財務金融委員会

2023-02-10 衆議院 全232発言

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会議録情報#0
令和五年二月十日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 塚田 一郎君
   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君
   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君
   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君
   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君
      青山 周平君    石井  拓君
      石原 正敬君    小田原 潔君
      大塚  拓君    大野敬太郎君
      勝目  康君    金子 俊平君
      神田 憲次君    神田 潤一君
      小泉 龍司君    高村 正大君
      佐々木 紀君    塩崎 彰久君
      瀬戸 隆一君    津島  淳君
      土田  慎君    葉梨 康弘君
      藤原  崇君    古川 直季君
      宮澤 博行君    山口  晋君
      若林 健太君    階   猛君
      野田 佳彦君    馬場 雄基君
      福田 昭夫君    道下 大樹君
      山田 勝彦君    米山 隆一君
      藤巻 健太君    岬  麻紀君
      伊藤  渉君    山崎 正恭君
      前原 誠司君    田村 貴昭君
      吉田 豊史君
    …………………………………
   財務大臣
   国務大臣
   (金融担当)       鈴木 俊一君
   内閣府副大臣       藤丸  敏君
   財務副大臣        井上 貴博君
   厚生労働副大臣      伊佐 進一君
   防衛副大臣        井野 俊郎君
   財務大臣政務官      金子 俊平君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 中澤 信吾君
   政府参考人
   (金融庁企画市場局長)  井藤 英樹君
   政府参考人
   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 岩本 桂一君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   寺岡 光博君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   中村 英正君
   政府参考人
   (財務省主税局長)    住澤  整君
   政府参考人
   (財務省国際局長)    三村  淳君
   政府参考人
   (財務省財務総合政策研究所長)          江島 一彦君
   政府参考人
   (国税庁次長)      星屋 和彦君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       伊藤 学司君
   政府参考人
   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          山下 恭徳君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 堀井奈津子君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           松本  圭君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君
   政府参考人
   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君
   参考人
   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君
   参考人
   (日本銀行副総裁)    雨宮 正佳君
   参考人
   (日本銀行理事)     貝塚 正彰君
   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十日
 辞任         補欠選任
  神田 潤一君     勝目  康君
  中山 展宏君     宮澤 博行君
  八木 哲也君     佐々木 紀君
  若林 健太君     山口  晋君
  藤岡 隆雄君     馬場 雄基君
同日
 辞任         補欠選任
  勝目  康君     神田 潤一君
  佐々木 紀君     瀬戸 隆一君
  宮澤 博行君     古川 直季君
  山口  晋君     若林 健太君
  馬場 雄基君     山田 勝彦君
同日
 辞任         補欠選任
  瀬戸 隆一君     土田  慎君
  古川 直季君     中山 展宏君
  山田 勝彦君     藤岡 隆雄君
同日
 辞任         補欠選任
  土田  慎君     八木 哲也君
    ―――――――――――――
二月九日
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
 財政及び金融に関する件
     ――――◇―――――
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塚田一郎#1
○塚田委員長 これより会議を開きます。
