舟山康江の発言 (本会議)
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○舟山康江君 国民民主党・新緑風会の舟山康江です。
会派を代表して、岸田総理の所信表明演説に対して質問をいたします。
冒頭、北朝鮮による弾道ミサイル発射に対して、私も強く抗議します。その上で、Jアラート誤作動による混乱を重く受け止めて、改善に努めていただけるよう、事実関係と対応状況を総理にお伺いします。
さて、まずお聞きしたいのは、国会開会と補正予算提出のタイミングです。
通常国会閉会が六月十五日、参院選投開票日が七月十日なので、言わば政治空白が三か月近くありました。新型コロナへの対応、物価高、円安、ウクライナ危機、度重なる自然災害への対応など、課題山積の中、私たち国民民主党は、先月十三日に、国民全員への一人十万円のインフレ手当や消費税五%への減税、再エネ賦課金の徴収停止による電気代値下げ等を盛り込んだ、需給ギャップに見合う総額二十三兆円規模の緊急経済対策を発表しました。一方、政府は、野党側の再三の国会開会要求を放置し、山積する課題への対応も遅れに遅れています。
開会がここまで遅れた理由を総理にお聞きします。
この間のコロナや原油価格・物価高騰対策と称した政府の予備費使用決定は財政民主主義にも反することに加え、時間もあった中、なぜ冒頭に補正予算を提出しないのでしょうか。総合経済対策の担当大臣が機能していないんじゃないですか。
振り返ると、この担当大臣から、昨日も指摘があったとおり、参院選中に、野党の人から来る話は我々政府は何一つ聞かないと、とんでもない発言が飛び出しました。大問題です。総理も同じ認識ですか。野党の声は聞かない、だから野党の国会開会要求も無視したのでしょうか。
また、経済再生担当大臣、これは誤解を生む表現ではなく、野党の声は聞かないと明言しています。昨日謝罪はありましたが、ごまかさずに今からでも発言を撤回してください。いかがですか。
山際大臣に併せて幾つか質問します。
補正予算につながる総合経済対策がいまだに出てこないのはなぜですか。旧統一教会との深い関係への釈明に追われていたからでしょうか。また、海外にまで出かけて出席した会議について、資料がなく確認できないとすっとぼけ、逃げられないと分かると、記憶がよみがえってきたなど、人ごとのように追認するその姿勢で大臣が務まるんでしょうか。なぜ今頃記憶が戻ったのですか。公表済みの事実関係も含め、記録と記憶に基づいて全て明らかにしてください。参院選中の問題発言も責任重大で、早く辞任を決断すべきです。いかがですか。
政府・与党からは、旧統一教会への解散命令は難しいとの声が聞こえてきますが、宗教法人法にある報告徴収、質問が可能との規定は発動済みでしょうか。まだだとすれば、なぜですか。今、総理の本気度が問われています。総理、是非お答えください。
続いて、足下の物価高への対応をお聞きします。
所信表明でも言及されたように、物価高は我が国にとどまらない世界的規模の現象ですが、アメリカなど多くの先進国では景気回復と賃金上昇が伴っています。
一方、我が国では、賃金上昇が全く伴わない中で、多くの資源や食料を海外に依存している結果、資源高の影響に加え、円安も手伝って急激な物価上昇が続き、消費者から悲鳴が上がっています。
もう一つの問題は、消費者物価指数と企業物価指数の乖離です。八月の消費者物価指数は、前年同月比プラス三%の一〇二・七、企業物価指数は、プラス九%の一一五・一と、五か月連続で過去最高を記録しています。つまり、原材料値上げを十分に販売価格に転嫁できていないのは明らかです。加えて、取引の重層構造下で、不当な買いたたきや協力金等の名目で値引きを迫られている事例等を下請業者から多数聞きました。これでは、企業経営が厳しくなるのは当然です。大企業、製造業でも、景況感を示す日銀短観の業況判断指数、DIは三四半期連続悪化しています。
急激な輸入原材料価格の値上がりに対して、当面の価格抑制策は必要ですが、本質的には、更なる国内経済の強化と、円の価値の向上、価格転嫁の推進、値上げにも耐えられる強い経済、つまり賃上げの実現が必要です。
