前泊博盛の発言 (予算委員会公聴会)

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○前泊公述人 皆さん、おはようございます。
 今日は、石破さん、先日、国会での議員のやり取りも聞かせていただきましたけれども、戦争の経験者が中央にいるうちは戦争は起こらないけれども、その人たちがいなくなったらこういう動きになるのかなという懸念を示されていました。まさにその話を、昨日、沖縄でも議論をしてきたところです。我々、沖縄戦経験者たちがいなくなって、沖縄での戦争がまた始まりそうな雰囲気だということで、今日は、その話を含めて、皆さんに是非、傍観者ではなく当事者として安保三文書についても議論をいただきたいということで出てまいりました。
 今日は、レジュメの方を発言要旨ということで提出をさせていただきましたけれども、安保関連三文書ということで、先ほど川上先生からも、捨てられる恐怖とそれから巻き込まれる恐怖というお話がありました。今まさに、捨てられる恐怖から、巻き込まれる危険な水域に日本が入っていこうというような印象を持っています。
 そうならないためにどうしたらよいかということで、我々も、沖縄でもノーモア沖縄戦という取組、あるいは対話プロジェクトということで、台湾や中国の皆さんをお招きをして沖縄で議論をしていただく、そういう取組を始めています。それから、ハブプロジェクトということで、沖縄における、こういう戦争に巻き込まれないために、沖縄を戦場にしないための施設や、あるいは投資や、あるいは国連の機関の誘致、こういった動きまで含めて、本当に鬼気迫る感じで取組が始まっているところです。それから、国会にだけ任せていたら沖縄は戦場にされかねないということで、自治体外交の取組も含めてこれからは展開せざるを得ないだろう、そういった議論も始まっています。
 是非、この問題についても、皆さん共有する形で、傍観者ではなく当事者として取り組んでいただければというふうに思っています。
 国会審議なしの、事実上の閣議決定で軍拡や敵基地攻撃能力というものが決められている、そんな印象を持っています。
 そういう意味では、異次元の軍拡、これは、防衛省から出ている予算書を見ると愕然とするんですけれども、もう戦争が始まったのかというぐらい、一気に一兆円余りの予算が増額をされています。そして、兵器を買うお金も含めて、一気に二倍、三倍に膨らんだ、そういった予算が今後通ろうとしています。
 そういう意味では、有事即応態勢というどころか、もう戦時体制の予算編成が第一歩を踏み出している、そんな印象を持っています。
 これをどう変えていくかです。
 下の方に、国家防衛戦略の全体像ということで、防衛省の資料をつけさせていただきました。
 この中を見ると、赤字で防衛省はもちろん強調しておりますけれども、我が国自身の防衛体制の強化、ここが強調されています。これがまさに、川上先生がおっしゃったように、我が国自身の防衛体制の強化、捨てられたときに困らないような体制かというふうな印象を受けます。そしてさらに、防衛力の抜本的な強化、国全体の防衛体制の強化ということが強調をされています。
 二番目が日米同盟の抑止力と対処力、そして三番目の、セーフティーネットとして、同志国の連携という言葉が出ています。これまでになかった、同盟関係を更に強める形で次のグループ、これが同志国という表現をされています。この中には、豪州、インド、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア等、そして韓国、カナダ、ニュージーランド、東南アジア。
 我々は、軍拡に対して外交力がもう少し発揮されてしかるべきではないかということを注目をしていたんですが、岸田首相が、せんだって外遊をなさって、外交を展開したというふうなことでしたけれども、中身を見ると、この同志国の訪問を繰り返しているんですね。
 並べてみると、これは明らかに中国包囲網をつくろうとしているかのような印象を受けます。そうすると、まさに中国側からすれば、包囲網をつくられて心穏やかではない、これにどう対処するかというような、戦争を惹起するような外交を展開しているかのような印象を受けます。こういうことにならないように。昨日、石破先生が指摘をされたとおり、何のための防衛三文書なのか、この辺りが国民に説明が十分されていない。そのことについては、まさに同感であります。
