黒田東彦の発言 (財務金融委員会)

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○黒田参考人 まず、過去十年間の金融緩和政策が賃金を十分引き上げることができなかったというのは、そのとおりであります。
 そう申し上げた上で、この十年間の金融緩和の下で雇用が四百万人以上も増加した、それからデフレでない状況にはなった、そして経済成長も一%程度ですけれども復活したというような意味では、一定の効果があったと思いますが、御指摘のとおり、賃金が十分上がっていなかったということはそのとおりだと思います。
 なぜこうなったかということにつきましては、過去、物価や賃金の上昇率が高まりにくかった背景としては、やはり、長年にわたるデフレの経験から、物価や賃金が上がらないことを前提とした考え方や慣行が根強く残っているということが影響したと思っております。
 もちろん、この間、弾力的な労働供給、先ほど申し上げたように、四百万を超える雇用が増加したわけですけれども、これは、結果として賃金の伸びを弱める方向に作用したかもしれませんが、雇用者数が大幅に増加したことで雇用者報酬は増加をしております。
 金融政策は、あくまでも、総需要に働きかけるマクロ経済政策でありまして、物価や賃金に影響を与えることは可能であると思いますけれども、何といっても、物価や賃金が上昇するためには、経済活動全体が回復して需給ギャップが減少し、さらにプラスになる、そして労働需給がタイトになるということがあって、その下で賃金、物価が上昇していくということだと思います。
 足下、コロナ禍からの回復過程にありまして、需給ギャップもほぼ解消しつつあります。労働市場は極めてタイトになっております。先行き、経済活動全体が回復していく下で、労使間の賃金交渉において、労働需給の引き締まりや物価上昇率の高まりを反映して、賃金上昇率も高まっていくのではないかというふうに見ておりますが、今後とも、賃金、物価の動向については十分注視してまいりたいと思っております。

発言情報

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発言者: 黒田東彦

speaker_id: 19167

日付: 2023-02-10

院: 衆議院

会議名: 財務金融委員会