岩船由美子の発言 (経済産業委員会)
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○参考人(岩船由美子君) 東京大学生産技術研究所の岩船と申します。
こちらの資料を基に御説明させていただきます。
私の今日のお話は、GX脱炭素電源法、この議論には直接触れるものではないですけれども、一つの大きな柱が再生可能エネルギーの主力化ということですので、その文脈で、かつそれを実際に進めていくためにはどうすればいいかという視点で、山地先生と一緒ですけれども、3EプラスSという視点を重視してお話ししたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、二枚目になります。
3EプラスSの実現ですけれども、よくよく考えると、確かにこれを同時実現したいのは事実なんですけれども、やはりトレードオフがあるなと。しかも、優先順位がある。先ほどもお話ありましたけれども、やはりその安定供給をマストとして、環境も今回の、今の方向性ではマストだとすると、やはり経済性の面でどこまで負担できるかという視点で考えなくてはいけないと思います。経済的な負担をどこまで受け入れられるか、受け入れられる水準に収めるためには、やはりエネルギーシステム、電力システム全体の全体最適化、効率化が私は重要だと思っております。
三ページ目、お願いいたします。
私は、元々は山地研究室を出まして山地先生の弟子ということもありまして、各種の国の委員としても参加させていただいております。そこで、方々でこれまで言ってきたことを一通り整理してみたいとここで思いました。
まず、一つ目のポツです。費用対効果の良い順にやはり政策は進められるべきだろう。ここは、もちろん取る時間軸ですとか技術の分解に、解像度によって何がいいかというのを決めるのは非常に難しいんですけれども、長期的な見通しというのは不確実性も大きいですので、手前ではなるべく最大限確度の高い既存技術の導入を進めるべきではないかと思っております。
次の二つ目が、GXで経済が潤い、国民負担を増やすことなくカーボンニュートラルができるというのは、やはり私は幻想だと思っております。もちろん、ここは丁寧な分析は必要です。でも、恐らく確実に国民は痛みを伴うので、ここは政治的にしっかりした説明が必要ではないかと思います。カーボンニュートラルに対する国民の取組をなるべく促すような支援が必要だと思います。
三つ目です。系統運用の効率化が非常に重要だと思っております。自由化によって様々な市場が乱立しているような状況でありますけれども、市場が必ずしも適切に機能するわけではないと思います。非効率な運用になっていないか、もちろん市場の監視はたゆまなく続ける必要があるんですけれども、もっと良い運用の仕組みがないかということを常に考えるべきではないかと思います。ここで今、もうちょっと先になりますけれども、キロワットアワー、前日のスポット市場とデルタキロワット、調整力市場ですね、これを今、同時約定していこうという方向になっていますので、これは非常に効率化という観点から見ると適切だと思います。
四つ目、長期脱炭素電源オークションの導入がこれからされますと。ということは、電源確保というのは、結局のところ、まあFITもそうなんですけれども、基本、総括原価的な方向に向かっていると思います。そうしなければ、そもそも脱炭素は難しいですし、安定供給も難しい状況にあると思います。ですので、じゃ、競争して何がうれしいかということを、もう少し競争の価値というものをこの辺りで立ち止まって考えるべきではないかと思います。
次が電化です。
電化というのは、カーボンニュートラル政策にとっては非常に重要だと思うんですけれども、昨今の電気代高騰もありまして、今余り人気のないメニューになっております。ですけれども、柔軟性向上、脱燃焼という視点からは非常に重要だと思います。これは、ただ黙っていても電化は進みませんので、何らか促進のドライバーが必要かと思います。電化できる分野は電化で対応し、電化できない分野で、例えば水素ですとかそういう高いオプションを入れていくというような対応が必要かと思います。
下から二つ目、これはまた何度かこの後も述べるんですけれども、電力の市場価格をやはり小売価格に連動させるような仕組みが必要だと思います。
最後ですけれども、今は一律のエネルギー料金補助のようなかなり巨額な補助がされているわけですけれども、それも一定は必要ではあるんですけれども、やはりそのカーボンニュートラルに向かう方向を支援するようなめり張りのある政策をお願いしたいと思います。こんな感じです。