 財政及び金融に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、副総裁雨宮正佳君、理事貝塚正彰君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官畠山貴晃君、大臣官房審議官中澤信吾君、金融庁企画市場局長井藤英樹君、デジタル庁審議官阿部知明君、外務省大臣官房審議官岩本桂一君、財務省主計局次長寺岡光博君、主計局次長中村英正君、主税局長住澤整君、国際局長三村淳君、財務総合政策研究所長江島一彦君、国税庁次長星屋和彦君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官伊藤学司君、科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官山下恭徳君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官堀井奈津子君、大臣官房審議官松本圭君、大臣官房審議官宮本悦子君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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塚田一郎#2
○塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
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塚田一郎#3
○塚田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中西健治君。
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中西健治#4
○中西委員 おはようございます。自由民主党の中西健治です。
 理事会のお許しを得ましたので、久々にマスクなしで質疑をさせていただきます。
 今回も、財務金融委員会、たくさんの、多くの重要な法案がありますけれども、まず、大臣の所信の質疑に立たせていただく機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 日本銀行の総裁が誰になるのかというようなことが今市場の大きな関心事になっておりますけれども、そしてそれに伴って、共同声明の見直しというのがあるのかないのか、こうしたことも関心事となっていますが、見直しをするのかと大臣に聞いても、きっと今日の時点ではお答えできないということだろうというふうに思いますので、まず私の方からは、十年前に結ばれました共同声明について、その意義をどのように考えるかということについてお聞きしていきたいと思います。
 もはやデフレではないという状況がつくられたというのが政府の認識だろうというふうに思いますけれども、我が国の物価研究の第一人者であります東京大学の渡辺努教授は、近著の中で、まだ安定的なデフレ脱却は果たされていない、現在の状況については、急性インフレと慢性デフレが同時進行していると警鐘を鳴らしております。
 まだまだ危うい状況であるのかなというふうにも思いますけれども、この十年前の政府と日銀の共同声明についての評価、これを大臣にお伺いしたいと思います。
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鈴木俊一#5
○鈴木国務大臣 政権交代後の平成二十五年一月に、政府と日銀は、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のために政策連携を強化することとしまして、これを共同声明として公表をいたしました。
 この共同声明においては、政府は、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組や、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を進めるとされ、日銀は、日銀が定めた物価安定の目標の下、金融緩和を推進するとされており、これまで、この共同声明に沿って、政府、日銀一体となって、デフレからの脱却に向けて取り組んできたところであります。
 その結果、御指摘のように、デフレではないという状況をつくり出すとともに、GDPや企業収益を高め、雇用環境を改善するなど、大きな成果を上げたと認識しております。
 しかし、他方、女性や高齢者等の労働参加比率の上昇等を背景とした一人当たりの賃金の伸び悩みが見られ、新型コロナ対応等のため財政状況の厳しさは増しておりまして、また、黒田総裁は、まだ二%の物価安定目標を安定的、持続的に達成する状況にはなっていないと述べられており、それぞれの課題が残っているということ、これも事実であります。
 政府としては、引き続き、政府、日銀が一体となって、物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け取り組んでいくことが必要と考えておりまして、今後ともしっかりと連携をして対応してまいりたいと考えております。
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中西健治#6
○中西委員 ありがとうございます。
 今の大臣の総括というか評価の中では、プラスの部分もあったけれども、まだ足りていない部分もある、こういうことだったと思います。
 そのうちの一つの例として、一人当たりの賃金の伸び悩みということも挙げられておりました。元々の共同声明にしても、物価の上昇そのものがやはり明示的に掲げられていて、掲げるのは当然なんですけれども、それだけが唯一の目標になっているのではないか、このようなことが疑義として持ち上がるようなところがございました。
 大臣もよく御承知のとおり、アメリカのFRBは、物価ということのほかに、雇用の最大化という、デュアルマンデートが与えられております。やはり、何らかの形で、雇用ですとか賃金ですとか、こうしたことも目標の中に据えるべきであったのではないかというふうに考えているところであります。
