内田眞一の発言 (議院運営委員会)
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○参考人(内田眞一君) 内田でございます。
本日は、所信を述べる機会を賜りまして、光栄に存じます。
私は、昭和六十一年に日本銀行に入行し、それ以来、主として金融政策の分野で働いてまいりました。最近では、企画局長あるいは金融政策担当の理事として、二%の物価安定の目標、量的・質的金融緩和、イールドカーブコントロールなど、現在の緩和枠組みの作成に実務面から携わりました。また、新潟、名古屋の支店長として地域経済に貢献すべく支店の運営を行ったほか、国際担当の理事としてG20日本開催などに取り組んでまいりました。
今般、副総裁としてお認めいただくことができましたならば、これまでの経験を生かして、もうお一方の副総裁とともに全力で総裁を支えるとともに、政策委員会の一員として議論に貢献してまいりたいと思います。
現在は、ウクライナ情勢、新型コロナ感染症の動向、世界的なインフレと金融引締めの影響など、内外経済をめぐる不確実性は極めて高い状況にあります。国内物価の面では、消費者物価は、除く生鮮食品ベースで四・二%と、二%の目標を大きく上回っております。もっとも、その主因は輸入物価上昇に伴う価格転嫁であり、来年度半ばにかけて二%を下回る水準に向けて低下していくと予想しております。
こうした状況に対しては、金融緩和を継続し、我が国経済をしっかりと支えていく必要があると考えております。
この十年間実施してまいりました大規模な金融緩和は大きな効果があったと考えております。政府の様々な施策と相まって、企業収益の好転や雇用の増加をもたらし、デフレではない状況を実現しました。一方で、どのような政策にも効果とコストがあり、フリーランチはありません。金融機関収益や市場機能などの面で悪影響が生じていることも事実です。
日本銀行は、こうした効果と副作用を比較考量した上で効果の方が上回っていると判断し、また、その中でもできる限り副作用を小さくする工夫を行いながら緩和を行ってまいりました。この先も金融緩和は必要です。日本銀行が直面している課題は、副作用があるから緩和を見直すということではなく、いかに工夫を凝らして効果的に金融緩和を継続していくかということだと考えております。
これまで様々な政策手法の設計に携わってきた経験から、これからも経済、物価や市場の状況変化に適応しながら、しっかりと金融緩和を続けていけるようアイデアを出していきたいと思っております。
金融緩和を効果的に継続していくためには、金融市場の安定が極めて重要であり、政策運営において十分考慮してまいります。また、市場との最前線に立つ金融市場局を担当してきた者として、実務面からも市場の安定を維持すべく、引き続き責任を持って取り組んでまいります。
日本銀行は、金融政策以外にも、金融システムの安定維持、銀行券の発行や各種業務など、多くの大切な任務を負っています。国内外の本支店事務所に約五千人の職員が働く組織として、災害時を含めて一日も欠かすことなく役割を全うできるよう運営していく責任がございます。
また、デジタル化など、経済社会の変化に柔軟に対応し、国民の皆様にとって利便性の高い中央銀行サービスを提供していくことも重要です。例えば、各国で検討が進んでいるCBDC、中央銀行デジタル通貨につきましては、もちろん導入するかどうかは国民的な議論の上で決定されるべきものでございますが、その前提となる実証実験や関係者との議論をしっかりと進めてまいります。
こうした業務・組織運営面で総裁を補佐して、より良い職場をつくり、職員の力を結集していくことは、日本銀行に長く勤めてきた私の重要な任務であると考えております。
最後になりますが、日本銀行法の規定にのっとり、政府と密接に連携しながら、経済・物価情勢に応じて機動的な政策運営を行い、構造的な賃上げを伴う形で二%の目標を持続的、安定的に実現すべく全力を尽くしてまいります。
ありがとうございました。