青柳仁士の発言 (本会議)
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○青柳仁士君 日本維新の会の青柳仁士です。
党を代表して、岸田総理の帰朝報告について質問いたします。(拍手)
我が党は、ロシアによるウクライナ侵略が始まった当初より、声明や提言等を通じて、ロシアの軍事侵攻は国家の主権と領土の一体性を侵害する露骨な侵略行為であり断じて容認できないという認識を示し、日本政府に対しては、民主主義陣営と固く結束しつつ、終始一貫した行動を取るよう求めてきました。
同時に、欧米の政治リーダーたちが、新たな国際秩序が形成される歴史の転換点に立っているという大局観と覚悟を持ち、国内で賛否の分かれる政治決断をトップダウンで迅速に打ち出している一方、岸田総理は、主体的な決断力に欠け、日本政府が後追いの受動的な対応に終始していることについて懸念を表明してきました。
今回の岸田総理のウクライナ訪問は、ロシアの暴挙に対する国際社会の揺るぎない団結とウクライナを支援する日本の立場を明確に示したことなど、両国首脳の関係構築を含め、一定の成果があったと認識しています。
しかしながら、岸田総理及び日本政府の姿勢は、引き続き、ビジョンなき後追いであると言わざるを得ません。ウクライナ危機は第二次世界大戦後の国際平和秩序を根本から揺るがすものであり、その影響は、欧州にとどまらず、我が国を含む東アジアにも及ぶという当事者意識と危機感が足りていないように感じます。
まず、今回の岸田総理のウクライナ訪問は、G7の首脳の中で最後でした。なぜこんなにも遅かったのでしょうか。国内外からの要望が強くなり、訪問せざるを得ない状況になってから、ようやく重い腰を上げたように映っています。
また、今回の訪問で四・七億ドルの無償資金協力や三千万ドルのNATOの信託基金を通じた装備品支援を約束したことは評価しますが、これらはいつ頃現地に届く予定でしょうか。
日本維新の会に所属する国会議員は、全員、身を切る改革として、歳費の手取り額から二割、賞与の三割をカットしており、国庫返納が法律上可能になるまでの間、それらの資金を積み立て、災害や紛争などの復興人道支援に対して寄附を行っています。先週、その資金から一・五億円を活用して、ウクライナ政府の求めるピックアップトラック二十台を供与しました。こうした要請は以前からあり、本気で支援しようと思えば、すぐにでもできます。
また、今回のウクライナ訪問では、ポーランド出国時から岸田総理の動向は広く一般に向けて報道されていました。一国の首相が命の危険の伴う紛争地に行く際に、あり得ないレベルの情報管理です。これでは、安全保障の面で、同盟国、同志国からの信頼も得られません。
ゼレンスキー大統領を含むウクライナの要人は、生きるか死ぬかの戦いのさなかにあります。この日本政府のずさんな情報管理のせいで、居場所の特定などにつながるような重要な情報の漏えいが起きていないことを切に願います。
なぜ、今回、総理の渡航情報は事前に漏れてしまったのでしょうか。それに対する反省はありますか。今後の対策としてどのようなことをお考えでしょうか。
首脳会談では、ゼレンスキー大統領から、ウクライナ危機を解決するための日本のリーダーシップに対する強い期待が表明されました。
武器の供与や自衛隊の派遣など軍事支援への期待ではありません。世界第三位の経済規模を持つ大国であること、G7のメンバーであり今年の議長国であること、国連安全保障理事会の非常任理事国の常連であることを中心とした、日本の持つ国際的な影響力に対する期待です。
日本は、国際社会で名誉ある地位を占めたいと願い、国づくりを進めてきました。今は、その名誉ある地位に見合った役割を果たす責務があります。
まず、世界に大きな影響力を持つ国の一つとして、新しい国際平和秩序の構築に貢献していかなければいけません。特に、国際社会が、今回のウクライナ危機への対応を通して、ロシアの次のリスクとして中国を見据える中、アジアにおいて中国に対抗し得る唯一の国である日本の判断と行動は、世界全体の平和にとって極めて大きな意味を持っています。
国際的な包囲網の構築と同盟国、同志国の強固な連携によりロシアの力による現状変更を成功させないことは、将来的な中国リスクの解消にもつながります。
我が党は、昨年末の安保三文書改定時に、日米豪印四か国にイギリスとEUを加えた強力な包囲網を形成し、いかなる国もインド太平洋で一方的な現状変更の試みができない状態をつくるべきと総理に提言しました。こうした構想を日本が主導するお考えはありませんか。
岸田総理がウクライナを訪問した日は、中国の習主席がロシアを訪問した日でもありました。このことで、日中が両陣営に分かれ、対立を深めたという見られ方をした可能性はないでしょうか。
力による現状変更をしかける国に対して、同盟国、同志国が結束して、国際的な法と秩序を守らせることは、世界の恒久的な平和維持のために行っていることです。ロシアに対しても、中国に対しても、必要なときには対立を辞さない断固たる決意が必要です。しかし、意味もなく対立をあおることは当然避けるべきです。
中国は、自己中心的で国際常識の通じない相手であり、我が国の軍事的な脅威でもあります。将来の日本の安全と繁栄のためには毅然として対峙していかなければいけません。一方で、歴史的、地理的、経済的には日本と関係の深い隣国であり、お互いの努力により未来志向の関係を築いていくことが本来は期待されます。
