要不足としています。需給ギャップが残っているうちは、中期的には物価上昇率は抑制されていくとされる一方、幾ら公正取引委員会の体制を強化したところで、最終消費者の需要がなければ価格転嫁は進みません。価格転嫁が進まなければ、結果として雇用と景気の悪化につながります。
 そうだとした場合、今回総理が指示された総合経済対策の真水の規模は、この需給ギャップを埋めるための十五兆円規模を一つの目安として検討されているのか、総理の見解をお伺いします。
 価格転嫁を促す施策は、事業者への補助金、給付金といった発想では駄目で、最終消費者に需要を付けること、すなわち多くの諸外国で実施されている減税で可処分所得を増やすことが最も効果的と考えますが、総理の認識をお伺いします。
 今回の政府の施策である低所得者層への五万円の給付を行うのに約五百十億円ものコストが掛かるとの報道があります。なぜコストの掛かる給付にこだわるのか、全く理解できません。政府がいつも実施する、集めた上で配るという給付金よりも、消費税、法人税などの減税、現役世代や中小企業などの社会保険料の減免など、そもそも集めない方がよほど国民にとっては分かりやすいし、経済合理性が高く、公正公平ではないかと考えますが、総理の認識を伺います。
 今回一律で五万円を給付する住民税非課税世帯に対して、これまでコロナ禍対応として一体幾らの給付を行ってきたのでしょうか。住民税非課税世帯に占める年金受給世帯の割合はどのくらいと政府は認識しているのでしょうか。併せてお答え願います。
 どの家庭も物価高の影響を受けている中、こうした給付は不公平ではありませんか。教育費のかさむ子育て真っ最中の、あるいはこれから出産を迎える貯蓄の少ない若者、将来世代が置き去りになっているのではありませんか。日本維新の会は、教育の無償化、保険適用による出産費用の無償化を政策として掲げていますが、単なるお金のばらまきではなく、将来世代への投資を伴う有効なお金の使い方を今行うべきではないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。
 そもそも、今誰が一番困っているのか把握しているのは、国民、住民と日々向き合っている地方自治体です。国が基準を決めて特定の層への給付を行う財源があるなら、地方創生臨時交付金を上乗せして、地方自治体が各地の事情に応じて配る方がよほど実効性があるのではないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。
 さて、傷んだ経済を回復軌道に乗せていくベースは、エネルギーの安定供給です。円安を活用して、今こそ海外資本を我が国に呼び込もうとしても、電力供給がおぼつかない国では二の足を踏まれてしまうことは火を見るより明らかです。
 原発の再稼働が急務であることは論をまちませんが、総理は、エネルギー安定供給について、所信表明演説で既存原発の運転期限の延長について触れませんでしたが、検討項目には入っていないという理解でよいのでしょうか。既存原発の新増設の可能性を併せてお答えください。
 昨今の電力供給不足の状況下、再生可能エネルギーに関する議論が少なくなっていると感じています。当面の原子力活用と再生可能エネルギーの促進は二律背反ではなく、脱炭素に向けても重要な取組です。現在のエネルギー基本計画から二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けてのロードマップ、それとグリーントランスフォーメーション、GXをどのように両立させていくのか、総理、お答えください。
 二〇二〇年末の電力取引価格の高騰で、いわゆる新電力会社は倒産や撤退が相次ぎ、昨今のロシアによるウクライナ侵略等により、更に新電力離れが加速しています。総理はこうした事態にどう対応していくおつもりですか。ゆがんだ電力自由化市場をそのままにして、再生可能エネルギー拡大の道を閉ざすのですか。お答えください。
 今般の物価高のあおりを受けて、中小新電力のコロナ禍による太陽光、風力発電を拡大していくには、景観を守る等の立地規制は強化しつつも、農地におけるソーラーシェアリングを進め、新技術によるビル壁といった新しい技術の積極的な活用も必要です。
 地熱発電の普及には温泉法の見直し、バイオマス発電の拡大には食品廃棄物の集中処理などに関する廃棄物処理法の見直しが必要です。
 総理は、再生可能エネルギーの拡大について、今各々申し上げた点について具体的にどのように取り組んでいかれるつもりなのか、お考えをお伺いします。
 省エネも一層推進することが求められます。蓄電池の電気を使うことによって、その時間帯における電力会社からの電力供給を抑制したり、逆に、蓄電池や電気自動車を充電することで、その時間帯の電力需要を創出するといった、エネルギーの需要側が供給状況に応じて賢く消費パターンを変化させるディマンドレスポンスという考え方の重要性が高まっています。こうした取組をどのように進めていくのか、総理の見解をお伺いします。
 政府、日銀は、去る九月二十二日、二兆八千四百億円の為替介入を実施しました。円買いドル売りとしては過去最大のものでしたが、効果は一時的であり、目くらましにすぎません。総理は、現在の円安についてどう評価していますか。現在の状況が好ましくないとの認識だから介入したという理解でよいのでしょうか。あえて介入を行った理由を総理にお尋ねします。
 一般論で言えば、一〇%円安になればGDPは約一%上がり、法人税や所得税といった税収が増え、一部の企業や産業にとっては追い風にもなり得ます。現在我が国が置かれている状況を考えれば、円安はある程度中期的に続くことを前提、契機として構造改革を進めていく必要があると考えますが、総理の認識をお尋ねします。
 総理は所信表明演説の中で、円安メリットを生かした経済構造の強靱化を進めるとして、工場や企業の国内回帰や農林水産物の輸出拡大に取り組むと述べました。仮に、今後円高に転じた場合にはどのように対応されるおつもりか、お答えください。
 政府は、給与をデジタルマネーで受け取る制度を二〇二三年四月にも解禁する方向で最終調整しているとのことです。我が国のキャッシュレス決済比率は二〇年に三〇%程度と、諸外国と比べて差が大きく開いており、是正策として基本的に歓迎したいと思います。
 総理は、この施策により、我が国のマネタリーベース、日銀券残高にどのような影響を及ぼすとお考えですか。また、これまで預金を集め顧客を囲い込んできた銀行への影響をどのようにお考えでしょうか。併せてお答え願います。
 マクロ経済政策として金融緩和を継続できる間に、規制改革、構造改革による成長産業の構築を果たさなければなりません。マクロとミクロは車の両輪です。どちらかだけでは継続的な経済成長は実現できません。
 残念ながら、岸田政権になって、規制改革、構造改革という言葉をほとんど聞かなくなりました。例えば、典型的な中山間地域である兵庫県養父市で、法人農地取得事業特区を活用して、農地の取得も含めた多様な選択肢を企業に提供することとした取組は、大きな成果を上げているにもかかわらず、政府はこれを全国に展開する結論を先延ばしにしています。これでは特区をつくる意味がないのではないでしょうか。総理の認識をただします。
 我が党がこれまで一貫して主張し、法案まで提出してきた電波オークションについて、ようやく政府は携帯電話事業で重い腰を上げたようですが、肝腎の放送事業分野に関しては検討すら進んでいません。放送と通信の大融合時代の到来が叫ばれている中、今ニーズがないという理由で検討すら行わないのでは話になりません。成長分野をみすみす逃していくことになりませんか。総理の認識をお伺いします。
 政府は今、薬学部の新設において、大学の学部抑制方針撤廃の原則を崩そうとしています。より優良な大学の学部の新設が、既存の、そうでない大学に併存する学部のせいで新規参入できないのであれば、全く本末転倒です。岸田内閣が掲げる人への投資に大きく反するものではありませんか。こうした不合理な規制を一掃することこそが成長戦略を牽引していくのではないですか。総理の認識を伺います。
 総理は、声高にデジタルトランスフォーメーション、DXへの投資を掲げますが、成長産業であるAI、NFT、ノンファンジブルトークン、トークンエコノミーへの取組には既に遅きに失しています。トークンの発行手続の煩雑さから、既に多くの事業者がシンガポール等に移っています。
 本年三月の本会議において、私は、メタバースと呼ばれる仮想空間内で行われるデジタル資産の交換等の行為について、法規制の対象外になっていることを指摘し、こうしたトークンエコノミーにどう向き合っていくのか、また、メタバースと言われる仮想空間内での付加価値の生産、交換等の経済的行為に、どのような原則でどのような税制を適用していくのかについて総理にただしました。
 総理からは、利用者の利便性と保護のバランス等の観点も踏まえながら、成長戦略として、規制や課税の在り方を含め、利活用の促進に向けた環境整備を図っていくと答弁をいただきましたが、再度、三月の私の質問に現時点の進捗を含めてお答え願います。
 総理は、所信表明演説の構造的な賃上げの中で、労働移動の円滑化について触れました。停滞産業から成長産業へ人が自由に移動できる前提で構造的賃上げとおっしゃっているのであれば認識は同じです。その実現に向けては、企業の淘汰や一時的な失業を受け入れる覚悟が必要であり、そのためのセーフティーネットが大前提であると考えます。労働移動円滑化におけるセーフティーネット構築に向けて、総理はどのように対応しようとしているのか、お答え願います。安倍政権では一時期、積極的に検討を重ねていた、いわゆる解雇規制の緩和についても、総理のお考えをお示しください。
 社会保障制度の持続可能性も危ぶまれています。少子高齢化の中で現在の制度を維持していくには、支えている現役世代の人数を増やしていくこと、すなわち、高齢者に少しでも元気に長く働いていただくという観点も重要です。そのために政府はどのような取組を行っているのか、総理にお伺いします。
 例えば、高齢者数は増加、増え続け、予算も増やしているのに、シルバー人材センターの会員数は減り続けているという不可解なことが起こっています。この要因をどのようにお考えでしょうか。どのように対応していくおつもりでしょうか。総理の認識をお伺いいたします。
 最後に、大阪・関西万博に関し、以下四点、総理に質問いたします。
 大阪・関西万博の開幕まで千日を切り、来年度からは各国のパビリオン等の建築工事もスタートします。ところが、博覧会協会の職員のうち、国等からの派遣は僅か一割で、残り九割は自治体と民間企業からの派遣職員です。博覧会協会は自治体や企業に対し職員派遣を要請していると聞きますが、万博という一大国家プロジェクトをオールジャパン体制で成功に導くため、開催主体である国が率先して多くの職員を派遣するべきではないでしょうか。総理の見解を伺います。
 現在、大阪・関西万博の会場建設費については、最大の額として一千八百五十億円とされています。昨今の燃料や原材料の物価高騰の状況を見ると、この千八百五十億円も増嵩するのではないかと思われます。もちろん建設費の上振れを抑制する工夫も必要ですが、そこにこだわり過ぎて陳腐な万博になっては本末転倒です。会場建設費の上振れについてどうお考えか、伺います。
 博覧会協会は、未来社会ショーケース事業として、万博会場で未来社会を感じさせる最先端の技術やシステムの実証、実装に向け、多様な企業の参加促進を図るとしています。まずは企業の声によく耳を傾け、万博で実証、実装される技術等が内外からの民間投資を誘発し、新たな市場形成等につながるためにも、同事業に参画する企業に対し、国からの一定規模の財政支援が必要です。
 最後に、大阪・関西万博成功に向けた総理の決意をお伺いし、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。拍手
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
岸田文雄#9
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 浅田均議員の御質問にお答えいたします。
 マスク着用についてお尋ねがありました。
 マスクの着用については、屋外では原則として不要です。屋内でも、人との距離が確保できて会話をほとんど行わない場合は不要です。なお、このように答弁を行う際には、飛沫やエアロゾルが発生することからマスク着用が推奨されています。
 政府としては、こうしたマスク着用の考え方についてリーフレットの周知やテレビCMを行ってきており、引き続き、国民の皆様への広報の強化、努めてまいります。
 新型コロナの感染症法上の位置付けについてお尋ねがありました。
 先月、ウイズコロナの新たな段階への移行についての全体像をお示しし、全数報告の見直しなど、社会経済活動との両立を強化しているところです。
 その中で、新型コロナの五類への引下げを含めた感染症法上の扱いの更なる見直しについては、今後、ウイルスに新たな大きな変異が生じる可能性や、第八波に向けた病床、発熱外来の確保、ワクチン接種の促進、高齢者施設における療養体制の強化などの備えが必要であることも踏まえる必要があります。
 引き続き、専門家の意見も聞きながら、エビデンスに基づき議論を進めていきたいと考えています。
 弾道ミサイル等の破壊措置、Jアラートについてお尋ねがありました。
 十月四日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルについては、自衛隊の各種レーダーによる航跡情報の解析の結果、我が国の領域に落下するおそれがないと判断したために破壊措置は行いませんでした。
 その上で、本件のように、弾道ミサイルが我が国の領域に落下するおそれがなくとも、上空を通過する可能性がある場合には、万が一の落下物に備え、Jアラートによる情報伝達をすることとしております。一方、弾道ミサイルが我が国の領域内に落下するおそれがなく、かつ上空を通過する可能性がない場合には、Jアラートの送信は行っておりません。
 国民の安全確保に万全を期すため、政府一体となって引き続き適切な情報伝達に努めてまいります。
 国民保護法に基づき指定する有事の際の避難施設についてお尋ねがありました。
 弾道ミサイル攻撃による爆風等からの直接の被害を軽減するため、都道府県知事等がコンクリート造りの堅牢な建物や地下施設を緊急一時避難施設として指定することとなっています。
 政府としては、令和三年度からの五年間を集中取組期間として指定に向けた働きかけを行っており、これにより、地方の施設を含め、着実に指定が進んでいるところです。地下鉄網が発達した都市部以外の地域においても、地下道、地下駐車場、学校の校舎等の堅牢な建物の指定を推進しているところです。
 引き続き、地方自治体と緊密に連携した取組を推進し、避難施設の確保、着実に進めてまいります。
 副首都設置等についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、災害等への備えとして、首都中枢機能の継続性を確保するためにバックアップ体制の整備等を推進すること、これは極めて重要であり、また、人口及び諸機能の分散を図ることは地方分権改革の推進にも資するものであると認識をしております。
 このため、政府としては、各府省の地方局が集積する各都市を中心に代替拠点の確保等に係る検討を行っているところであり、引き続き、こうした形で首都圏のバックアップ体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
 専守防衛についてお尋ねがありました。
 専守防衛は、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使するといった、憲法の精神にのっとった我が国防衛の基本方針です。
 御指摘のように、安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、国民の命や暮らしを守り抜くために十分な備えができているのか、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速しています。この検討は、これまでるる申し上げているとおり、憲法及び国際法の範囲内で日米の基本的な役割分担を維持しつつ進めており、今後とも専守防衛は堅持してまいります。
 中距離ミサイルの配備についてお尋ねがありました。
 そもそも、防衛力の内容に関する検討は、我が国として主体的に行うものであることが前提です。その上で、我が国は、非核三原則や原子力基本法を始めとする法体系との関係から、一切の核兵器を保有しないという原則、これを堅持しています。
 一方で、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速してまいります。
 関係国との連携についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く国際情勢が一層厳しさを増す中、政府全体の情報収集・分析能力の向上を図ることが不可欠です。
 その際、関係国との連携強化を深めていくことも極めて重要であり、このような認識の下に、我が国は、米国、英国を始めとする関係国と平素から緊密に連携し、様々な情報交換等を行っております。
 詳細については、事柄の性質上、お答えは差し控えますが、引き続き、御指摘のサイバーインテリジェンスを含む我が国の情報収集・分析能力の一層の充実強化、取り組んでまいります。
 集団的自衛権と集団安全保障についてお尋ねがありました。
 戦後、国連憲章で国際関係における武力行使が原則として禁止をされ、国連安保理を中心とした集団安全保障措置が定められた一方、安保理が必要な措置をとるまでの間、個別的そして集団的自衛権に基づく武力行使が認められているとされています。
 国連憲章に基づく正規の国連軍による軍事的措置がとられたことはありませんが、武力行使を容認する国連安保理決議に基づく措置は、伝統的な意味での戦争とは異なり、国連憲章に基づく集団安全保障措置であると考えます。
 物価上昇率についてお尋ねがありました。
 今般の物価上昇は、G20の多くの国で七%台以上の消費者物価の上昇率となるなど、世界的な現象となっています。
 我が国においては、ウクライナ情勢等による国際的な原材料価格の上昇に加え、円安の影響もあって輸入物価が高騰しており、食料品とエネルギーを中心に、生活に身近な商品の値上がりが続く状況になっています。
 このような世界的な物価高騰に直面する中で、足下の最優先の課題として全力で国民の生活を守り抜いてまいります。
