土居丈朗の発言 (財務金融委員会)
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○土居参考人 皆さん、おはようございます。
ただいま御紹介いただきました慶應義塾大学の土居でございます。
お手元に、財源確保法案に関する私見と題しました横長の資料を用意させていただいておりますので、それに沿いましてお話をさせていただきたいと存じます。
本法案に対しての私の評価ということで、二ページ目に記しておりますけれども、防衛力強化のための経費の増額に必要な財源を先送りすることなく事前に確保して明示しているという点で、この法案を私は高く評価しております。
本法案におきまして、決算剰余金を用いるということになっておりますけれども、この決算剰余金は、その二分の一を下回らない金額を公債、借入金の償還財源に充当するということが従前決められておりまして、それを踏まえた上で防衛力強化のための財源に活用するということとしているというのが本法案であるというふうに承知しております。その点で、この措置は適当であるというふうに思います。
さらには、外国為替資金特別会計からの繰入金についても措置が法案によってなされておりますけれども、現時点において確実に発生すると見込まれる金額が計上されていて、それに限っているという点でも、この法案のたてつけというのは適当であるというふうに考えております。
三ページ目に移りまして、本法案に基づいて確保される税外収入については、今年度だけでなく、年度を越えて、令和六年度以降にも防衛力整備のための支出に充てていくということが見込まれているということであります。したがいまして、何らかの形で年度を越えて合法的に資金を回していくということが必要になってくると思われます。
通常ならば、特別会計を設置するということも考えられなくはないとは思います。ただ、防衛省は、そもそも、東日本大震災復興特別会計を除きまして、防衛省が所管している特別会計というのは現存しておりません。
また、特別会計に対する見方というのは、世の中では必ずしも芳しくない面もあって、欠点ということで申しますと、そこで囲われた特別会計の資金が既得権益の温存につながりやすいというような批判も世の中にはあります。そういう意味では、軽々しく特別会計を設けるというのは、私は、その点については慎重になるべきだというふうに考えております。
その点では、今回のこの法案におきまして、防衛力強化資金というものを一般会計に設置するということになっていて、それを当分の間設置するということになっておりますから、必要に応じて、年度を越えて資金を回していくために、一般会計において防衛力強化資金というものを設けて、そこで経理していくということは、私は適当であろうというふうに考えております。特別会計を設けるよりも、一般会計で防衛力強化資金という形で資金を管理するということの方が望ましいというふうに思っております。
あと残された課題ということで申しますと、この法案の域を超えている面もございますが、防衛力強化のための財源というのは歳出改革によっても捻出するということが今後見込まれているというように承知しておりますので、そういう意味では、今後、財源確保のための歳出改革というものにも一層注力していただきたいというふうに望んでおります。
四ページに移りまして、この法案を取り巻く環境ということで申しますと、そもそも、御承知のように、防衛三文書が昨年十二月に閣議決定され、その中の防衛力整備計画において四十三兆円の防衛力強化のための歳出規模が示された、経費の規模が示されたというように承知しております。
もちろん、防衛力整備計画自体の妥当性というのは、私は軍事面での専門家ではありませんが、少なくとも、これまでの国会での審議それから報道等で私なりに見聞きをしておる範囲におきましては、一方的な現状変更が困難であるというように諸外国から認識されるような程度の抑止力を備えるというための防衛力整備であるというやに聞いております。そういう意味では、私としてもこれを支持したいというふうに思います。
もちろん、外交があって、その後での防衛力である、国民の生命と財産を守るための防衛力であるというふうに思います。そういう意味では、もちろん、防衛力も大事なんですけれども、経済、財政、金融の脆弱性をできるだけ払拭するということも我が国にとっては大事ではないかというふうに思います。
軍事的な緊張が高まった場合に想定される現象ということで、私も委員をさせていただいております、財務大臣の諮問機関の財政制度等審議会におきまして、昨年十一月に取りまとめ、財務大臣に手交した建議には、この四ページにありますような資料が掲げられております。
軍事的な緊張が高まった際に想定される現象の例として、外貨が不足するかもしれないとか、日系企業、金融機関の収益が低下するとか資金繰りが困難になるというような面があるかもしれないとか、供給制約による物価上昇、それから国内金融資産からの逃避というものが起こるかもしれないという、もちろん、杞憂であってほしいし、こういうことにならないように未然に防いでいただきたいというふうには思うわけでありますけれども、そうなったときにも、きちんと、金融、経済、そして財政面でもしっかりと我が国を支えられるように、平時から備えていく必要があるというふうに考えております。
その点に鑑みますと、五ページになりますけれども、我が国の公債依存度、これが、二〇二〇年のコロナ禍最初の年には、決算ベースで七三・五%、つまり、約四分の三が歳出の財源として国債発行に依存せざるを得なかったというような状況から、徐々に公債依存度が低下して、令和五年度予算、当初予算の段階では、公債依存度は三一・一%と、コロナ前の水準に戻ってきているという意味では、平時からの備えとして、できるだけ公債に依存することなく財源を確保して、財政余力をきちんと確保していくということが不可欠なのではないかというふうに考えております。
私からは以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)