西村康稔の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(西村康稔君) 山岡議員からの御質問にお答えいたします。
 公正な移行と失業なき労働移動についてお尋ねがありました。
 議員御指摘の公正な移行は、GX実行会議における日本労働組合総連合会の芳野構成員の御意見も踏まえ、働く方々の立場を重視し、本年二月に閣議決定したGX実現に向けた基本方針にも明記しております。
 政府としては、この方針に沿って、多排出産業などでのGXに資する革新的技術開発などの投資を促進し、雇用確保の観点をしっかり踏まえるとともに、リスキリング等の人材育成の取組とグリーン分野を含む成長分野への円滑な労働移動を同時に進めます。
 GX推進法案で掲げている脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の実現には、排出削減と経済成長を両立させ、雇用の創出、所得の拡大につなげ、成長と分配の好循環を生み出すことが不可欠であり、公正な移行や雇用の確保の重要性を重く受け止めた規定としております。
 また、本法案成立後に法案に基づき策定するGX推進戦略についても、この考え方を反映したものとします。
 カーボンニュートラルの実現と、競争力の確保と雇用への影響についてお尋ねがありました。
 今年二月に閣議決定したGX実現に向けた基本方針では、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長、産業競争力強化を同時に実現するため、GXを進めることが重要であるとしております。
 具体的には、御指摘のSプラススリーEの原則を大前提として、産業競争力の確保にとっても不可欠な安定的で安価なエネルギー供給を確保するため、再エネの最大限導入、安全性が確保された原子力の活用を進めるとともに、徹底した省エネを進めてまいります。
 また、カーボンプライシングは、代替技術の有無や国際競争力への影響等を踏まえて導入しなければ、国外への生産移転や雇用の流出が生じる可能性もあります。このため、成長志向型カーボンプライシング構想は、技術開発も含め、企業が先行してGXに取り組む期間を設けた上で、当初低い負担から徐々に引き上げる形で導入してまいります。
 脱炭素への移行のためのコストについてお尋ねがありました。
 成長志向型カーボンプライシング構想の負担については、企業がGXに取り組む期間を設けた上で、当初低い負担から徐々に引き上げていく形で、具体的には、EUと同様に、既に商用化された代替技術を有する発電事業者が一義的に負担する特定事業者負担金と、化石燃料の消費に対し値づけする化石燃料賦課金を組み合わせて実施いたします。
 また、その設計においては、広くCO2排出に対して適用される点で公平性を考慮したものとなっており、負担水準の算定方法を法定し、制度開始前に示すことで透明性も確保しております。
 今後の詳細な制度設計や運営においても、御指摘の負担の公平性、透明性の観点などを十分に勘案して取り組んでまいります。
 脱炭素における国際的なルール作りについてお尋ねがありました。
 政府としては、脱炭素の取組を適切に評価し推進していくため、国際的な金融機関が参照する基準を含めて、GX関連の投融資を円滑に進めるための環境整備を始めとしたルール作りを進めております。
 具体的には、鉄鋼における電炉の活用や将来的な水素還元製鉄の導入などの、多排出産業が着実に炭素中立に向かうトランジションの取組について、国際資本市場協会等と連携し、基本指針や分野別ロードマップの策定をしております。また、国際的なサステーナビリティー情報開示基準について国際財務報告基準財団の議長と意見交換を行うなど、グリーンスチール、グリーン鉄などの市場形成に向けた国際評価手法の確立を推進してまいります。
 アジアを始めとする諸外国に対する脱炭素化への支援についてお尋ねがありました。
 各国では、それぞれの実情に応じた脱炭素化に向けた取組が進められており、我が国としては、世界規模でのGXの実現に貢献するべく、クリーン市場の形成やイノベーション協力を主導してまいります。
 アジアの脱炭素化に向け、先日、カーボンニュートラルに挑むアジアの各国とともに、アジア・ゼロエミッション共同体、AZECという枠組みを立ち上げました。このAZEC構想の下、標準作りといった政策協調、カーボンニュートラル達成に向けた定量分析などを含むロードマップの策定や脱炭素技術の開発、実証、実装等に向けた支援を行い、これら取組をG7を含む国際社会に発信しながら、アジアのGX実現につなげてまいります。
 GXに関する北海道への期待についてお尋ねがありました。
 御指摘の北海道の事例は、水資源、土地の拡張性、そして人材等の利点に加え、北海道は、大きな可能性を持つ再生可能エネルギーの導入を他地域に先駆けて行い、クリーンなエネルギーを安定的に供給できるようにしたことも一つの材料として工場立地を実現したと承知をしております。脱炭素化と経済成長を同時に進めていくというGXの地方への広がりの観点も重要になっている中で、地域の特色を生かして脱炭素化により工場立地を呼び込んだ事例であり、他の地域のよいモデルケースになると考えております。