 経済対策の規模についてお尋ねがありました。
 経済対策については、中身がまず重要であると考えており、物価高・円安への対応、構造的な賃上げ、成長のための投資と改革、この三つを重点分野として取りまとめます。
 与党とも連携しながら、国民生活に高い効果のある具体的な政策を積み上げ、今の経済情勢も踏まえ、納得してもらえる思い切った経済対策といたします。あわせて、御指摘の規模についても、経済的な効果、これ考えていきたいと思います。
 価格転嫁を促す施策としての減税や社会保険料の減免についてお尋ねがありました。
 所得税、法人税や保険料で対応する場合、元々負担の少ない方への効果が小さいなどの問題があり、消費税は全世代型社会保障制度を支える重要な財源であるため、減税や社会保険料の減免で対応することは考えてはおりません。
 住民税非課税世帯への給付についてお尋ねがありました。
 これまで、コロナ禍において、あるいは物価高の影響を大きく受ける低所得世帯を支援するための、広く住民税非課税世帯を対象とする現金給付、計二回、一世帯当たり計十五万円行っており、おおむね約四分の一の世帯が対象となっています。
 この内訳について、住民税非課税世帯に占める年金受給世帯の正確な割合をお示しすることは困難であります。
 また、地方創生臨時交付金では、地方の実情に応じて、住民税非課税以外の世帯も含めてきめ細かい支援が行われているところです。
 更に必要となる対策については、今後取りまとめる総合経済対策に盛り込んでまいります。
 これらの政策、施策を重層的に組み合わせながら、支援を必要とされる方に迅速かつ効果的に、必要な支援、届けてまいりたいと思います。
 物価高騰対策としての地方創生臨時交付金の措置についてお尋ねがありました。
 厳しい物価高騰の影響を受けている方々に対し、迅速かつ効果的な支援をお届けするためには、必要に応じた国による一律の措置と、地域の実情に応じたきめ細かな支援を講じるべきであると考えます。すなわち、この両方を講ずるべきであると考えております。
 このため、特に家計への影響が大きい低所得世帯向けの給付金を創設した上で、地方創生臨時交付金において、これまでの自治体の物価高騰への対応状況を踏まえて、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金として所要の額を確保したというところであります。
 引き続き、自治体とも連携しつつ、地域の実情に応じたきめ細かな支援、後押ししてまいります。
 原子力政策についてお尋ねがありました。
 昨今の国内外の状況の、情勢変化を踏まえ、エネルギー安定供給の確保のため、原子力発電の問題に正面から取り組みます。
 今後を見据えてあらゆる選択肢を確保するため、安全確保を大前提とした運転期間の延長など既設原発の最大限活用や、次世代革新炉の開発、建設を含め、年末に向け、専門家による議論の加速を指示したところです。専門家の意見も踏まえ、年末までに具体的な結論を出せるよう、検討を進めてまいります。
 GXの推進及び省エネ、あっ、再エネの拡大についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年カーボンニュートラルを見据え、経済、社会、産業の大変革であるグリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを加速させるためには官民を挙げた投資が必要であり、年末に向け、GX推進のためのロードマップ検討を加速いたします。
 また、GXを進める上での大前提となるエネルギー安定供給の確保については、昨年取りまとめたエネルギー基本計画に基づき、再エネ、原子力、火力などあらゆる選択肢を追求していきます。
 その中で、再エネは重要な脱炭素電源であり、最大限導入に向け、御指摘のような再エネに関する規制の見直し、既設太陽光パネルの増出力に向けた投資促進等について検討してまいります。
 また、立地制約を克服するためにも、新たな再エネの技術の開発に取り組みます。例えば、グリーンイノベーション基金を活用し、ビルや建築物の壁面にも設置できる国産の次世代太陽電池の開発を推進してまいります。
 足下では、ウクライナ侵略による世界的な燃料高騰の、燃料価格の高騰による卸電力価格の高騰、それによる新電力の撤退などの問題が生じています。
 安定価格、失礼、安定供給に支障が生じないよう、まずは電力システム全体の再点検を進めるとともに、こうした状況が再エネの普及に影響しないよう、先ほど申し述べたような政策に取り組んでまいります。
 ディマンドリスポンスの取組についてお尋ねがありました。
 ディマンドリスポンスは、家庭や工場などの使用電力を状況に応じて抑制をしたり、工場等に設置された蓄電池からの放電により電力を創出したりすることで電力の需給バランスを調整する取組であり、再生可能エネルギーの導入拡大や効率的なエネルギーの需給調整に資するものです。既に電力市場において活用が始まっており、先般の電力の需給逼迫においても、工場などでのディマンドリスポンスが活用されたと承知をしております。
 先般の通常国会で改正した省エネ法において、大規模需要家のディマンドリスポンスの取組について定期報告を義務化し、取組を促すことといたしました。
 また、御家庭や企業の節電の実施に対して対価をお支払いする事業者の取組を促進する節電プログラム促進事業に加え、ディマンドリスポンスにも活用できる蓄電池や電気自動車等の導入拡大を進めています。
 こうした取組を通じ、ディマンドリスポンスの普及拡大を進めていきます。
 円安への評価と為替介入、構造改革等についてお尋ねがありました。
 円安は、経済に対してプラス面、マイナス面双方の様々な影響を与えますが、最近見られたような急速で一方的な円安の進行は望ましくないと考えています。
 先般実施した為替介入については、最近の為替市場で、投機的な動きも背景に、急速で一方的な動きが見られる中、為替相場は市場で決定されるのが原則ではありますが、投機による過度な変動が繰り返されることは決して見逃すことができないという考えの下で実施をしたものであります。
 為替相場の見通しについてコメントをすることは差し控えますが、いずれにせよ、足下の円安に対しては、インバウンド観光の復活など円安のメリットを最大限引き出すとともに、企業投資の国内回帰や農林水産物の輸出拡大などを進めることとしており、これらはこの経済構造の強靱化にもつながるものであると考えております。
 給与のデジタル払いの影響についてお尋ねがありました。
 いわゆる給与のデジタル払いについては、現在、厚生労働省の審議会において、労使双方の意見を踏まえつつ、制度設計について議論が行われている段階です。
 このため、マネタリーベースや日銀券残高、銀行への影響について、現時点で確たることを申し上げることは困難ですが、いずれにせよ、労働者の利便性の向上やイノベーションの促進によるサービスの向上を期待しているところです。
 法人農地取得の特例についてお尋ねがありました。
 養父市において適用されている法人農地取得の特例について、令和三年の法改正により、特例の適用期限を二年間延長いたしました。
 当該期限が来年八月に到来するため、本年実施した特例制度のニーズと問題点に関する調査の結果を取りまとめているところです。この結果に基づき、次のステップに向けた法案を提出することとしております。
 今後は、法案の提出に向け、現在取りまとめを進めている調査結果や養父市における取組状況の評価や全国各地でのニーズなどを総合的に勘案しながら、引き続き検討してまいります。
 放送事業の電波オークションについてお尋ねがありました。
 現在、携帯電話用周波数については、5Gの導入等により利用ニーズが増大しており、更なる電波の有効利用が必要であることから、新たな割当て方式の在り方について検討を進めているところです。
 放送事業については、動画配信サービスの伸長等によりテレビ離れが進むなど、放送を取り巻く環境が大きく変化していることから、新たな周波数の利用ニーズが乏しく、周波数の新たな割当て方式への要望も存在しないのが現状であります。
 他方、新たな割当て方式のニーズが生じるまでの間、このような放送分野についても既存の枠組みにとらわれない変革が必要との認識の下、放送の将来像について検討を行い、より喫緊の課題である放送における資本規制の見直しなどから、順次、制度整備等を進めてまいります。
 薬学部の新設抑制についてお尋ねがありました。
 薬学部の定員については、昨年、厚生労働省が取りまとめた薬剤師が将来的に供給過剰になるとの需給推計を踏まえ、文部科学省や厚生労働省の有識者会議において、学部、学科の新設及び収容定員の増加に関しては、抑制方針を取ることと併せて、地域における薬剤師の人材需要がある場合には例外的に新設を認めること、薬学教育の質の向上に資する適正な定員規模の在り方や仕組みなどを検討し、対応策を実行すること、これらが先般提言されたと承知をしております。
 薬剤師を志す学生が質の高い薬学教育を受け、薬剤師として社会で活躍することが重要であり、文部科学省において、提言を踏まえ、関係省庁と連携しながら、政府全体の成長戦略に資するよう取り組んでまいります。
 トークンエコノミーについてお尋ねがありました。
 本年六月に閣議決定された骨太の方針等において、ブロックチェーン技術を基盤とする非代替性トークンの利用等のウエブ3の推進に向けて政府一体となって取り組むこととしております。デジタル庁に設置したWeb3.0研究会では、規制と税制の国際的な動向や、国内における官民の検討や取組の状況を整理し、推進に向けた課題等を年末までに取りまとめる予定にしております。
 労働移動の円滑化や高齢者雇用対策などについてお尋ねがありました。
 私が述べた労働移動の円滑化とは、希望する労働者がリスキリングなどを通じて主体的に成長分野の企業、産業への転職を可能とする取組のことですが、就職支援などのセーフティーネットの確保にも努めながら、労働者が主体的に安心して労働移動ができるよう支援をしてまいります。
 また、解雇ルールの在り方については、多くの労働者が賃金によって生計を立てていること等を踏まえ、企業の雇用慣行や人事労務管理の在り方とも合わせ、労使間で十分に議論が尽くされるべき問題であると考えております。
 高齢者の雇用については、御本人の希望や能力に応じて働けるよう、事業主に対する六十五歳までの雇用機会確保の義務及び七十歳までの就業機会確保の努力義務、シルバー人材センターを活用した生きがい就労の提供、こうした多様な取組を行っています。また、シルバー人材センターの会員数は近年やや減少傾向にある一方で、企業で働く六十歳以上の高齢者はこの三年間で六十六万人増加しているなど、より多くの高齢者の方々が希望や能力に応じて多様な形で働かれており、今後とも高齢者が活躍できる環境整備に取り組んでまいります。
 そして、最後に、大阪・関西万博についてお尋ねがありました。
 万博はオールジャパンの体制で取り組んでいく必要があり、政府としては、現在四十七名の職員を派遣しておりますが、更なる増員をしてまいります。
 万博会場の工事発注の事業費千八百五十億円については、物価上昇リスクを踏まえたものとなっておりますが、引き続き、価格動向を注視しつつ、しっかりとした会場が実現できるよう取り組んでまいります。
 万博では、未来社会の実験場をコンセプトに掲げ、民間企業の先端技術の活用を促すこととしております。政府では、万博会場における空飛ぶ車や多言語同時通訳などの技術の活用に向けたアクションプランを取りまとめており、政府支援の下、既に開発プロジェクトが動き出しています。引き続き、事業に参画する企業とも連携しながら、先端技術の万博会場での実装に必要な支援を行ってまいります。拍手
この発言だけを見る →
尾辻秀久#10
○議長(尾辻秀久君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
この発言だけを見る →
長浜博行#11
○副議長(長浜博行君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。舟山康江君。
   〔舟山康江君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
舟山康江#12
○舟山康江君 国民民主党・新緑風会の舟山康江です。
 会派を代表して、岸田総理の所信表明演説に対して質問をいたします。
 冒頭、北朝鮮による弾道ミサイル発射に対して、私も強く抗議します。その上で、Jアラート誤作動による混乱を重く受け止めて、改善に努めていただけるよう、事実関係と対応状況を総理にお伺いします。
 さて、まずお聞きしたいのは、国会開会と補正予算提出のタイミングです。
 通常国会閉会が六月十五日、参院選投開票日が七月十日なので、言わば政治空白が三か月近くありました。新型コロナへの対応、物価高、円安、ウクライナ危機、度重なる自然災害への対応など、課題山積の中、私たち国民民主党は、先月十三日に、国民全員への一人十万円のインフレ手当や消費税五%への減税、再エネ賦課金の徴収停止による電気代値下げ等を盛り込んだ、需給ギャップに見合う総額二十三兆円規模の緊急経済対策を発表しました。一方、政府は、野党側の再三の国会開会要求を放置し、山積する課題への対応も遅れに遅れています。
 開会がここまで遅れた理由を総理にお聞きします。
 この間のコロナや原油価格・物価高騰対策と称した政府の予備費使用決定は財政民主主義にも反することに加え、時間もあった中、なぜ冒頭に補正予算を提出しないのでしょうか。総合経済対策の担当大臣が機能していないんじゃないですか。
 振り返ると、この担当大臣から、昨日も指摘があったとおり、参院選中に、野党の人から来る話は我々政府は何一つ聞かないと、とんでもない発言が飛び出しました。大問題です。総理も同じ認識ですか。野党の声は聞かない、だから野党の国会開会要求も無視したのでしょうか。
 また、経済再生担当大臣、これは誤解を生む表現ではなく、野党の声は聞かないと明言しています。昨日謝罪はありましたが、ごまかさずに今からでも発言を撤回してください。いかがですか。
 山際大臣に併せて幾つか質問します。
 補正予算につながる総合経済対策がいまだに出てこないのはなぜですか。旧統一教会との深い関係への釈明に追われていたからでしょうか。また、海外にまで出かけて出席した会議について、資料がなく確認できないとすっとぼけ、逃げられないと分かると、記憶がよみがえってきたなど、人ごとのように追認するその姿勢で大臣が務まるんでしょうか。なぜ今頃記憶が戻ったのですか。公表済みの事実関係も含め、記録と記憶に基づいて全て明らかにしてください。参院選中の問題発言も責任重大で、早く辞任を決断すべきです。いかがですか。
 政府・与党からは、旧統一教会への解散命令は難しいとの声が聞こえてきますが、宗教法人法にある報告徴収、質問が可能との規定は発動済みでしょうか。まだだとすれば、なぜですか。今、総理の本気度が問われています。総理、是非お答えください。
 続いて、足下の物価高への対応をお聞きします。
 所信表明でも言及されたように、物価高は我が国にとどまらない世界的規模の現象ですが、アメリカなど多くの先進国では景気回復と賃金上昇が伴っています。
 一方、我が国では、賃金上昇が全く伴わない中で、多くの資源や食料を海外に依存している結果、資源高の影響に加え、円安も手伝って急激な物価上昇が続き、消費者から悲鳴が上がっています。
 もう一つの問題は、消費者物価指数と企業物価指数の乖離です。八月の消費者物価指数は、前年同月比プラス三%の一〇二・七、企業物価指数は、プラス九%の一一五・一と、五か月連続で過去最高を記録しています。つまり、原材料値上げを十分に販売価格に転嫁できていないのは明らかです。加えて、取引の重層構造下で、不当な買いたたきや協力金等の名目で値引きを迫られている事例等を下請業者から多数聞きました。これでは、企業経営が厳しくなるのは当然です。大企業、製造業でも、景況感を示す日銀短観の業況判断指数、DIは三四半期連続悪化しています。
 急激な輸入原材料価格の値上がりに対して、当面の価格抑制策は必要ですが、本質的には、更なる国内経済の強化と、円の価値の向上、価格転嫁の推進、値上げにも耐えられる強い経済、つまり賃上げの実現が必要です。
 そこで、総理に幾つか質問します。
 過度の円安進行は日本の経済力低下を意味しますが、円安の要因はどこにあり、どう改善していくべきと考えていますか。
 物価、特に原材料価格高騰対策と、価格転嫁に向けた具体策をどう考えていますか。
 そして、総理が考える構造的な賃上げとは何か、また、これまで構造的な賃上げを実現できなかった要因はどこにあるのか、それぞれお聞かせください。
 あわせて、今、労働者の四割弱を占める非正規労働や、外国人技能実習制度、そして、労働移動円滑化が賃金に与える影響をどのように考えているのか、逆に賃金の下振れという負の効果の拡大に終わらないのか、お答えください。
 分配重視が総理の売り物だったはずですが、分配という言葉が消えた理由もお聞かせください。
 国民民主党は、給料が上がる経済の実現のため、賃金上昇率が安定的に物価上昇率プラス二%になるまで、消費税率を五%に引き下げることを提案しています。
 EU各国など、世界の少なくとも五十を超える国が、コロナの難局打開に向け、付加価値税減税に踏み切ってきた中、今こそ我が国でも消費税減税を行うべきであり、改めて総理の御決断をお願いします。
 我が国の物価高は、世界的な資源価格高騰と円安のダブルパンチによるもので、輸入依存度の高い分野ほど大きな影響を受けています。
 他国の景気回復や経済発展で、世界全体の需要増が引き続き見込まれる中、更なる価格上昇リスクに加え、欲しいものが買えなくなる買い負けリスクも大きくなっています。
 現在、新車の納期は、半導体その他部品不足、コロナ禍による海外サプライチェーンの機能不全もあり、長いもので一年半と聞いています。食料も、世界的な異常気象の頻発、ロシアのウクライナ侵略の影響、新興国の需要増、食料自体に加えて肥料や飼料の調達困難化など、お金さえ出せばいつでもどこからでも買える、そんな状況ではなくなりつつあります。
 今こそ、食料、エネルギー、医療、医薬品、工業製品など、経済安全保障の観点からも、国内生産の増強を進め、様々なリスクに備えるべきです。総理の言う危機に強い経済構造への転換とは、まさに国内でのものづくり復活のことだと推察しますが、具体策をお聞かせください。
