大空幸星の発言 (内閣委員会)

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○大空参考人 よろしくお願いいたします。NPO法人あなたのいばしょ理事長の大空です。
 本日は、このように意見を述べさせていただく機会を賜りましたこと、委員長を始め皆様に心から感謝申し上げます。
 早速、まず私たちが何をやっているかということですけれども、この青いスライド、ここの内容に沿って簡単にお話をさせていただきたいと思います。順番は若干前後するかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
 まず、私たちは、二十四時間いつでも、誰でも、無料で、そして匿名で利用できるチャット相談の窓口を運営しています。いわゆるいのちの電話のようなもののチャット、SNS版というふうに思っていただけると分かりやすいかなと思います。様々な悩みを抱えている、特に若年層からの相談が寄せられています。
 相談窓口を開設したのは、二〇二〇年の三月、まさにコロナの一番最初の時期でした。自殺、いじめ、虐待、貧困、本当にありとあらゆる問題を抱えている人が、声も出さなくていい、顔も明かさなくていい、名前も出さなくていい、完全に匿名の形で運営をしています。
 今、全国規模で相談に応じている窓口の中で、二十四時間やっているというところは大変少ないんですね。それは、人材が不足しているとか、様々な理由があるんですが。
 私たち、世界約三十か国に七百名のボランティアの相談員を抱えています。一番相談が増えるのは、日本時間の夜の十時から朝方にかけて。この時間帯、まさに時差を使って、海外に住んでいる日本人の方若しくは日本語話者の方、そうした方々が相談員として活動をしてくださっている。これによって私たちは二十四時間の対応ができている。そういう窓口になります。
 私たちは、ある程度自動化していく、すなわちAIを使っていくということについて、積極的に取り組んでいます。
 電話相談であれば、応答までの待ち時間、これはもうプルルルとずっと待っているだけしかその時間がないわけですけれども、チャットは、まさに、まず書き込んでもらうんですね。その方が何に悩んでいるかというのを、AIのチャットボットと会話をしてもらうことによって書き込んでもらう。そして、その書き込んだ内容を、自然言語処理なんかをやっていますので、自動的にどんどんどんどん読み込ませて、リスクの判定というのをやっているわけです。すなわち、リスクの高い人から優先的に対応をしていく。このリスクの高いというのは、例えば橋の上に立っているとか、若しくはいじめ、虐待やDVを受けていて命の危険があるような相談、こうしたものを優先的に対応していくという仕組みを取っています。
 東京と大阪に二つの拠点がありまして、有給の職員がこれらのリスクの高い相談に対応をしている。また、支援者支援ということが極めて重要になるわけですけれども、先ほど申し上げたような約七百名の相談員に対しての支援というのも、オンラインでこの有給の職員が対応をしている。そういう構造になっています。
 私たちが何をやっているかというと、これを一言で申し上げると、マイナスからゼロへということなんですね。孤独や孤立といったときに、それを広く捉えるのではなくて、まずは、重症化をしている人、そうしたところから手を差し伸べていくというような考え方です。死にたい、つらい、しんどい、苦しい、様々な悩みがあるわけですけれども、まず、そうしたいわゆるマイナスの状態にある方をゼロの状態まで持っていくのが私たちの役割です。
 孤独というと非常に幅広い概念があるわけですけれども、これは極めて主観的なものだというふうに言われています。
 我々は望まない孤独という言葉を使ってきましたけれども、まさに望まない孤独の重症化は何で測るかというと、持続期間で測っているわけです。ずっと孤独を感じて苦しい方、こうした方にまず手を差し伸べて、完全に孤独が消え去って人生ハッピーな状態まで持っていくということではなくて、その前の段階のゼロ、すなわち、ちょっと今日は死ぬのはやめておきますとか、あなたが話を聞いてくれたから明日もまた生きてみますよ、このゼロの状態まで持っていくというのが、私たちのような広域的なセーフティーネットの役割です。
 問題を抱えているマイナスの状態の方に、いきなり、市役所に行ってください、こういう制度がありますと言っても、それを使う気力がないわけですね。まずは、ゼロ、スタートラインに立っていただく、そこから先は地域での支援というふうに、グラデーションで分けて孤独、孤立は見ていかなくてはいけないということになります。