 読まれて分かると思いますが、異次元の軍拡というのが、宇宙航空自衛隊という言葉が出てきます。宇宙です。これから宇宙の時代、そして、これから軍事衛星をぼんぼん上げていかなければならないという話にもなっていきます。
 それから、海自と海保の融合も出てきます。これは、尖閣問題を抱えている沖縄からすると、今、海上自衛隊が出てきていない、海保で対話をしているがために戦争に至っていないというふうな視点で見ていましたけれども、ここに海自が出てくるということになれば、一触即発の危機すら招きかねないという懸念です。
 それから、沖縄については、十五旅団というのがあります。これは、熊本、師団の隷下にありますけれども、これを、旅団を師団に上げる。今二千五百人を、五千、六千あるいは七千と。師団規模に上げるということはどういうことかというと、師団というのは単独で戦争が遂行できる規模というふうなことを聞いていますけれども、師団化することによって、沖縄での局地戦を展開する準備を進めるかのような印象を受けますね。ここら辺でも、沖縄が非常に危機感を持っているところです。
 今日は、石破先生ほか、岩屋先生、それから衛藤先生、私も記者時代に、御三方、たくさんの指導を受けましたけれども、そういうところでいうと、この師団化の動きについても、沖縄は心穏やかでない状況にあるということをお伝えをしておきたいと思います。
 それから、国是であったはずの専守防衛は、いつの間に敵基地攻撃能力に転換をされてしまったのか。ここに踏み出してしまうと、軍事力は幾らあっても足りないという状況になってくると思います。
 先ほど、トマホークの購入の話もありましたけれども、大量の燃料を入れるとトマホークは果たしてどれだけ運用可能な状況で維持できるのかという話もありました。五百発が本当にこの国を守るに十分な量なのか。
 今、ロシアのウクライナ侵攻の話を聞いていますと、三千発、五千発、あるいは一万発を撃ったけれども、まだ劣勢にあると。今後、ウクライナを侵攻するために、勝利を得るためには、一万発どころか十万発が必要という話も出てきたりします。そうしますと、中国と本当に日本が立ち向かうときに、どれだけのミサイルを準備していくのかという話があります。
 日曜日に、対話プロジェクトで、中国の国民党、それから民進党のお二人をお招きをしましたけれども、核武装についても議論したことはありますかということをストレートに懇談の場でお聞きしました。それについては、やはり取り組んだことがあるけれども、途中で、完成間際でアメリカによって止められたというお話を聞きました。
 沖縄からすると、復帰前に千三百発の核、ミサイルが配備をされていました、沖縄にです。そのミサイルはどこに行ってしまったのかということを何度も確認をしているんですが、これは曖昧戦略の中で、明らかにされないまま、今進んできています。その核が台湾に行っていないという保証はあるのだろうか、そういうことでお聞きをしたことがあります。
 こういう偶発的な戦争勃発の危険性、そういったものが専守防衛を撤回することによって出てこないかということであります。
 それから、戦時体制の構築というところで、今、予算規模を見ると、世界の第三位の軍事大国化というふうな指摘もあります。日本は本当に軍事大国を目指していくのかどうか、この予算委員会の中でしっかりと議論をいただければというふうに思っています。
 予算書を見ると、四兆七千億円から、七兆円規模ぐらいまで後年度負担も増えています。いわゆるローンで武器を買ってきました、これは五兆円ぐらいだったんですが、もう七兆円ぐらいまで増えていくんですね。表に出ている防衛予算の裏側で後年度負担が激増している部分についても、予算委員会の中で議論をいただかなければならないのではないかというふうに思っています。それから、もちろん、一%枠を撤廃しました。二%の設定の根拠はと。
 これも石破先生が昨日質問していましたけれども、答弁を聞く限り、釈然としない、もう少し突っ込んでほしかったなというふうにテレビを見ながら思っていましたけれども、是非、専門家として、国民目線で引き続き追及をしていただければというふうに思っています。