 そんな中で、今、政府が、岸田政権としては、やはり賃上げということが最大の目標の一つになっているということは間違いなかろうというふうに思います。今度の共同声明の中で、私は、賃金や雇用について書き込むべきであるというふうに思っておりますし、元々、この共同声明のたてつけというのが、一番初めに、政府と日銀は共に共同して努力していくんですというようなことが書いてありますけれども、今大臣もまさにおっしゃられたとおり、書かれていることは、日本銀行は、政府はということで、それぞれの役割の整理をしている、こういう形になっております。
 雇用ですとかあと賃上げというのは、日銀だけで達成できるものでもありませんし、政府だけという話でもないだろうと思いますので、私は、たてつけの中自体を変えて、政府と日銀は共に雇用の最大化や賃上げについて一緒に努力するというようなことが明示的に書かれるべきであろうというふうに思っておりますが、書く、書かないということは今大臣からお答えできないだろうというふうに思いますので、今後、新総裁が選ばれて、新総裁と政府がいろいろな議論をしていくと思います。その中で、大臣は、これは達成していかなきゃいけないだろうと考えているような目標について教えていただけますでしょうか。
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鈴木俊一#7
○鈴木国務大臣 今後の共同声明について、御提言、お考えをいただいたところでありますけれども、共同声明の取扱いにつきましては、新しい総裁とも議論する必要があると考えておりますし、日銀も、新しい体制の中で、内部での議論で方向性を定めていくということもあるんだと思います。したがいまして、今の段階で共同声明の在り方を含めまして具体的に申し上げることは時期尚早と考えているところであります。
 その上で、共同声明の目的でありますデフレ脱却と持続的な経済成長の実現、これは依然として重要な政策課題である、そのように考えております。そして、この政策の課題の実現に向けましては、御指摘のとおり、賃上げの実現、これは非常に重要なポイントであると認識をいたしておりまして、政府としては、賃上げに向けて各種の取組を行っているところであり、また、賃上げの必要性についての認識については、日銀の黒田総裁も述べられているところであります。
 こうした認識の下で、構造的な賃上げを伴う経済成長と物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けまして、政府、日銀が一体となって取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。
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中西健治#8
○中西委員 どうもありがとうございます。
 是非、新総裁とのいろんなこれからの話の中では、雇用と賃上げについては明示的に取り上げていっていただきたいと思います。
 共同声明は、内閣府と財務省、それと日本銀行の三者のクレジットということになっておりますので、是非お願いしたいと思います。
 続きまして、これから税法の議論がされることになりますけれども、その中でNISA、これが大幅に拡充、もし通れば大幅に拡充されて、来年から使いやすいものができるということになってまいります。
 私も、もう何年も前から参議院の方でもずっと財政金融委員会でこのNISAの拡充ということを取り上げてまいりましたし、今は、自民党内ですけれども、財務金融部会長として、こちらを何とか拡充できないかということをやってきましたので、もしこれができるということになったら、これは大変すばらしいことだというふうに思っております。
 その中で、少し気になることがございます。それは、株式の投資単位、株を買うときの必要な最低の金額という問題なんです。
 二〇一八年の十月に株式の売買単位が百株に統一されました。それまでは、一株ですとか二百株、五百株、二千株とかいろんな種類があって、なかなか投資対象にならないものが多かったのが、百株に統一はされました。それ自体は本当にこれまでの東証の努力を多としたいというふうに思いますが、しかしながら、直近のデータを見ても、まだこの株価に百を掛けて買える最低投資単位が相当大きい金額になってしまっている上場会社が幾つもございます。
 金融庁にお尋ねいたします。
 百株、いわゆる投資単位を買うために五十万円以上かかる、そうした会社、どのような会社が何社あるんでしょうか。
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井藤英樹#9
○井藤政府参考人 お答え申し上げます。
 東京証券所では、上場規則におきまして、上場株式の投資単位が五万円以上五十万円未満となるよう、その水準への移行及び維持に努めるものとするとされてございます。
 先月末時点でこの規則の対象となります上場会社三千七百九十五社のうち、投資単位が五十万円を超える会社は二百三社となってございます。
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中西健治#10
○中西委員 ちなみに、その二百三社の中にはおなじみの会社というのは多分たくさんあるんだろうと思います。いわゆるハウスホールドネームという、そうした会社、幾つか紹介していただけますか。
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井藤英樹#11
○井藤政府参考人 どの会社が有名かどうかと私の中では言い難い部分がございますけれども、例えば一月三十一日時点で申しますと、ファーストリテイリングですね、ユニクロを運営されていますけれども、これだと七百万円を超える、あるいはオリエンタルランド、東京ディズニーランドを運営されている、これは二百万円を超える、あと、例えばJR東海、東海旅客鉄道でございますけれども、これは百五十万を超えたり、ソニーグループでありますと百万を超える、そういう状況でございます。これはあくまでも一例でございますけれども。