 さらに申し上げたいのは、スティグマの問題なんですね。
 これまでこの国は、非常に莫大な予算をかけて、自殺対策みたいなことには取り組んできたわけです。年間三万人を超えていた自殺者数が今は二万人台、若干コロナ禍で増えましたけれども、二万人台まで減少した、これは極めて大きな成果だったと思いますけれども、この全ての年代で自殺者数が減少している中にあって、若年層の自殺だけは減らなかった、増えてしまったわけですね。昨年は過去最多を記録したんです。これは、出生数が大幅に減少している中での総数が過去最多ということですから、極めて異常事態なわけですけれども、なぜこれが起きるのか。
 当然、国も何もやっていないわけではないと思うんですね。例えば、スクールカウンセラー、この二十数年で二百倍に数が増えました。平成七年は百五十四か所しかなかったわけです。もう今は三万か所以上に配置をされているんです。
 ただ、全国で百五十四か所しかスクールカウンセラーが設置されていなかったときの子供の自殺は百三十九人です。去年は五百人を超えました。スクールカウンセラーの数を二百倍に増やしたのに、自殺というのは約四倍に増えている、子供の自殺が増えている。これをどう捉えるかということなんですけれども、もちろん、スクールカウンセラーをつくったから食い止められているという考え方もあると思いますけれども、ただ、一方で、受皿を増やすだけでは駄目だということも言えるんだと思うんですね。
 このスティグマ、すなわち、頼ることが恥ずかしいとか、相談することは負けだといったことは、子供たちに限らず、ありとあらゆる世代に言えることですね。特に中高年の男性、これは自殺者数のメインの層になりますけれども、この層というのは、会社の中では中間管理職的な役割にあって、なかなか部下にも悩みを吐露できない、相談するということをやると自分が弱い人間だとみなされる、こういうスティグマが根強くあるわけです。ですから、幾ら新しい施策を打ったとしても、なかなかそれが届かない、それが利用されていないという側面があります。ですから、量的な支援だけではなくて、いわゆる質的な支援ということを増やす必要があります。
 この法律でも、孤独・孤立対策そのものに対する国民の理解増進を図っていくということについてはうたわれているわけでありますけれども、より一歩踏み込んで、相談をすることに対してそもそも忌避感を感じている人がいる、そこに対して国としてどうアプローチしていくか、こういう考え方も必要なんだろうと思います。
 さらに、この孤独・孤立対策、私たちの相談窓口が大変逼迫をしている中で、ただ単に、まさに相談員を増やすだけとか、数を増やすだけでは駄目だ、源流にアプローチしなければいけないということで、二〇二〇年から、孤独対策というものを始めてくれということで、まさにこの国会の中の同志の皆さんと一緒に活動をさせていただいたところです。
 そして、今、担当大臣もありますし、こうして法案の審議をしていただいているわけですけれども、とにかく重要なのは予防的な考え方です。
 問題を抱えて重症化して、そして、まさにそういう問題を抱えた人を支援する、そういう受皿というのは、ほかの国に比べても手厚い部分は日本はあると思うんですね。それが利用されているかは別として、玉としては持っているわけです。ただ、それが利用されていない。
 そして、孤独の場合は、今でも、何で国が孤独を感じている人を救わなきゃいけないんだ、ほっといてくれという人がたくさんいるわけです。これは、望まない孤独や孤立が問題なわけです。自ら望まない孤独、すなわち、頼りたくても頼れないとか、話したくても話せない、そういう状況にある方というのをいかに救っていく、手を差し伸べていくのか。
 そして、孤独というのが消え去ることはありません。孤独というのは、非常に、人間の自然の感情ですから、誰もが人生のどこかのタイミングで孤独を感じます。ですから、孤独を感じさせないとかということではなくて、重症化させない、すなわち長く孤独を感じさせないような取り組み方、ちょっと孤独だな、誰ともつながりがないなと思ったときに緩くつながりにアクセスできるような状況をつくる、これが孤独・孤立対策の恐らく本質なんだろうと思うんですね。
 ですから、孤独や孤立を感じている人を今どう救おうかということだけではなくて、予防の考え方、源流の考え方ということをしっかり議論をしていかなくてはいけないんだろうと思います。
 ただ一方で、これから問題になってくるのは、いかにオンラインからオフラインをつないでいくかというような考え方なんです。
