黒田東彦の発言 (予算委員会第三分科会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○黒田参考人 現状、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は四%台になっておりますけれども、二〇二三年度半ばにかけて、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していく。既に輸入物価上昇率は低下してきているわけですね。それに加えまして、政府の経済対策によるエネルギー価格の下押し、押し下げ効果もありまして、消費者物価の前年比はプラス幅を縮小していくというふうに考えております。
その後は、再びプラス幅を緩やかに拡大していくと見ておりますけれども、その要因としては、第一に、景気の改善に伴って、マクロ的な需給ギャップが改善していくこと、第二に、その下で中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくことにより、基調的な物価上昇圧力が高まっていくということが挙げられると思います。
御指摘の賃金動向について、やや詳しく申し上げますと、先行き、我が国経済が改善していく中で、労働需給が引き締まり、サービス業に多い非正規労働者の賃金の上昇が見込まれるほか、その影響が中小企業などの正規労働者の賃金にも徐々に波及していくことが予想されます。さらに、春闘などの労使交渉において、労働需給の引き締まりに加えて、これまでの物価上昇も相応に賃金に反映されるのではないかというふうに考えております。
過去、物価や賃金の上昇率が高まりにくかった背景としては、確かに、長きにわたるデフレの経験から、賃金や物価が上がらないことを前提とした考え方や慣行が根強く残っていたということが影響していたと思いますが、また、この間、女性や高齢者を中心に労働参加が大幅に増加した、四百万人以上増加したということでありまして、これが、雇用者報酬は増加しているわけですけれども、こうした弾力的な労働供給が、結果として、一人当たり賃金の伸びを弱める方向に作用していたという面もあったと思います。
ただ、今や、我が国の女性の就業率はアメリカなどの諸外国並みの水準となっておりますし、いわゆる団塊の世代が就業率の低下する七十五歳以上に達しているということなどから、女性や高齢者の労働参加の増加ペースは鈍化していく可能性が高い。したがって、今後、経済が改善していくに伴って、労働需給の引き締まりが進みやすくなって、賃金を押し上げる方向に働くというふうに考えております。
そういうこともありまして、賃金上昇率は、先行き、伸びを高めていくというふうに見ております。