井坂信彦の発言 (本会議)
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○井坂信彦君 立憲民主党・無所属の井坂信彦です。
全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
放送法の政治的公平性に関する問題が、岸田政権の信頼性を揺るがす大きな問題となっています。持続可能な社会保障制度を構築する上で、その経済的基盤には経済安全保障の観点が重要なのは言うまでもありません。経済安全保障大臣として社会保障に関わる高市大臣による放送法の解釈変更に関する問題は見過ごせません。法案審議に当たり、まず、この問題について、岸田総理に質問いたします。
高市総務大臣は、二〇一五年五月十二日の参議院総務委員会において、放送法上の政治的公平を番組全体でなく一つの番組で判断できると答弁しました。これは、補充的な説明とするのは詭弁であり、放送法の解釈変更そのものではないでしょうか。
この解釈変更は、安倍総理が、衆議院選直前の二〇一四年十一月十八日に出演した番組で、街頭インタビューの内容に偏りがあると批判したことから始まり、二日後に自民党の萩生田筆頭副幹事長から在京テレビ局に対しお願い文書を発出、礒崎総理補佐官が総務省に働きかけ、高市大臣答弁に至ったものです。いわば安倍総理の負の遺産ともいうべきものではないでしょうか。
岸田総理は、三月六日の参議院予算委員会で、従来の解釈を変えることなく補充的な説明を行ったものであると答弁してしまっています。
総理に伺います。
一つの番組でだけ、国論を二分するような政治課題について、放送事業者が一方の政治的見解を取り上げず、殊更に他の政治的見解のみを取り上げてそれを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合は、現在の岸田政権としては、放送法上、政治的公平性が確保されていないと解釈するのでしょうか。また、二〇一四年十一月以前においても同じ解釈だったのでしょうか。答弁願います。
二〇一五年五月答弁の後も、翌二〇一六年二月八日には、衆議院予算委員会において、高市総務大臣は、一つの番組でも放送法の政治的公平に反する場合には電波停止を命じる可能性がある旨答弁しています。現時点でも同じ解釈でしょうか。今もこの答弁を維持しているのであれば、岸田政権は、NHKや民放に対し、政治的圧力をかけて、自由な放送をさせないようプレッシャーをかけ続けていることになるのではないでしょうか。
その根拠となってしまっている二つの答弁、政治的公平が一つの番組で判断できるとした二〇一五年五月答弁と、一つの番組でも電波停止ができるとした二〇一六年二月答弁を、岸田総理、修正、削除すべきではないでしょうか。今回の公表文書において、意に沿わない番組やコメンテーターを力で封じ込める姿勢が生々しく明らかになりました。安倍総理の十年の負の遺産をここで終わりにするのかどうか、岸田総理、明確にお答えください。
さて、本法案の名称は、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案です。
しかし、今回の法改正は、一言で言えば、社会保障の費用の分担割合を世代間や保険者間で調整しようというものであります。どんどん重くなる負担の分担方法を公平にするだけでは、全員がひとしく苦しくなるだけであります。
政府は、防衛費を一気に二倍にしようとしています。片や、社会保障は、全世代が肩を寄せ合って、ひもじい思いをしている。総理、さすがにこの予算配分はおかしいのではないでしょうか。安全保障も大事ですが、社会保障も大事です。そういう当たり前の価値観で、限られた予算をバランスよく配分すべきではないでしょうか。
社会保障を持続可能にする方法は、大きく二つあります。一つは、少子化対策で人口構造を変えて、社会保険料を主に負担する現役世代の人口割合を増やすこと、もう一つは、予防医療や介護予防で、病気や要介護になる人の割合を減らすことであります。もちろん、ほかにも、大幅な経済成長で社会保険料収入が増え続けたり、イノベーションで医療、介護のコストが激減する可能性はあります。しかし、コントロール可能な政策で社会保障を持続可能にする方法は、少子化対策と予防政策しかないと考えます。総理の見解を伺います。
少子化対策については、総理が公約した子供予算倍増が完全に消えてしまいました。何の二倍かは言えない、数字ありきではない、いつまでに倍増するかも言えない、挙げ句の果てに、子供が増えれば子供予算も増えると。
総理、出生率は過去最低です。もう三月も後半です。いつまでに子供予算を倍増するのか。何の数字と比べて倍増するのか。これらをいつ国民に示すのか。倍増のベースと期限を決める期限をお示しください。
総理が何もしない間に、自民党からは次々とトリッキーな少子化対策が出されています。自民党の少子化対策調査会長から出された、結婚、出産で奨学金の返済を免除するという案を政府が検討する可能性があるのかないのか、端的にお答えください。