 一月の施政方針演説では、輸出の促進とスマート化による生産性向上のみが強調されていた農林水産分野では、農産物の国内生産を通じた食料安全保障の確保が盛り込まれたことは大いに評価します。そのためには、輸入依存度の高い小麦や大豆の国内生産増大で自給率を高めると同時に、減少が続く担い手育成の強力な推進が不可欠です。
 また、政府が進めている流域治水の観点からも農地の役割が重要視されるなど、農業の振興は防災・減災にも直結しています。
 こうした多面的役割の維持にも再生産可能な所得確保策が欠かせません。
 輸入小麦の政府売渡価格の据置きもいいですけれども、中長期的な国策としてむしろ注力すべきは、小麦などの国内生産振興と利用促進です。国産農産物の需要拡大と輸入品から国産品への置き換えの具体策について伺います。
 輸入小麦価格とともに、配合飼料の負担を十月以降も据え置くことを強調されましたが、現行政策では、工夫を凝らして自家配合飼料を使用する生産者には恩恵が及びません。こうした生産者を支援する具体策をお伺いするとともに、きめ細かくあらゆる生産者に行き届く支援策の実行に向けた総理の決意を伺います。
 六月の通常国会閉会後、地元を歩く中で、物価高やコロナ対策と並んで多くの声を聞いたのが、子ども・子育て政策の重要性でした。まさに少子化こそ国難だ、そんな声に、改めて人づくりこそ国づくりの思いを強くしました。
 そもそも、家族関係社会支出の対GDP比は、他国が三%前後に対して日本は僅か一・七%、教育や子育てへの公的支出は他国に比べて著しく少ないのが現状です。他国がコロナ禍でも出生率を上げているのに対し、日本は出生率の低下に歯止めが掛かりません。その理由をどのように分析されていますか。こうした危機感に立ってか、総理は、昨年九月の総裁選以降、国会答弁を含め何度も子育て予算倍増との決意を表明されています。一方、今回の所信表明では、少子化対策、子育て・子供世代への支援を強化するとの表現にとどまっていますが、予算倍増との決意は変わりませんか。是非、具体的工程と財源をお示しください。
 加えて、一月の代表質問でも指摘したとおり、子育てや教育に対する給付の多くに根拠も曖昧なまま所得制限が設けられ、給付後の実質的な収入の逆転現象も生じています。
 昨年五月の児童手当法改正で、今月から年収一千二百万円以上は特例給付がなくなりました。世界の流れに逆行していると言わざるを得ません。今回の廃止で対象外となる子供の数は六十一万人、給付額は三百七十億円です。そして、これに伴うシステム変更等に何と三百五十八億円もの予算が計上され、本末転倒の状況です。
 一定所得以上の人は、納税などの所得再分配を通じて社会の支え手として大きな貢献をしている割には、年少扶養控除は廃止され、手当も打ち切られ、国から子育てに関する給付や支援の恩恵はほとんどありません。受益が余りに少なく、何のために納税しているか分からない、働くモチベーションが下がるとの声が押し寄せています。
 国民民主党は、このような声を受け、さきの通常国会に続き、今国会召集日に、こどもに関する公的給付の所得制限撤廃法案を提出いたしました。
 総理、改めて、子育てや教育への支援に対する所得制限は撤廃し、全ての所得階層に経済的恩恵を付与するぐらい思い切り、まさに社会全体で支援するべきではないですか。お答えください。
 また、百三十万円の壁など、税制や社会給付が働き方の抑制や不公平感の一因となっています。
 今年五月発表の、全世代型社会保障構築会議、議論の中間整理では、働き方に対して中立な社会保障制度の構築の重要性が指摘されています。その観点からも、所得制限の矛盾や逆転現象のほか、制限付給付に要するコスト、第三号被保険者の在り方も併せて議論いただき、本当の意味で子育てしやすい環境の整備、中間層の復活に向けた大胆な支援へとかじを切っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 こうした税金と社会保障の負担と給付のバランスを考えたときに、マイナンバーの更なる活用は待ったなしです。
 コロナ禍での住民税非課税世帯への給付金も、本来なら、個人のフローのみならず、全ての個人口座をひも付けてストックも含めた把握を行えば、より公平かつ迅速な給付につなげることができる上、行政のデジタル化をもう一段進めることで事務手数料削減にもつながります。マイナポイントや自治体へのペナルティーでマイナンバーカードの取得促進を図るのではなく、利便性や公平性の確保に資する活用の強化をインセンティブに取得率向上を促すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 コロナ対応について、岸田総理の基本認識を伺います。
 七月中旬以降の第七波で一日当たりの国内感染者数は過去最高を記録しましたが、重症化率や死亡率にどのような特徴があるのか、お答えください。あわせて、ワクチン接種の有無による感染率や重症化率、死亡率の違いをどのように分析しているか、具体的に教えてください。九月七日のアドバイザリーボード提出資料によれば、未接種の方が新規陽性率が低い年代もあります。これはどのように解釈すればいいのでしょうか。
 さて、マスクについては、引き続き、屋外は原則不要ですとの指針がどのくらい国民に理解されているでしょうか。確かに、今年五月二十三日に変更された基本的対処方針においてその旨示されていますが、屋内外問わず、いまだにマスク着用は半ば義務だと多くの人が思い込んでいます。昨日の御答弁では、世界と歩調を合わせた取組を進めるとのことですが、欧米を中心に多くの国ではもはやマスクの義務化はほとんど行われていません。感染についても、ほぼインフルエンザと同じ扱いです。
 総理、そろそろマスクの着用の在り方を見直すべきではないでしょうか。少なくとも、屋外での原則不要という方針をもっと周知徹底すべきではないでしょうか。
 コロナ禍で一番影響を受けたのは子供たちです。夏の甲子園優勝校、仙台育英高校の須江航監督が優勝インタビューで発した、青春ってすごく密なので。ぐっと心に刺さった方も多かったと思います。ある高校の創立百周年記念式典に参加した際、生徒会長が、感謝の思いをつづりながらも、やりたいことができなかった悔しさをあらわにしていました。
 もう制限はやめるべきです。感染症のリスクよりも、マスク生活や行動制限下で失われた経験による心身に与えるリスクの方がずっと大きいとの専門家の指摘や、マスク生活により子供、とりわけ乳幼児の脳や心への影響に関する海外での研究が報告されていますが、我が国でも同様の研究は行われていますか。また、検証を行い、対策の見直しに反映させるべきです。
 続いて、多発する自然災害への対応についてお聞きします。
 線状降水帯による局地的な豪雨が頻発する中、今年も各地で未曽有の被害が相次いでいます。私の地元でも、八月上旬の豪雨が、多数の家屋浸水被害に加えて、橋梁や道路の崩落、農地への土砂流入など、大きな被害を残しました。
 八月豪雨に関しては、激甚災害指定となり、これは大変有り難いんですけれども、不思議なのは、これだけの被害にもかかわらず、政府に対策本部が設置されなかったことです。なぜですか。また、二年前、三年前には政府全体でまとめられた被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージが今回は出されていません。なぜでしょうか。事業所や家屋の再建支援、農業機械の再取得支援など、これまでの対策パッケージと同様の支援策を今回も実施するよう強く要望いたします。
 自然災害による被害は、全体規模の大小にかかわらず、個々の被災者にとっては甚大です。そんな中、被災者の負担軽減のために、以前から税理士会からも要望が強い、税制面での配慮、災害損失控除の創設を行うべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 税制関連でもう一点提案いたします。適格請求書等保存方式、いわゆるインボイスの問題です。
 国民民主党は、免税事業者が取引から排除されるリスクや、消費税相当額の値下げ強要などで廃業を余儀なくされる危険性を指摘し、その廃止を提案してまいりましたが、こうした懸念に対する総理の見解を改めてお聞かせください。
 中でも今問題視されているのがシルバー人材センターへのインボイス適用です。免税事業者である会員と取引関係のあるシルバー人材センターは、仕入れ税額控除の適用が受けられない分、新たな消費税納税義務が発生します。しかし、会員の平均年収は四十三万円程度、そもそも高齢者のボランティアに近い活動で成り立っている公益法人から税金を徴収することを制度は予定していないはずです。それどころか、高齢者が知恵や経験を発揮する場を奪いかねない課税強化であり、総理が掲げた包摂社会の実現にも完全に逆行するものです。インボイスが免除される取引が幾つか規定されている中、シルバー人材センターの本事業についても特別な配慮をするべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。
 国民民主党は、今国会でも対決より解決を掲げ、国民生活を守るための政策実現に邁進してまいります。
 しかしながら、このままでは、旧統一教会と政治、特に与党、自民党との関係の問題が建設的な議論の大きな障害として立ちはだかるのが目に見えています。この問題を速やかにかつ抜本的に解決すべく、総理・総裁である岸田総理の指導力の発揮を期待しますが、所信表明では各般の取組という抽象的な表現にとどまり、極めて消極的な姿勢と断じざるを得ません。
 各般の取組とは具体的に何を指すのか、フランスの反セクト法のような新法制定も念頭に置いているのか、また、問題発言を繰り返し、緊急経済対策策定を遅らせ、旧統一教会との関係も明らかな山際大臣は総理の任命責任の中で更迭すべきではないのか、自民党が旧統一教会との関係を絶つことを約束していただけるのかを最後にお伺いし、私の代表質問といたします。拍手
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
岸田文雄#13
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 舟山康江議員の御質問にお答えいたします。
 Jアラートの不具合とその対応についてお尋ねがありました。
 北朝鮮が十月四日に発射したミサイルに関して、Jアラートのシステム上の不具合により、ミサイル発射情報を送信すべき北海道及び青森県に加えて、ミサイルに注意が必要ない東京都の島嶼部の九町村に対してもミサイル発射情報が送信されました。
 このことを重く受け止め、システム上の不具合の修正を早急に行い、既に作業終えたところですが、今後、このようなことが起こらないよう、再発防止にしっかりと取り組んでまいります。
 臨時国会の召集と補正予算の提出についてお尋ねがありました。
 臨時国会の召集については、国会のことでもありますので、与党とも相談しながら対応を検討し、まず臨時国会で審議すべき事項等をしっかり勘案した上で十月三日に召集することを決定した、こうした次第であります。
 また、これまで累次の予備費の使用は、ロシアのウクライナ侵略等による物価高騰等といった予測困難な事態に対して機動的に対処するために行ってきたものであり、財政法や財政民主主義に反することではなく、適切な対応であったと考えております。
 補正予算については、予備費による対応から間を置かず、今月中に総合経済対策を取りまとめた後、速やかに編成し、今国会に提出をいたします。
 このように、足下の経済状況等に応じて切れ目なく機動的な対応を行っているところであり、今国会の冒頭に補正予算を提出しないことをもって総合経済対策を取りまとめる担当大臣が機能していないとの指摘は当たらないと考えております。
 山際大臣の発言に対する認識についてお尋ねがありました。
 御指摘の発言については、松野官房長官から山際大臣に対して、発言には慎重を期すように注意したところであり、これを受けて山際大臣は、発言には慎重を期し、丁寧に発信していく旨発言したと報告を受けております。
 その上で、我が国は、内政も外交も幾重にも重なる、重なり合う多くの課題に直面をしており、この難局を乗り越えていくためには、国民の声を丁寧に聞きながら、国民の信頼と共感を得る政治を行わなければなりません。
 岸田内閣としては、引き続き、国民の皆様からの厳しい声にも、真摯に、謙虚に、丁寧に向き合ってまいります。
 八月十八日に行われた臨時国会の召集要求については、国会のことでもありますので、与党とも相談しながら検討し、臨時国会で審議すべき事項を勘案して十月三日に臨時国会を召集したことを決定した、こうした次第であります。
 そして、旧統一教会に対する宗教法人法に基づく報告徴収及び質問の実施についてお尋ねがありました。
 宗教法人法第七十八条の二の規定に基づく報告及び質問に関する権限は、宗教法人について、解散命令の事由等に該当する疑いのある場合に限り、所轄庁が行使することができるものです。
 社会的に問題が指摘されている団体に関して、宗教法人法を含め、関係法令との関係を改めて確認しながら、厳正に対応をしてまいります。
 円安の要因、原材料価格高騰対策、そして価格転嫁についてお尋ねがありました。
 為替レートは様々な要因によって決定されるものであり、変動の要因や見通しを一概に申し上げることは困難です。その上で、足下の円安に対しては、インバウンドの回復や企業の国内回帰などにより、日本経済の改善につなげてまいります。
 また、原材料価格の高騰に対しては、先月の食料品やガソリンの値上がりを抑えるための追加策に続き、今月中に電気料金負担を直接的に緩和する対策を含む総合経済対策を策定し、物価高から国民の生活と事業活動を守り抜いてまいります。
 この中で、価格転嫁についても、原材料等の高騰に伴う負担が下請事業者のみにしわ寄せされることがないよう、公正取引委員会等の執行体制、これを強化しております。
 構造的な賃上げ、そして労働移動円滑化についてお尋ねがありました。
 女性や高齢者、外国人等の多様な労働参加が進む中で、個々人のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方として、勤務時間が短いパートタイム労働者等が増加をしてきました。
 これにより、賃金の単純な平均値は押し下げられましたが、二〇〇二年から二〇二一年の間に、女性の雇用者の数は約五百八十万人、六十五歳以上の高齢者は約三百六十万人増加するなど、雇用増、これは実現をいたしました。
 今回目指す構造的賃上げとは、賃上げと、労働移動の円滑化、人への投資という三つの課題を一体的に改革することにより、賃上げが高いスキルの人材を引き付け、企業の生産性を向上させ、更なる賃上げを生むという好循環を実現するものです。
 そのため、労働移動円滑化に向けた指針を来年六月までに取りまとめるとともに、リスキリング、すなわち成長分野に移動するための学び直しを始めとした人への投資の支援の抜本強化等を断行してまいります。
 また、私が述べている労働移動の円滑化とは、希望する労働者が主体的に賃金上昇が期待できる成長分野の企業、産業への転職を可能とする取組であり、御指摘のような賃金の下振れは起こらないと考えております。
 分配と消費税減税についてお尋ねがありました。
 新しい資本主義は、成長と分配の両方が重要です。成長と分配の好循環を実現するため、社会課題を成長のエンジンへと転換し、成長を実現するとともに、その果実を分配し、消費を喚起していくことで次の成長へとつなげていきます。
 これまでも、人への投資の抜本的強化に加え、賃金をコストではなく未来への投資と再定義し、賃上げ税制や公的価格の引上げ、公共調達や補助金における賃上げに積極的な企業への優遇、また価格転嫁対策など、賃上げしやすい環境づくりとして様々な政策に取り組んできました。
 今後も、賃上げは不可欠であり、新しい資本主義の旗印の下で、成長と分配の両面から構造的な賃上げを重点分野の一つとして掲げ、正面から果断にその実現を目指すこととしております。
 なお、諸外国において付加価値税率の引下げが行われた例があること、これは承知をしておりますが、我が国においては、消費税は全世代型社会保障制度を支える重要な財源であり、消費税率の引下げは考えておりません。
 危機に強い経済構造への転換についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、物価高騰やサプライチェーンの供給途絶などの様々なリスクに備えて、国内における生産基盤の強化を図ることは極めて重要です。
 このため、新しい資本主義実現会議においても、今般策定する総合経済対策に反映すべき重点事項としてサプライチェーンの強靱化を掲げており、半導体や蓄電池、ワクチンを始めとした医薬品、食料などの戦略的な物資について、経済安全保障の観点からも、国内の製造拠点整備等に対する支援策を講じてまいります。
 こうした取組を通じて、円安メリットも生かし、危機に強い経済構造への転換、図ってまいりたいと思います。
 そして、国産農産物の需要拡大や生産振興、自家配合飼料への支援についてお尋ねがありました。
 総合経済対策において、小麦、大豆、飼料作物等への作付け転換等による増産への支援や、耕畜連携等による堆肥や下水汚泥等の肥料利用拡大により、海外に依存する農産物や肥料、飼料の国産化を強力に推進してまいります。
 また、畜産農家が自ら配合する飼料は、御指摘のように配合飼料価格安定制度などの対象ではありませんが、畜産経営安定対策、また施設整備への支援、こうした支援によって、飼料価格の低減努力、これを後押ししていきたいと考えております。
 そして、出生率の低下についてお尋ねがありました。
 少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていると認識しておりますが、中でも、子育てや教育に係る費用負担の重さや仕事と子育ての両立の難しさがその大きな課題として挙げられています。
 今後の子供政策に関する予算については、こども家庭庁の下で、子供の視点に立って、必要な子供政策が何かをしっかりと議論した上で体系的に取りまとめ、社会全体で費用負担の在り方を検討することと併せて子供政策の充実に取り組んでまいります。来年度の骨太の方針には、将来的に倍増を目指していく上での当面の方針、これを明確にしていきたいと考えております。
 子育て支援策の所得制限についてお尋ねがありました。
 各制度における所得制限の在り方については、個々の制度の目的や支援方法に応じて、それぞれの制度において必要性が判断されるものと考えております。
 例えば、児童手当の所得制限は、本則給付で中学校修了前までの児童のおおむね九割が対象となっており、いわゆる中間層の方々にも支援をお届けできていると考えております。