 例えば、今回のこの法案でも、孤独・孤立対策の協議会の設置というのがうたわれていると思いますけれども、非常に懸念をしているのは、この協議会というのが単体で支援を行うことにならないかということなんです。
 私たちのようないわゆる広域的な相談窓口というのが、特にスティグマを抱えている層、また若年層にとっては、最も相談しやすい場所の一つなわけです。どこかの市がやっている、若しくは学校がやっている相談窓口、スクールカウンセラーには、当然、その自分たちが生きているコミュニティーの中で問題を抱えていますから、相談できない。全く見ず知らずの人に相談をする、これが最初のステップであるべきなんですね。
 それを置いたときに、例えばこの協議会で私たちのような広域的な相談窓口が入ることができるのか、そして連携ができるのか。いわゆる広域とか地域を行ったり来たりするという支援の在り方が求められているわけですから、そうした構造というのをまずしっかりつくっていくということが必要なんだろうと思います。
 そして、今、オンラインからオフラインへと申し上げましたが、私たちのところに毎日千から千五百人の子供たち、若者たちから死にたいですと相談が来るわけですけれども、私たちが地域にその人たちを紹介する場所がないわけです。
 学校の問題で悩みを抱えているのにスクールカウンセラーさんに相談することはできませんし、スクールカウンセラーさんにつなごうとしても、週に一回しか学校に来ていないようでは、とてもじゃないけれども私たちは学校にはつなげない。家庭にももちろんつなげない。今、地域の中で、家庭でもない、学校でもない、第三者的に、若年層の孤独や孤立にまさに緩いつながりの中で手を差し伸べていける存在がいないんですね。
 ただ、ポテンシャルはあると思います。一つは、やはり民生委員です。百年続いている日本型のすばらしい仕組みなわけですけれども、今、非常に高齢化しています。ほとんど九割近くが六十歳以上。なかなか、若い人たち、子供たちに手を差し伸べるということができていないという現状があるわけです。子供、若者民生委員のような、サポーターのような仕組みをまずはつくって、まずは私たちのような広域的な相談窓口がチャットで相談に応じ、今度はその子供、若者サポーターが地域に住んでいる同じ若年層世代にまずはチャットで応じて、そしてその次に実際の既存のリアルな支援につなげていくというような、まさにこれもグラデーションをつくっていかなくてはいけないと思います。
 子供には信頼できる大人が必要だというふうに言われますけれども、例えば、今回の孤独、孤立の政府の実態調査、他者にサポートをしようと思うと答えた、六割を超えたのは十代、二十代だけなんですね。十代、二十代だけが他者にサポートをしたいと思うというふうに答えたわけです。七割近い数字なんですね。若年層同士が支え合う仕組みということも検討していく必要があるんだろうと思います。
 最後に、イギリスでは、ジョー・コックスという下院議員が、残念ながら暗殺をされましたけれども、この孤独対策を始めたんです。ちょうど三月に私はイギリスを訪れまして、その妹さんのキム・レッドビーターという、これも今まさにその選挙区を継いで下院議員をやっているんですけれども、彼女と話をしました。
 このジョー・コックスの遺志を継いで私たちも日本の中で孤独対策を提言させていただいたわけですけれども、そのキム・レッドビーター下院議員も、日本がこうして孤独対策のような法律を作っているということを大変すばらしいと。イギリスは、実は法律はもちろんないわけですね。今、大臣が少し復活しましたけれども、政府のイニシアチブとしては、日本が恐らく世界で最もこの孤独や孤立の問題で進んでいると思います。
 さらに、グローバル・イニシアチブ・オン・ロンリネス・アンド・コネクションという国際団体にも我々加盟していますけれども、非常に高い期待感がこの日本の孤独・孤立対策に寄せられているところです。
 WHOは今年、社会的つながりに関する委員会を設立する予定なんですけれども、これもまさに、日本がこうして孤独・孤立対策を議論していることを踏まえて、それをいかに各国にも同じようにイニシアチブを取ってもらうかということで議論がされていく予定です。
 まさに世界が今注目している孤独・孤立対策ですので、この本質的な議論というのを是非皆さんでしていただけると大変ありがたいかなと思います。
 以上になります。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 大空幸星

speaker_id: 27577

日付: 2023-04-26

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会