赤嶺政賢の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
初めに、今も玉木委員からありましたが、緊急事態を理由にした国会議員の任期延長について意見を述べたいと思います。
先週の参考人の意見陳述は、この問題を考える上で大変貴重なものでした。何より重大なのは、国会議員の任期延長が権力の恣意的な延命につながるということです。
長谷部参考人は、緊急時への制度的な対応は平常時とは明確に区別し、臨時の暫定的措置にとどめるべきだとして、参議院の緊急集会を極めて優れた制度と評価されました。その上で、国会議員の任期を延長すれば、任期の延長された衆議院と、それに支えられた従前の政権とが長期にわたって居座り続ける、緊急事態の恒久化を招くことになる、緊急時の名をかりて、通常時の法制度そのものを大きく変革する法律が次々に制定されるリスクも含まれていると警告されました。
さらに、長谷部参考人は、憲法が衆議院の解散の日から四十日以内に選挙を行い、選挙の日から三十日以内に国会を召集することを定めているのは、民意を反映していない従前の政府がそのまま政権の座に居座ることを許さないためだと述べ、衆議院議員の任期を延長し、政権の居座りを認めることは本末転倒の議論だと強調されました。この指摘は、緊急事態条項の議論の本質をつくものだと思います。
これまで述べてきたように、国会議員の任期延長は国民の選挙権の停止にほかならず、国民が政権を替える機会を奪い、国民主権の侵害につながります。長谷部参考人は、緊急の事態においても基本権は可能な限り十全に保障されるべきであり、速やかに選挙を粛々と実施することが要請されていると述べています。この指摘を真摯に受け止めるべきだと思います。
さらに、参考人が強調されたのは、想定外の上に想定外のことを仮定して改憲議論を行うことの問題です。
審査会では、国会議員の任期延長の理由として、東日本大震災やコロナ感染症の蔓延が殊更に強調されています。大石参考人は、災害や感染症などは立法措置によって対応すべきであり、それを全部踏み越えて議論することの問題を指摘されました。長谷部参考人は、衆議院議員の総選挙を行うことが長期にわたって困難な状況やそれを事前に予測できる状況が起こり得るのかと疑問を呈し、慎重に考えるべきだと述べられました。
仮定の上に仮定を置いて議論することの問題は、これまでも、この審査会に参考人として出席した憲法や災害の専門家から繰り返し指摘されてきたことです。この場で何度も紹介したように、東京大学の高橋和之名誉教授は、極端な事例を出して議論をすれば間違う危険性が高いと警鐘を鳴らされました。
しかし、審査会では、こうした専門家の意見を全く無視し、あれこれの事態を仮定して国会議員の任期を延長するための改憲が必要だという議論が繰り返されています。全く通用しない議論だと言わざるを得ません。
そもそも、私たちが繰り返し述べてきたように、国民は改憲を政治の重要課題とは考えていません。今の改憲議論は、安倍首相が二〇二〇年と期限を区切って九条改憲を提示したことが発端です。その下で自民党は憲法審査会を動かしてきました。しかし、改憲を望まない国民の声は大きくなるばかりでした。安倍首相自身が辞職の記者会見で、国民的な世論が十分に盛り上がらなかったと認めざるを得ませんでした。にもかかわらず、岸田首相が任期中に改憲を実現したいと述べていること自体が国民に改憲を押しつけようというものであり、認められません。
五月三日の憲法記念日に合わせて共同通信が行った世論調査では、改憲機運は高まっていないと答えた人が七割を超え、国会と国民の意識の乖離が明らかとなりました。
国民が改憲を求めていない中で、審査会をどれだけ動かそうとも、国民との矛盾は一層深くなるだけだということを強く指摘しておきたいと思います。
次に、国民投票法についてです。
私は、現行の国民投票法については、国民の民意を酌み尽くし正確に反映させるという点で、重大な欠陥があるということを述べてきました。
具体的には、最低投票率の規定がないこと、公務員や教育に携わる者の投票運動を不当に制限していること、改憲案に対する広告や意見表明の仕組みが公平公正なものになっていないことの三点を指摘してきました。
こうした欠陥を放置したまま、自分たちの都合のよい改憲議論だけを推し進めることは幾重にも許されないと指摘し、発言を終わります。