伊波洋一の発言 (外交防衛委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。
会派を代表して、装備品基盤強化法案に反対の討論を行います。
本法案は、装備品生産の基盤強化のための措置等について定めるものです。基盤強化の措置では、防衛省と直接契約関係にない下請企業にも経費支援を実施できます。どのような物品のどの範囲の事業者が支援対象となるのか、恣意的な判断がなされるおそれもあります。
本措置は、防衛装備品という特定の公共調達に限り、製造業に広く存在する重層的下請構造における下請企業に対し必要経費を補助し利益を保障するという、ある種の公契約規制を導入するものです。仮にこのような措置が可能なのであれば、他の公共調達にも公契約法を導入すべきではないでしょうか。日本の物づくり、製造業が全般的に競争力を失いつつある中、軍需産業だけ例外的に手厚く保護することは、他産業とのバランスを欠き、極めて不平等です。
装備移転の円滑化措置は、武器輸出のため、指定支援法人という天下り機関を経由して事業者を助成するものです。事業者の企業努力を求めず、必要経費を支援してまで武器の海外輸出を支援することは、武器輸出三原則に沿った戦後日本の平和外交の成果を損ねかねないものです。
製造施設等の国による保有は、経営に行き詰まった企業の国有化を可能にするものです。このような措置は、戦前の国営兵器廠の例を出すまでもなく、自由主義経済の対極にある統制経済や戦時経済であって、許されるものではありません。我が国はいつから戦時体制になったのでしょうか。
秘密保全措置では、事業者は、従来の省秘に当たる装備品等秘密を漏えいした場合、「一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」という刑事罰が科されます。現在、防衛省と契約し省秘を扱う事業者は約百四十社、その従業員数は一万五千人に上ります。さらに、その漏えいを「企て、教唆し、又は幇助をした者」にも同様の刑罰が科されます。これは、軍需産業と本法案の措置に対する市民やメディアの監視を刑事罰により威嚇し、民主主義社会の根幹である国民の知る権利やメディアの取材、報道の自由を侵害するものです。
法案は、防衛産業は防衛力そのものというスローガンを根拠に、営利企業という事業者の本質を否定し、防衛省による軍需産業の過度な優遇を促すもの、許すものです。国内での装備品生産基盤の強化は、安保三文書に基づく「持続性・強靱性」の確保、すなわち抑止が破れた場合の継戦能力の維持が目的です。しかし、抑止が破れた場合に自衛隊が粘り強く戦って米軍の来援を待つという現在の防衛省・自衛隊の戦略自体が、米軍が来援するとは言えないことから、フィクションにすぎません。
ウクライナ戦争を例に、軍需産業が国内に立地する意義を強調する議論がありますが、日本の一・六倍の国土面積を持ち、広大な後背地を抱えるウクライナを、島国で縦深性のない日本が参考にすることはできません。むしろ、有事には、この法案で支援された軍需産業、町場の工場などがジュネーブ条約上の軍事目標とされ、ミサイルやサイバー攻撃などのターゲットにされかねません。本法案による国内軍需産業の振興は、日本社会の変質を招くのみならず、日本列島に多くの標的をつくり、日本を戦場にする台湾有事において、中国のミサイルを分散させることで米中ミサイルギャップを埋めるという、米国の軍事戦略にストレートに応えるものにほかなりません。
このような法案の問題点を指摘し、委員各位においては対応の再考を求めまして、反対の討論といたします。
ありがとうございました。