そこで、総理に幾つか質問します。
過度の円安進行は日本の経済力低下を意味しますが、円安の要因はどこにあり、どう改善していくべきと考えていますか。
物価、特に原材料価格高騰対策と、価格転嫁に向けた具体策をどう考えていますか。
そして、総理が考える構造的な賃上げとは何か、また、これまで構造的な賃上げを実現できなかった要因はどこにあるのか、それぞれお聞かせください。
あわせて、今、労働者の四割弱を占める非正規労働や、外国人技能実習制度、そして、労働移動円滑化が賃金に与える影響をどのように考えているのか、逆に賃金の下振れという負の効果の拡大に終わらないのか、お答えください。
分配重視が総理の売り物だったはずですが、分配という言葉が消えた理由もお聞かせください。
国民民主党は、給料が上がる経済の実現のため、賃金上昇率が安定的に物価上昇率プラス二%になるまで、消費税率を五%に引き下げることを提案しています。
EU各国など、世界の少なくとも五十を超える国が、コロナの難局打開に向け、付加価値税減税に踏み切ってきた中、今こそ我が国でも消費税減税を行うべきであり、改めて総理の御決断をお願いします。
我が国の物価高は、世界的な資源価格高騰と円安のダブルパンチによるもので、輸入依存度の高い分野ほど大きな影響を受けています。
他国の景気回復や経済発展で、世界全体の需要増が引き続き見込まれる中、更なる価格上昇リスクに加え、欲しいものが買えなくなる買い負けリスクも大きくなっています。
現在、新車の納期は、半導体その他部品不足、コロナ禍による海外サプライチェーンの機能不全もあり、長いもので一年半と聞いています。食料も、世界的な異常気象の頻発、ロシアのウクライナ侵略の影響、新興国の需要増、食料自体に加えて肥料や飼料の調達困難化など、お金さえ出せばいつでもどこからでも買える、そんな状況ではなくなりつつあります。
今こそ、食料、エネルギー、医療、医薬品、工業製品など、経済安全保障の観点からも、国内生産の増強を進め、様々なリスクに備えるべきです。総理の言う危機に強い経済構造への転換とは、まさに国内でのものづくり復活のことだと推察しますが、具体策をお聞かせください。
一月の施政方針演説では、輸出の促進とスマート化による生産性向上のみが強調されていた農林水産分野では、農産物の国内生産を通じた食料安全保障の確保が盛り込まれたことは大いに評価します。そのためには、輸入依存度の高い小麦や大豆の国内生産増大で自給率を高めると同時に、減少が続く担い手育成の強力な推進が不可欠です。
また、政府が進めている流域治水の観点からも農地の役割が重要視されるなど、農業の振興は防災・減災にも直結しています。
こうした多面的役割の維持にも再生産可能な所得確保策が欠かせません。
輸入小麦の政府売渡価格の据置きもいいですけれども、中長期的な国策としてむしろ注力すべきは、小麦などの国内生産振興と利用促進です。国産農産物の需要拡大と輸入品から国産品への置き換えの具体策について伺います。
輸入小麦価格とともに、配合飼料の負担を十月以降も据え置くことを強調されましたが、現行政策では、工夫を凝らして自家配合飼料を使用する生産者には恩恵が及びません。こうした生産者を支援する具体策をお伺いするとともに、きめ細かくあらゆる生産者に行き届く支援策の実行に向けた総理の決意を伺います。
六月の通常国会閉会後、地元を歩く中で、物価高やコロナ対策と並んで多くの声を聞いたのが、子ども・子育て政策の重要性でした。まさに少子化こそ国難だ、そんな声に、改めて人づくりこそ国づくりの思いを強くしました。
そもそも、家族関係社会支出の対GDP比は、他国が三%前後に対して日本は僅か一・七%、教育や子育てへの公的支出は他国に比べて著しく少ないのが現状です。他国がコロナ禍でも出生率を上げているのに対し、日本は出生率の低下に歯止めが掛かりません。その理由をどのように分析されていますか。こうした危機感に立ってか、総理は、昨年九月の総裁選以降、国会答弁を含め何度も子育て予算倍増との決意を表明されています。一方、今回の所信表明では、少子化対策、子育て・子供世代への支援を強化するとの表現にとどまっていますが、予算倍増との決意は変わりませんか。是非、具体的工程と財源をお示しください。