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中西健治#12
○中西委員 今、挙げていただいたようなネーム、ファーストリテイリングですとかソニーですとかオリエンタルランドですとか、やはり個人投資家が買いたいものなんじゃないかというふうに思います。
 去年は、個人投資家が久々に大きな金額で買い越しをいたしました。おととしも、小さな金額でしたけれども買い越しで、二年連続買い越しというのは、八三年に統計を取り出してから初めてのことであります。そして、昨年の一兆円を超える買い越しというのはバブルのときの九〇年以来ということになりますので、ようやく貯蓄から投資へという流れができつつある、あと、バブルの後遺症から癒えつつあるというところなんじゃないかというふうに思いますので、何としてでも、せっかくのこの流れを太いものにする、それがNISAなんだろうというふうに思うんですが、そのNISAで買えない株があってはいけないんじゃないだろうかというふうに思います。
 あと、とかく言われることですけれども、日本人の個人投資家は高配当の株を買うことが多いということなんですが、やはり成長する株も買ってもらいたいだろうというふうに思うんです。ソニーもまだまだ成長するかもしれません。そうしたところにお金が入りやすいようにするためには、是非とも投資単位を引き下げてもらいたいと思います。
 東証はやっているんです。東証は、昨年の秋も、東証の山道社長が要請という形で文書を上場企業に出しております。お願いはして、お願いに応えてくださる、ファーストリテイリングも分割をいたしました。それでもまだ二百万円以上するんですけれども、更に分割が必要だというふうに思いますが、そうした東証がやっていることを、東証だけにしないで、金融庁として推し進めていく。特に、来年新たなNISAができるのであれば、それに向けての環境整備をしていく。
 大臣、いかがでしょうか。
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鈴木俊一#13
○鈴木国務大臣 上場株式の投資単位を個人投資家が投資しやすい水準にすること、これは、貯蓄から投資へのシフトを進める上で大変重要な点であると考えております。
 井藤局長からも答弁がありましたが、東証は、これまで、個人投資家の投資環境を整備するため、上場会社に対して投資単位が五十万円未満となるよう促してきたところであり、その効果もありまして、足下では約九五%の上場会社が五十万円未満となっているものと承知しています。
 しかしながら、依然として投資単位が高い水準にある上場会社も存在しておりまして、金融審議会においても、昨年十二月の報告書において、東証等は、投資単位の大きい上場株式を発行している企業に対して、投資単位の引下げに向けた更なる取組を促すべきである旨の御提言をいただいたところであります。
 投資単位の水準の引下げには株式分割が必要であることから、上場会社の理解が不可欠でありまして、金融庁といたしましては、来年からNISAの抜本的拡充、恒久化も見据えまして、東証に更なる対応を促すなど、取引所や上場会社、市場関係者による議論が深まりますよう、取組を進めていきたいと考えております。
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中西健治#14
○中西委員 大臣、是非よろしくお願いいたします。
 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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塚田一郎#15
○塚田委員長 次に、稲津久君。
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稲津久#16
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。
 昨日、本会議がありまして、いろいろ議論がされました。一部、私の今日の質問、重複するところがあると思うんですけれども、党として、また個人としてしっかり伺っておきたい、そうした趣旨を含めて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、基本的なことでお伺いを二点させていただきますが、最初は、物価情勢の見通しについてということで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
 インフレ率二%、この目標水準に実質的には未到達ということで、いろんな有識者からも意見をいただいてまいりましたが、生鮮食料品を除く物価指数、消費者物価指数、昨年十二月の段階で四%となっておりますが、ここをいろいろ分析すると、酒類を除く食料、それからエネルギー、ここが極めて上がっているということで、総合では、これを除きますと、総合的には一・六%。ですから、三か月連続で一・五%は超えているけれども、二%はこの食料、エネルギーを除くと超えていない、こういう状況でございます。
 ですから、そう考えていくと、直近のこの物価上昇の要因というのは、エネルギーやそれから穀物などの輸入品の値上がりが原因だ、コストプッシュ型であるということで、あわせて、後で伺いますけれども、賃金も上がっていないことから、景気はむしろ下押しの圧力が働く可能性がある、こういう見方もできると思うんです。
 そこで、改めてお伺いしますけれども、現状の物価情勢に対する認識と今後の見通しについて、まず大臣にお伺いしておきます。
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鈴木俊一#17
