階猛の発言 (本会議)
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○階猛君 立憲民主党の階猛です。
会派を代表し、ただいま議題となりました財務金融委員長塚田一郎君解任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。(拍手)
主文、
財務金融委員長塚田一郎君を解任する。
以上であります。
以下、その理由を申し述べます。
塚田委員長を解任すべき一つ目の理由は、内閣提出のいわゆる防衛財源確保法案につき、野党各党が様々な欠陥を指摘し、これに関連する資料の提出を求めてきたにもかかわらず、欠陥の是正や資料の入手をなおざりにし、我が党などからの審議継続の声を無視して、職権で審議終結を決めたことであります。
審議終結が決まれば、その直後に採決が行われることは火を見るより明らかです。塚田委員長は、政府・与党が数の力で欠陥法案を成立させる事態を容認するという、公正中立で権威ある財務金融委員長の立場からかけ離れた、あるまじき行動に出ました。これこそまさに、座して死を待つ姿勢であり、職責を果たせない塚田委員長は、委員長席から速やかに退くべきです。
ここで、今回の防衛財源確保法案が欠陥法案たる理由を述べます。
そもそも、防衛財源確保法案の正式名称は、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案です。そして、ここに言う防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源は、昨年末に閣議決定された防衛力整備計画によれば、令和五年度から九年度までの五年間で四十三兆円に上り、以後は、これを更に上回る規模で推移することが想定されています。
そうした中、本法案が成立することで確保される金額は、三・四兆円。今後五年間の計画四十三兆円に占める割合は、僅か八%です。四十三兆円のうち既存の防衛費二十五・九兆円を差し引いた増額分十七・一兆円に占める割合で見ても、二〇%にすぎません。
また、その原資は、目下の日米金利差によって生じた外為特会の利ざや収入、コロナ関連予算の使い残し、国有財産の売却収入など、持続可能性のない税外収入です。五年後以降の防衛財源については、防衛力強化資金という名の財布はできるものの、そこにお金が幾ら入るのかはめどが立っていません。
この点、民主党政権時代に成立させた東日本大震災の復興財源確保法案は、十五年間の復旧復興に必要な三十二・九兆円を一〇〇%カバーするため、税外収入だけでなく、増税措置、歳出削減、決算剰余金による財源確保なども盛り込んだ、量的にも質的にも本法案とは格が違う、いわば異次元の財源確保法案でした。
本法案は、財源確保とは銘打っているものの、看板倒れで、中身が乏しく、持続可能性もないという意味で、明らかな欠陥法案なのです。委員会審議で、私から総理にこの点を指摘し、なぜ復興財源確保法案のようなフルスペックの法案にしなかったのかと尋ねたところ、閣議決定した防衛力整備計画や政府税制大綱において全体の方針を示しているからといった答弁でした。
それを言うのであれば、本法案に盛り込んでいる税外収入も防衛力整備計画に示されています。しかも、この資金が必要となるのは来年度予算以降であります。現時点で本法案を成立させる必要は全くありません。総理の答弁自体が、今国会で本法案を成立させる必要がないことを物語っているのです。
そして、そうである以上、本法案は直ちに取り下げて、フルカバー、フルスペックの防衛財源確保法案を国会に出し直すのが筋です。岸田総理は、議院内閣制において、唯一の立法機関である国会に対して内閣が取るべき態度とはかけ離れているのです。日本国憲法が定める統治機構の趣旨を全く理解していません。憲法改正を言う前に、憲法を学び直すべきです。
その上で、仮に、岸田総理が憲法を学び直して、閣議決定した全体の方針なるものを全て盛り込んだ法案を策定したとしても、防衛財源の全体の方針そのものに数々の問題があるため、依然として、欠陥法案のそしりは免れません。
全体の方針の問題点について第一に挙げなくてはならないのは、防衛増税の誤りです。
防衛増税により、五年後の令和九年度以降に必要となる毎年約四兆円の追加財源のうち、約四分の一の一兆円強を手当てすることになっています。しかし、なぜ四分の一を増税で賄わなくてはいけないのか、納得できる説明がありません。行財政改革やあらゆる工夫を最大限行うのが防衛増税の大前提であると総理は答弁していますが、大前提として行うことの成果が判明する前に、なぜ増税の割合が決められるのでしょうか。直近の共同通信の世論調査の結果を見ても八〇%の国民が反対していますが、当然のことです。
さらに、防衛増税のメニューも問題です。