加えて、一月の代表質問でも指摘したとおり、子育てや教育に対する給付の多くに根拠も曖昧なまま所得制限が設けられ、給付後の実質的な収入の逆転現象も生じています。
昨年五月の児童手当法改正で、今月から年収一千二百万円以上は特例給付がなくなりました。世界の流れに逆行していると言わざるを得ません。今回の廃止で対象外となる子供の数は六十一万人、給付額は三百七十億円です。そして、これに伴うシステム変更等に何と三百五十八億円もの予算が計上され、本末転倒の状況です。
一定所得以上の人は、納税などの所得再分配を通じて社会の支え手として大きな貢献をしている割には、年少扶養控除は廃止され、手当も打ち切られ、国から子育てに関する給付や支援の恩恵はほとんどありません。受益が余りに少なく、何のために納税しているか分からない、働くモチベーションが下がるとの声が押し寄せています。
国民民主党は、このような声を受け、さきの通常国会に続き、今国会召集日に、こどもに関する公的給付の所得制限撤廃法案を提出いたしました。
総理、改めて、子育てや教育への支援に対する所得制限は撤廃し、全ての所得階層に経済的恩恵を付与するぐらい思い切り、まさに社会全体で支援するべきではないですか。お答えください。
また、百三十万円の壁など、税制や社会給付が働き方の抑制や不公平感の一因となっています。
今年五月発表の、全世代型社会保障構築会議、議論の中間整理では、働き方に対して中立な社会保障制度の構築の重要性が指摘されています。その観点からも、所得制限の矛盾や逆転現象のほか、制限付給付に要するコスト、第三号被保険者の在り方も併せて議論いただき、本当の意味で子育てしやすい環境の整備、中間層の復活に向けた大胆な支援へとかじを切っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
こうした税金と社会保障の負担と給付のバランスを考えたときに、マイナンバーの更なる活用は待ったなしです。
コロナ禍での住民税非課税世帯への給付金も、本来なら、個人のフローのみならず、全ての個人口座をひも付けてストックも含めた把握を行えば、より公平かつ迅速な給付につなげることができる上、行政のデジタル化をもう一段進めることで事務手数料削減にもつながります。マイナポイントや自治体へのペナルティーでマイナンバーカードの取得促進を図るのではなく、利便性や公平性の確保に資する活用の強化をインセンティブに取得率向上を促すべきと考えますが、いかがでしょうか。
コロナ対応について、岸田総理の基本認識を伺います。
七月中旬以降の第七波で一日当たりの国内感染者数は過去最高を記録しましたが、重症化率や死亡率にどのような特徴があるのか、お答えください。あわせて、ワクチン接種の有無による感染率や重症化率、死亡率の違いをどのように分析しているか、具体的に教えてください。九月七日のアドバイザリーボード提出資料によれば、未接種の方が新規陽性率が低い年代もあります。これはどのように解釈すればいいのでしょうか。
さて、マスクについては、引き続き、屋外は原則不要ですとの指針がどのくらい国民に理解されているでしょうか。確かに、今年五月二十三日に変更された基本的対処方針においてその旨示されていますが、屋内外問わず、いまだにマスク着用は半ば義務だと多くの人が思い込んでいます。昨日の御答弁では、世界と歩調を合わせた取組を進めるとのことですが、欧米を中心に多くの国ではもはやマスクの義務化はほとんど行われていません。感染についても、ほぼインフルエンザと同じ扱いです。
総理、そろそろマスクの着用の在り方を見直すべきではないでしょうか。少なくとも、屋外での原則不要という方針をもっと周知徹底すべきではないでしょうか。