○鈴木国務大臣 今般の物価高騰につきましては、ウクライナ情勢等による国際的な原材料価格の上昇に加えて、円安などの影響によるものと考えております。
 物価見通しについてでありますけれども、政府経済見通しにおいては、令和五年度の消費者物価上昇率は、エネルギー、食料価格の上昇が見込まれるものの、総合経済対策による電気・ガス料金、燃料油価格の抑制効果等もあって、一・七%程度と令和四年度の見込みより上昇幅は縮小すると見込まれております。こうした見方は、民間のエコノミストの見方にもおおむね沿ったものである、そのように考えております。
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稲津久#18
○稲津委員 もう一つ、基本的なことをお伺いさせていただきたいと思いますけれども、日銀が、消費者物価指数の前年比上昇率の実績率が安定的に二%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するオーバーシュート型コミットメント、これを採用しているわけで、結果としてどうなっているのか。
 様々な情勢はありますけれども、アメリカとの金利差が広がって、それから円安もそこに加わってくる中で、更に資源高、それから食料品なども非常に上がっているということで、国内の物価上昇を加速している。その結果、どうなってくるか。物価高が家庭の購買力ですとかそれから企業収益を圧迫している、こういう構図になっているんだというふうに思っております。
 ここで一つ大事なことが、いわゆるアベノミクスに端を発した異次元の金融緩和、このことによって確かに資金量は増加しているけれども、資金供給は増加しているけれども、物価の基調としては低インフレ、こういう状況なんだろうと思います。
 これは、大臣に直接聞くことよりも日銀総裁にお伺いすべきかもしれませんが、大臣の見解を改めてお伺いしておきたいと思いますけれども、こうしたことが、結果として、物価の基調の低インフレ、このことについて、私が今申し上げたようなことが結果的に妥当ではないかというふうに思うんですけれども、見解をお伺いしておきたいのと、あわせて、この金融緩和政策を今後もやはり継続すべきなのかどうか、この点について、大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
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鈴木俊一#19
○鈴木国務大臣 今のお尋ねは、異次元の金融緩和で資金供給量が増加したけれども、物価は政府、日銀が目指しているように安定して上昇していないのではないかということと、金融緩和を今後とも維持すべきか、それとも維持すべきでないか、こういう二つの御質問であったと受け止めました。
 政権交代以降、政府と日銀は、互いに連携をしながら、それぞれの責任において、必要な施策を実施をしてきております。その結果、デフレではないという状況をつくり出すとともに、GDPや企業収益を高め、雇用環境を改善するなど、大きな成果を上げたと認識しております。一方、黒田総裁は、まだ二%の物価安定目標を安定的、持続的に達成する状況にはなっていないと述べられていることも承知をしております。
 その上で、金融緩和を維持すべき、あるいは維持すべきではないといったことでございますが、これはまさに金融政策の具体的な手法に当たるわけでありまして、この判断は日銀に委ねられるべきと考えていますが、日銀には、引き続き、政府との連携の下、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、適切な金融政策運営を行っていただくことを期待をいたしたいと思います。
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稲津久#20
○稲津委員 ありがとうございました。
 基本的なことを二つお伺いしましたけれども、その上で、今度は賃上げ税制についてお伺いをしていきたいと思います。
 これも今、様々議論がなされているところではございますが、二月七日に厚生労働省が発表した二〇二二年の毎月勤労統計調査、ここで、実質賃金、前年比〇・九%のマイナス、こうなった発表があったわけでございます。結果として、物価上昇に賃金が追いついていっていないという、二年ぶりに前年を下回ったということで。
 これはもう至極当たり前のことですけれども、やはり物価上昇に伴う賃上げの実現が何よりも一番大事なことなんだと。その対策としてこの賃上げ税制があるわけですけれども、この制度、皆さんも御存じのとおり、企業の労働分配を促す措置として二〇一三年から導入されて、繰り返し繰り返し制度の見直しも行われて、実施をしてきているということです。
 岸田政権の中でも、成長と分配の好循環の実現に向けてということで、人材確保等促進税制、これが積極的な賃上げを促す、そういう措置に改組されて、一層の賃上げを促進する、こういう趣旨でこれが措置されているわけでございます。
 そこで、お伺いしておきたいのは、政府がこれまで行ってきたいわゆる度重なる賃上げ税制について、効果がどこまで出ているのかということを伺っておきたいと思います。
 それから、もう一つは、さりとて、この賃上げ税制を否定するわけじゃないんです。しかしながら、結果として、状況を見ているとなかなか難しいものがあって、今後、企業の経営者が賃上げをする、しやすい環境を整備していくことがむしろ私は非常に重要じゃないかなと思っているんですが、こうした考え方について、是非、大臣の見解を伺っておきたいと思います。
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鈴木俊一#21
○鈴木国務大臣 賃上げは、これは税制のみならず、企業収益や雇用情勢等に影響を受けるものでありますので、税制の効果だけを取り出して経営者の賃上げ判断への影響を定量的に測ることは難しいと思っております。
