階猛の発言 (憲法審査会)
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○階委員 立憲民主党の階猛です。
本日のテーマである国民投票法について、私からは、放送CMとネットCMの規制について、我が党の考え方を述べます。
なお、論点を明確にするため、昨年の通常国会以降の、放送CMとネットCMの規制などを含む国民投票法に関する各会派の発言について、私なりの視点で衆議院法制局にまとめていただいた一覧表を提出するべく幹事会で提案させていただきましたが、本日もかないませんでした。
自民党の新藤筆頭は、三月十六日の当審査会において、投票の質に関する国民投票法の論点として、放送CMとネットCMの問題を挙げられた上で、「今後、更に論点を深掘りした整理を行ってみたい」とも述べられていました。それから、はや二か月余りがたちます。いつになったら論点整理を行われるのでしょうか。後ほどお答えいただけますでしょうか。
緊急事態における議員任期延長については早々と論点整理の資料を当審査会に提出される一方、国民投票の際の放送CMとネットCMの規制についてはいつまでも論点整理を行わず、我が党がこれを行おうとすると妨害する、このような手前勝手で御都合主義な態度は許されないということを、冒頭指摘いたします。
さて、国民投票に関するCMについては、国民投票運動、すなわち、憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし、又はしないよう勧誘する行為の手段として有料で行うCM、以下、勧誘CMと言います、これと、国民投票についての意見表明のために有料で行うCM、以下、意見表明CMと言います、に大別できます。
この勧誘CMと意見表明CMの規制について、放送の場合とネットの場合に分けて、我が党の考え方を申し上げます。
まずは、放送のCM規制について。
現行の国民投票法では、放送による勧誘CMについて、主体を問わず投票期日二週間前から禁止していますが、我が党の改正案では、国民投票運動期間全体にわたって禁止することとしています。
改正の根拠となる立法事実としては、第一に、民放連の姿勢の変化です。現行法制定時には、勧誘CMの量を憲法改正案の賛成側と反対側で均衡させる、いわゆる量的規制につき、民放連が自主的に行うこととされていたにもかかわらず、現在は、量的規制が困難であるとして直接的な規制は行わないこととされ、禁止期間を二週間とした当初の前提が変わっています。
第二に、ネットやSNSの普及です。これにより、現行法制定時にはなかったいわゆるアテンションエコノミーという状況が生まれ、CM業界では、人々の関心と時間を奪い合う競争が激化しています。その中で、多くの人々の関心を引きつけるためだけの扇情的なCMや、経営的貢献度が高い資金力のある広告主のCMが増加し、国民が多種多様で適切な情報を得られるようにするための規制の必要性が高まっているわけです。
この点につき、表現の自由の過度な規制に当たるとの批判を幾つかの会派から受けています。しかし、我々が規制しているのは表現の内容ではなく表現の手段であり、表現の内容には踏み込まない内容中立規制です。憲法学の世界でも、表現の自由を規制する法律の合憲性を審査する場合、表現内容規制と表現内容中立規制を区別した上で、前者には厳格な基準が妥当するとしても、後者にはより緩やかな基準が妥当するという二重の基準論が多数説となっており、我々の案はこれを踏まえています。
しかも、意見表明CMについては、我が党の改正案でも、国民投票広報協議会を通じた広報などの代替手段が存在する政党等については禁止するものの、それ以外の主体については、資金規制に抵触しない限り、従来どおり自由に行い得ることとしています。表現の自由の過度な規制に当たるとの批判は当たらないと申し上げます。
次に、ネットCMの規制についてです。
諸外国ではオンラインCMという言い方が一般的になっているようですが、前例に従ってネットCMと言います。
現行の国民投票法では、ネットCMについては何ら規制が設けられていません。改正の根拠となる立法事実としては、放送CMで述べた立法事実の二点目がそのまま当てはまります。しかも、ネットCMの市場規模は急速に拡大し、今や放送CMを上回る規模になったと言われています。ネットCMの規制が欠如した現行法を漫然と放置することは、立法府の怠慢だと言わざるを得ません。
さて、我が党の改正案では、放送CMと同様、政党等の勧誘CM及び意見表明CMを禁止した上で、それ以外の主体によるネットCMについては、勧誘CM及び意見表明CMを問わず、当該CMの主体に関する情報を表示し、資金規制を守っている限りは自由としています。
ただし、ネット事業者等による掲載基準の策定の努力義務、国民投票広報協議会によるガイドライン策定などの規定を盛り込み、まずは強制力を伴わない方法でネットCMの健全化を図りたいと考えております。
なお、一部の会派からは、政党等以外の禁止規定を盛り込んでいない点で、放送CMの規制とバランスを失するのではないかという御批判をいただきました。傾聴に値すると思います。
四月十三日に日弁連が公表した「憲法改正手続法における国民投票に関するインターネット広告の規制に関する意見書」においては、ネットCMにつき、勧誘CMか意見表明CMかは問わず、少なくとも投票期日一か月前から禁止すべきとの見解が示されております。また、五月十一日の当審査会で城井委員が述べたとおり、フランスでは国民投票日の六か月前からネットCMの利用が禁止されているとのことです。それ以外の諸外国のオンラインCM規制の動向についても、国会図書館が詳細な調査を行っています。
幾つかの会派からネットCM規制は困難だとの意見が上がっていますが、日弁連や国会図書館を当審査会に招いて、我が国のネットCM規制の在り方について、議論を深掘りしていくべきと考えております。
なお、ネットの問題は国民投票に限られないという意見が多くの会派から上がっており、これを否定するものではありません。しかし、そうであるからといって、国民投票法にネット等CM規制を盛り込まない理由にはならないということを申し上げます。
むしろ、国家レベルの政策を直接民主主義によって決定する唯一の機会である憲法改正国民投票が適正かつ公平に行われるために、ネットCM規制を国民投票法に盛り込むことは最優先で行うべき課題であるということを申し上げ、私からの意見表明を終わります。