岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 竹詰仁議員の御質問にお答えいたします。
補正予算とGDPギャップの関係についてお尋ねがありました。
足下、世界的な物価高騰が見られる中、世界的な景気後退懸念が高まるなど、日本経済を取り巻く環境に厳しさが増しています。
御指摘のとおり、四―六月期のGDPギャップは約十五兆円ですが、下振れリスクにも万全の備えをしつつ、日本経済を再生させるため、財政支出三十九兆円、事業規模約七十二兆円の規模の経済対策を策定し、対策の財源的裏付けとなる補正予算を編成いたしました。
GDPギャップについては、二〇二〇年春に新型コロナの影響によりGDPが大きく落ち込んだ後、コロナ禍からの回復過程にある中で、いまだマイナスで推移をしております。総合経済対策を速やかに実行し、新型コロナと物価高を克服し、持続的な経済成長を実現することでGDPギャップ、これ着実に縮小していくことになると考えております。
電気料金対策についてお尋ねがありました。
本事業における支援措置は、来年春以降の急激な電気料金の上昇によって影響を受ける家計や、価格転嫁の困難な企業の負担を直接的に軽減するものです。
全国のこの御家庭における平均的負担増が二割程度と想定されることを踏まえ、その水準と同水準の価格抑制を図る観点から、低圧契約の家庭等に対してはFIT賦課金の水準以上の一キロワット当たり七円を、また、高圧契約の企業等に対してはFIT賦課金の負担を実質的に肩代わりする、こうした金額を支援していくことを考えております。
なお、御指摘の再エネ賦課金については、カーボンニュートラルの実現に向け、再エネの最大限の導入に取り組むため、引き続き着実に運用していく必要があると考えております。
また、今回の制度は、小売電気事業者等の申請に基づき事業を実施いたしますが、広く家庭や企業の御負担を軽減するために、全ての事業者に参加していただきたいと考えています。その際、先ほど申し上げた水準の支援については、確実に料金の値下げに活用してもらいます。システム改修しなければ値引きの処理ができない場合や請求書等への値引き単価等の表示ができない場合には、その改修に必要な経費については事業者への支援を行ってまいります。
そして、賃上げについてお尋ねがありました。
目下の物価上昇に対する最大の処方箋は、物価上昇に負けない継続的な賃上げを実現することです。これまでの賃上げ税制や公的価格の引上げに加えて、今般の補正予算では、事業再構築、生産性向上等と一体的に行う賃金の引上げへの支援の拡充や、価格転嫁対策の強化に取り組むこととしております。さらに、賃上げの流れを継続、拡大していくため、人への投資の支援を五年間で一兆円のパッケージへと抜本強化をいたします。
その上で、賃上げの内容は各企業の状況に応じて決定されるものですが、政府としては、賃上げが高いスキルの人材を引き付け、企業の生産性を向上させ、それが更なる賃上げを生むという構造的な賃上げを実現することが重要であると考えております。
円安についてお尋ねがありました。
為替相場の具体的な水準や見通しについてコメントはいたしませんが、円安の日本経済への影響については、一般論として、輸出や海外展開をしている企業の収益は改善する一方、輸入価格の上昇を通じて企業が消費者に、企業や消費者に負担増となる、こうしたことであり、プラス面、マイナス面双方の影響があります。
よって、現下の円安に対しては、政府としては、マイナス面の影響を緩和するため、エネルギー、食料品を中心に価格高騰対策を講ずるとともに、プラス面の効果を最大限引き出し、経済の強靱化を図るべく、インバウンド観光の復活や企業投資の国内回帰、農林水産物の輸出拡大など、これを進めてまいります。このマイナス面、プラス面両方に対して政策を用意していきたいと考えます。
そして、円安を生かした経済構造の強靱化についてお尋ねがありました。
近年の地政学的環境の変化やロシアによるウクライナ侵略によって、サプライチェーンの再編強化、食料品、エネルギー等の危機に強い経済構造への転換、これが急務となっています。こうした課題は、為替レートの動向に関わりなく、我が国の経済構造を強靱化するために推進していく必要があります。
このため、総合経済対策では、目下の為替環境によって国内立地環境がコスト面でも大きく改善しているこの機を捉えて、半導体、蓄電池、ワクチン等の攻めの国内投資の拡大による国内供給力の強化、そして海外依存度の高い小麦、大豆、飼料作物等の国産化、下水汚泥、堆肥等を活用した肥料の国産化等による食料安全保障の確保、これらを推進してまいりたいと考えております。
