階猛の発言 (憲法審査会)

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○階委員 立憲民主党の階猛です。
 本題に入る前に、両筆頭の協議の結果、予算案の衆議院通過後に当審査会を開催する運びとなったことは妥当であったと申し上げます。
 国家の一年の活動を決める重要な予算案の審査に集中すべきとの理由で、予算案の審議中は予算関連法案を審査する委員会以外は開催しないという衆議院の慣例があります。その趣旨は当審査会にも当てはまると考えているからです。
 昨年は、この点について各会派の十分な理解が得られませんでしたが、今回を契機に、慣例にのっとった当審査会の運営がなされることを期待します。
 それでは、本題に入ります。
 最初に、議員任期の延長について述べます。
 一部の党から、早急に改正条文を起草すべしとの意見がありますが、以下の三つの理由により、時期尚早と考えます。
 第一の理由は、参議院に配慮した慎重な議論を行う必要があることです。
 参議院の緊急集会は、十分な任期を持つ議員が常に存在する参議院に認められる独自の権限です。一定の場合に衆議院議員の任期延長を認めるのであれば、緊急集会が開催される可能性が狭まり、実質的に参議院の権限を弱めることにつながります。
 衆議院議員である私たちは、予算の議決要件など、衆議院の優越に関する憲法規定の改正を参議院だけで議論するのは不適切だと考えるはずです。これと同様、参議院の権限を弱める議論を衆議院だけで進めることは問題です。我が党の参議院議員も強く反発しています。
 この点について、与党の参議院側はどのように考えているのでしょうか。自民、公明の各幹事に答弁を求めます。
 森会長、後ほど御指名をお願いします。
 また、参議院は三年ごとに半数ずつ改選されます。任期満了直前の半数の議員について、緊急かつ選挙困難な事態が生じた場合、任期延長は必要なのか否か、国会機能の維持を重視するのであれば、衆議院議員の任期延長と併せて議論するべきです。この点からも、議員任期の延長は参議院と無関係に議論することはできません。
 第二の理由は、衆議院議員の任期満了の場合でも参議院の緊急集会を開催できるかにつき、解釈を確定する必要があることです。
 憲法五十四条二項は、衆議院が解散されたとき、内閣は参議院の緊急集会を求めることができると定めています。条文の文言上は、衆議院議員の任期満了の場合に緊急集会を開催できることにはなっていません。しかし、この点は憲法学者の間でも見解が分かれています。そこで、参考人質疑も行った上で、当審査会としての解釈を確定すべきです。
 その上で、仮に開催できないとの結論に至ったとしても、衆議院議員選挙は任期満了前に必ず終えるという法改正を行うことで、その不都合を補うこともできます。
 すなわち、このような法改正であれば、任期満了直前の選挙運動期間中であっても衆議院議員は必ず存在し、緊急の場合には内閣が衆議院を解散できます。その結果、衆議院が解散されたときという要件を形式上満たすので、憲法五十四条二項によって緊急集会を開催できることになるのです。
 緊急時の国会機能の維持を重要と考えるのであれば、憲法改正の前に、まずはこの議論を進めるべきではないでしょうか。
 また、この議論は、参議院の緊急集会の開催可能性を広げ、参議院の権限拡大に資するものでもあります。参議院側も異論はないはずです。
 森会長、まずはこの点について当審査会で検討を進めていただけないでしょうか。
 第三の理由は、緊急時には、選挙の先送りだけでなく、選挙を急ぐべき場合もあるということです。
 大災害によって被災地で議員が死亡した場合などは、選挙を行えない限り、被災者の代表を欠いたまま復旧復興の議論を進めることになります。議員任期の延長による選挙の先送りが、常に国会機能ひいては民主主義を維持するものだとは言えないのです。
 十二年前の東日本大震災では、私の地元、岩手県の大槌町で、町長が津波に流され行方不明となりました。町長選挙が行われるまでの半年近くの間、一時は総務課長が職務代理者となるなど、民主主義が機能しない状況が続いたのです。復旧復興の足かせとなったことは否めません。
 このような経験を踏まえると、参議院の緊急集会で必要最小限の国会機能は維持した上、選挙人名簿のバックアップシステムの構築、避難先から投票できる仕組みの導入など、早期に選挙を行える環境を整える方向性も考えられると思います。議員任期の延長ありきで拙速に議論を進めるべきではありません。
 次に、当審査会としてまさに検討を急ぐべき課題である国民投票法の改正について述べます。
 昨年の当審査会において、慶応大学の山本参考人は国民投票法の改正を主張されました。
 これを踏まえ、立憲民主党としては、情報に関わる二つの権利を保障する規定を、これまで説明してきた国民投票法の改正案に盛り込みたいと思っています。
 皆さんのお手元の資料、これは、今までの改正に、今回の追加した条文、網かけになった部分ですけれども、これを加えたものですので、適宜御参照ください。
 修正の内容です。
 第一に、情報アクセス権を保障する規定を盛り込みました。
 国民投票広報協議会は、憲法改正案に関する国民の関心と理解を高めるとともに、改正案に関する賛否両論を公正中立な立場で国民に伝えるための活動を積極的に行うべきです。
 そのために、全国各地でオンラインも併用した憲法改正案に関する説明会を開催したり、専用のホームページで動画や図表なども交えた各会派の見解を発信したりすることを可能とする規定を設けます。
 第二に、個々人が多様な情報にバランスよく触れられる環境を求める権利、いわば情報環境権を保障する規定を盛り込みます。
 内外のフェイクニュースの蔓延により、憲法改正に関する世論が誤った方向に導かれる可能性が増しています。民間のファクトチェック機関から国民投票広報協議会に対して、フェイクニュースの疑いがある情報について照会があった場合、国民投票広報協議会が現に保持する情報を提供するなど、両者が連携することを可能とする規定を設けます。
 なお、当審査会においては、国民投票広報協議会は自らファクトチェック業務を行うべきとの提案もありました。しかしながら、国家権力による情報統制の危険が生じるため、我が党は、あくまで民間機関の求めに応じて受動的、補完的な役割を果たすのが妥当と考えています。
 国民投票法案の審議は、国会法百二条の六に掲げられている当審査会の重要な使命です。参考人の貴重な御意見を無視して、公職選挙法と横並びの三項目案を審議するだけでは、当審査会の存在意義が失われます。時代に即した国民投票法となるよう、当審査会で精力的に議論すべきです。
 森会長のお取り計らいをお願いし、私の発言を終わります。

発言情報

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発言者: 階猛

speaker_id: 32961

日付: 2023-03-02

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会