 今後、全世代型社会保障構築会議において、働き方に中立的な社会保障制度の構築や子供の年齢に応じた切れ目のない支援強化の在り方などについて、これ幅広く検討を行ってまいります。
 マイナンバーカードの取得促進についてお尋ねがありました。
 マイナンバーカードは、デジタル社会のパスポートとして普及に政府を挙げて取り組んでおり、現時点で国民の約五六%の方に交付申請をしていただいております。
 御指摘のあったマイナポイントは、普及率が低い段階において多くの方のカード取得の契機となっており、有効であると認識をしております。
 また、カードが普及している自治体は地域のデジタル化に関する環境整備を行っていると考えられることから、交付金等の審査にカードの普及状況を反映することは適切であると考えております。
 一方、御指摘のとおり、カードの利便性を向上させることは大変重要と考えています。これまで、健康保険証としての利用、ワクチン接種証明アプリ、各種行政手続の本人確認など、カードの利活用シーンを拡大してきました。
 今後も、運転免許証との一体化やカード機能のスマートフォンへの搭載などを予定しており、カードの利便性の向上を飛躍的に進め、おおむね全ての国民への普及のための取組、加速してまいります。
 新型コロナについてお尋ねがありました。
 今回の感染拡大では、昨年夏の感染拡大時より重症化率は減少している一方で、オミクロン株に感染した場合の致死率は、特に高齢者において、季節性インフルエンザの、失礼、した場合の致命率、オミクロン株に感染した場合の致命率は、特に高齢者において、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられます。
 そしてまた、ワクチンについても、従来型のワクチンはオミクロン株に対しても一定の期間の重症化予防効果等が認められると考えています。
 御指摘のアドバイザリーボード提出資料については、これは単純集計であり、ワクチン接種からの期間が考慮されていないことから、特定の世代の方への感染予防効果を評価するというのは困難であると思います。
 マスクの着用については、屋外では原則として不要であり、こうしたルールについて引き続き国民の皆様への広報の強化に努めてまいります。さらに、科学的知見に基づき、マスク着用の考え方を含めた感染対策の在り方について検討してまいります。
 新型コロナの流行下における子供の心身への影響については、厚生労働省で調査研究を実施しており、御指摘の観点も含めて引き続き調査を進めてまいります。
 災害対策本部の設置、被災者への支援及び災害損失控除の創設についてお尋ねがありました。
 政府の災害応急対応については、気象状況や被害状況を踏まえ、適切な体制を構築することとしております。
 本年八月の大雨については、防災担当大臣が出席をして関係省庁災害対策会議を計六回開催するなど、関係省庁が緊密に連携して切れ目のない対応に当たってきたところであり、適切な警戒体制の下、万全の災害応急対策を講じてきたものと認識をしております。
 被災者への支援については、住まいの確保を始めとした被災者の生活再建等に全力で取り組むよう私から指示したところであり、被災された自治体から様々な声を丁寧に伺いながら、被災者の皆さんに寄り添った支援を行ってきたところです。
 また、御指摘の災害損失控除の創設に関しては、納税者間の公平性をどう担保するかなど様々な論点があり、これ慎重に検討する必要があると考えておりますが、激甚化、頻発化する自然災害に対して様々な政策手段を含めた総合的な対応を行うことが重要であり、今後も適切に対応してまいりたいと考えます。
 インボイス制度とシルバー人材センター事業についてお尋ねがありました。
 インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、その円滑な移行を図る観点から、十分な経過措置をとると、あっ、経過措置を設けるとともに、事業者の負担を軽減する支援や取引環境の整備等を引き続き政府一体で連携して取り組んでいきます。
 また、シルバー人材センターについては、インボイス制度の導入により会員の就業機会が失われることがないよう、センターの事務処理のデジタル化を進め、業務の効率化、簡素化等を図るなど、経営基盤の強化を図るための支援、こうした支援を通じて安定的な運営の確保に万全を期してまいりたいと考えます。
 そして、国民の信頼回復のための各般の取組や山際経済再生担当大臣の処遇についてお尋ねがありました。
 まず、私の政権においては、各閣僚等が、それぞれが旧統一教会との過去の関係を調査、説明し、新たな接点が判明した場合には、その都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底すること、これを方針としております。自民党においても、それぞれの議員がこの方針遵守を徹底し、これを担保するためのチェック体制を構築してまいります。
 また、政府としては、被害者の救済に万全を尽くすとともに、消費者契約に関する法令等について見直しを進めてまいります。
 山際大臣については、過去、旧統一教会関係の接点があったこと、また、接点を点検した後も新たな過去の接点が報じられていることについてできる限りの調査を行い、その結果を説明するとともに、これまでの反省に立って今後は一切関係を持たないと述べていると承知をしています。理解を得られていないというのであれば、引き続き、政治家として、自らの責任において丁寧に説明を尽くす必要があると考えております。
 自民党が旧統一教会との関係を絶つことは、今申し上げた方針の徹底とチェック体制の構築によって担保してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。拍手
   〔国務大臣山際大志郎君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
山際大志郎#14
○国務大臣(山際大志郎君) 私の発言についてお尋ねがありました。
 私の発言については、撤回の上、改めておわび申し上げます。今後、発言については慎重を期し、丁寧に発信してまいります。
 総合経済対策と旧統一教会との関係についてお尋ねがありました。
 本年四月に原油価格・物価高騰等総合緊急対策を取りまとめ、その後も累次にわたり切れ目のない対策を講じてきました。その上で、我が国経済の見通しについては、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中で持ち直していくことが期待されていますが、足下では、ロシアによるウクライナ侵略と、円安によるエネルギー、食料価格の高騰、世界の景気後退懸念が日本経済の大きなリスク要因となっています。こうした状況に対し、今月中に総合経済対策を取りまとめ、この物価高から国民生活と事業活動を守り抜きます。
 また、旧統一教会や関連団体の会議等への出席については、事務所に資料等が残っていなかったことから自身で確認することができず、外部からの指摘を受けて具体的に確認をいたしました。出席を把握している会議等については全て公表していますが、説明責任を十分に果たせない事態となったことは深く反省しております。
 私としては、総合経済対策の取りまとめなど、しっかりと取り組んでいくことで閣僚としての責任を果たしてまいります。拍手
    ─────────────
この発言だけを見る →
長浜博行#15
○副議長(長浜博行君) 小池晃君。
   〔小池晃君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
小池晃#16
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 会派を代表して、岸田文雄総理に質問します。
 総理は、国民の六割が反対する中、安倍晋三元首相の国葬を強行しました。国葬後の世論調査でも、評価しない、よかったと思わないという人が多数です。総理は、国民が国葬に納得していないのはなぜだとお考えですか。人の命は平等であるはずなのに、安倍氏を特別扱いで国葬の対象にしたことは憲法十四条の法の下の平等に反するのではありませんか。
 総理は、安倍氏に対して敬意と弔意を国全体として表す儀式として国葬を行うとしましたが、これは国民全体に弔意を強制することが明白です。これも憲法十九条の思想、良心の自由を踏みにじるものではありませんか。
 国葬で、総理は、安倍政権の実績として、安保法制や特定秘密保護法の強行、消費税の二度にわたる引上げなどを列挙して賛美しましたが、これらのことも、モリカケ、桜の国政私物化も、虚偽答弁も全て肯定し、引き継ぐ立場なのですか。
 国葬の強行で、安倍政治への礼賛を国民に求めることは断じて許されません。憲法違反の国葬強行に改めて抗議します。
 自民党国会議員の約半数が関係を持ってきた反社会的カルト集団である統一協会、国際勝共連合について聞きます。
 統一協会の重大な問題点は、自らの正体を隠して接近し、信者に取り込み、霊感商法や高額献金、集団結婚などを強いてきたことです。そうした反社会的行動を覆い隠すため、政治家に取り入り、政治家の側は選挙での手足に使うという抜き差しならない癒着がつくられました。集会やイベントで政治家が挨拶し、祝電を送り、自治体などが後援したことが、市民をだまして多くの被害者を生み出す結果となりました。自民党の多数の政治家が広告塔となり被害を広げてきた責任を総理はどう認識していますか。
 政府の責任も重大です。二〇一五年に教団の名称変更を認めたことは、正体隠しのために最大限利用されました。総理は、この反社会的カルト集団の名称変更を認めて被害を拡大させた、行政としての責任をどう考えていますか。名称変更は認めないという従来の行政の方針は、政治家の関与がなければ変更できるはずがありません。名称変更に政治家の関与はなかったのか、徹底的に調査すべきではありませんか。
 総理は、内閣改造に当たり、統一協会との関係を点検し、厳正に見直すことを了解した者のみを任命したと述べました。あなたが内閣の骨格として再任した山際経済再生担当大臣は、改造に当たって自らの統一協会との関係をどのように総理に報告したのですか。
 山際氏は、ネパールでの会合参加について、報道を見る限り出席したと考えるのが自然とし、ナイジェリアの会合も、外部からの指摘で確認されたなどとして追加報告をしました。
 総理は、こうした山際氏の説明や対応に国民の納得が得られると思いますか。総理の任命責任が厳しく問われます。更迭すべきではありませんか。
 安倍晋三氏は、統一協会とは真逆の考え方に立つ政治家どころか、関連団体の会合に韓鶴子総裁を始め皆様に敬意を表しますというビデオメッセージまで送ったのに、なぜ調査対象にしないのですか。岸元首相以来、六十年以上にわたり自民党と統一協会、国際勝共連合が深い関係にあったことは周知の事実です。しかも、八年八か月、総理・総裁を務めた安倍氏と統一協会の関係について何の調査もせずに、自民党と統一協会に組織的関係はなかったとなぜ断じることができるのですか。
 参院議長を務めた伊達忠一氏は、安倍氏がどの候補者を統一協会に支援させるか差配していたことを実にリアルに証言しています。なぜ調査しないのですか。
 総理は、統一協会への解散命令について、信教の自由を理由に慎重な姿勢です。しかし、宗教法人格がなくなると税制上の優遇などは受けられなくなりますが、宗教団体としては活動ができます。総理は、今後も統一協会に宗教法人としての特権を付与して優遇することに国民の理解が得られるとお考えですか。
 政府は、宗教法人法に基づく解散命令を請求すべきです。それもせずに統一協会と関係を絶つなどと言っても、その場しのぎにすぎないのではありませんか。
 物価の高騰が国民の暮らしに襲いかかっていますが、総理は物価高騰の最大の原因が異常円安であることを認めないのですか。所信表明で総理は円安のメリットを最大限引き出すと述べましたが、円安を維持すべきだとでも言うのですか。総理の耳には、物価高騰に苦しむ国民、原材料費の高騰にあえぐ中小業者の悲鳴が聞こえないのでしょうか。
 実質賃金はついに五か月連続マイナスとなりました。総理は構造的な賃上げが必要と言いますが、所信表明演説からは全く構造が見えません。
 我が党は、かねてより構造的な賃上げを提案しています。働く人の七割がいる中小企業が賃上げできる環境をつくることと、この一年だけでも十八兆円増えて四百八十四兆円に達した大企業の内部留保、これを賃上げに活用することです。
 具体的には、大企業の内部留保から賃上げや設備投資分を控除した上で時限的に課税し、大企業の労働者の賃上げを促すとともに、五年間で十兆円の財源を生み出して中小企業の労働者の賃上げ支援に充てて、最低賃金を全国どこでも時給千五百円に引き上げる提案です。
 大企業も中小企業も賃上げを可能にする、これが我が党の構造的な賃上げ政策です。反対だというなら対案を示すべきではありませんか。
 食料は国民の命綱です。しかし、今、肥料も飼料も二年前より四割以上アップする一方、米価は二割以上下落し、農村からは、もう続けられないと悲鳴が上がっています。このままでは、ますます農業は衰退し、食料自給率の向上にも逆行し、国民の命を守ることができなくなってしまいます。
 総理には、日本農業が危機に瀕しているという認識がありますか。
 肥料や飼料、燃油などの価格高騰前との差額を政府の責任で補填すべきではありませんか。あわせて、市場任せの農業政策を改め、生産コストに見合う農産物の価格保障と所得補償を確立すべきです。答弁を求めます。
 物価高騰による学校給食費の値上げも家計を直撃しています。こうした中、全国で八割を超える自治体が、地方創生臨時交付金などを活用し、学校給食費の保護者負担を軽減しています。青森市や東京葛飾区のように無償化する自治体も生まれています。しかし、消極的な自治体も少なくありません。
 文科省は、我が党の吉良よし子議員の質問に、学校給食法には給食費の補助を禁止する意図はなく、自治体の判断で全額補助することを否定しない、していないと認めました。このことを改めて自治体に徹底すべきではありませんか。
 そもそも、憲法二十六条は、義務教育は無償とすると定めています。本来、学校給食は国の責任で恒久的に無償とすべきものです。全ての子供の健やかな成長のため、国の責任で小中学校給食の無料化を速やかに実施すべきではありませんか。
 物価高騰の影響が多くの商品、サービスに及ぶ中、最も効果的なのは消費税の減税です。コロナ禍以降、世界九十九か国・地域で消費税、付加価値税の減税が進められています。是非、日本を百か国目にしようではありませんか。コロナ下で苦しむ中小零細、フリーランスを危機に追いやるインボイス制度導入も中止すべきです。答弁を求めます。
 安全で効果的な中絶方法として世界でも主流となっている経口妊娠中絶薬が年内にも承認される見通しとされています。ところが、政府は、母体保護法に基づき、服薬には配偶者の同意が必要だと答弁しました。このことに対して、私の体は私のものだ、産む産まないは女性の自己決定だという批判が起こっています。なぜ母体保護法では人工妊娠中絶に配偶者の同意を必要としたのでしょうか。
 妊娠や出産は、母体に大きな影響を及ぼし、女性の人生設計も大きく左右します。産むか産まないか、いつ産むかを決めるのは当然女性であるべきではないでしょうか。
 リプロダクティブヘルス・ライツ、性と生殖に関する健康と権利が、今日、女性の人権の重要な概念の一つとして国際的にも確立していることを総理はどのように認識しておられますか。
 国連女性差別撤廃委員会は、母体保護法の配偶者同意の撤廃を日本に勧告し、WHOも本人の希望で中絶を可能にするよう求めています。こうした声をどう受け止めていますか。
 我が国では、刑法の自己堕胎罪と母体保護法によって、女性には中絶の決定権がありません。明治以来の家父長制の下で女性には自由も権利もなく、胎児は家のもの、家長のものという前提で作られた法体系が今も女性の権利を奪っています。
 コロナ禍の下、DVや望まない妊娠も増えています。性暴力による妊娠さえも中絶に男性の同意が求められるケースが後を絶たず、女性たちを苦しめています。
 刑法の自己堕胎罪、母体保護法の配偶者同意要件は撤廃すべきです。答弁を求めます。
 総理は所信表明で、原発の再稼働に加えて、次世代革新炉の開発、建設などの加速を表明しました。東京電力福島第一原発事故の以降、歴代政権が封印し、参議院選挙前には口にしなかった政策の大転換に踏み切るのですか。
 東京電力福島第一原発の事故は、いまだに収束していません。住む家も仕事も故郷も奪われた被害者の十年余りの人生を取り戻すことはできません。世界有数の地震・津波国である日本で原発を推進することの危険性も計り知れません。使用済核燃料の処理のめども立っていません。それでも総理は、再稼働のみならず、新増設まで進めようというのですか。
 総理が所信表明で示した次世代革新炉はどれも課題山積で、唯一実用化が取り沙汰される革新軽水炉も、その時期は二〇三〇年代半ば以降とされています。これでは、現在の電力不足対策どころか二〇三〇年までの気候危機対策にも役に立ちません。結局、既存原発に依存せざるを得ず、老朽原発の延長運転と不可分になってしまいます。そのために、原発の運転期間の制限を撤廃し、六十年以上の長期運転まで可能にしようというのですか。
 原発依存は、再生可能エネルギーも後景に追いやり、気候危機対策にもエネルギーの海外依存からの脱却にも逆行します。原発の再稼働と新増設方針を撤回し、原発ゼロと石炭火力からの撤退を決断し、純国産の再生可能エネルギー大量普及でエネルギー自給率の向上を図るべきです。答弁を求めます。
 北朝鮮による弾道ミサイル発射を強く非難します。軍事的挑発を抑えるために、国際社会が協調して外交的対応を強化することを求めるものです。
 軍事的挑発に対して軍事力の強化で臨めば、軍事対軍事の悪循環になってしまいます。しかし、来年度予算の防衛省概算要求は敵基地攻撃予算と呼ぶべきもので、同能力の保有を既成事実化するものです。過去最高の約五兆六千億円が計上された上、金額を示さない事項要求が多数含まれ、青天井との指摘もあります。
 事項要求の第一の柱は敵基地攻撃能力となるスタンドオフ防衛能力で、その中心である長射程巡航ミサイルは一千発以上の保有が検討されていると報道されていますが、これは事実ですか。
 岸田政権は、今年五月の答弁書で、集団的自衛権の行使においても敵基地攻撃が可能であることを明確にし、八月には、環太平洋合同演習、リムパックにおいて、集団的自衛権行使を想定した訓練が初めて行われました。