そして、賃金が上がらなかった理由と新しい資本主義のビジョンについてお尋ねがありました。
我が国は、バブル崩壊以降、長引くデフレ等を背景に、各国と比べ低い経済成長が、失礼、低い経済成長が続きました。この間、企業は賃金を抑制し、そして消費者も将来不安などから消費を抑制した結果、需要が低迷しデフレが継続する、こうした悪循環となりました。こうした中で、企業に賃上げを行う余力が生まれにくくなったことから賃金が伸び悩み、他国よりも低い賃金水準となった、このように考えております。
新しい資本主義にふさわしい賃上げを実現するためには、賃上げ、そして成長分野への労働移動の円滑化、リスキリングを始めとする人への投資、この三つの課題に一体的に取り組み、構造的な賃上げ、これを実現することが重要だと考えております。
そのために、まずは来年春の賃金交渉に向けて物価上昇に負けない賃金引上げに取り組んでいただいた上で、中長期的に必要となる構造的賃上げに向けて、労働移動円滑化に向けた指針、来年六月までに取りまとめるとともに、五年間で一兆円の人への投資支援、これを実施してまいります。
そして、子育て支援に関わる所得制限についてお尋ねがありました。
児童手当を始めとする各制度において、所得制限を設けるかどうかは、個々の制度の目的や支援方法などに応じてそれぞれ判断されるものと考えております。例えば、児童手当は、法律上、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として支給するものとされており、制度発足時から所得制限が設けられているものと承知をしております。
そして、北朝鮮のミサイルに対する防衛体制についてお尋ねがありました。
ミサイル迎撃能力を高める不断の努力は重要であり、PAC3の能力向上などの取組を継続していくとともに、衛星コンステレーションなどの新たな手段の活用も考えてまいります。加えて、ミサイル迎撃能力の向上だけでなく、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、年末までに結論を出してまいります。
コロナ予備費についてお尋ねがありました。
新型コロナウイルス感染症対策予備費については、令和四年度第一次補正予算において新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費に名称を変更して使途を拡大しており、今年度において、これまでの半年強の期間で四・九兆円程度が使用され、残額は一・三兆円程度となっております。
今般の経済対策においては、今後への備えとして、新型コロナの感染拡大や物価高騰に引き続き万全を期していくため、三・七兆円程度を増額することとし、コロナ・物価予備費を年度当初とほぼ同額である五兆円程度を確保することといたしました。
この点、年度当初と比べても、足下の消費者物価上昇率は上昇しています。円安も更に進行するなど、日本経済を取り巻く環境は厳しさを増しております。こうした影響から、国民生活や事業活動を守り抜くためにコロナ・物価予備費を本年度当初予算額と同額の五兆円程度を確保することは、今後への万全の備えとして適切な対応であると考えております。
なお、コロナ・物価予備費の使用については、各省庁の個別具体の使用要求の内容に基づいて使用の可否を判断することになるため、具体的にどのようなものが想定されるか、現時点で予断を持ってお答えすることは困難であると考えております。
そして、外為特会の活用についてお尋ねがありました。
外為特会が保有する外貨資産については、各年三月末の数値をお示ししており、今年三月末の外貨資産は約百五十兆円、昨年度の運用収入は約二兆円です。その上で、この外貨資産は、外国為替相場の安定を目的として将来の為替介入に備えて保有しているものです。
また、外為特会を財源確保に活用するため外貨を円貨に替えるということは、実質的にドル売り円買いの為替介入そのものということになります。為替介入は、G7等での国際的な合意において、過度な変動や無秩序な動きへの対応のために行われることとされており、この面から見ても、財源確保のために外貨準備を取り崩すというのは適当ではないと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