 一方で、過去に行われた企業に対する調査によりますと、賃上げ促進税制が賃金の引上げを後押ししたと回答した企業、これが六割以上に上ったことや、毎年、おおむね約十万社の企業に御活用いただいていることなどを踏まえますと、企業の賃上げに対して一定の効果があったのではないかと考えております。昨年の春闘においても、官民が連携した取組の結果、賃上げは過去二十年で二番目に高い引上げ率となったと認識をしております。
 いずれにいたしましても、令和四年度税制改正で拡充した賃上げ促進税制が適用された申告書は、通常、本年の五月以降、順次提出されることとなります。そうしたものを踏まえて、引き続き、賃上げ税制の適用実績について注視をしなければならないと思っております。
 あわせまして、労働者の七割を占めるのが中小企業でありまして、中小企業に賃上げの流れを波及させていくこと、これは、先生御指摘のとおり、重要なものと考えております。
 このため、中小企業においても物価上昇を超える賃上げに取り組んでいただけるように、令和四年度税制改正で拡充した賃上げ税制において、中小企業について税額控除率を大幅に引き上げたほか、事業再構築、生産性向上等支援と一体に行う賃上げ支援を大幅に拡充する、下請Gメンを三百名体制に拡充するなど、価格転嫁を強力に推進するなど、中小企業においても賃上げを行うことができる環境整備にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
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稲津久#22
○稲津委員 大臣、最後のところの答弁でありましたように、中小企業、中小・小規模事業者の賃上げがやはり伴ってこなければ、底上げ、総体的なものになっていかないと思うんですよ。
 そこをどうするかということで、私どももいろいろ伺っていますけれども、やはり中小・小規模事業者の事業主からは、賃上げしたくないんじゃないんだ、賃上げしたいんだ、したくても原資がない、こういう話。だからこそ、環境整備が必要だ。そのためには、例えば、大企業と下請間における取引価格の価格転嫁をしっかりやっていくですとか、あるいは、いわゆる政府が推進しているDX、GX、こうした生産性の向上とか投資も必要になってくる、そのように思っております。
 今、政府が、八年ぶりの政労使会議を開催できないかということで調整に入ったというふうに伺っています。これもそうしたことの一環かなというふうに思っておりまして、今、私どもが総力を挙げて取り組んでいかなきゃいけないのは、やはり何といっても、中小・小規模事業者の方々の賃上げをどういうふうにサポートしていけるかどうか、このことが極めて重要だと思っていますので、これは本委員会においてもこれから何度か議論させていただきたいというふうに思っております。
 ほかにも質問があったんですけれども、防衛費関係費の公債発行の対象経費について、是非伺っておきたいと思っておりました。昨年の委員会でも、私、建設国債のことに触れて、大臣からもこのことについて答弁で触れていただきました。
 いろいろな見方はあるかもしれないけれども、しかし、現下の情勢を考えたときに、やはり国民負担をどうやって軽減して、理解していただけるか。これも次の段階でしっかり議論させていただきたいと思っておりますので、今日のところは以上で終わらせていただきたいと思います。
 大変どうもありがとうございました。
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塚田一郎#23
○塚田委員長 次に、櫻井周君。
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櫻井周#24
○櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。
 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 財務金融委員会、今年もしっかり頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、今日の議題は、おとといの大臣所信に対する質疑ということになります。まず、その所信について質問させていただきます。
 この大臣所信でいろいろ書かれていること、これは大体去年も似たようなことをおっしゃられていたかと思うんですけれども、去年も気になっていたんですけれども、主計局と、要は、予算とそれから税のことについては書いてある、主計局とそれから主税局の話は出てくるんですけれども、それ以外の部署、関税局、理財局、国際局の業務についてほとんど言及がないんですね。
 ほかの大臣は大体、これはいいか悪いかは別として、大体満遍なく各部署を一通りは言及するようなものがあるんですし、鈴木大臣も金融担当大臣としては一応一通り言及されているんですけれども、財務大臣としては主計局と主税局だけ何かひいきしているようなところがあるものですから、それ以外の部署の方がちょっとやる気を失ってしまうんじゃないのか、寂しい思いをしているのではないのかというふうに思ったものですから、ちょっと質問をさせていただきます。特に、財務省の中には主計にあらずんば人にあらずというような言葉があるやにも聞いたりしたこともあるものですから、聞かせていただきます。
 特に、関税局については、経済安保ということも大変注目をされておりますし、貿易とか、それからいろいろな犯罪関係の取締りという観点でも非常に重要な部門であると思いますし、理財局は、これから金利がちょっと上昇局面に入っているかもしれない中において、国債発行ですとか、あとまた防衛増税の議論の中で、やはり国の資産の中で有効活用されていないものがあるのではないのかというようなことからも、国有財産の管理、こういった観点も重要ですし、あと財政投融資など、いろいろな重要な業務を担っているかと思います。