 日本が敵基地攻撃能力を持てば、軍事対軍事の悪循環がエスカレートし、一触即発の事態をもたらします。さらに、日本が攻撃されていないのに、米国が軍事行動を始めたら、安保法制、集団的自衛権を発動して、自衛隊が敵基地攻撃で相手国に攻め込み、その結果戦火が日本に及ぶ。これが今、我が国が直面している現実の最大の危険です。
 今、政府がやるべきことは、地域の緊張を高め、戦争の危険を呼び込む軍事力強化ではありません。東アジアに平和的な環境をつくるための、憲法九条を生かした徹底的な外交努力ではありませんか。敵基地攻撃能力の保有や軍事費倍増の検討は、中止を強く求めるものであります。
 先月行われた沖縄県知事選挙で、辺野古新基地建設に反対の玉城デニー候補が、辺野古推進を明言し、政府・自民党が総力を挙げて支援した候補者に六万票以上の大差を付けて圧勝しました。総理はこの結果をどう受け止めていますか。新基地建設反対の県民の意思は明白ではありませんか。
 この間、政府は、民意をことごとく無視し、粛々と工事を進め、既成事実を積み重ねることで県民を諦めさせようとしてきました。償いの心から始まったはずの沖縄振興予算を減額するというおよそ考えられない卑劣なやり方で県民を分断し、基地受入れを迫ってきました。それでも新基地は絶対に受け入れないという県民の揺るがぬ意思を示したのが、今回の選挙結果にほかなりません。
 安倍政権以来の強権的で冷酷な沖縄政策を根本から改め、玉城知事が求めている、問題解決に向けた県との対話に応じるべきではありませんか。
 日米両政府が普天間基地の全面返還に合意してから二十六年以上が経過しました。これ以上、危険性を放置することは許されません。普天間基地の即時運用停止、閉鎖、撤去に踏み切り、辺野古新基地建設はきっぱりと断念をすべきであります。
 総理の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。拍手
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
岸田文雄#17
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 小池晃議員にお答えをいたします。
 故安倍元総理の国葬儀の実施、法の下での平等との関係、弔意表明、安倍政権の継承についてお尋ねがありました。
 国葬儀に関しては、国民の皆様や各党各会派から様々な御意見、御批判をいただいたことも事実であり、その多くに共通するのは、説明が不十分であるとの指摘であったと認識をしております。
 今回の国葬儀は、安倍元総理は憲政史上最長の八年八か月にわたり内閣総理大臣の重責を担われたこと、選挙運動中の非業の死であったこと、日本経済の再生等大きな実績を様々な分野で残されたこと、国内、海外からの幅広い弔意が寄せられたことなど、様々な状況を踏まえ、我が国としても、故人に対する敬意と弔意を表す儀式を催し、これを国の公式行事として開催し、その場に海外からの参列者の出席を得る形で葬儀を執り行うことが適切であると判断し、執り行ったものであります。これは、法的に誰かを差別することとは無関係であり、法の下の平等に反するという御指摘は当たりません。
 また、今回の故安倍元総理の国葬儀の実施に際しては、国民一人一人に喪に服することを求めるものであるとの誤解を招くことがないよう、国において弔意表明を行う閣議了解は行わず、国から地方公共団体や教育委員会等の関係機関に対する弔意表明の協力の要請も行っておらず、弔意表明の強制であるとの御指摘は当たらないと考えております。
 過去の事案については、それぞれ必要な調査を行い、国会の場などでも繰り返し説明が行われてきたものと承知をしております。
 旧統一教会と政治の関係についてお尋ねがありました。
 まず、被害を受けられた方がいらっしゃる中で、多くの自民党の国会議員が旧統一教会と様々な接点を持っていたことにより、結果として当該団体の信頼を高めることがあったとの指摘について重く受け止めております。
 その上で、私の政権においては、各閣僚等それぞれが旧統一教会との過去の関係を調査、説明し、新たな接点が判明した場合は、その都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底すること、これを方針としております。自民党においても、それぞれの議員がこの方針遵守を徹底し、これを担保するためのチェック体制、これを構築してまいります。こうした方針を徹底していくことが私の責任であると考えております。
 平成二十七年の旧統一教会の名称変更についてお尋ねがありました。
 宗教法人法上、名称の変更等のための規則変更については、所轄庁の認可ではなく、認証による制度とされています。そのため、宗教法人から規則変更の認証申請を受理した場合は、所轄庁は、変更しようとする事項が法令に適合しているかなど、宗教法人法に定める要件を審査し、その要件を備えていると認めたときは認証する旨の決定を行う必要があります。
 本件規則変更の認証申請についても、所轄庁として、当該申請の内容が法令に規定された要件を備えていることを確認し、認証の決定を行ったものであり、所轄庁の調査によれば、政治家や大臣の政治的な関与や圧力はなかったと報告を受けているところであります。
 山際大臣の旧統一教会との関係に係る説明や対応等についてお尋ねがありました。
 山際大臣については、過去、旧統一教会関係の接点があったこと、また、接点を点検した後も新たな過去の接点が報じられていることについてできる限りの調査を行い、その結果を説明するとともに、これまでの反省に立って今後は一切関係を持たないと述べていると承知をしております。
 山際大臣との日頃のコミュニケーションの中で、点検及び結果説明の状況を共有されておりますが、いずれにしても、理解を得られていないというのであれば、引き続き、政治家として自らの責任で丁寧に説明を尽くす必要があると考えております。
 安倍元総理及び自民党と旧統一教会との関係についての調査についてお尋ねがありました。
 安倍元総理が旧統一教会とどのような関係を持っていたかの調査については、当時の様々な情勢における御本人の心の問題である上に、本人がお亡くなりになった今、本人は何も釈明、弁明ができないなど、十分な調査はできないのではないかと考えております。
 自民党においては、所属国会議員と旧統一教会との関係について点検を行い、その結果を発表いたしました。旧統一教会との関係については、各議員が政治家の責任において丁寧に説明を尽くす必要があると考えており、今後も、各議員が最大限説明責任を果たすとともに、当該団体と関係を持たないことを徹底してまいります。
 また、自民党の政策決定に当たっては、幅広く国民の皆さんの声を聞くとともに、関係省庁からの説明、有識者、専門家などの議論など様々なプロセスを経て政策を決定しており、特定の団体から不当な影響を受けていることはないと考えております。
 旧統一教会に対する解散命令の請求についてお尋ねがありました。
 宗教法人法の法人格を剥奪するという極めて重い対応である解散命令の請求については、信教の自由を保障する観点から、判例も踏まえ、慎重に判断する必要があると考えておりますが、社会的に問題が指摘されている団体に関しては、政府としては、宗教法人法を含め、関係法令との関係を改めて確認しながら、厳正に対応してまいります。
 物価高騰の要因や円安などについてお尋ねがありました。
 今般の物価高騰の要因については、円安の影響に加え、ウクライナ情勢等による国際的な原材料価格の上昇の影響もあり、様々な要因があると考えております。
 為替レートについては、市場で決定するのが原則であり、標準や見通しについてコメントすることは控えます。
 足下の物価高は消費者の暮らしや事業者の経営に大きな影響を与えており、これまで累次の対策を講じていますが、国民の皆様からの厳しい声をしっかり受け止め、引き続き今後の総合経済対策の策定等に生かしてまいります。
 構造的な賃上げについてお尋ねがありました。
 新しい資本主義の下、構造的な賃上げを重点分野の一つとして掲げ、正面から果断にその実現を目指します。
 このため、賃上げ、労働移動の円滑化、人への投資という三つの課題の一体的改革を実現するため、労働移動円滑化に向けた指針を来年六月までに取りまとめるとともに、リスキリングを始めとした人への投資の支援の抜本強化を断行してまいります。
 また、中小企業が賃上げできる環境の整備に向けて、事業再構築補助金やものづくり補助金などを通じて生産性向上を支援するとともに、価格転嫁対策を更に強力に進めてまいります。
 なお、御指摘の内部留保への課税については、二重課税に当たるとの指摘があることから、慎重な検討が必要であると考えております。
 農業に対する現状認識、農産物の価格保障についてお尋ねがありました。
 農業は、肥料、飼料の高騰により厳しい状況にあると認識をしており、肥料価格高騰に対する支援金の仕組みの創設や、配合飼料の負担を十月以降も据え置く措置など、機動的に対応してきました。今後、下水汚泥、堆肥等の国内資源の利用拡大や、飼料作物の生産拡大を進めてまいります。
 御指摘の価格保障や所得補償は、一般に需給動向や品質を考慮しない生産が助長されるなどの問題があると考えており、収入保険制度等により経営の安定を図りつつ、スマート農林水産業、輸出促進、グリーン化、食料安全保障の強化を農林水産政策の四本柱として農林水産業の成長産業化を推進し、農業者の所得向上を図ってまいります。
 学校給食費についてお尋ねがありました。
 学校給食費において、保護者が負担する学校給食費を自治体等が補助することを妨げるものではないことは、既に過去の国会において政府答弁において明らかにしています。
 学校給食費の無償化については、学校の設置者である自治体において適切に判断、御判断いただくべきものと考えておりますが、家庭の経済状況が厳しい児童生徒の学校給食費については、生活保護による教育補助や就学援助を通じて支援を実施しているところです。
 今般の物価高騰に対しては、政府において地方創生臨時交付金の活用を促し、九九%の自治体において保護者が負担する学校給食費の値上げが抑制され、保護者の負担の軽減が進んでいるところです。
 消費税減税とインボイス制度についてお尋ねがありました。
 諸外国において付加価値税率の引下げを含め様々な対策が講じられていることは承知しておりますが、足下の物価高に対しては、家計への影響が大きい低所得世帯向けの給付金や、エネルギー、食料品への重点的な対策を始めとする緊急の支援策等を講じ、さらに、今月中に総合経済対策を取りまとめることとしており、御指摘の消費税減税は考えておりません。
 また、インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、その円滑な移行を図る観点から、十分な経過措置を設けるとともに、事業者の負担を軽減する支援や取引環境の整備等に、引き続き政府一体で連携して取り組んでいきます。
 人工妊娠中絶についてお尋ねがありました。
 性と生殖に関する健康と権利は、一九九四年の国際人口・開発会議において提唱され、国際的に女性の重要な人権の一つであると認識されていると承知をしております。
 母体保護法における人工妊娠中絶の配偶者同意要件については、一九四八年の議員立法による制定当時からある規定ですが、二〇一六年の女子差別撤廃委員会や二〇二二年のWHOにおける指摘があることは承知をしております。
 その廃止については、個人の倫理観、家族観等に関わる難しい問題であり、様々な御意見や御議論があることから、国民的な合意形成が必要であると考えております。また、刑法の堕胎罪は、胎児の生命をも保護するものであり、慎重な検討を要すると考えております。
 他方、昨年、夫からのDV被害を受けているなど、婚姻関係が実質破綻しており、配偶者の同意を得ることが困難な場合は、本人の同意だけで人工妊娠中絶が可能と解されたところであり、この運用について、厚生労働省において引き続き適切に周知をしてまいります。
 エネルギー政策についてお尋ねがありました。
 自然エネルギーを活用する条件が諸外国と異なる我が国においては、エネルギー安定供給の確保に向け、石炭火力を含め原子力などあらゆる選択肢を追求する必要があり、多様な選択肢の確保を通じてエネルギー自給率向上に向けた取組をしっかりと進めてまいります。
 再エネはエネルギー自給率の向上に寄与する重要な脱炭素電源であり、再エネの最大限導入に向け全力で取り組んでいきます。
 その上で、昨今の国内外の情勢変化を踏まえ、エネルギー安定供給の確保のため、原子力発電の問題に正面から取り組みます。
 まず、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉と福島の復興は政権の最重要課題です。引き続き、国が前面に立って取り組んでまいります。
 また、原子力については、いかなる事情よりも安全性が最優先であり、自然災害への対応も含め、今後とも独立性の高い原子力規制委員会が厳格に規制を行っていく方針、これは変わりはありません。
 また、今後も安定的かつ継続的に原子力発電を利用するために、使用済燃料対策は重要であり、使用済燃料の再処理や貯蔵能力の拡大、高レベル放射性廃棄物の最終処分等の問題に対して、責任ある取組を進めてまいります。
 こうした取組をしっかりと進めつつ、今後を見据えてあらゆる選択肢を確保するため、安全確保を大前提とした運転期間の延長など既設原発の最大限活用、次世代革新炉の活用、開発、建設を含め、年末に向け、専門家による議論の加速を指示したところです。専門家の意見も踏まえ、年末までに具体的な結論を出せるよう、検討を進めてまいります。
 敵基地攻撃能力や外交努力についてお尋ねがありました。
 御指摘を含め、様々な報道がなされていることは承知していますが、その一つ一つにお答えすることは控えます。
 これまでるる申し上げているとおり、安全保障環境が急速に厳しさを増す中、外交的な取組が重要であるということは言うまでもありません。同時に、国民を守り、地域の平和と安定を確保するため、本年末までに新たな国家安全保障戦略等を策定する中で、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、防衛力を抜本的に強化してまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。
 世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならない、これは地元の皆様との共通認識であると思います。辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき、着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。
 引き続き、丁寧な説明を行うとともに、地元の皆様の意見を伺いながら、全力で取り組んでいきます。
 なお、具体的な沖縄振興予算の額は、必要な予算を積み上げて決定されるものであり、基地問題とは直接関連しておりません。いずれにせよ、強い沖縄経済をつくるための取組を着実に進めてまいります。拍手
    ─────────────
この発言だけを見る →
長浜博行#18
○副議長(長浜博行君) 石垣のりこ君。
   〔石垣のりこ君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
石垣のりこ#19
○石垣のりこ君 立憲民主・社民の石垣のりこです。会派を代表して質問をいたします。
 総理、まず冒頭、端的にこうお伺いします。
 総理はどこにおられるのですか。総理は一体、何をされておられるのですか。
 所信表明演説で総理は、世界規模の物価高を始め、感染症危機やロシアによるウクライナ侵略など、我が国を取り巻く厳しい現実を列挙し、今、日本は、国難とも言える状況に直面していますと述べられました。
 確かに、総理のおっしゃるとおり、今、第二次安倍政権以降の失政の当然の帰結である悪質な円安とインフレ、それに対する岸田内閣の無策などによって国難ともいうべき事態に直面しています。
 しかし、参議院選挙後の岸田総理の姿は、国難に直面した一国の総理の姿とは到底思えません。
 立憲民主党を始めとする野党各党が憲法五十三条の規定に基づいて臨時国会の召集を内閣に求めてから、既に二か月近い時間が過ぎています。この間、総理は、記者会見でメディアの前に姿を現すことはあっても、一切、国権の最高機関たる国会に向き合おうとしませんでした。有権者の代表が集うこの国会から逃げ、姿を隠すことが、国難に直面した日本の総理大臣のあるべき姿なのでしょうか。
 岸田総理、総理は所信表明で、国民の皆様の声を正面から受け止め、説明責任を果たし、厳しい声にも、真摯に、謙虚に、丁寧に向き合っていくと繰り返し述べられました。
 しかし、総理、有権者の声を正面から受け止めるのは有権者の代表が集まる国会ではありませんか。説明責任を果たすのは記者会見ではなくて、議事録が残り、発言そのものに責任が発生する国会質疑ではありませんか。厳しい声にも、真摯に、謙虚に、丁寧に向き合っていく必要があるのは、国権の最高機関たるこの国会の場ではないでしょうか。その国会に向き合うことがそんなにお嫌ならば、御無理は申し上げません。即刻、総理をお辞めください。
 岸田総理にとって、国民の声を聞くことと憲法五十三条を無視して国会を開かないことにどのような整合性があるのか、御見解をお聞かせください。
 次に、旧統一教会問題についてお尋ねします。
 総理は所信表明の中で、統一教会問題に関し、国民の皆様の声を正面から受け止め、説明責任を果たしながら、信頼回復のために各般の取組を進めてまいりますと述べられました。
 そこでお尋ねします。
 総理は、国民の皆様の声がどのようなものであると認識されていますか。また、ここで述べられた説明責任とは、何に関する説明であり、誰に対して誰がどこで行う説明なのでしょうか。さらには、信頼回復のために各般の取組が必要なほど毀損された信頼とは、誰から誰に対する信頼のことなのでしょうか。また、統一教会の問題の何がどのようにして信頼回復のために各般の取組が必要なほどの信用毀損を生んだのでしょうか。それぞれ具体的に総理の言葉でお答えください。
 統一教会問題について、我が立憲民主党は、何よりも被害者の救済が喫緊の課題であるとの考えの下、悪質献金被害救済法案をほかの野党と協力して今国会に提出し、その成立を与党に働きかけていく所存です。
 一方で、新法の成立を待たずとも、現行法の運用で今すぐできることがあります。