コロナ禍で一番影響を受けたのは子供たちです。夏の甲子園優勝校、仙台育英高校の須江航監督が優勝インタビューで発した、青春ってすごく密なので。ぐっと心に刺さった方も多かったと思います。ある高校の創立百周年記念式典に参加した際、生徒会長が、感謝の思いをつづりながらも、やりたいことができなかった悔しさをあらわにしていました。
もう制限はやめるべきです。感染症のリスクよりも、マスク生活や行動制限下で失われた経験による心身に与えるリスクの方がずっと大きいとの専門家の指摘や、マスク生活により子供、とりわけ乳幼児の脳や心への影響に関する海外での研究が報告されていますが、我が国でも同様の研究は行われていますか。また、検証を行い、対策の見直しに反映させるべきです。
続いて、多発する自然災害への対応についてお聞きします。
線状降水帯による局地的な豪雨が頻発する中、今年も各地で未曽有の被害が相次いでいます。私の地元でも、八月上旬の豪雨が、多数の家屋浸水被害に加えて、橋梁や道路の崩落、農地への土砂流入など、大きな被害を残しました。
八月豪雨に関しては、激甚災害指定となり、これは大変有り難いんですけれども、不思議なのは、これだけの被害にもかかわらず、政府に対策本部が設置されなかったことです。なぜですか。また、二年前、三年前には政府全体でまとめられた被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージが今回は出されていません。なぜでしょうか。事業所や家屋の再建支援、農業機械の再取得支援など、これまでの対策パッケージと同様の支援策を今回も実施するよう強く要望いたします。
自然災害による被害は、全体規模の大小にかかわらず、個々の被災者にとっては甚大です。そんな中、被災者の負担軽減のために、以前から税理士会からも要望が強い、税制面での配慮、災害損失控除の創設を行うべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
税制関連でもう一点提案いたします。適格請求書等保存方式、いわゆるインボイスの問題です。
国民民主党は、免税事業者が取引から排除されるリスクや、消費税相当額の値下げ強要などで廃業を余儀なくされる危険性を指摘し、その廃止を提案してまいりましたが、こうした懸念に対する総理の見解を改めてお聞かせください。
中でも今問題視されているのがシルバー人材センターへのインボイス適用です。免税事業者である会員と取引関係のあるシルバー人材センターは、仕入れ税額控除の適用が受けられない分、新たな消費税納税義務が発生します。しかし、会員の平均年収は四十三万円程度、そもそも高齢者のボランティアに近い活動で成り立っている公益法人から税金を徴収することを制度は予定していないはずです。それどころか、高齢者が知恵や経験を発揮する場を奪いかねない課税強化であり、総理が掲げた包摂社会の実現にも完全に逆行するものです。インボイスが免除される取引が幾つか規定されている中、シルバー人材センターの本事業についても特別な配慮をするべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。
国民民主党は、今国会でも対決より解決を掲げ、国民生活を守るための政策実現に邁進してまいります。
しかしながら、このままでは、旧統一教会と政治、特に与党、自民党との関係の問題が建設的な議論の大きな障害として立ちはだかるのが目に見えています。この問題を速やかにかつ抜本的に解決すべく、総理・総裁である岸田総理の指導力の発揮を期待しますが、所信表明では各般の取組という抽象的な表現にとどまり、極めて消極的な姿勢と断じざるを得ません。
各般の取組とは具体的に何を指すのか、フランスの反セクト法のような新法制定も念頭に置いているのか、また、問題発言を繰り返し、緊急経済対策策定を遅らせ、旧統一教会との関係も明らかな山際大臣は総理の任命責任の中で更迭すべきではないのか、自民党が旧統一教会との関係を絶つことを約束していただけるのかを最後にお伺いし、私の代表質問といたします。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