そもそも、なぜ、法人税、たばこ税、所得税の三税目なのか、委員会では具体的な説明がありませんでした。
法人税については、復興特別法人税のときは、安倍政権が経済界に配慮して途中で打ち切った経緯があります。たばこ税については、常に増税の標的にされ、税制のおやじ狩りという、愛煙家からの怨嗟の声が上がっています。結局、安定財源として頼みの綱となるのは所得税だけではないでしょうか。
その所得税の増税については新たな付加税を設けるとしますが、その中身は、現在は、東日本大震災の復興に充てるため、本来の所得税に二・一%上乗せし、二〇三七年までの二十五年間に限って個人が負担することとなっている復興特別所得税の約半分を流用し、防衛財源に充てるというものです。その結果、復興特別所得税が不足する分を補うため、課税期間は二〇五〇年頃まで十四年程度延長される見込みであります。
岸田総理は、課税期間の延長で最終的に復興財源は確保されるので、流用にも当たらなければ国民との約束違反にも当たらないとしますが、認識は大きくずれています。過去十年以上、復興特別所得税の負担金を国民が甘受してきたのは、甚大な被害を受けた被災地の復興のためであって、トマホークを爆買いするためのものではありません。また、二十五年間という期間限定の増税の約束もほごにされています。
加えて、岸田総理は、昨年十二月八日に、個人の所得税の負担が増加するような措置は行わないと明言していました。年間の負担額が増加しなければ課税期間が延びても負担が増加しないというへ理屈は、子供にも通用しません。
よって、復興特別所得税の流用は明らかであり、二重三重の意味で国民との約束違反でもあります。先ほどの共同通信の世論調査の結果でもこの件につき七三%の国民が反対していることを、政府・与党は重く受け止めるべきであります。
このような、こそくで、だまし討ちに等しい、火事場泥棒のような増税のやり方は断じて許されません。私は、被災地の岩手県出身であり、当時は与党議員として復興特別所得税の創設に関わってまいりました。その立場から、改めて強く抗議を申し上げます。
次に、防衛財源の全体の方針の中では、毎年〇・七兆円程度、決算剰余金を活用することになっています。しかし、財政法上、決算剰余金の半額以上は過去の借金の返済に充てる必要があります。〇・七兆円の決算剰余金を活用するためには、一・四兆円以上の決算剰余金が必要となります。
政府は、過去の実績を踏まえて、毎年、平均でこれだけの決算剰余金が期待できるとしましたが、我が党の藤岡隆雄議員が指摘したとおり、コロナの影響で決算剰余金が膨らんだ影響を除けば、決算剰余金の実績は一兆円前後であり、財源の見積りが甘過ぎます。
しかも、防衛費のために決算剰余金を使い切ってしまえば、補正予算の財源が今度はなくなります。補正予算を編成するための国債発行が増えるようなことになれば、国家財政全体で見れば財源を確保したことにはならないわけです。
また、決算剰余金は、使う当てのない多額の予備費を予算に計上し、これを決算時に余らせることによって膨らませることもできます。しかし、予備費の財源が赤字国債となっている現状では、予備費が余って決算剰余金が生じたとしても、その実態は借金です。財源を確保したことにはなりません。
決算剰余金で〇・七兆円の財源が安定的に生じるかのようなもくろみは、マネーロンダリングによる錯覚にすぎません。
さらに、防衛財源の全体の方針では、社会保障関係費以外の分野で歳出改革を行い、当初五年間は毎年二千億円程度の新たな防衛費の財源を生み出し、五年目以降は合計一兆円強の財源が継続することになっています。あたかも既存の予算を一兆円程度削って防衛費に振り向けるようにも思えますが、実際はそうではありません。物価が上がればそれに比例して社会保障関係費以外の予算全体の枠が当然増えるという前提を置いた上で、増えた枠は全て防衛費に回すと仮定をしたり、恩給費のように受給者の減少によって自然に予算が減少する分を防衛費に回したりすることで、歳出改革を行ったと言い張っているのにすぎないわけです。(発言する者あり)そのとおりです。
今回の歳出改革は、ほとんど机上の空論にすぎず、身を切るものではなく、真空切りと言わざるを得ません。
この点、我々が復興財源を確保する際には、民主党政権のマニフェストの目玉であった子ども手当や高速道路無料化の予算を削ったり、国会議員や公務員の人件費を削ったりする、真の意味での歳出改革を行いました。ねじれ国会の下で、ここまでやらなければ、当時野党であった自民党、公明党の協力を得て、復興財源確保法案を成立させることができなかったという事情があったからです。
今では自民党の幹事長も賛同している所得制限なしの子ども手当を導入した際には、自民党のある女性の参議院議員から、民主党は、愚か者などと口汚く罵られました。民主党政権は、復興財源確保法案を成立させるために断腸の思いで子ども手当に所得制限を設け、四千億円余りの財源を確保したのであります。