 そういった意味で、取りあえず、まず、関税局とそれから理財局の業務に関する所信をお聞かせください。
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鈴木俊一#25
○鈴木国務大臣 先日の所信表明で、関税局と理財局の業務についての所信を述べなかったということで、決して両局の業務を軽んじているわけではないわけでございますが、結果としてそうなってしまいました。御指摘を受けて、今後の所信表明に大いに、作成の参考にさせていただきたいと思っております。
 その上で、関税局の業務につきましては、私も、東京税関でありますとか広島税関支署などを視察をいたしまして、現場の第一線で頑張っておられる方々ともいろいろお話をさせていただきました。
 越境電子商取引の拡大に伴う輸入貨物の急増、それから水際対策の緩和による入国者数の増加など、税関を取り巻く環境というのは大きく変化しております。こうした中、一層安全で豊かな社会の実現や、更なる貿易の円滑化を推進するために、昨年十一月、ちょうど税関発足百五十周年を迎えたわけでありますが、これを機会に、スマート税関の実現に向けたアクションプラン二〇二二を公表いたしました。様々な環境変化に対応を図ることとしているところであります。
 さらに、G7広島サミットも予定されているところでありまして、関税局、税関といたしましては、引き続き迅速な通関と厳格な水際取締りに努めてまいりたいと思います。
 理財局の業務につきましては、主として国の資産、債務の管理等に関わる業務を担当しているところでありますが、国債発行総額が極めて高い水準にある中、引き続き、市場との緊密な対話に基づき、安定的な国債発行に努めてまいります。
 また、令和五年度以降のGX経済移行債の発行に向けて、関係省庁と検討を行っているところです。
 また、財政投融資を活用して、新型コロナや物価高の影響により厳しい状況にある事業者への資金繰り支援や、新しい資本主義の加速などに取り組んでまいります。
 さらに、国有財産行政に関しましては、地域や社会のニーズを踏まえた国有財産の有効活用などにも取り組んでまいりたい、そのように思っているところです。
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櫻井周#26
○櫻井委員 あと、国際局についてもほとんど言及がない状況です。
 特に国際局に関連する話題としましては、おとといの大臣所信の中で、「世界的なエネルギー、食料価格の高騰や欧米各国の金融引締め等による世界的な景気後退懸念など、」と、ここまで国際局が関係するところを言いながら、その先は、「日本経済を取り巻く環境には」ということで、急に内向きな話になって、国際局が、じゃ、何をするのかというところが抜けちゃっているところなんですね。
 特に、財務金融委員会においても、国際局の業務に関連するところとしましては、中国の債務のわな問題とか、そういったこともこれまで議論させていただきました。さらに、こうした問題、開発途上国の債務の問題が金利上昇局面によって顕在化するリスクもあるというふうにも思います。
 そういったことを考えますと、国際局は、世界銀行やアジア開発銀行など国際機関も所掌しておりますし、JBICや円借款の業務、開発金融の業務も所掌しているということで、非常に重要だと思うんですね。しかも、今年は、JBIC法改正、それからIBRDの加盟措置法の改正もあるわけですから、やはりここはちゃんと言及していただく必要があったのではないのか。さらに、外国為替、去年は為替介入もやっております。これも国際局の業務ですから。
 大臣、この国際局の業務についてもしっかり言及をいただきたいというふうに思いますので、もし所信があれば御発言をお願いいたします。
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鈴木俊一#27
○鈴木国務大臣 改めまして、国際局の業務についても所信を申し述べさせていただきます。
 世界そして地域経済、これは、ロシアのウクライナ侵略に伴うエネルギー、食料不安でありますとか欧米各国の金融引締めの影響を始めとして、多くの困難、課題に直面をしているところであります。
 ウクライナ支援や対ロシア制裁、債務問題を抱える脆弱国の支援といった喫緊の政策課題には、迅速かつ適切な対処が必要であります。また、気候変動や国際保健、経済安全保障、金融デジタル化、国際課税などの分野も着実に取組を進める必要がございます。
 日本は、本年のG7議長国、ASEANプラス3共同議長国として、こうした諸課題の解決に向けて国際的な議論を主導していきたいと思っております。
 また、本日の閣議で、朝方の閣議では、JBIC法と世銀加盟措置法の改正法案を閣議決定いたしました。
 JBIC法改正案は、国際情勢の変化等を踏まえ、サプライチェーンの強靱化、スタートアップ等の日本企業のリスクテイク推進等とともに、ウクライナを支援するために、JBICの機能強化を図るものであります。
 世銀加盟措置法改正案は、ウクライナ支援等を目的に世界銀行に設けられる基金に対し、国債による拠出を可能とするものであります。
 両法案、これは、日本がウクライナ支援を主導し、G7議長国にふさわしい貢献を積極的に示す観点などから重要なものであり、今国会に提出させていただくものであります。
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櫻井周#28
○櫻井委員 特にウクライナ支援も非常に大きな課題ですし、私も、友人といいますか、昔の職場の先輩がウクライナ大使館に今度派遣されて、復興支援の準備を進めるんだという話も聞いておりますので、是非こちらも併せてよろしくお願いします。
 本日は、日本銀行の黒田総裁にも来ていただいております。黒田総裁も、国際金融局長、それから財務官、アジア開発銀行と、まさに国際局の業務のど真ん中で御尽力いただいてきたということだと思いますので、その点も踏まえて、国際局の業務もしっかりお願いいたします。