 先月三十日に示された政府の「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の取りまとめ概要では、相談内容が宗教に関わることのみを理由として消極的対応をしないことなどが申合せ事項となったと記載されています。
 これまで、被害者が勇気を出して虐待被害からの救済や生活保護の申請のために自治体などの窓口に相談に行っても、宗教の話になると、信教の自由を盾に行政から受付を拒否されるケースが多いといいます。こうした現場の無理解を即刻改善するためには、関係省庁連絡会議の申合せだけでは足りず、虐待被害者の身体保護や生活保護の申請を受け付ける各自治体等の現場の行政機関に、相談内容が宗教に関わることのみを理由として消極的対応をしない旨の実効性のある通達を内閣として発出することが必須であり、それは今すぐにできる被害者救済策と考えますが、総理の見解を伺います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 岸田総理は、自民党総裁としてのお立場から、かねてより自民党所属の国会議員に対して、統一教会との関係を絶つことを党の基本方針に据えていると述べておられます。
 改めて問いますが、自民党の所属議員たるもの、統一教会と関係を絶つべきであると判断されたのはどのような理由からですか。具体的にお答えください。
 また、統一教会は、これまで何度も司法の場で、民法七百十五条で規定される使用者責任のみならず、民法七百九条を根拠として組織としての不法行為を認定されるなど、その反社会性を何度も厳しく指摘され続けてきました。総理御自身は、こうした統一教会の反社会性についてどのような認識をお持ちでしょうか。具体的にお答えください。
 山際大臣に関しては、次々と統一教会との関係が明らかになっています。
 統一教会の問題を調査し続けるジャーナリスト複数からの報告によりますと、今日現在まだ明るみになっていない統一教会との接点があるとの情報もあります。もし、今国会中に山際大臣に関してこれ以上の新しい統一教会との接点が判明した場合、岸田総理の更に重大な任命責任が生じると考えますが、総理の見解を問います。
 岸田内閣に国政のかじ取りを任せるわけにいかない理由は、統一教会との関係を清算できない点にのみあるのではありません。
 山際経済再生担当大臣は、統一教会との不適切な関係だけでなく、保有株式に関する申告を怠っていたという重大な大臣規範違反が判明しています。
 秋葉復興大臣に関しては、実体のない政治団体への多額の寄附が問題視されています。さらに、財務省出身で滋賀県の長浜税務署長でもあった寺田総務大臣に至っては、政治資金規正法の主務大臣でありながら、御本人が代表を務める自民党支部や妻が代表を務める政治団体などに脱税などが疑われる不透明な資金の流れがあるのではないかと報道される始末です。
 寺田大臣にお伺いします。その記事をお読みになりましたか。報道内容は事実でしょうか。政治資金規正法等の関連法令違反や脱税について、その事実や可能性はあるのかないのか、明確にお答えください。
 総理はこのような閣僚をまだ任用し続けるのでしょうか。総理に各大臣の事案への認識とその任命責任を問います。
 また、岸田総理御本人にも為政者としての素質に疑義を抱かざるを得ない事態が発生しています。総理、内閣法にその職務が、内閣総理大臣の命を受け、機密に関する事務をつかさどり、又は臨時に命を受け、内閣官房そのほか関係各部局の事務を助けると規定され、まさに国政の中枢を動かす権限を有する総理の政務秘書官になぜ三十一歳の御子息を起用されたのでしょうか。
 総理は、衆議院本会議で、適材適所であると抜てきの理由を述べておられましたが、御子息の能力や実績がどのように適材であるのか、この人事が身びいきではない理由は何か、具体的にお示しください。
 また、秘書官の俸給を定める特別職の職員の給与に関する法律によれば、総理秘書官の俸給は内閣総理大臣に協議しなければならないとされています。すなわち、総理は御長男の給料をも決める権限があるということです。よもや総理は、自ら国難と規定されるこの状況下で、我が国ではなく我が家を優先されたのではありませんよね。俸給には月額にして最大およそ三十万円もの幅がありますが、まさか同じ総理秘書官となられた事務次官経験者の嶋田秘書官と同等などという事態が発生するのかどうか、具体的に御答弁をお願いします。
 インボイス制度の導入が一年後に迫っています。インボイス制度は、ライターや編集者など言論、出版に関わる方々、プログラマーやエンジニアなどテクノロジー産業の基盤を支える方々、あるいは俳優や声優などエンターテインメント業界関係者に多いフリーランスの皆さんや、建設・土建業界に多い一人親方の皆さんなど、個人で仕事を行う立場の弱い人々に大打撃を与えます。
 インボイス導入に反対し、制度見直しを求め、声優の方々が結成したVOICTIONの設立メンバー、甲斐田裕子氏によりますと、インボイス制度の導入で、声優のうち二割の方が廃業を検討されておられるといいます。
 総理は、所信表明で構造的な賃上げの必要性を訴える中で、中小企業における賃上げや個人がフリーランスとして安定的に働ける環境をつくるとおっしゃいましたが、インボイス制度が導入されることにより、中小企業が活力をそがれ、フリーランスが廃業に追い込まれるならば、矛盾も甚だしいと言わざるを得ません。
 立憲民主党は、既にインボイス制度廃止法案を提出しています。この際、中小零細企業を守り、フリーランスの方々が安定的に働ける環境をつくるためにも、インボイス制度は廃止すべきと考えますが、総理の御所見を問います。
 コロナ対策について伺います。
 五日の衆議院本会議で、第七波における医療提供体制について岸田総理は、重症病棟において三五%、コロナ病床全体でも六二%と、必要な入院医療を提供することができたと答弁されています。しかし、実態は、ベッドはあっても人手は足りず、救急や通常診療においても医療崩壊というべき事態が生じていたのではありませんか。ある医療関係者は、何度同じことを申し上げれば御理解いただけるのかと怒りをにじませながら、国民のお一人お一人の基本的な感染対策に依存するばかりの政府の無策ぶりに苦言を呈しておられました。
 総理は、病床使用率と医療現場の逼迫度に乖離があるということを理解されておられますか。次の感染の波が来た際には、どのように医療崩壊を回避されるのか、お答えください。
 医療逼迫を防ぐためにも、早期診断、早期診療、治療をして、患者の容体を悪化させないこと、そして感染者を抑制することが重要です。PCR検査を基本とした検査を基軸に据えるからこそ、ワクチンも治療薬も相乗効果が期待できるのです。ワクチン一本足打法から脱却し、検査で感染のもとを断つという当たり前のことを感染対策の基本に据えるべきであると考えますが、感染症の拡大防止のための検査の重要性について、総理のお考えを伺います。
 コロナ後遺症やワクチン後遺症にも政府としてもっと積極的に取り組むべきです。
 岸田総理は、リーフレットなどで周知を行ってきた、診療の手引きで職場復帰の支援をお示ししていると答弁されています。しかし、厚生労働省のホームページを見ても、後遺症対応の専用ページすらなく、医療者や周囲の理解不足が患者を更に苦しめています。
 政府として、自治体のお手本となるような相談窓口を設置するとともに、是非とも後遺症に苦しむ人々に対する支援体制をもっと強化していただきたいと考えますが、総理のそれぞれの後遺症に対する認識と今後の対応についてお聞かせください。
 先月末から感染状況の詳細を把握する全数把握が見直され、詳細を把握するのは重症化の可能性のある人だけに限定されました。感染者の総数の把握は続けているとはいえ、第七波で亡くなられた方々のうちおよそ九割は中等症であった事実を踏まえると、全数把握の見直しでこれまで以上に適切な医療につながらず命を落とすケースが増えることが懸念されます。こうした懸念を払拭するためにどのような対応を取られるのか、総理の見解を問います。
 次に、東日本大震災からの復興についてお尋ねします。
 政府は、ALPS処理水について、昨年四月に海洋放出の方針を決定しました。これまで議論がほとんど共有されないまま、寝耳に水の決定事項として強行されることに断固抗議いたします。
 これまで、地元関係者を含め、原発事故でなりわいを奪われた漁業関係者の方々がどのような思いで再生への道のりを歩んでいらっしゃったのか。やっとのことで漁を再開しても、安く買いたたかれ売れなくなってしまった魚を前にどれほどの悔しさをのみ込んできたのか。失われた販路をようやく取り戻した、あるいは何とか取り戻そうと必死になっているやさきに、海洋放出が頭ごなしに決定されたのです。
 総理、総理と、政府と東京電力は、福島県漁連に対し、関係者の理解なしにいかなる処分もしないと約束したのではありませんか。にもかかわらず、海洋放出を決定ありきで進めるのは、関係者の理解が得られたとお考えだからでしょうか。関係者の理解が得られていない以上、ALPS処理水の海洋放出は再検討すべきであると考えますが、総理の御所見を問います。
 さらに、総理は所信の中で、東日本大震災という未曽有の国難からも立ち上がることができましたと述べておられますが、東日本大震災からの復興はまだ完了形ではありません。ALPS処理水のみならず、例えば、最終処分場が決まらず行き場を失ったままの放射性の指定廃棄物が一都八県に散在しています。生活再建、心のケアなど、震災復興に関するソフトの面の対応はいまだに不十分です。未来へ向けた希望を語るならば、不都合な事実にも言及し、解決への具体的な道筋を示すべきです。
 東日本大震災の被災地である宮城県選出の国会議員として、総理に改めて問います。被災地の現実をいま一度直視してください。その上で、まだ、立ち上がることができたと、あたかも終わった話のように言えるのか、御所見を伺います。
 次に、食料安全保障について伺います。
 総理は所信で、産業の米と言われる半導体のことは触れても、まさに今収穫を迎えている米に代表される一次産業、農林水産業については言及されていません。食料価格の高騰を日本経済のリスク要因としながら、何とも不可思議なことに、食料生産そのものについてのビジョンは語られていないのです。
 農業を始め一次産業に携わる方々がどんどん少なくなっています。当事者の皆さんにお話を伺いますと、大半の方が、それだけでは生活していけないからとお答えになります。売れるものを生産せよ、付加価値が高いものを作れと政府は言います。しかし、一次産業は自然が相手です。田んぼに土を盛り、大豆や小麦を植えればすぐに計算どおりの収穫が得られるわけではありません。今年は豊漁でも、来年も続く保証はありません。さらに、大雨や台風などの被害が頻発し、一次産業に大打撃を与え続けています。食料安全保障を考える場合、何より重要なことは、一次産業に携わる方たちが生活の不安なくなりわいを続けることができる仕組みづくりなのではありませんか。
 今こそ、例えば農業であれば、多面的機能の維持と食料自給率の向上を目指す戸別所得補償制度を導入すべきであると考えますが、総理の御見解を問います。
 最後に、憲法改正について伺います。
 総理は、所信で、憲法改正の発議に向け、国会の場においてこれまで以上に積極的な議論を期待すると述べられました。しかし、議会制民主主義を踏みにじり、財政民主主義をないがしろにし、国権の最高機関たる国会を形骸化してはばからない、つまりは、現行憲法を守るつもりもない人物が憲法改正を促すなど言語道断です。総理自身が現在の憲法をないがしろにする状態で、どのような活発な議論ができるというのでしょう。
 憲法改正よりも、国葬や統一教会をめぐる問題に現在の憲法に違反する事例はないか、衆参の憲法審査会で大いに積極的に議論する必要があると考えますが、この点についての総理からの期待について御答弁ください。
 所信表明の結びで岸田総理は、信頼と共感の姿勢を大切にするとおっしゃいました。岸田総理の所信表明から、一体何を信頼し、何に共感したらいいのか、私には皆目見当が付きません。今日、第二次安倍政権以降の我が国が、有効な手だてもなく国難ともいうべき事態に直面していることには同意します。
 だからこそ、国会を軽視し、何ら具体性のない表面だけの決意表明に終始するやる気のない内閣は即刻退陣いただきたい、そう申し上げて、私の代表質問といたします。拍手
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
岸田文雄#20
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 石垣のりこ議員の御質問にお答えいたします。
 臨時国会召集要求への対応についてお尋ねがありました。
 八月十八日に行われた臨時国会の召集要求については、国会のことでもありますので、与党とも相談しながら対応を検討し、臨時国会で審議すべき事項等、こうしたことについてしっかり勘案し準備をした上で十月三日に臨時国会を召集することを決定したものであり、御指摘は当たらないと思っています。
 そして、憲法五十三条の解釈については、これまで法制局長官が答弁してきたとおりであります。
 十月三日の所信表明演説で申し上げたとおり、私は、国民の皆様からの厳しい声にも、真摯に、謙虚に、丁寧に向き合っていくことをお誓いいたします。もとより、国会での議論は誠に重要なものであり、御審議に引き続き誠実に対応してまいります。
 旧統一教会との関係と国民からの信頼についてお尋ねがありました。
 旧統一教会については、悪質商法に関する問題、親族の入信に起因する家族の困窮等の問題等、様々な問題が指摘されているにもかかわらず、多くの自民党の国会議員が旧統一教会と様々な接点を持っていたことにより、結果として当該団体の信頼を高めることがあったとの指摘があり、こうしたことが国民からの政治に対する信頼を損ねてしまったものと考えております。
 自民党においては、所属国会議員と旧統一教会との関係について点検を行い、その結果を発表いたしました。
 旧統一教会との関係については、各議員が政治の責任において丁寧に説明を尽くす必要があると考えており、今後も各議員が最大限国民に対する説明責任を果たすとともに、当該団体と関係を持たないことを徹底してまいります。
 旧統一教会の被害者からの相談についてお尋ねがありました。
 政府としては、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議において、相談内容が宗教に関わることのみを理由として消極的な対応をしないこと、これを申し合わせております。この申合せに沿って、全国の地方自治体等の関係機関に対しても、児童虐待や生活困窮者支援、生活保護等に関する相談窓口における対応に関し、相談内容が宗教に関わることのみを理由として消極的な対応をしないようにする旨の通知等を発出いたしました。
 旧統一教会の関与を背景として、児童虐待や生活困窮などの問題に苦しんでおられる方々が行政機関の支援につながるよう、今後とも適切に取り組んでまいります。
 旧統一教会に対する認識についてお尋ねがありました。
 旧統一教会については、悪質商法に関する問題、親族の入信に起因する家族の困窮等の問題等、様々な問題が指摘されていると承知をしており、このような状況を踏まえて、社会的に問題が指摘されている団体であると認識をしております。
 また、民事上の不法行為責任や使用者責任を認める判決が示されているほか、消費生活センター等へも多数の相談が寄せられており、こうした司法の場も含めて社会的に問題が指摘されている団体と関係を持つことにより政治に対する信頼を損なってはならないと考え、党所属議員に対して関係を絶つことを徹底しているところです。
 山際大臣と旧統一教会との新たな接点が判明した場合についてお尋ねがありました。
 まず、私の政権においては、各閣僚等それぞれが旧統一教会との過去の関係を調査、説明し、新たな接点が判明した場合には、その都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底すること、これを方針としております。
 山際大臣については、過去、旧統一教会関係の接点があったこと、また、接点を点検した後も新たな過去の接点が報じられていることについてできる限り調査を行い、その結果を説明するとともに、これまでの反省に立って今後は一切関係を持たないと述べていると承知をしております。理解が得られていないというのであるならば、引き続き、政治家として、自らの責任において丁寧な説明を尽くす必要があると考えております。
 閣僚に関する事案についてお尋ねがありました。
 私の政権運営における基本は、先日の所信表明演説でも申し上げたとおり、信頼と共感にあります。国民の負託を受け、国政を預かる立場にある政治家にとって、国民の皆様の信頼は不可欠であり、政治家はその責任を自覚し、国民から疑念を持たれないよう常に襟を正していかなければなりません。お尋ねの各事案については、それぞれの大臣が自らの政治家としての責任において、必要に応じ国民の皆様から御理解が得られるよう説明を尽くし、信を得ていかなければならないと思っています。
 内政も外交も幾重にも重なり合う多くの課題に直面する中であるからこそ、国民の負託に応え、政策を遅滞なく前に進める大きな責任があります。国民の厳しいまなざしが注がれていることを常に意識をし、様々な御批判も真摯に受け止めながら、今後、内閣として一層の緊張感を持って政権運営に当たってまいります。
 内閣総理大臣秘書官の人事についてお尋ねがありました。
 個別の人事について詳細はお答えを控えますが、政権発足から一年という節目を捉え、適材適所の観点から総合的に判断したものであります。現在、内閣総理大臣秘書官は八名置かれており、この八名がチームとして相互に連携して総理大臣の職務遂行を常時サポートしています。今回の人事に当たっては、休日、深夜を問わず発生する危機管理の迅速かつきめ細かい報告体制、党との緊密な連携、ネット情報、SNS発信への対応など諸要素を勘案し、秘書官チームの即応力の観点から総合的に判断した次第であります。
 内閣総理大臣秘書官の俸給の額は、法律に定められた手続に従って適正に決定されるものと認識しております。その具体的な金額については個人情報に当たることからお答えは差し控えますが、公設第一秘書を務めていた前職と同水準になると報告を受けております。
 インボイス制度についてお尋ねがありました。
 インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、その円滑な移行を図る観点から、十分な経過措置を設けています。制度の円滑な実施に向けて、IT導入補助金などの事業者の負担を軽減する支援や、フリーランスの方々を含め、免税事業者を始めとした事業者の取引について、独禁法、下請法等の取扱いをQアンドAにより明確化し、各事業者団体への法令遵守要請を行うなど、取引環境の整備等に引き続き政府一体で連携して取り組んでまいります。
 新型コロナ対応についてお尋ねがありました。
 この夏の感染拡大において、必要な入院医療は提供することができたと考えていますが、緊急搬送困難事案の増加や医療従事者の欠勤などが見られ、一般医療を含め、医療提供体制に負荷が生じていたということは承知をしております。
 今後は、インフルエンザと新型コロナが同時流行したときの備えが重要となります。既に、先月からオミクロン株に対応した新型ワクチンの接種を開始しておりますが、ワクチン接種を加速するとともに、インフルエンザとの同時流行を想定した外来等の医療、保健医療体制の確保を進めてまいります。
 検査については、症状が出た方等に迅速に検査を実施をし、必要な医療等につなげることが重要であり、政府として検査キットの確保を行うとともに、十分な量の検査キットのインターネット等での販売を可能とし、自宅で速やかに検査ができるようにしております。
 新型コロナやワクチンの後遺症対応についてお尋ねがありました。
 新型コロナの後遺症については、ほとんどの方は時間経過とともに症状が改善していますが、一部の方で疲労感や倦怠感等の症状が長引くことがあると認識をしております。このような症状については、まずはかかりつけ医につなぐことが重要であり、リーフレット等による周知や診療の手引きの普及等に加え、各自治体の取組事例を横展開しております。
 あわせて、ワクチンの後遺症のような長引く症状に悩む方が必要な医療を受診できるよう、各都道府県に対し、相談窓口の設置や診療体制の確保等を依頼しております。
 また、コロナ感染者の全数届については、その対象を六十五歳以上の方、入院を要する方等の四類型に限定をし、重症化リスクの高い方への保健医療体制の重点化を行いました。
 御指摘の中等症の方については、医師の総合的な判断になりますが、原則は入院を要する方などに該当し、引き続き届出の対象となります。届出対象外の方についても、健康フォローアップセンターの整備、体制強化により医療につながる体制を整えております。
 ALPS処理水の処分と東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
 福島の復興とその前提となる廃炉は、岸田政権の最重要課題です。昨年、私自身、総理就任直後に福島第一原発を訪問し、敷地が逼迫するなど、立ち並ぶタンクを目の当たりにし、廃炉を着実に進め、福島の復興を実現するためには、ALPS処理水の処分は決して先送りできない課題であると痛感をいたしました。
 政府としては、六年以上にわたる有識者との検討や様々な方との意見交換など、丁寧に議論を積み重ねた上で、昨年四月、安全性の確保と徹底した風評対策を行うことを前提に、ALPS処理水の海洋放出を行う基本方針を決定いたしました。
 漁業者の方々など地元を始めとする皆様の御理解を得られるよう、繰り返し丁寧に説明するとともに、処理水の安全性確保や風評払拭に向けたあらゆる対策の徹底に取り組んでまいります。
 また、東日本大震災の発生という国難からこの十一年間、被災者、被災地の方々の絶え間ない御努力や関係者の御尽力により復興は着実に進んでいます。こうした認識から、お尋ねの所信表明演説において、東日本大震災という未曽有の国難からも立ち上がることができましたと申し上げたものであり、これは決して復興が終わったとの認識ではありません。
 引き続き、被災地の皆様の声をしっかりと受け止め、東北の復興なくして日本の再生なしとの強い決意の下、指定廃棄物の処理や被災者の心のケアなど残された課題への取組を含め、被災地の復興に向けて全力を尽くしてまいります。
 そして、食料安全保障と戸別所得補償制度についてお尋ねがありました。
 食料を将来にわたって安定的に確保していくためには、できる限り国内で生産していくことが重要であり、農産物の国内生産を通じた食料安全保障の確保などに取り組みます。
 戸別所得補償制度については、米への助成を基本とするならば、需要ある作物への転換が進まないなどの問題があると考えており、スマート農林水産業、輸出促進、グリーン化、食料安全保障の強化、これを農林水産政策の四本柱として、我が国の課題に対応した政策を展開し、農林漁業者が安心して生産できる農林水産業を構築してまいります。
 憲法審査会において議論する事柄についてお尋ねがありました。
 憲法審査会の設置については、国会法に規定されているとおり、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査するために各議院に設置されているものと承知をしております。
 この憲法審査会の運営については、こうした設置の趣旨に従って行われるものと思いますが、国会でお決めいただくことでありますので、内閣総理大臣として申し上げることは控えなければならないと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。拍手
   〔国務大臣寺田稔君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
寺田稔#21
○国務大臣(寺田稔君) 石垣議員からの御質問にお答えをいたします。
 私に関係する政治団体に係る一部週刊誌の記事について御質問をいただきました。
 政治資金については、政治資金規正法にのっとって適正に処理をいたしております。また、税法の関係も適正に処理をしております。
 御指摘の記事の内容については、事実でない記載ありますが、政治資金の取扱い等については、引き続き、法令に沿って適正に処理をするとともに、国民に対し説明責任を果たしてまいります。拍手
    ─────────────
この発言だけを見る →
尾辻秀久#22
○議長(尾辻秀久君) 牧野たかお君。
   〔牧野たかお君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
牧野たかお#23
○牧野たかお君 自由民主党の牧野たかおです。
 私は、自由民主党を代表して、岸田総理大臣の所信表明演説について質問をいたします。
 まず、冒頭、台風十四号、十五号でお亡くなりになられた皆様に心から哀悼の意を表します。また、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
 両台風とも、住宅や商店、農地、また道路や水道、電力といったライフラインに大きな被害をもたらし、鉄道などの運行を混乱させました。
 静岡県でも、台風十五号による記録的な大雨で土砂の崩落や浸水が相次いだほか、静岡市清水区内に水道水を供給する興津川の取水口に流木や土砂が詰まったことで六万三千戸に及ぶ大規模な断水が続きました。世帯数で見れば、およそ六割となります。
 世帯数で見れば、あっ、海上保安庁、国交省の各地方整備局、自衛隊、さらには神奈川県や愛知県など全国七十以上の自治体から給水車などの支援がありました。皆様の御支援に心から感謝申し上げます。
 しかし、日々の生活はもちろん、浸水した住宅の清掃など、災害の復旧にも不可欠な水道水が供給できず、給水再開まで日時を要した事態を経験して、住民の方々は平時からの行政のリスク管理の重要性を改めて強く認識されたと思います。
 道路については、国が都道府県道や市町村道の災害復旧工事を代行することができます。一方、水道事業を所管する厚生労働省は、道路事業を担う国土交通省のように直轄事業を執行することはなく、社会資本整備を担当する層の厚い地方組織もありません。
 折しも、今年九月のコロナ対策本部において次の感染症危機に備えるための対応策が決定されましたが、その中に、感染症対応能力の強化のための組織の見直しとして、水道の整備と管理の行政を国土交通省及び環境省へ移管することが盛り込まれ、令和六年度の施行を目指すこととされています。水道事業における災害対応などを考えれば、望ましい方向性が示されたと考えます。
 しかし、災害はそのときまで待ってはくれません。そこで、今からでも、令和六年度の施行に向けて、厚生労働省と国土交通省が一体となって水道事業における災害対応能力の強化を図るべきだと考えますが、総理の御所見を伺います。
 最近の台風は、日本列島へ上陸する直前に急速に発達し、被害を激甚化させています。その大きな要因は、海面水温の上昇です。
 気象庁によれば、日本近海における平均の海面水温は百年前に比べプラス一・一九度となっており、世界全体で平均した海面水温の上昇率のおよそ二倍となっています。
 日本以外の国々でも、温暖化が要因と見られる気候変動により、甚大な被害が出ています。パキスタンでは今年、例年の十倍以上もの降雨による洪水で、国土の三分の一が冠水しました。
 今、温暖化による脅威に対して、世界各国が、これを克服し、温室効果ガスの排出量を減少させる目標を掲げています。我が国の温室効果ガスの排出量は二〇二〇年度で十一億五千万トンですが、二〇一四年度以降、毎年減少させており、二〇五〇年には温室効果ガスの排出量を差引きゼロとする宣言を米国やEU同様に表明しております。
 そして、日本のおよそ十倍もの温室効果ガスを排出する中国は、二〇六〇年までに二酸化炭素の排出量を差引きゼロとする宣言をしており、二〇三〇年までには排出量を削減に転じさせるとしています。
 しかし、ただ目標を掲げれば地球温暖化を食い止められるわけではありません。各国それぞれが、掲げた約束を空手形にしないよう、排出量の削減目標に向けて実効性のある具体的な施策を積み上げていくことが不可欠です。そのために、日本政府は、どのように世界に働きかけ、どのような取組を行っていくつもりでしょうか。総理に伺います。
 地球温暖化の影響は、集中豪雨の発生頻度にも表れています。中小河川は流下断面が小さく、時間当たりの水を流す能力が低い傾向にあり、短時間に集中的に雨が降ると、水害が起こるおそれが高くなります。
 現在、一級河川の直轄管理区域は国土交通省、一級河川のそれ以外の部分と二級河川は都道府県と政令指定都市、そして準用河川と普通河川は市町村というように管理区分が定められています。総じて、小さな川になればなるほど市町村が管理していることになりますが、集中豪雨の頻発化により、これら中小河川の水害リスクは高くなっています。
 それにもかかわらず、こうした中小河川には水位計がなく、水かさが増していることが分からなかったり、ハザードマップが完備されていないため、リスクの高い地域が周知されていないなど、災害に対する備えが十分とは言えません。
 さらに、川の水をポンプで吸い上げ、家や道路などが水につかるのを防いだり、水につかってしまった場合でも、早く水を減らすために使用する車両、すなわち排水ポンプ車が配備されている市町村は一部にとどまります。
 私が国土交通副大臣のときに、これまでの豪雨災害の経験から提案し、国土交通省は地方自治体への排水ポンプ車の配備のための補助金制度も設けました。
 災害の発生が予想されて排水ポンプ車がない地域には、国の排水ポンプ車が事前に派遣されます。しかし、線状降水帯の正確な事前の予測は難しい上、大雨の移動には派遣が間に合わないのが実態です。
 地方公共団体が管理する中小の河川であっても、危険度が高まっていることを踏まえれば、ハザードマップの作成といったソフトな防災事業はもちろんのこと、排水ポンプ車の市町村への配備の促進など、ハード面での防災事業も強力に推進すべきだと考えますが、総理の御見解をお聞かせください。
 地球温暖化に伴う集中豪雨の激甚化、頻発化には、頻発化にもかかわらず、しっかりとした防災事業の実施によって被害を減少させることは可能です。
 かつて東京は、急激な市街化により流域の保水機能が低下したこともあって、度々水害に見舞われてきました。昭和四十一年には神田川が氾濫し、およそ九千棟の家屋が浸水しました。昭和五十年代には毎年のように大規模な浸水被害が発生しています。
 そこで進められたのが、増水した水を一時的に地下に貯留する調節池です。インフラ見学ツアーで東京地下神殿と呼ばれるようになった首都圏外郭放水路も首都圏の水害の軽減を目的とした調節池で、令和元年の東日本台風のときには、中川、綾瀬川流域の浸水戸数を九割減少させる効果があったとされています。地方で浸水被害が起きるたびに、ここにも暴れる水をためておける場所があれば貴重な命や財産を守れたかもしれないといつも思います。
 地方では、これまで、水を一時的にためる機能のある水田が水位の上昇を緩やかにし、洪水を防ぐ機能を発揮してきました。しかし、耕作放棄地が増え、水田の手入れが止まり、その機能は失われています。
 災害発生のたびに、ハザードマップの整備と周知が求められ、リスクの高い場所からの避難の仕方などが検討されますが、同時に、水の氾濫を防ぐために、水田や耕作放棄地も含めて土地の利用実態を把握した上で、農地が持つ機能を再生、維持させる土地利用についても考えるべきではないでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。
 日本らしい風景、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止など様々な機能を持つ森林も、今荒廃の危機にあります。特に最近目立つのは、放置された竹林が植林された山へと徐々に侵食している姿です。
 竹の成長は著しく、一晩で数十センチも伸びるだけではなく、地下から茎を伸ばし、周囲に広がっていきます。そうなると、そこで成長していた樹木は竹に日光と土の中の養分を取られてしまい、最後は朽ち果ててしまいます。その結果、里山には管理されていない竹林だけが残ることになります。
 こうした竹は、根を土の中に深く伸ばさず、横に根を伸ばすだけなので、大雨の際、土砂とともに崩れ落ちやすくなります。これまでの豪雨の被災地でも竹林の山の崩壊が相次ぎ、今回の台風十五号でも、静岡県内では各地で竹林の山の崩落が起きています。
 こうした危険性を除くには、侵入した竹を文字どおり根絶やしにした上で、新たに植樹することが必要ですが、元々労働力の不足や採算が合わないことによって里山の森林が放置されるようになった背景があるので、再生のための道筋は分かっていても、経済効率から手を着ける人はほとんどいません。
 国土の強靱化や地球温暖化対策の一環として、国は里山の森林の管理について対策を強化すべきだと考えますが、総理の御所見をお聞かせください。
 次は、新しい資本主義について伺います。
 経済協力開発機構、OECDの平均賃金データを見ると、日本がおよそ四万ドルに対して米国はおよそ七万五千ドルで、米国は日本の二倍近くになっています。
 やや古いデータですが、平成三十年の人事院の資料によれば、ワシントンで勤務する米国政府職員の一般俸給表は二万四千ドル余りから十六万四千ドル余りです。以前、米国政府の四十歳ぐらいの職員の給与水準を伺い、日本の政府の職員の給与より随分高いなと感じましたけれども、人事院の資料からも同様の印象を受けます。日本における収入は、国際水準、特に米国と格差がある状況を否定できません。
 また、国内においては、所得格差を示す指標であるジニ係数を見ると、近年格差が縮小傾向と言われますが、正直実感と異なるところがあります。事実、ジニ係数では、非正規労働者の増加により、若い世代の間で格差は広がる傾向にあります。
 現在、個人の株等の配当金に対する税率は、分離課税を選択すればおよそ二〇%となっています。配当収入がどんなに巨額であっても、税率はおよそ二〇%です。一方、給与は累進性のある所得税率となり、最高四五%となります。実際、年間所得が一億円を超えると所得税の負担が事実上低下することから、一億円の壁とも呼ばれています。
 岸田総理は就任当初、成長と分配の好循環を実現するには金融所得課税についても考えていく必要があるのではないかとおっしゃっていらっしゃいました。所得格差について国内の状況を更に改善するには、配当総額が一定以上高額になれば段階的に税率を高くしていくなどの、金融所得課税を含めて何らかの施策の展開と財源の確保が必要になってきます。同時に、ドルベースではありますが、OECDの平均より低い日本の賃金を引き上げていくためには、労働生産性の向上と、それに見合った賃上げという好循環を回していく必要があります。この双方の考え方について、新しい資本主義の中でどう受け止めていくおつもりでしょうか。総理のお考えを伺います。
 分配だけでは新しい資本主義は回りません。分配の原資たる成長が大切です。
 その新しい中核は、人工知能やビッグデータなどのデジタルトランスフォーメーション、再生可能エネルギーなどのグリーントランスフォーメーションというチャンスを生かして、新しい事業分野でビジネスを立ち上げていくスタートアップと呼ばれる新興企業だと言われています。
 米国の大手IT企業であるGAFAがそうであったように、日本のトヨタやソニーも、最初は挑戦する意欲にあふれた若者たちが夢をかなえた企業です。今の若者は一流企業への就職よりも起業しようという人が増えているほか、経験を積んだ社員のスタートアップを応援しようという流れが企業の中で生まれつつあります。新興企業、いわゆるスタートアップが上場すれば、日本の株式市場も活気付きます。
 そこで、総理は、成長の原動力として、スタートアップをどう新しい資本主義の中に位置付けた上で支援していくお考えなのか、伺います。
 今、我が国が直面する最大の課題の一つは、物価の高騰です。
 この背景には、ロシアによるウクライナ侵略に伴う、小麦などの食料や、石油、ガスといったエネルギーの供給の混乱や円安傾向があります。
 日本の食料自給率をカロリーベースで見れば、令和三年で三八%にすぎません。輸入の相手国は、米国がおよそ一八%で、以下、中国一三%、カナダ、タイ、オーストラリアで五%台となっています。もし、相手の国から日本に輸出される食料が大きく減少したり、日本までの海上交通が途絶したりすれば、価格の高騰どころか、日々の食事にも困ってしまう状況に陥りかねません。
 一方、国内では、農地面積四百四十万ヘクタールに対して荒廃農地は二十八万ヘクタールに上り、年々増加しています。令和三年に行われた実態調査によれば、所有者の高齢化や病気、労働力不足が理由として挙げられていますが、農産物の販売の不振や鳥獣被害、さらには農業機械の更新の際に耕作を放棄してしまったという声も聞かれます。昨今の資材価格の高騰による耕作放棄も更に増えてくると予想されます。