あの当時の、野党だった自民党が、もし今、今回の歳出改革案を見たら、一体、何と言うのでしょうか。恥を知れなどと言うつもりはありませんが、当時在籍していた自民党の議員の皆さんは、虚心坦懐に、この歳出改革の内容でいいのか、再考していただきたいと思います。
次に、仮に全体の方針に沿って財源が確保できたとしても、今後五年間で四十三兆円の必要金額にはなお二・五兆円足りません。そのうち一・六兆円について、防衛力整備計画には、「自衛隊施設等の整備の更なる加速化を事業の進捗状況等を踏まえつつ機動的・弾力的に行うこと」と記載がありますが、なぜかこの分だけ財源確保の方法が明らかではありません。
しかし、従来は建設国債で防衛費は調達できないとされていた政府方針を岸田政権は転換し、自衛隊の施設整備や艦船の建造は建設国債の対象経費になるとしています。今年度予算では、既に四千三百四十三億円が建設国債で賄われています。上述の一・六兆円も建設国債で賄われる可能性が極めて高いのではないでしょうか。借金による、身の丈を超えた防衛力の増強が常態化すると、防衛費の増加に歯止めが利かなくなり、最後は、通貨の価値が暴落してハイパーインフレになってしまうというのが歴史の教訓です。
一方、そもそも、プライマリーバランスの黒字化とは、政策経費全体を国債発行によらずに賄うことができる状態を意味します。政府が目標とする二〇二五年のプライマリーバランスの黒字化を本気で達成する気があるのであれば、防衛費を建設国債の対象経費とする必要性はないはずです。プライマリーバランス黒字化目標と矛盾する、建設国債による防衛費調達は即刻中止すべきであります。
ここまで、防衛予算の財源確保の方法に欠陥があることをるる述べてまいりました。防衛予算やこれに関連する支出については、本来、戦略的合理性に基づき、優先順位をつけて効率的に行わなくてはなりません。GDP比二%や五年で二倍という合理的根拠の乏しい数値目標にとらわれることなく、貴重な財源につき無駄や無理が生じることがないよう、必要に応じて計画を見直すべきであります。この見地から、二つ、問題点を指摘します。
第一に、スタンドオフミサイルの整備であります。
今回の防衛力整備計画では、この分野に五年間で五兆円を支出することになっています。我が党としても、我が国の領土、領海への軍事的侵攻を抑止し排除するためのミサイル能力の向上は一定程度必要であると考えております。
しかしながら、政府が反撃能力を行使できるとする範囲は広過ぎます。政府見解では、相手国からのミサイル発射がなくても、我が国に対する攻撃の着手があれば先制攻撃に当たらず、反撃能力を行使できるとしています。しかし、先日のように、ミサイルの発射後、北海道に飛来するとのアラートが発令されたにもかかわらず、その行方が分からなくなることも現にあるわけです。相手国のミサイル発射前に、発射元や発射先を正確に特定することは至難の業であります。国際法上も憲法上も禁止されている先制攻撃となるリスクを負うような反撃能力の行使は、厳に慎むべきであります。
また、政府は、相手からの更なる武力攻撃を防ぐために、反撃能力を持つこととしています。相手国に対し反撃能力を行使するとなれば、戦争状態に突入することになります。国民保護の観点からは、そのような反撃能力の行使は現実には困難であると思います。
こうした反撃能力の行使に現実的な制約がある中で、五年間で五兆円という規模のスタンドオフミサイルへの支出が果たして妥当なのかどうか、むしろ、地方におけるシェルターの整備など万一の場合の国民保護を万全にするための予算に重きを置くべきではないか、そういったことなど、国会にも必要な情報を開示しつつ、慎重に議論を進めるべきであります。
第二に、多額の防衛費を使って防衛能力を整備したとしても、それを運用する人員が確保できるのかという問題があります。
少子化が進み、自衛隊の任務の危険性を国民が感じ始める中で、昨年度の自衛官候補生の応募者数は前年より二〇%も減少しており、恒常的に一・五万人から二・四万人程度の自衛官の定員割れが続いていると報じられています。
しかしながら、自衛官の人的基盤の強化に関する有識者検討会なるものが立ち上がったのは、防衛力整備計画が閣議決定された後、今年の二月に入ってからのことです。順番が逆ではないでしょうか。幾ら最新鋭の飛行機や艦船を装備したとしても、乗組員がいなければ宝の持ち腐れです。防衛力整備計画に見合う人員が確保できるかどうかという観点から、計画を必要に応じて見直すべきです。