次に、予防政策について伺います。
千五百種類の予防医療の費用対効果を分析したアメリカの研究によると、予防医療の中で医療費を下げる効果のあるものは全体の二〇%でした。大半の予防医療は、健康にはなるが医療費も増えるということであります。
健康増進や予防の効果が同じぐらいある政策であれば、医療、介護の費用が増える政策よりも減る政策を優先すべきです。健康な人を増やすと同時に社会保障を持続可能にするためにも、健康政策や予防政策の目的や指標に医療・介護費を減らすということを含めるべきと考えますが、総理の見解を伺います。
次に、財源について伺います。
先日、自民党の参議院幹事長が、少子化対策の財源について、国債もあり得るという認識を示しました。社会保障の持続可能性を高めるために少子化対策や健康、予防政策を実施し、その財源の一部を国債で賄うことについて、総理の見解を伺います。
また、総理のために内閣府の中に設置され、委員は総理が任命、解任できる、独立性ゼロの経済財政諮問会議ではなく、社会保障財政の持続可能性や国債の返済可能性を厳しくチェックする独立財政機関が必要です。総理の見解を伺います。
少子化対策や予防政策について、政策面と財政面の効果を科学的に評価、検証する仕組みも必要です。イギリスでは、ホワット・ワークス・センターという独立した専門機関があり、エビデンスの収集や政策選択への活用を行っています。日本も、このようなエビデンスセンターを設けて、科学的根拠に基づいて少子化対策や予防政策を取捨選択すべきと考えますが、御所見を伺います。
次に、本法案の問題点であるかかりつけ医について伺います。
政府は、今回、医療機関の質を担保するための認定制や、担当する患者を明確にするための登録制の導入を見送りました。これで超高齢化社会をしっかり支える医療体制になるのか、甚だ疑問です。全世代型社会保障構築会議が示した方針よりも後退しており、厚生労働省は、一体、誰の顔色を見ているのでしょうか。かかりつけ医をあらかじめ決めておくのは糖尿病など継続的なケアが必要な患者に限定しており、制度の土台として不十分と言わざるを得ません。この方法だと、かかりつけ医が明確でない人が残り、コロナ禍で経験した機能不全が再び繰り返されることにならないでしょうか。また、かかりつけ医に診療義務を課すわけではないため、患者にとって分かりにくいとの指摘もあります。
今申し上げた評価は、私の言葉ではありません。日経、産経、毎日、読売、朝日の社説や記事から抜き出してつなげたものであります。本法案のかかりつけ医は不十分であると、全国五大紙が全て批判をしているのです。
なぜ、誰のために、認定制度と登録制度の導入を見送ったのか、お答えください。
全世代型社会保障構築会議の報告書にも、今回の制度整備は、国民一人一人のニーズを満たすかかりつけ医機能の実現に向けた第一歩と捉えるべきであると書かれています。今回の法改正はあくまで第一歩であり、国民一人一人が信頼できるかかりつけ医を持てるようにするのがゴールだと法律に明記すべきではないでしょうか。
コロナ禍では、自宅療養を余儀なくされる患者が急増し、あってはならない自宅放置死が多数出てしまいました。立憲民主党は、患者が確実に医療につながる仕組みを整備するため、一昨年の六月に日本版家庭医制度法案、昨年三月にコロナかかりつけ医法案を提出しています。一方、今回の法改正で果たして自宅放置死を防げるのか、総理に伺います。
また、前段で申し上げた予防政策を地域で実施するためにも、かかりつけ医は欠かせないと考えますが、総理の認識を伺います。
最後に、出産育児一時金について伺います。
今回の法改正に伴い、出産育児一時金が四十二万円から五十万円に増額されます。一方で、出産費用を保険適用にすべきという声が与党の元総理からも上がっています。出産費用を保険適用にするメリットとデメリットは何か、政府は保険適用を検討するのか、お答えください。
都道府県別の出産費用を見ると、鳥取県や佐賀県の平均三十五万七千円に対し、東京都は平均五十六万五千円と二十万円も高くなっています。一律五十万円の出産育児一時金では、出産費用が安い地域ではお金が余り、出産費用が高い地域では全く足りないことになります。都道府県によって平均的な出産費用が大きく異なる現状について、総理の問題意識をお聞かせください。
政府は、今後、出産費用の内訳を調査するとのことであります。分娩費など基本的な費用だけを比べても都道府県により大きな地域差があることが分かったら、出産育児一時金の金額を地域によって変えたり、保険適用で全国一律の金額にするなど、出産費用の地域差を政策的に解消するのかどうか、総理に伺います。
社会保障の持続可能性を高めることは、全ての世代にとって最重要の課題であります。単に全世代で負担を分かち合うだけでなく、科学的根拠に基づいた少子化対策や予防政策を全世代で実行することこそ、真に持続可能な全世代型社会保障を構築する方法であると申し上げて、私の質問を終わります。
どうもありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