 現在、利用されていない農地を集約して意欲ある農家に貸し出す農地中間管理機構事業、いわゆる農地バンク事業が進められていますが、最近、借り手不足が目立ち始めています。
 一方で、コロナ禍にもかかわらず、日本の農林水産物や食品の海外への輸出額は、昨年で一兆二千三百八十二億円、対前年比で二五・六%増と大きく伸びたように、我が国の農産物は安全性も品質も高く評価されています。生産性が高く、利益が見込める農業を展開できる農地は、担い手が見込めると思います。
 しかし、中山間地の傾斜地の農地や点在している小さな面積の農地では、借り手は見付からず、荒廃農地化は進んでいきます。こうしたことを食い止めるためには、耕作放棄地を含む農地を公共の財産として、食料自給率の改善や国土の保全に役立てる手だてを考えるべきではないでしょうか。
 そこで、不測の事態により海外からの食料供給に支障が生じた際、どのように我が国の国民の食を守っていくお考えなのか、総理にお尋ねします。
 さらに、無料でも借り手が見付からず、やむにやまれず耕作を放棄せざるを得ない状況がある中、食料安全保障的な観点や防災的な観点からも、新たな農地の借り手制度の創設など、耕作放棄地問題に思い切った対応を取るべきだと考えますが、農業の現場と農政に長年関わってこられた野村農林水産大臣はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
 今度は、安全保障環境に関して伺ってまいります。
 現在、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画、いわゆる防衛三文書の改定に向けた作業が進められていますが、その背景には安全保障環境の大きな変化があります。
 今年八月、中国政府は二十二年ぶりに、台湾問題と新時代の中国統一事業と題する台湾白書を発表しました。そこには、武力行使の放棄は約束しないとあります。
 八月上旬にはペロシ米国下院議長が訪台しましたが、その後、中国は、大規模な軍事演習を実施し、弾道ミサイルを我が国の排他的経済水域、EEZに撃ち込みました。
 先月行われた中ロ首脳会談では、習国家主席は、国際社会の制裁を受けるロシアとの協力関係を維持する姿勢を示し、プーチン大統領も、台湾併合を狙う中国の立場を支持する考えを伝えたと言われています。
 しかも、今月四日に過去最長となる飛行距離四千六百キロで太平洋に落下した弾道ミサイルや、変則軌道を取るミサイルのかつてない頻度での発射、さらには七回目の核実験の準備など、北朝鮮は暴挙を一向にやめない上に、台湾問題をめぐっては、中国を全面的に支持していく考えを伝えています。
 そもそも、中国は、尖閣を台湾の附属島嶼とみなしています。尖閣諸島は、沖縄本島から北西に四百キロメートルほどの場所に位置し、台湾からは百七十キロメートルしか離れていません。
 東アジアの状況を見渡せば、安全保障環境は緊張感を増しており、台湾有事は日本の有事という認識を持って対処しなければならないほど厳しい状況にあります。
 そこで、このような環境の中、総理はどのような思いを持って新たな防衛三文書の検討を進めていくのか、お考えを伺いたいと存じます。
 さらに、反撃能力を含め、あらゆる事態にしっかりと対処していく体制を整えることはもちろん、日々緊張感を持って国防や災害対応に備えている自衛官の勤務環境や生活環境への予算的な配慮も含めて、どう防衛予算を確保していくのか、総理の決意を伺います。
 一九六四年に開業した東海道新幹線は、高速かつ安全に東海道の各都市を結び、経済や社会活動の活性化に大きく貢献してきました。現在、更に高速で東京、名古屋、大阪という三大メガロポリスをつなぐリニア中央新幹線の建設が進められています。リニア中央新幹線が完成すれば、東海道新幹線とともに、東京から大阪までの高速鉄道網が二重化します。より速く、より大量に、そしてより災害に強いネットワークが構築されることになります。
 しかしながら、このリニア中央新幹線の静岡工区については、工事の着工の見通しが付いておりません。この原因は、工事に伴って大井川の水が減少するのではないかという流域の自治体や住民、さらに利水団体の不安が広がり、それを代弁する形で静岡県がJR東海と話合いを行ってきたものの、双方の主張が全くかみ合っていないことにあります。
 そして、今から三年前の二〇一九年、静岡県の川勝知事が、当時の石井啓一国土交通大臣と副大臣の私のところへ行司役をしてほしいという要請を行い、これを受けて国土交通省は有識者会議を設置いたしました。
 この有識者会議は、十三回にわたって、大井川の水資源の影響について科学的、工学的見地から真摯な議論を繰り返し、昨年十二月、中流域と下流域の表流水、伏流水とも開通後の水量の減少の可能性は極めて小さいとの中間報告をまとめ、一定の結論を出しました。
 しかし、工事期間中のトンネル内の湧水の処理をめぐって、県とJR東海との溝は何も埋まらないまま現在に至っており、先月行われた県知事とJR東海の社長との二年三か月ぶりの会談も、進展は全くありませんでした。
 確かに、リニア中央新幹線はJR東海の事業ではありますが、日本の交通の大動脈を高速化するとともに、多重化することで、日本経済はもちろん、地方創生や災害に強い国土づくりにも大きく寄与する事業であります。国として、リニア中央新幹線の建設工事に伴う様々な懸念を払拭し、東海道新幹線のダイヤの充実化などによって更に東海地域や静岡県の活性化が進むよう、県や自治体、JRと一体となって取り組むという国の決意を示していただきたいと存じます。総理のお考えを伺います。
 今年六月、全ての参議院の会派が合意して取りまとめられた参議院改革協議会の報告書が、当時の山東参議院議長に提出されました。
 そこには、本院の果たすべき役割として、多様な民意の反映、地域代表的な性格、参議院の独自性の発揮、そういった点が求められることについて、各会派から非常に有意義な意見が得られたとして、この議論は次の協議会に引き継ぐことになりました。
 参議院として、地方の声に耳を傾けながら、地域代表的な性格をどう果たしていくのか、結論を出さなければならないと思います。
 投票価値の平等は大切です。しかし、全てを人口だけで決めれば、大都市の理屈だけで食料やエネルギー問題が決められてしまい、それらを供給する地方の意向は国政に届きづらくなります。そうなれば、地方の無力感は強まり、衰退が止まらなくなるおそれが高まります。
 地方で育ち、地方で生活し、地方の良さも大変さも知っている人々の思いがしっかり国政に届く政治を私たちは目指すべきです。そして、全ての都道府県それぞれが参議院議員を選びたいという地方からの意見書の背景にある意味をしっかりと考えるべきときだと思います。
 そこで、岡田地方創生担当大臣に、地方創生の観点から、地方の声を国政に反映させる重要性についてどのような御認識をお持ちなのか、また、岸田総理には、地方の思いや地方の声をどう国政に反映していく覚悟なのか、率直な思いを伺って、私の質問を終わります。拍手
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
岸田文雄#24
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 牧野たかお議員の御質問にお答えいたします。
 水道事業における災害対応能力の強化についてお尋ねがありました。
 災害発生時における水道施設の復旧や飲料水の応急給水については、これまでも厚生労働省が関係機関と連携して対応しており、この度の台風十五号による静岡県の断水においても、海上保安庁や地方整備局が応急給水等を積極的に支援をいたしました。
 水道整備・管理行政の移管を待つことなく、今後とも、国土交通省の知見と現場力を活用し、水道事業における災害対応能力の強化を図ってまいります。
 温室効果ガスの排出削減に向けた世界への働きかけについてお尋ねがありました。
 私も参加をした昨年のCOP26でのグラスゴー気候合意により、世界は排出削減の実施のフェーズに入りました。
 一方、現時点の世界各国の排出削減目標が達成された場合でも、気温上昇を一・五度に抑えるためには、更に約二百九十億トンの削減が必要とされています。
 今後、主要排出国はもちろん、世界各国が実効性ある取組を着実に実施することが重要です。
 我が国としては、年末に向けて、GX推進のための今後十年のロードマップを策定し、まず国内において百五十兆円超のGX投資を実現いたします。そして、アジア・ゼロエミッション共同体構想を具体化させ、日本の投資と技術を膨大な投資需要を持つアジアのGXへ連結し、脱炭素化と成長を牽引します。
 さらに、我が国は、途上国に向けて、二〇二五年までの五年間で官民合わせて最大七百億ドルの支援を表明しています。
 今後、G20やCOP27、そして来年日本で開催するG7などの機会を最大限活用し、世界各国が団結してパリ協定を実現できるよう、国際社会を主導してまいります。
 地方公共団体が管理する中小河川における防災対策についてお尋ねがありました。
 線状降水帯による豪雨など、災害が激甚化、頻発化しており、中小河川においても浸水被害が発生しています。
 御指摘のとおり、ハザードマップの作成や排水ポンプ車の配備促進は、集中豪雨に脆弱な中小河川における浸水への対応として非常に有効な手段です。
 国民の生命、財産を守り、災害の被害に遭う方を一人でも減らすため、ハード、ソフト一体となった治水対策を効果的に推進してまいります。
 農地の洪水防止機能の再生についてお尋ねがありました。
 水田を含む農地の洪水防止機能の発揮には、農地が有効活用されることが前提ですが、耕作放棄による荒廃農地が約二十八万ヘクタールと把握しており、日本型直接支払などを着実に実施し、耕作放棄の発生抑制に努めるとともに、荒廃農地の再生に向けた取組を支援し、ハザードマップの整備などと併せ、洪水被害の防止に取り組んでまいります。
 里山の森林管理についてお尋ねがありました。
 生活に身近な里山の森林は様々な自然の恵みをもたらすものでありますが、御指摘のあった竹林の管理不足による樹木の生育の阻害を防止するため、地域住民による竹の除去や利活用を支援しています。
 また、所有者のみでは手入れが行き届かない森林については、森林経営管理制度に基づき、意欲と能力のある経営者へ集積、集約化や市町村による公的管理を推進してまいります。
 そして、新しい資本主義と金融所得課税についてお尋ねがありました。
 新しい資本主義は、社会課題を成長のエンジンへと転換し、社会課題の解決と持続的な成長を実現します。その成長の果実を分配し、更なる成長へつなげることにより、成長と分配の好循環を推進していきます。
 このためには賃上げが不可欠であり、構造的な賃上げを重点分野の一つとして掲げ、正面から果断にその実現を目指しており、リスキリングを始めとした人への投資の支援強化等を通じて労働生産性の向上と賃上げの好循環を実現いたします。
 なお、金融所得に対する課税の在り方については、令和四年度の与党税制改正大綱において様々な観点を踏まえ総合的に検討していくこととされています。まずは人への投資や賃上げなどを最優先に経済対策に取り組むことが重要であると考えております。
 スタートアップの支援策についてお尋ねがありました。
 私は、社会的起業家を始めとするスタートアップこそが、社会的課題を成長のエンジンに転換して、持続可能な経済社会を実現する新しい資本主義の考え方を体現するものだと考えています。
 このため、年末のスタートアップ育成五か年計画の策定に向けて、スタートアップの創出と成長の加速に向けた支援策を検討してまいります。
 具体的には、人材・ネットワーク構築の観点、事業成長のための資金供給の強化や事業展開、出口戦略の多様化の観点から、優れたアイデアや技術を持つ若い人材への支援制度の拡大、海外における起業家育成拠点の整備、ベンチャーキャピタルへの公的資本の投資拡大、公共調達におけるスタートアップの活用、経営者の個人保証を不要とする見直しなど、支援策を一体的に講じていきます。
 不測時の食料供給についてお尋ねがありました。
 海外からの食料の輸入に支障があった場合でも、代替国からの輸入、備蓄の活用、緊急時、緊急的な増産により食料供給を確保できるよう、食料、あっ、主要輸出国との継続的な対話、適正な備蓄水準の確保、事態に応じた対応のシミュレーションなど、不測時に備えた平時からの取組を適切に実施してまいります。
 また、肥料原料は海外からの輸入に依存していますが、調達の不安定化や肥料価格の高騰を受け、調達国の多角化支援や肥料価格高騰に対する支援金の仕組みの創設など、機動的に対応してきました。
 新たな国家安全保障戦略等の策定等についてお尋ねがありました。
 議員が具体的に指摘されたとおり、安全保障環境は迅速、急速に厳しさを増しています。抑止力、対処力の強化は最優先の使命です。
 先般開始した国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議においても議論を進めていただくとともに、新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた議論を加速し、与党とも十分連携しながら、予算編成過程で結論を出します。
 その際、防衛力の中心的な構成要素である人的基盤の強化は重要であり、隊員が自らの能力を十分に発揮できる環境整備に取り組んでまいります。
 こうした点も含め、主要となる防衛力の内容の検討、予算規模の把握、財源の確保、これらを一体的かつ強力に進め、その過程で国民の皆さんに丁寧に説明し、理解を得ていきます。
 リニア中央新幹線についてお尋ねがありました。
 リニア中央新幹線の建設工事については、政府として水資源や環境保全等の課題解決に向けた取組を進めることにより、早期整備を促進いたします。
 さらに、リニア中央新幹線への輸送需要の転移に伴う東海道新幹線の静岡県内の停車本数の増加など、静岡県、そして東海地方の発展に資する交通利便性の向上や地域活性化についても、関係自治体やJR東海と連携して対応してまいります。
 地方の声の国政への反映についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、参議院の在り方やこれを踏まえた参議院選挙制度改革については、各党各派の間で、多様な民意や地域代表的な性格の具体化、また合区の在り方などの議論が行われてきているものと承知をしております。
 参議院の合区については、都道府県が果たした、果たしてきた役割などを踏まえ、解消に向けた意見があることも承知をしており、重要な課題であると認識をしております。
 いずれにしても、参議院の選挙制度の在り方については、議会制度の根幹に関わる重要な問題であることから、各党各派において御議論いただくべき事柄であると考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。拍手
   〔国務大臣野村哲郎君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
野村哲郎#25
○国務大臣(野村哲郎君) 牧野議員の御質問にお答えいたします。
 耕作放棄地問題に思い切った対応を取るべきとのお尋ねがありました。
 世界の食料事情が不安定化する中、国民に対し食料の安定供給を確実にしていくためには、食料の生産基盤である農地を確保し、その有効活用を図っていくことが重要であります。
 このため、本年四月、五月の農業経営基盤強化促進法の改正により、市町村による人・農地プランを法定化し、地域の話合いにより、耕作放棄地も対象に含め、目指すべき将来の農地利用の姿を目標地図として明確化した上で、目標地図に位置付けられた受け手に対し、農地バンクの活用により農地の集約化等を進めていくこととしております。このことによりまして、耕作放棄地の発生を未然に防止することができると考えております。
 なお、農地の受け手が直ちに見付からない地域においては、多面的機能支払交付金や中山間地等直接支払交付金の活動組織、JA等のサービス事業体等による農作業受託を活用することにより、耕作放棄地の発生を抑制し、地域の農地の有効活用を図っていく考えでございます。
 以上であります。拍手
   〔国務大臣岡田直樹君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →
岡田直樹#26
○国務大臣(岡田直樹君) 牧野議員から地方の声を国政に反映させる重要性についてお尋ねがございました。
 まず、この度の参議院改革協議会報告書は、各会派の協議員による率直かつ丁寧な御議論の末にまとめられた成果として重い意味を持つものと存じます。
 協議会においては、参議院の在り方、独自性を論ずると同時に、参議院がよって立つ日本の国と地方の現状についても深く考察、また検討がなされたものと認識しております。
 その上で、地方創生について申し上げれば、東京圏への一極集中の是正や人口減少地域の活性化は、言うまでもなく一刻を争う課題であります。
 政府としては、デジタルの力を活用した地方の社会課題解決、魅力向上により、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指すデジタル田園都市国家構想の実現などを通じて、地方への人の流れを生み出し、将来にわたって活力ある日本社会の維持に向けて手段を尽くして取り組んでまいります。
 人口減少で厳しい状況にある中においてこそ、地方の御意見をしっかりと伺いながら、地方創生を進展させることにより、地方が元気を取り戻し、その声が国政にも響くよう努めてまいりたいと存じます。拍手
この発言だけを見る →
尾辻秀久#27
○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
この発言だけを見る →
尾辻秀久#28
○議長(尾辻秀久君) この際、国会議員として永年にわたり在職されました前議員の表彰についてお諮りいたします。
 国会議員として二十四年の長きにわたり在職されました市田忠義君、小川敏夫君、郡司彰君、渡辺喜美君及び増子輝彦君に対し、永年の功労を表彰することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
尾辻秀久#29
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。
 よって、五君を表彰することに決しました。
 表彰式は、追って議長において執り行います。
     ─────・─────
この発言だけを見る →
← 戻る