 それから、二枚目の方に行きますけれども、裏面の方に。
 次の課題として、台湾有事という危機が創出をされているかのような印象を受けます。
 危機をあおることによって有効需要が創出されるというのがありますけれども、軍需産業というのは、危機をあおればあおるほどもうかります。そういう意味では、四十三兆円という、今後、莫大な防衛投資を行っていこうとしているわけですから、これは、一体なぜそれだけのお金が必要なのか、この試算の根拠は何かというのがあります。
 今回、予算書をこの議論に当たってお送りいただいたんですけれども、数千億円規模の、四兆とか五兆とかそういう数字が出てきます。その中で、例えば、新たな航空機の購入、戦闘機の購入だと思いますけれども、その数字についても、四千億円とか五千億という、ばくっとした数字が出てくるんですけれども、やはり、この予算委員会では、お買物リストについてもしっかりと出していただいて、それぞれ、その買物が必要なものなのかどうかというのはしっかり議論をいただきたいと思っています。
 前に、衆議院の、同じように地方公聴会で発言をさせていただきましたけれども、その際には、オスプレイの購入、オスプレイについて予算書を見ると、どこにもオスプレイのオの字もない。中を見ると、ティルトローター機と書いてあるんですね。いわゆるティルトローター機というのはオスプレイのことですけれども、これが、最初の年に五機、次に五機、その次に五機、そして二機というふうな形で散らばって書いてあります。これがまた、トータルで幾らということで、軍用機の料金として書かれているんですね。一機当たり幾らか分からない。
 これも、私もワシントンで聞いたら、九十八億ぐらいだというふうに聞いていたのが、予算の中身を見ると、十七機で三千七百から三千六百億円ぐらい。一機当たり二百億円ぐらいになっているんですね。日本が買うとなぜその値段になるのかという、そういった辺りの予算の突っ込みがもう少しあってよろしいのではないかというふうに思っています。
 それから、沖縄の戦場化の話ですけれども、沖縄を戦場にされるというので、学生たちから、もう沖縄ガチャから抜けたい、なぜ沖縄で生まれたばっかりにこういう戦争の話ばかりされるんだ、あるいは基地問題を聞かれ続けるのか、そういうことを、復帰五十年の中で、NHKの朝の番組でこの学生たちのディベートを紹介されたときにこんな話が飛び出して、ツイッターでかなりバッシングをされたというふうに聞いていますけれども。
 沖縄を戦場にしなければならない理由は何なのかということですね。
 この議論を聞いていると、今、ウクライナで東側のドンバスがまさに攻撃を受けていますけれども、首都のキーウの方では普通の生活が続いている、こういうことが出てくると、沖縄は戦場になって、そして東京では普通の生活が続くという、そんなイメージすら浮かんでくるんですね。東京では、今日ももう出勤の時間よ、お弁当を持ったのという話が出ている、ところで、テレビを見たら、今日、沖縄でミサイルは何発飛んだの、何人が死んだの、こんな話をされかねないような、そういう背筋がぞっとするような議論が続けられていくような気がして、こういう問題に対して、もっと当事者意識を持ってほしいというふうに思っています。
 それから、国民保護計画、これもあります。
 沖縄においてミサイル防衛ということで、今日、資料をつけさせていただきましたけれども、資料の四枚目ぐらいに。陸上自衛隊の南西諸島配備です。馬毛島から始まって、奄美大島、そして沖縄本島、宮古、石垣、与那国と、次々に自衛隊のミサイル基地が建設をされています。このミサイル基地は一体誰から誰を守るためのものなのか、何から何を守るためのミサイル防衛なのかというところが非常に気になるところであります。
 これは、話を聞くと、もうあと五分前になってしまいましたけれども、資料をたくさんつけてありますので読んでいただきたいと思いますけれども、ポイントとして、この新聞記事の中にも入れましたけれども、トゥキュディデスのわなというのがあります。新興国家が覇権国家に挑む、その際には戦争になることが多いということで使われている、これはハーバードの言葉でありますけれども、ハーバードの研究者たちがつくった造語のようですけれども。覇権国がむしろ新興国を潰すための戦争をしかけているのかなという、これも川上先生からの指摘がありましたけれども、こういった動きに対して、国民は、じゃ、どういうふうに対応すればいいのか。
