田嶋要の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○田嶋要君 立憲民主党の田嶋要です。
 立憲民主党・無所属を代表し、ただいま議題となりました脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案、いわゆるGX脱炭素電源法案につき、政府の危機感のなさに強い危機感を覚えながら質問させていただきます。(拍手)
 まず確認したいのは、目の前の電気料金の値上げです。
 全ての大手電力会社において、カルテル行為や新電力の顧客情報の不正閲覧など違法行為が続発している中での電気料金の値上げは、国民の理解が得られるはずがありません。
 総理、当然、原因究明や再発防止策、また罰則強化のないままの値上げは認めないということでよろしいですね。この点については、河野消費者担当大臣にも御見解を伺います。
 そして、今回のような違法行為への懸念の声は、二〇一〇年代の電力システム改革の当時から上がっていました。総理、中途半端な改革の不安的中です。電力システム改革をもう一度スタートさせませんか。
 そんな折、電気料金がモデル世帯でこの五月請求分から月に八百円程度値下がりするという知らせが入りました。言うまでもなく、これは新たな政策によるものではありません。もちろん、誰の手柄でもありません。今の再エネ買取り制度の仕組み上、来年度に向けて再計算された結果の再エネ賦課金の引下げです。
 西村経済産業大臣、化石資源値上がりの局面でこのような再エネ賦課金の引下げが起きる仕組み、そして、今後のその見通しをお聞かせください。
 さて、それにしても不可解なのは、いまだ衰えぬ、政府の原発に対する強いこだわりです。
 新増設はしないと言っていた政府が、ある日突然、原発回帰への大転換。ところが、総理は、可能な限り原発依存度を低減させるとも過去に発言。
 岸田総理、改めて、原発の新増設は進めるが、可能な限り原発依存度は低減させるということですか。であるのであれば、なぜ昨年の骨太の方針やGX基本方針から依存度低減を削除されたのですか。岸田総理、この夏の骨太方針には依存度低減の記載を復活させ、次期のエネルギー基本計画にも明記なさいますか。お答えください。
 あれから十二年。またじわじわと安全文化から安全神話への変質、回帰が始まっているように私には見えます。とりわけ、規制のとりこへの反省から三条委員会としてスタートした原子力規制委員会は、現在の山中委員長になって以来、まるで経済産業省の親しい友人になった印象で、独立性や中立性に不安を感じる言動が目につきます。
 岸田総理、李下に冠を正さずです。法律の六十年ルールを環境省所管の法律から引き剥がして経産省の法律に移そうとしたり、規制庁の内部検討資料が今なお黒塗りで出てきたり、また、経産省と規制庁の職員がこそこそと、あるいは白昼堂々と地下鉄の駅で情報交換をするなど、岸田総理、まさにこうした一連の行為が原発や原子力産業全般への国民の不信感や怒りを限りなく高めているということに思いは至りませんか。
 今回の電気事業法改正の目的は、今はどんなに長くても最長六十年までとしている原発を六十年以上動かせるようにすることです。原子力規制委員会の石渡委員が反対意見で的確に指摘されたとおり、安全審査を丁寧に長く行えば行うほど古い原発を動かせることになってしまいます。
 総理、炉規法の改正の点に話をすり替えずに、この電気事業法改正の部分については、紛れもなく安全規制を緩める方向への改正、改悪だと正直にお認めください。
 岸田総理、そもそも原発と太陽光や風力とでは、どちらの発電コストが安いとお考えですか。
 私の認識では、世界では既に太陽光や風力が圧倒的に安いのです。この十年間で劇的にコストが下がったのは、太陽光や風力が分散的に世界中で取り組まれ、資金もますます集まり、発電効率も上がり、量産効果が生じたからです。どう考えても、原発でそのようなことは起こり得ません。
 総理、事業者にとっての原発の発電コストを安くするためには、様々な補助金などを事業者に出すなど、結局は国民負担を大きくしていくことになるのではありませんか。
 半導体、太陽光、風力、蓄電池などなど、日本の将来の飯の種が政府の産業政策の失敗で次々と国際競争力を落とす一方で、経済合理性が期待できない次世代原発に政府が再び前のめりになっていく。これが、私は、日本衰退へのいわばとどめの一撃になることを強く懸念をいたしております。
 先日、ある与党の関係者の方にこんなことを言われました。田嶋さん、原発を続けるかどうかはエネルギー政策だけの話ではないんだよ、原子力基本法の第二条には我が国の安全保障に資するとわざわざ書き込んだんだよ。
 これに関しては、三・一一当時の環境大臣、今は自民党においでですが、の答弁がありますけれども、改めて問います。岸田内閣が経済合理性の全くない原発にこだわり続け、原発回帰を強める本当の理由は、電力供給というよりは、将来の日本の核武装の可能性を視野に入れた技術や知見の維持のためなのでしょうか。総理、正直に国民に御説明ください。
 ちなみに、フランスのマクロン大統領は、原発なくして核兵器産業なし、核兵器産業なくして原発なしと発言されています。
 なお、今日の核分裂技術と将来の核融合技術とは似て非なるものというのが私の認識です。