 このような事例を日本各地で増やし、全国において経済、社会、産業の前向きな大変革を実現したいと考えております。
 次世代半導体に関する人材育成と半導体の国内生産体制構築の意義についてお尋ねがありました。
 次世代半導体は、AIや自動運転などの次世代のデジタル技術を支えるキーテクノロジーであり、日米欧が連携して、二〇二〇年代後半の設計、製造基盤の確立に向けて取り組んでいるところです。
 御指摘のとおり、北海道には理系人材を輩出する大学や高専などが立地しており、ラピダスの拠点選定に当たっては、それらが要因の一つになったと考えられます。
 次世代半導体プロジェクトの実現には、それを支える人材が重要であります。例えば、九州を始め各地で産学官連携による半導体の人材育成コンソーシアムが組成され、取組が強化されております。北海道においても、九州と同様の取組を進めてまいりたいと考えております。
 その上で、次世代半導体に限らず半導体は、あらゆる分野に使われる、いわば産業の脳細胞ともいうべきものであり、委員の御指摘のとおり、経済安全保障上、重要な物資の一つであります。
 また、周辺地域への産業集積等の経済波及効果も期待されており、例えば、熊本でのJASM新工場建設に伴い、地域に十年間で四兆円を超える経済効果と七千人を超える雇用を生むとの試算もあります。半導体製造基盤の強化が、投資、イノベーション、所得向上の好循環の実現につながってきております。
 こうした観点を踏まえ、経済産業省としては、令和四年度補正予算で半導体関連予算として約一・三兆円を措置しており、これを活用し、我が国半導体産業の復活に向けて、大胆かつ迅速に取組を進めてまいります。
 GX経済移行債の支援規模についてお尋ねがありました。
 欧米を中心に、脱炭素化を成長の機会と捉え、いかに先行して利益を得るかという、新技術、新製品の実装と市場獲得の競争が始まっております。
 こうした中、まずは十年程度の先行投資支援で構造転換を促し、いち早く新市場獲得を実現することが重要であり、今後十年間で約百五十兆円超の官民一体でのGX投資を実現していくことといたしました。
 この百五十兆円超の官民投資を喚起するために、新たな市場、需要の創出に効果的につながるよう、規制・制度的措置と一体的に二十兆円規模の大胆な先行投資支援を講じていくこと、カーボンプライシングによるGX投資先行インセンティブを導入すること、国内外からの民間資金の供給拡大に向け、官民協調でのいわゆるブレンデッドファイナンスなどの活用を推進することという三つの投資促進策を一体的に講じてまいります。
 また、二十兆円という支援の規模は、必要な排出削減規模や経済規模などの観点からも、現時点での他の先進国の支援規模と遜色ないものと認識しており、不十分とは考えておりません。
 鉄鋼業への支援についてお尋ねがありました。
 二十万人の雇用を抱える鉄鋼業は、我が国経済を支える屋台骨である一方、我が国産業部門の約四割のCO2を排出するセクターであります。鉄鋼業などのCO2多排出産業において世界に先駆けて技術革新に挑戦することで、今後創出されるグリーン市場の獲得につなげていくことがGX実現に当たっての最大の課題の一つと考えております。
 このため、グリーンイノベーション基金などを活用し、水素還元製鉄などの革新的な技術の開発を支援しており、今後も、国際競争を踏まえ、支援の拡充を検討してまいります。
 こうした支援を含め、今後、成長志向型カーボンプライシング構想の下、政府として今後十年間で二十兆円規模の先行投資支援を行う方針であり、国際競争力強化、経済成長と排出削減のいずれにも貢献する取組に対しては、鉄鋼業界も含め、大胆な支援を行ってまいります。
 GX推進機構についてお尋ねがありました。
 GX推進機構は、主として、化石燃料賦課金や特定事業者負担金の徴収や、排出量取引制度の運営といった、公平性、中立性が求められる業務を担うことになるため、営利を目的とせず、株式会社形態ではない認可法人として設立いたします。
 また、GX推進機構は、長期かつ大規模で、直ちには収益の見込みが立ちにくいGX投資に対する民間金融機関等の融資を引き出す観点で、債務保証を行うことを中心とした金融支援を行います。
 一方、クールジャパン機構は、財政投融資を活用する機関として、長期的な収益性の確保を前提とする株式会社形態で設立され、主に出資を行っており、法人の目的、形態、主な金融手法に関してGX推進機構とは大きく異なっていると考えております。(拍手)
    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

発言情報

speech_id: 121105254X00920230309_012

発言者: 西村康稔

speaker_id: 6755

日付: 2023-03-09

院: 衆議院

会議名: 本会議