篠原孝の発言 (農林水産委員会)

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○篠原(孝)委員 大臣、あと二年じゃなくて、私も実は勘違いしていたんです。
 二〇一八年、五年もたっているんだから、一斉更新というんです、もう行われていたと思っていたんですが、そうじゃなくて、いろいろ大改革なので、二年後施行で、二〇二〇年からなんです。今年の九月に初めてこの法律でもって漁業権の一斉更新が行われるということで、九月以降だとごちゃごちゃしているんですけれども、ただ、漁業者はみんな分かりませんからね。架空の上で、机の上だけで、文字だけで、話だけ聞いて、話だけ聞いて、ペーパーだけ読んで分かる人というのは世の中にそんなにいないんです、本当は。現実になって分かるので。その前に僕は大問題になるんじゃないかと思うんです。
 本当に、大臣は、比べて、さっき言いましたのをお分かりいただけると思います。ただでさえ将来に不安を抱えている。それを、今年の九月ですよ、ここで養殖を続けられるのかどうか。適正かつ有効に、それは知事だと。知事に大権限が行き過ぎているんです。
 今、海区漁業調整委員会の話をされました。これもワンパターンで、農業委員会の改革が行われて、選挙でやらずに市町村長が指名できるように任命制になりましたね。そこは分かっていますと、公明正大な市町村長だったら、非常に客観的にきちんと立派な人を選ぶし、現実的には、今までどおり、集落やその地区のところの、例えば小学校区域ごとに一人選ぶというような感じでやっていて、それの推薦を基に選ぶんでしょうけれども、いかがわしいというか、変な市町村長になると、ここを何か、農地を転用していろいろなものを作らせた方がいいと思ったら、それに反対するような人は農業委員には絶対任命せずに、自分の思いどおりになるような人を選ぶ。
 海区漁業調整委員会も同じになって、例えば、村井宮城県知事は、同じようなものを先に、先走ってやられたですよね。産業界にも漁業をやらせるんだと。僕は、もう今現実にやっているので、やるんだったらやっていいんですよ。だけれども、後で触れますけれども、駄目なんですね。
 どうして駄目かというのを、次の表を見ていただきたいんです、五ページ。
 これは、私が、皆さんに理解していただくために、ない知恵を絞ってちょっと比較したんです。土地とか農地、林地、海、海岸。これをよく見ていただきたいんです。何か大学の講義みたいになって済みませんね。役に立つと思いますから。
 農地は個人所有。だけれども、これも、民のことをやっているので余り触れませんけれども、ちょっと目をつぶって考えていただくと、江戸時代は、土地は島津の殿様の、隼人町の土地も、別に農地をお持ちだろうと思いますけれども、野村家の土地じゃないんです、お殿様の土地だから。だから五公五民で、半分はお殿様にやり、半分は自分たちだ、そういうふうになっていたんです。それは世界も同じなんです、結局。今耕してもらっているだけなんです。
 そして、林地はもう同じで、ちょっとずつ違うんです。
 そして、海です。海は所有なんかなしです。そして、慣行的な漁業の、漁業法にして明治以降やって、そして、うまく法律にしてきたのが日本の漁業法だった。だから、七十年間改正されなかったんです。本当に知恵ある人が作ったと思いますよ。久宗高さんという立派な人が書いて、そして解説書もB5判のぼろぼろになったのが農林水産省の図書館にありました。私は熟読しました。そしてTAC法というのを作ったわけですね。
 僕は、アメリカに留学させていただいたときに、ワシントン大学の海洋総合研究所というところに二年いたんです。そこで変な名前の授業があったんです。コースタルゾーン・マネジメント、沿岸海域管理、それが授業の科目としてあるんです。僕は、そんなのは、何をやるのか分からないし、取らなかったんです。そうしたら、その教授が僕のところに来て、お前はこの授業に出て俺の質問に答えたら単位をやるから登録しろと言うんです。
 ちょっとつまらない話をします。そうしたら、私のスチューデントアドバイザーというのが僕を、外国人留学生だけじゃなくてみんなつくはずなんですが、そうしたら、端的に言われたのは、お前の英語力ではこんなに科目を取ったら取れるわけがないからやめておけと言うんですよ。だけれども、先生は、テストはあるんですよね、テストはやるんですけれども、日本の沿岸がどのように利用されているかというのを質問する、それについて答えればいいと。あっちは、質問しては答える、そういう授業、大学院でしたから。それで行ったんです。
 そうして、いろいろ目からうろこなんですけれども、その人は何を言ったかというと、日本の漁業界ほど賢い漁業界はないんだと。なぜかというと、世界の海は乱獲に陥っている、それに対して、日本の海では、明けの日、締めの日、ここからしかやっちゃいけないと。小魚や定着性の魚なんかをやっているときは捕っちゃいけないと自分たちで決めてやっている。資源を枯渇させない。そして、コモンズ、共有です。コモンズの悲劇、トラジディー・オブ・コモンズというのがあって、みんなのものだというと、みんな先走って競争してやってしまうから資源が枯渇する、だからそれは駄目なんだと。競争原理を働かせつつ、あとは規制でと言っているんだけれども、日本はそういうことをせずに、みんな仲よく、相談してと。それが林業でも、総有林ですね、みんなが乱伐はしない、非常に賢いと。