その意味で、日本の安全保障の根幹が日米同盟であることに疑いの余地はありませんが、アジアの平和秩序をつくる上での日本と米国の立場は必ずしも同じではありません。米国主導で行われているアジアの平和秩序の再構築が本当に我が国及びアジアにとって最適なものであるかどうかは、本来、アジアにおけるリーダーとしての日本が考えるべきことです。
米国の考えた構想やイニシアチブに賛同したり意見を言ったりというだけではなく、日本から構想を示して米国の理解を求めるのがあるべき姿と考えますが、日米外交においてそのようなやり取りはどの程度行われているのでしょうか。
我が国の平和と繁栄を維持するには、アジアにおける新しい国際秩序を自ら構想し、その実現に向けて国際社会に踏み込んだ提案をすることが重要ですが、そのお考えはありますか。
新しい国際平和秩序をつくる機会として、今年の五月に行われるG7サミットは絶好の場であり、日本は議長国という最高のタイミングが訪れています。このタイミングでのG7議長国のトップとして、日本とアジアの将来を見据え、岸田総理は、どのような姿勢でG7サミットに臨み、どのような構想を打ち出すお考えでしょうか。
また、アジアを超えて、世界全体に視野を広げれば、ウクライナ危機を契機に、各国で経済安全保障の整備が進んでいます。サプライチェーンが分断され、世界経済あるいは世界そのものが分断されつつあります。経済のブロック化は、これまで世界に成長をもたらしてきたグローバル化と逆行し、最終的には異なるブロック同士の対立や戦争に発展するリスクもあります。
世界の平和と成長を維持するための新しい国際秩序についてこのG7で示される方向性は、今後の世界に対して極めて大きな影響力を持つと考えられますが、現時点で総理はどのような構想をお持ちでしょうか。
日本の国連における大きな存在感、そして、今年からの国連安全保障理事会の非常任理事国としての立場も重要です。ウクライナ危機を受けて、第二次世界大戦以降、世界の平和と安全保障の仕組みが根本から崩れかかっています。その最大の要因は、国連安全保障理事会の機能不全です。
国連安全保障理事会、すなわち安保理とは、核兵器に象徴される強大な軍事力と拒否権を持つ五大国が結集して、世界の平和と安全を保障する仕組みです。しかし、裏を返せば、五大国自身による国際法違反の行為は止めるすべがないという構造的問題も抱えています。今、まさにそれが表面化しています。
国連は、一見、全加盟国が参加する国連総会が最高意思決定機関であり、国連事務総長がリーダーであるかのように見えます。しかし、実際は、最重要事項に関する実質的な意思決定は安保理で行われています。国連総会に強制力のある議決はできません。国連事務総長は、安保理が推薦しなければ候補者にすらなれません。
そして、安保理を改革するためには国連憲章の改正、つまり、国連総会での採択に加えて、安保理の全常任理事国を含む三分の二以上の国連加盟国の批准が必要であるため、五大国が一つでも反対すれば、この構造を変えることはできません。
機能不全に陥った安保理に対して国連が現在行っていることは、強制力はなくとも国連総会の決議や国連事務総長の声明などを出し続け、国際的な世論を喚起するとともに、国際社会の結束を求めることです。これらは安保理に対する法的強制力はありませんが、一定の行動変化を促す効果はあります。
安保理の非常任理事国としての立場から、真に国連を機能させるための変化をしかけていくことは十分に可能です。それこそが、安保理改革を正面から訴えるゼレンスキー大統領が岸田総理に期待していることではないでしょうか。岸田総理は、今年から国連安全保障理事会の非常任理事国のトップとして、どんなことをやりたいと考えておられるのでしょうか。
また、これまで日本政府が進めてきた安保理改革は、何十年もの間、ほとんど提案が実現していません。昨年、我が党の馬場代表から岸田総理に提言したとおり、日本は、従来からの国連改革を求め続けるだけでなく、コフィ・アナン元国連事務総長時代に議論された、任期四年から十年程度の安保理準常任理事国の設置を実現すべく、国際社会に強く働きかけるべきだと考えますが、総理の所見を求めます。
加えて、国連の要職に日本人を送り込むことも変化を促す上で意味があります。ハイレベルポストになると、各国は元大臣などを候補者に出してくる一方、日本は官僚や民間人の候補者しか出せておらず、競争上、不利に働いている面があります。総理大臣と外務大臣を務められた岸田総理を含め、日本も閣僚経験者を始めとする政治レベルの人材を国連のハイレベルポストに送り込むことも検討すべきと考えます。また、国連事務総長を含む最高レベルのポストを日本が取りに行くことも検討すべきと考えますが、これらについての総理の所見も伺います。
国連は一国一票です。自由民主主義国家と権威主義国家との間で二者択一を迫られる局面の多いASEANを始めとするグローバルサウスに対し、開発協力を通じて、主権の尊重、法の支配、自由な経済活動など、基本的な価値観を共有していくことが不可欠です。総理のお考えをお尋ねします。
また、今年の前半に開発協力大綱が改定される予定になっていますが、そうした要素をどのように取り込んでいくお考えでしょうか。
以上、世界に大きな影響力を持つ日本のかじ取りを任されている総理大臣として、主体的な構想を持ち、リーダーシップを発揮していただくことを切にお願い申し上げ、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