なお、自衛隊員が加入する公的年金の資金による中国国債の購入が近年急激に増加していることが、私の委員会での質疑の中で明らかになりました。GPIFなど他の公的年金資金の中には、中国国債への投資を見送っているところがあるにもかかわらずです。中国の軍事力を含めた国力の増強につながる、中国政府による国債での資金調達について自衛隊員の年金資金でもって協力していることに、私は違和感を持ちました。外交、安全保障の面、経済の面から妥当なものなのかどうか、所管の財務省を中心に再考すべきであります。
さて、塚田委員長を解任すべき二つ目の理由は、幅広く参考人の意見を聞かないまま、本法案の審議を職権で打ち切ったことにあります。
委員会では、私を含めて多くの議員が、さきに述べた復興特別所得税の流用問題について、被災地で地方公聴会を開き、被災者や若者世代の意見を聞くべきだと主張しました。しかし、塚田委員長は、審議終局前に地方公聴会を開催しようとはしなかったわけです。
復興特別所得税の半分程度を防衛費に流用し、期限延長することは、納税者との約束違反であります。私の地元である岩手県も、新しいコミュニティーやまちづくりなど、復興は道半ばであります。まして、福島県においては、福島第一原発の廃炉事業や特定復興再生拠点区域外への帰還、定住に向けた事業、また福島国際研究教育機構の構築などもあり、現在、復興財源が確保されている令和七年度の後も、長きにわたり復興事業が継続することになります。今後も、被災地への物心両面での協力を求めざるを得ない状況であるにもかかわらず、それが困難になったりすることがないかどうか、被災地の声をしっかり聞き、現地の状況を把握する必要があります。
また、若者世代については、十二年前の東日本大震災についての復興特別所得税が期限延長されることで、負担が長く続きます。将来起こり得る、南海トラフ地震、首都直下型地震など、政府の被害想定が百兆円を超える巨大災害についての復興財源の負担と合わせ、二重の負担が生じるおそれが出てきます。そのような立場にある若者世代の意見も、必ずしも被災者に限る必要はありませんが、よく聞いておく必要があると思います。
なお、与党側からは採決後に地方公聴会に類する場を設けることが提案されたと仄聞しております。しかし、総理の言う防衛財源の全体の方針の中で、本法案の内容と防衛増税は一体として扱われているため、本法案の採決前に地方公聴会を開催する必要があります。
加えて、本法案等で確保される財源によって、今後、我が国は反撃能力を保有することになります。これが憲法九条から要請される専守防衛に反しないのかどうか、反しないとすればいかなる条件を満たす場合か、そして、我が国が直接武力攻撃を受けなくても集団的自衛権に基づき反撃能力を行使することは専守防衛に反しないかどうかなどについて、憲法の専門家から意見を伺わなくてはなりません。当然のことながら、安全保障上の必要性が認められたとしても、最高規範である憲法が許容しない反撃能力は、我が国は保有することができません。
以上の参考人への意見聴取と質疑を一切行わないまま質疑を終局することは、法の支配を無視する、そういった点で極めて問題であり、塚田委員長はその意味でも任に値しないと言うべきであります。
岸田政権は、防衛予算を急増させ、対GDP比二%の防衛予算を目指し、本法案を始め、なりふり構わず財源を確保しようとしています。その理由として政府が枕言葉のように口にするのが、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境というフレーズです。確かに、我が国をめぐる安全保障環境は厳しさを増しています。防衛費を一定程度増加させる必要は、我が党も認めています。
しかしながら、戦後最も厳しく複雑なのは、安全保障環境だけではありません。国家財政も少子化も高齢化も、戦後最も厳しく複雑な状況にあるのではないでしょうか。岸田政権は、こうした課題を放置ないし軽視したまま、防衛だけを聖域扱いして既成事実を着々と積み上げているのです。その象徴が、中身が乏しいまま成立を急ぐ今回の防衛財源確保法案ではないでしょうか。
多額の予算を費やして防衛力を増強しても、将来への不安が広がり、人口減少と経済低迷が続けば国力が低下し、日本の安全保障は脆弱化します。防衛予算だけでなく、異次元の少子化対策に必要な予算、高齢化に伴う社会保障の予算、金融政策の正常化に伴う国債費の動向などを総合的に勘案した三年から五年程度の中期財政フレームを今こそ策定すべきであります。
民主党政権時代には、この中期財政フレームを策定した実績があります。財務金融委員会において体制を刷新した上で充実した審議を行い、我が国の財政運営を、バランスの取れた、将来に安心と希望をもたらすものとするため、本決議案に議員各位の御賛同を賜らんことを最後にお訴え申し上げ、私の趣旨弁明とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
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