 そこで、お尋ねします。
 岸田総理、過度な期待は禁物ですが、そもそも核融合技術には、事故やミサイル攻撃等によって放射能が地域社会に拡散するリスクはあるのかないのか、また、高レベル放射性廃棄物の処分の困難性の課題はあるのかないのか、核分裂技術と比較して、それぞれ、総理の御認識を伺います。
 再エネの失われた十年。世界に大きく遅れて、二〇一二年、民主党政権下でようやく再エネ買取り制度がスタートしました。しかし、その後の十年間で、多くのメガソーラーは地域社会の嫌われ者となり、今や日本だけが失速です。
 資源の乏しい国日本、膨大な化石資源の輸入に依存し続ける日本であればこそ、燃料の要らない再エネは、本来であれば日本の救世主であり、日本こそがGXの最大の勝者、受益者になる可能性があったのです。岸田総理、大谷選手のような世界一のプレーヤーになってほしいとは申しません。せめて他の先進国並みのことをやってほしいのです。危機感がなさ過ぎるのです。三月二十日のIPCC統合報告書が強調したとおり、知識も手段も資金も既にあるのです。
 総理、今からでも、御自分の目で見て、御自分の頭で考えていただき、言葉の真の意味で、国の総力を挙げて再エネの社会実装を加速させませんか。遅れに遅れて、もう時間がないのです。その際、日本には再エネ適地が限られているとか、この十年で再エネ比率は一〇%も増えたなどということを二度と強調しないでいただきたいと思います。
 経済産業省の癖として、夢を追うような研究開発分野、とりわけ原発関係には熱心な一方で、既に実用の段階に入った、つまり、リスクも小さく経済合理性も高い既存技術、省エネも再エネも、それらの社会実装には余り関心を示しません。これは大きな誤りです。日本が遅れる根本原因です。
 岸田総理、例えば、住宅の断熱強化や、そして道路脇や線路脇のソーラー発電、営農型発電など、他省庁にまたがる分野にも、もっと本気になって政府が動きませんか。そして、その際に、総理、もっと全国の自治体を本気にさせる支援策を導入し、それぞれの地域で地産地消のエネルギーを作り出すためのゾーニングを行い、地域の協同組合や小規模事業者、個人もステークホルダーとして格段に増やすなど、ドイツやデンマークなどの先進事例に学びながら推進すべきではないですか。
 鍵は、地域社会との共生です。外からやってきた事業者がその地域の自然を破壊し、かつ利益を独り占めする再エネなど、地域に歓迎されるはずがありません。
 加えて、総理、いかなる発電設備もやがては廃棄物になります。ソーラーパネルのリサイクルを、自動車や家電の事例を参考に、混乱なく進めるための政策を今から着実に進めませんか。設備の寿命が来たときにもう一度ソーラーが嫌われ者になることのないように、総理から御所見を伺います。
 コモディティー化している今のソーラー発電産業には、経済産業省は大きな関心を持っていないと理解しています。今のソーラーの普及拡大では、ある意味、燃料の中東依存からパネルの中国依存へシフトするだけという見方もあります。
 しかし、来るべき日本発のペロブスカイト技術のソーラーパネルは、まるで下敷きのような薄さと軽さで、素材的にもコスト的にも、今普及しているシリコン系などとは全く別物です。
 であれば、岸田総理、ノーベル賞も期待されるこのペロブスカイト技術をベースに、改めて、太陽光発電に関わる物づくりのサプライチェーンを国内で再構築していきませんか。
 なお、そのペロブスカイトに必要不可欠の原料とされるヨウ素は我が国で産出されると聞いています。その我が国における世界のシェアも併せてお知らせください。
 発電側が幾ら再エネを増やしても、その電気が消費者に届けられなければ意味がありません。
 総理、再エネ発電を無補償で強制的に出力制御させている今の理不尽な制度を今すぐにでもやめませんか。そんなことを続けているから、ますます日本の再エネが魅力を失うのです。
 また、今回、政府は、送電網への今後十年間の設備投資を過去十年間の八倍以上の容量に強化するようですが、これも突然で、違和感を覚えます。
 岸田総理、そもそも、二〇一〇年代の電力システム改革により、広域的運営推進機関を中心に、分散型エネルギー社会に必要な送電網への設備投資は存分に行えることになったのではなかったですか。なぜ今頃になって法改正を言い出すのでしょう。なぜ今から急に八倍なのですか。これもまた失われた十年ではありませんか。
 結びに、私たち立憲民主党は、雇用の公正な移行をしっかりと果たしながら、二〇五〇年のカーボンニュートラルという国際公約を達成し、化石燃料にも原発にも依存しない分散型の自然エネルギー社会をつくり上げていきます。また、食料と並んで、暮らしや産業、そして我が国の安全保障に不可欠のエネルギーの自給率を高め、我が国の産業競争力を強化し、新たな経済成長を目指し、そのための官民の取組を最大限後押ししていく所存です。そのことを最後にお約束し、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

発言情報

speech_id: 121105254X01420230330_021

発言者: 田嶋要

speaker_id: 9549

日付: 2023-03-30

院: 衆議院

会議名: 本会議