小林潔司の発言 (国土交通委員会)

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○小林参考人 皆さん、おはようございます。
 京都大学の小林でございますが、私は、社会資本整備審議会の委員であり、学術団体である土木学会の第百六代の会長を仰せつかっておりました。あわせて、我が国のアセットマネジメント、インフラとかメンテナンスをマネジメントする、それをアセットマネジメントと呼ぶんですが、そのアセットマネジメント協会の会長をしております。
 そういう専門的な立場から、本日は、高速道路の持続的維持、メンテナンスといいますか、その発展のためにというところで、専門的な意見を述べさせていただきたい、こういうふうに思っております。
 今回の法改正、私も基本的にこの法改正は賛成でございます。ようやっと、このメンテナンス、道路資産の維持のための予算額を、財源を確保することが延長できるようになったということで、胸をなで下ろしております。
 お手元にこのポンチ絵を一枚用意しております。これに本日の申し上げたいことは集約しておりますが、この図の左半分が、これまでに我が国がなし得てきたこと、これを集約しております。これが今回の法改正につながっているんだろう、こう思いますが、右半分に、残された課題といいますか、これからの課題を集約しております。
 御承知のように、日本でメンテナンスの重要性、これが認識されたのは、二〇一二年ですかね。笹子トンネルの事故、あれから十年強たちましたけれども、この期間の間に、いわゆるメンテナンスサイクル、点検、補修、更新、このサイクルが我が国にも導入されてきました。
 ここにポンチ絵を描いておりますが、メンテナンスサイクルのあらましを描いております。点検をきちっとし、その点検結果に基づいて、補修とか、あるいは、必要であれば更新の計画を立てて、それを実行して、それをデータに残していく、こういうサイクルが我が国にも導入されました。そのために、いろいろな技術資格とかガイドラインであるとか、いわゆる制度的な仕組みがこの十年の間に発展してきた、そういうふうに評価をしております。
 翻って、海外の状況を見てみますと、御承知のように、一九八〇年代に米国でインフラの老朽化が顕在化しました。クリントン政権の間に、空前のIT景気も背景にありましたのですが、米国のインフラの更新を一気に米国政府は進めました。一九九七年にようやっと、アセットマネジメント、計画的にインフラの老朽化を改善していく、解決していくという機運が生まれました。そんなに古い学問ではありません。非常に新しい、でき上がってまだ四半世紀、そういうところです。
 ただ、アメリカのインフラは日本に比べて二十年、三十年先行して建設されております。それから、非常に古い技術を使っておりますので、日本はその二十年、三十年後を走っている。しかも、最新の技術が入っているので、アメリカの結果はなかなか参考にはならないと思いますけれども、この笹子のトンネルの事故以来、日本でもインフラの老朽化が顕在してきた、こういうことでございます。
 その下の図、描いておりますけれども、この十年間、点検をした結果、いろいろなデータが蓄積してきました。その結果、かなりのことが分かるようになってきたんですが、まだまだデータのストックというのは、この笹子のトンネル以降十年、インフラの劣化が十年で終わるものではありません。もっと時間がかかるものですね。
 ここにいろいろなグラフ、いっぱい描いておりますが、これはアメリカのデータです。アメリカは点検を日本よりは二十年以上たくさんやっていますので、インフラがどういうふうに劣化してきたかという、劣化曲線と我々は言いますが、これを描けるような状況になってきます。
 右下のこの図は、ニューヨーク市の、ニューヨークにある二千十四本の橋梁の、床版というんですけれども、そこの劣化のあらましを表しています。横軸が時間、縦軸、下に行けば行くほど劣化が進展している、こういう状況を表しています。これを見ていただくと、非常に散らばりが大きい、こういうことが分かります。
 一つ一つの橋梁の劣化の不確実性は高いんですが、橋梁によって物すごく劣化のスピードに差がある。それは、造られた年代であるとか、工法であるとか、材質であるとか、いろいろなことが作用して、インフラの劣化を予測するのが極めて難しい状況にあります。これはアメリカの話ですが、日本も同じような状況だ、こういうふうに思います。
 個々のインフラの劣化を予測するのは極めて難しい、まして、いわんや、新しくできたインフラ、更新したばかりのインフラがどれだけもつのかということに関しては極めて不確実性が高いということですが、それを幾つか束ねてくる、大きな地域で束ねてくると、凸凹がかなりならされてきて、それでもまだ幅はありますけれども、ある程度の確率でもって予測はできるんじゃないか、そういう状況に今ある、こういうふうに思っています。
 我々も、当初は、昔は、インフラは永久構造物だ、こういうふうに思っていたんですが、決してそんなことはない、劣化は着実に時間とともに進んでいっている。大規模修繕しても、きちっとよくなるわけではないんですね。ちょっとスピードを遅らせたとか、また再劣化が始まります。そういうものだということが、この十年間の間に理解してきたということですね。
 右半分は、これからなすべきことですけれども、私は、アセットマネジメント協会会長になっています、こういうふうに申し上げましたけれども、国際標準として、アセットマネジメント、インフラの劣化をやはり経営学的な視点できちっと規律づけしていく、そういうための国際標準ができ上がりました。二〇一七年です。まだ歴史が浅い。二〇一七年以前にインフラの経営計画というものが世界的に確立していたかというと、試行はいろいろありましたけれども、ようやっと五、六年前になって、初めてそういう弾みがつき、でき上がったということでございます。
 その中で、今一番問題になっているのは、いわゆる財務会計ですね。やはり会計情報として、いろいろ経営の会計が出てくるんですが、それと非財務的な情報をどうすり合わせていくか。
 例えば、修繕しますと、やはり部分的によくなるんですね。そうすると、使用期間が延びる。それを財務会計にどういうふうに反映していけばいいのか、経営計画にどういうふうに反映していけばいいのかというところが、実はまだ世界的にも議論は確立していない。それに向かって、今、ISOの世界ではどういうふうにすべきか、あるいは、日本がこれからどういうふうに考えていけばいいのか、そこにこれからの課題が残されている、こういうふうに思います。
 高速道路会社、償還期間が延びた、この時間、その中で、長期的、計画的にインフラのマネジメント、これをどういうふうにやっていくべきか、その経営の方法論を確立していくべきだ、こういうふうに思っております。今、世界的にもそれはスタート点に立ったばかりだというふうに申し上げたいと思います。
 それから、最後は、技術の継承と発展でございますが、これは、先ほど、石田委員、それから朝倉先生から、かなり詳細な意見を言っていただきましたので、私が屋上屋を重ねる必要はないと思いますけれども、新しい技術を導入していく、それから、やはり技術者の高齢化が非常に大きな今問題になってきています、その技術の継承、そういう意味でも、高速道路会社の経営計画の中で計画的に進めていっていただきたい。それがひいては日本のインフラの、インフラ輸出というのはずっと課題になっています、なかなかまだ難しくて実現できておりませんけれども、それの大きな支えになる、そういうふうに信じております。
 以上で私の説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 小林潔司

speaker_id: 18281

日付: 2023-04-04

院: 衆議院

会議名: 国土交通委員会