 日本がそういうトゥキュディデスのわなにはまりかねないということを懸念をしているところでありますけれども、アメリカの戦争に日本が巻き込まれないようにということを川上先生も指摘をされておりましたけれども、我々も、まずは、国を守るよりも国民を守る安全保障の議論をしていただきたい、そのことがまず基本ではないかというふうに思っています。
 それから、沖縄から見た安全保障の問題でいうと、平時の安保と有事の安保があります。
 今日、私の同行人として、「ゴルゴ13」の原作も書いている平良さんが同行させていただきましたけれども、彼が、漫画で読む地位協定というものを書いていただきましたけれども、漫画しか読まない国会議員の方もいるというので、漫画を描いて作らせていただきましたけれども、その中で強調したのは、DEFCONという話です。日本においては、有事と平時における区分けがないままに地位協定が運用されている。このために、戦時体制において作られた地位協定が国民の権利を侵害し、そして国民の安全すらも脅かすような状況が続いている。
 これは、例えば、資料につけさせていただきましたけれども、訓練の中で、小学校の上を飛んで、そしてヘリコプターが窓枠を落下させる、こういったことが起きないように、この上を飛ばないでくれとまさに政府が申入れをしたにもかかわらず、その上を飛び続けるんですね。日本政府ができることは、こういうシェルターを造って子供たちを守る、米軍の訓練から日本ができることは、その上を飛ばさないことではなくシェルターを造って守る、こういう状況が沖縄では起こっているということです。
 しかも、この普天間基地、いつ返るのかということのめども立たない。そして、その代替施設は、一体幾らお金がかかるのかも分からないという状況の中で造られ続けている。そして、私の研究室から見えます、その写真をつけましたけれども、今も新しい施設がどんどんこうやって造られているんですね。大きな施設が造られているのに、普天間が返るというようなことを誰が信じるのかということです。こういう、二十五年間にわたる普天間返還というこの動きは、もしかしたらフェイクだったかもしれないというふうにそろそろ気がついてもよいのかなという話すら出ています。
 こういう国民を守る安全保障、そのために何の議論が必要かということを今考えていただきたいということで、今日の公聴会の中の意見を陳述をさせていただきました。
 それから、軍は民を守らないというのが沖縄戦における最大の教訓でありましたけれども、今、ウクライナ戦争を見ていると、新たな脅威が出ています。軍は民を守らないどころか、軍は民を盾にする、そして民間地域が攻撃を受ける、そこを戦場にすることによって犠牲者が出る、その犠牲者の数を外に出すことによってNATO軍から武器の供与を更にいただく、国際世論を味方につける、そういう民を盾にしているような戦争のように映ります。
 そういう犠牲を沖縄が受けないためにどうしたらよいのかということを考えているわけですけれども、私は、沖縄は日本におけるまさにカナリアではないかというふうに思っています。この国の中で沖縄が犠牲になるときは、日本全体が犠牲になるときだというふうに思っています。沖縄という地域は、日本というこの国が抱えている問題が全て凝縮された地域です。沖縄の危機を共有することによって日本の危機に対処することができるというふうに思っています。是非、傍観者ではなく当事者として、この問題について注目をしていただければと思います。
 たくさんの資料をつけてありますけれども、是非その中身についてもお目通しをいただいて、実りある議論をしていただけることを期待したいと思います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 121105262X00120230216_008

発言者: 前泊博盛

speaker_id: 12559

日付: 2023-02-16

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会