 今日は、来ていただいておりますので、ちょっと順番を入れ替えまして、四ポツの物価と賃金の話を先にさせていただきたいと思います。
 先週金曜日、予算委員会で黒田総裁とも議論をさせていただきました。この物価と賃金の話、これはやはり、この十年間のアベノミクスといいますか、異次元の金融緩和においてどうだったのか、黒田総裁はこれまで、物価が上がれば賃金も上がるということをお話しされておりましたけれども、実態はそうではなかったのではないのかということです。
 まず、今日お持ちしました資料、まず資料一ですけれども、この二十年近くの実質賃金の動きを資料一にまとめております。
 これを見ますと、民主党政権時代の方が実は実質賃金は高かった。自民党政権になってから、平均するとマイナス〇・七%、昨日の本会議でも指摘させていただきましたけれども、低いんですよね。要は、黒田総裁が日銀総裁に就任したこの十年間、結局、物価の上昇に賃金上昇が追いつかなかったということの表れでございます。
 それから資料三、これも先週の予算委員会でもつけさせていただきましたが、主要国の平均賃金の推移です。
 日本は、今から三十年前、それなりの賃金水準にあったわけですが、そこから全然伸びていない。ほかの、よその国は大体伸びているのに、日本だけが伸びていない。実は、よく見るとイタリアも伸びていないんですけれども、日本とイタリアだけが伸びていない、ほかは上がっているという状況です。その結果、どんどん追い抜かされていって、お隣の韓国にも抜かされている状況です。
 この賃金の上昇率を資料四の方にまとめました。実質賃金の上昇率を見ますと、むしろ日本は下がっているというような状況でございます。
 それから資料の五は、これは昨年の三月三日の経済財政諮問会議に内閣府が提出した資料でございます。私が勝手に作ったものではなくて、内閣府が作った資料で、これによりますと、一九九四年から二〇一九年の二十五年間で、いかに日本の世帯が貧しくなったかということですね。特に中央値で、所得再配分後ですけれども、五百九万円から三百七十四万円、これだけ減っている。分厚かったはずの中間層がぐっと下の方に押し下げられてしまっているような状況がはっきり分かるグラフでございます。
 この実質賃金が上がらないことの話として、よく、労働生産性を上げる必要があるんだ、労働生産性が上がれば実質賃金が上がるんだというんですけれども、この二十年間を見ますと、むしろ、労働生産性は上がっても実質賃金は全然上がらない、むしろ下がっているかもしれない、逆の相関があるんじゃないのかということで、話が全然食い違ってしまっております。
 じゃ、日本の会社がもうかれば、利益が上がればその分給料も上がるんじゃないのか、こういう話もあるわけなんですが、実態はどうかというふうに見ますと、この二十五年間で企業の利益は、全体としては三倍に増えています。ところが、従業員の給料を見ますと下がっています。三%ぐらい下がっちゃっている。
 じゃ、企業のもうかったお金は一体どこに行ったのかというと、配当は七倍以上増えている、内部留保も三倍以上増えている、役員の給料は四〇%ぐらい増えているということで、現場で働いている人のところには全く還元されていないという状況があります。
 何でこんなことになってしまったのかということについて、予算委員会でも黒田総裁に質問させていただきました。黒田総裁は物価が上がれば賃金も上がると言っていたけれども、そうなっていないじゃないですか、何でですかという質問をさせていただきましたが、ちゃんとお答えにならなかったので、改めて質問させていただきます。
 黒田総裁の十年間、トータルで実質賃金はマイナスです。私はこれは失敗だというふうに思いますが、黒田総裁御自身は、この十年間の結果についてどう評価されていますか。
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黒田東彦#29
○黒田参考人 まず、過去十年間の金融緩和政策が賃金を十分引き上げることができなかったというのは、そのとおりであります。
 そう申し上げた上で、この十年間の金融緩和の下で雇用が四百万人以上も増加した、それからデフレでない状況にはなった、そして経済成長も一%程度ですけれども復活したというような意味では、一定の効果があったと思いますが、御指摘のとおり、賃金が十分上がっていなかったということはそのとおりだと思います。
 なぜこうなったかということにつきましては、過去、物価や賃金の上昇率が高まりにくかった背景としては、やはり、長年にわたるデフレの経験から、物価や賃金が上がらないことを前提とした考え方や慣行が根強く残っているということが影響したと思っております。
 もちろん、この間、弾力的な労働供給、先ほど申し上げたように、四百万を超える雇用が増加したわけですけれども、これは、結果として賃金の伸びを弱める方向に作用したかもしれませんが、雇用者数が大幅に増加したことで雇用者報酬は増加をしております。
 金融政策は、あくまでも、総需要に働きかけるマクロ経済政策でありまして、物価や賃金に影響を与えることは可能であると思いますけれども、何といっても、物価や賃金が上昇するためには、経済活動全体が回復して需給ギャップが減少し、さらにプラスになる、そして労働需給がタイトになるということがあって、その下で賃金、物価が上昇していくということだと思います。
 足下、コロナ禍からの回復過程にありまして、需給ギャップもほぼ解消しつつあります。労働市場は極めてタイトになっております。先行き、経済活動全体が回復していく下で、労使間の賃金交渉において、労働需給の引き締まりや物価上昇率の高まりを反映して、賃金上昇率も高まっていくのではないかというふうに見ておりますが、今後とも、賃金、物価の動向については十分注視してまいりたいと思っております。
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