 あれは世界に優れた制度で、これは世界の、そのときにも持続的と使っていたんです。そのとき初めて僕は知りました、マキシマム・サステーナブル・イールド、最大持続生産量。これを農業でいうと、今年だけではなくて来年のことも考えて土づくりをしていくと。そんなに密植しないで、来年のことも考えて、三年も四年もちゃんと同じ農業ができるようにと。漁業は親の魚を捕り尽くさない、そのことなんです。それを一番賢くやっているのが日本の沿岸漁業界だと。この考え方を、世界全体、自然環境の保全、資源保全に使うんだと言われている。分かりますか。それを踏みにじったのが二〇一八年の改正なんです。
 ついでに、海岸。海岸の所有というのも、これも国によって違うんです。日本は海岸は絶対所有されないんです。欧米は海岸を所有されるんです。分かりますよね、ヌーディストキャンプもあります。フランスのニースの海岸はでかいホテルの客しか入れません。アメリカも、ビル・ゲイツがシアトルに住んでいるんです。湖岸ですけれども、ビル・ゲイツの大邸宅があって、その前のビーチはビル・ゲイツしか使えないんです。
 ところが、日本は、下にわざわざ天皇のことをちょっと書きましたけれども、天皇は大権力者だと。これはヴェスパーという沿岸海域管理の教授に教わったんですが、天皇陛下は日本一の権力者だと。知っているんです、牧場も持っていた、帝室林野もあった、何でも持っていると。しかし、昭和天皇のことを言っているんです、昭和天皇は、海洋生物学者であるにもかかわらず、葉山の御用邸の前は天皇専属の海岸じゃないんだ、これに日本人の知恵が隠されていると。海岸とか海とか林とか、それは全部みんなのものなんだ、それを分かち合って生きていくんだ、その知恵を日本人は持っているんだという。
 そして、そのついでに言いますと、そうやって天皇陛下にも使わせない海岸を、日本はとんでもない使い方をしたんだと。東京湾、大阪湾、伊勢湾、埋め立てて、みんなただ同然で輸出型企業に渡している、だから日本は高度経済成長ができたんだと。海外から原材料を輸入して、それを加工して輸出している。長野県に鉄工場もないです、重化学工業もないです、輸送コストでパンクしちゃいますから。海岸横づけがいいんです。天皇にも渡さなかった海岸を大企業に渡した、これが日本の高度経済成長ができた一番の原因だ、こういうことを言われ、そしてそういう話を、どうだどうだと僕に聞いてくるわけです。それで、めでたく単位をもらったか、もらわなかったか、ちょっと忘れちゃったんですけれども、授業は全部出ました。関心がありましたから出たんですね。
 つまり、何を言いたいかというと、その下、今度は。
 イギリスは、さっき言いました、クラウンランドで、だから、日本のような遊休農地というのは、イギリスもそうです、ヨーロッパでは生まれないんです。どうしてかというと、耕さなかったら、みんなのものだから、耕す者に自動的に行くんです。個人所有みたいですが、本当の所有じゃなくて、耕作権、使用貸借権とかそういうものなんです。だから、みんなのもの。
 海。これから太陽光発電とか洋上風力発電があるんですけれども、クラウンエステートというんです。全部王様の海じゃないんですからね。そして、漁業界では、ここに書いた、海は、コモン・ヘリテージ・オブ・マンカインド、人類共有の財産、公海ですね。
 今はどうなっているか。SDGsの時代です。人間のためだけではない、地球生命全体のものなんだ、だから持続的に使わなくちゃいけないというふうになっているんです。こういう状況なんです。
 だから、世界はどうなっているかというと、競争競争で海を利用する、漁業資源を利用するなんてなっていないんですよ。それを、副大臣にお伺いしたいんですけれども、免許で、地元の漁協だとか七人以上が参加している法人とかいうのに優先的に漁業権が与えられることになっていたんです。ややこしいので、共同漁業権とか区画漁業権とか、特殊な、特別な区画漁業権というのがあるんですが、まあ、漁業権と言っておきますが、その法定優先順位がなくなっちゃっているんですね。これは一体どうなっているんだ。
 この根本のところがなくなって、誰でもいいよと。養父市の件でいえば、誰でも農業をやる人、いいですか、分かりますか。適切かつ有効に農地を利用する人なら誰でもと。だから、遊休農地になっていたら、適切かつ有効に利用していないので、違う人にすぐ農地を渡すんだと。あと三年たったら定年になるから帰ると言っているのも許されずに、農地が誰かのところに行っちゃうんです。そういう状況が漁業に生まれているということなんです。
 大問題だと思うんですけれども、地元優先の考え方は、二〇一八年の改正漁業法に少しは残っているんでしょうか。

発言情報

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発言者: 篠原孝

speaker_id: 13215

日付: 2023-03-29

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会