熊田裕通の発言 (予算委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○熊田委員 ありがとうございます。
 三文書を策定する議論に大きな影響を与えた出来事として、ウクライナへのロシアの侵略を挙げることができると思います。もうすぐ開戦から一年になりますが、ウクライナは自国を防衛すべくこの瞬間も懸命に戦いを続けております。
 米国や欧州を始めとする国際社会は、これまで、ウクライナを支援するため、対戦車ミサイル、装甲車、りゅう弾砲などを供与してきました。また、最近では、米国やドイツが戦車の供与を決定し、バイデン大統領やショルツ首相はウクライナへの全面的な支援を継続することも表明いたしました。このような米国や欧州諸国の姿勢に、自由と民主主義、国際秩序や法の支配を力による現状変更から守る覚悟を感じます。
    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕
 我が国は、地理的な条件が異なりますが、国際法違反の力による一方的な現状変更は断じて許容してはならず、また、ウクライナで起きていることはこのインド太平洋地域でも発生し得るとの認識の下で、我が国としてもウクライナ支援を行っていく必要があります。
 防衛装備移転三原則と自衛隊法百十六条の三の枠組みの下で、これまでに、自衛隊の装備品や物資を不用決定した上で、防弾チョッキ、防護マスク、防護衣、小型のドローン、民生車両等をウクライナに提供してきましたが、現在の制度では、他国の戦車供与のように殺傷力のある装備品等は移転できないため、国際法上不法な侵略を受けているウクライナの防衛という目的であっても、より幅広い装備品等を提供することはできません。
 防衛装備移転は、単に装備を他国に移転するということではなく、安全保障政策上、力による一方的な現状変更を未然に防ぎ、我が国にとって望ましい安全保障環境を主体的につくり上げていく、また、国際法違反の侵略等を受けている国への支援のため、重要な政策ツールであります。
 政府は、与党間の議論を行った上で、九年前に防衛装備移転三原則を決定し、防衛装備移転の道を開きました。これにより、イギリスや豪州などを始め、米国以外の有志国との共同研究や装備、技術協力が活発化した一方、完成した装備品の移転の事例はフィリピンへの警戒管制レーダーの移転一件のみと聞いております。
 我が国からの装備移転により、東南アジア諸国の海上防衛能力を向上させることが地域の平和につながると考えておりますが、現在の制度では、仮に、我が国と協力関係のある国が我が国の技術を信頼して護衛艦や潜水艦の移転を求めたとしても、国際共同開発、生産を除けば、我が国はそれらを完成品としてそれらの国に移転することもできません。
 現在の制度でも、直接的な殺傷や破壊を行わないような防衛装備品であっても、救難、輸送、警戒、監視、掃海という五つの類型に当てはまらなければ、諸外国に移転することができません。したがって、例えば、我が国に対して練習用航空機や訓練用装備品の要望があったとしても、現行制度の下では移転はできません。また、通信機材や音響観測艦も移転することができません。さらに、施設整備のためのドーザーや人道的側面の強い地雷を除去するための装備品すら、現在の制度では移転することはできないのです。
 ロシアのウクライナ侵攻のみならず、中国の東シナ海での活動の活発化、台湾に対する軍事的圧力、南シナ海における軍事拠点化といった軍事動向、北朝鮮の急速なミサイル能力の向上を含めた核・ミサイル開発など、今後、最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中で、我が国も自国の平和は自国で守るという強い意思と行動が求められております。
 そして、我が国の平和を守る上で第一に重要なことは、何より、力による一方的な現状変更を許容しない環境をつくり上げていくことです。
 もうしばらくで質問に移ります。
 厳しく複雑な安全保障環境の中で、できるだけ多くの国とともに……(発言する者あり)早めに終わります。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を強化し、さらに、同盟国、同志国間のネットワークを重層的に構築するとともに、それを拡大し、抑止力を強化することが重要であります。
 東南アジア、南西アジアには、インドを始めとして、その防衛力の根幹である防衛装備品の多くをロシアや中国から輸入している国家があることも現実です。これを踏まえれば、装備移転について、殺傷性があるかないかという防衛装備品の性質に着目するのではなく、国という点に着目して、移転先が安全保障上我が国として関係を深めていく国であるかどうかということから装備移転を考えていく方法もあるのではないかと私は考えております。
 国家安保戦略及び国家防衛戦略では、安全保障意義の高い防衛装備移転や国際共同開発を幅広い分野で円滑に行うため、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しについて検討するとあり、今私が申し上げたような問題意識を踏まえながら、我が国が今後より幅広い移転をしっかりと実現できるよう、早期にしっかりと見直しを進めていきたいと考えております。
 また、制度の見直しに加えて、装備移転において、相手国が求める価格や取得時期を踏まえた細やかな調整や、移転の見返りとして求められるオフセットへの対応など、これまで経験が浅い我が国には様々な課題があると聞いております。
 先ほど申し上げた装備移転の意義を踏まえ、官民一体となって、政府が装備移転を主導する姿勢を明確にして、これらの課題を解決していく必要があると考えますが、防衛大臣の認識をお伺いいたします。
    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

発言情報

speech_id: 121105261X00520230202_024

発言者: 熊田裕通

speaker_id: 19126

日付: 2023-02-02

院: 衆議院

会議名: 予算委員会