四枚目なんですけれども、これは再エネ関連に関して私がこれまで述べてきたことです。
やはり再エネ、小さいものがたくさんできる、で、事業者も本当に多数です。そういう小容量の発電設備がもう何万、何百万と増加する中、管理のためのデータベースをまずはしっかり作るべきではないかと。駄目な事業者がいれば、やはりその地域の、地元の再エネに対する風当たりというのは非常に強くなります。今、あちこちで反対運動が起こっているのも管理が不十分なものも多いからと認識しております。そういうデータベースが作ればそのデータベースを管理に生かすこともできると思いますので、是非ここはもっと進めていただきたいと思います。
先ほどマスタープランのお話もありましたけれども、基本的には、今電源は固定、電源の位置は固定で、それに対して最適なネットワークという視点でマスタープランは検討されております。ただ、本来は、ネットワークと電源配置というのはセットで全体最適の観点で私は検討されるべきではないかと思います。
これは何かといいますと、やはり需要に近いところに電源が立地誘導できると余分なネットワーク増強が要らないということがあります。もちろん、気候的に、風が強い北海道とかに再エネの賦存量がたくさんあることは分かるんですけれども、例えば千葉の辺りの洋上風力をもっと増やすとか、そういうことによって需要地に近い方向に電源を立地誘導してくるという視点も私は重要かと思っております。
太陽光発電は、やはり地面型は、かなりもう非常にその景観ですとか、あとは様々な土地利用の観点から難しくなってきておりますので、建物屋根上のPVの設置というのを後押しする制度が必要で、今そちらの方には向かっていると思います。
あとは、これも後ほど話すんですけれども、抑制ありきでの制度設計をお願いできないかと思います。太陽光の抑制が今非常に問題になっておりますが、それ自体はそこまで、それ自体が問題ではなく、抑制はなるべく避けたいんですけれども、ただ一定抑制していくことを見越した上で太陽光が入っていかないと、二〇五〇年のカーボンニュートラルにはとても届かないのではないかと思います。
四ページ目は、系統の柔軟性確保のために需要側のデマンドレスポンスが重要で、制度設計と技術開発が必要という点でございます。
ちょっと時間的にもしかしたら厳しいのかもしれないんですけれども、五ページ目には、そのカーボンニュートラル実現のための、少しでも経済性を良くするような仕組みですね、それについてリストアップしたものでございます。
ここは、まあ繰り返しになる部分もありますけれども、基本的に需要側の仕組みをうまく取り込んでいく必要があるのではないかと思います。
五ページで、これまで言っていないことで強調したいのは、スマートメーターですね。例えば、日本ではもう全ての需要家にスマートメーターが付くという、非常に価値高いわけですけれども、このデータ利用に関してはかなり制約があります。
もちろんプライバシーを懸念される需要家さんが多いことは理解できるんですけれども、ただ、そのために全く研究者ですらこのデータが扱いにくいというような状況に今なっておりますので、プライバシーには配慮しつつ、もう少しうまくデータを活用していくような方向、デジタル化にも資すると思いますので、そこを何とか進めていけないかと思います。
一番下の既存技術の徹底的な活用ということでは、これまでにもお話出ているような気もするんですけれども、従来型の電気温水器のヒートポンプ式へのリプレースですとか、既にあるヒートポンプ給湯器の昼運転化への補助、あとは建物の性能向上というのが非常に重要な視点かと思います。
六ページがその出力抑制の議論なんですけれども、こちらは当然、経済産業省さんの方でも対策の検討は進んでおります。
系統対策、連系線等の増強、供給対策、火力発電、バイオマスも含むですね、最低出力の引下げ、そして需要対策、これは電池への補助とかそういうものでございます。
ただ、非常にこちら頑張っていると思うんですけれども、それでも、特にこの春ですね、物すごく抑制量が増えて、また、もっと抑制量何とかしてくれという強い要望はあるようなんですけれども、出力抑制の抑制のための過度な費用負荷というのは、増加というのは私は避けるべきではないかと思います。
基本的な視点に立ち返れば、そもそも需給が一致しなければ不要なものは不要ですと。例えば、水力発電でも、水が多いときは水あふれちゃって使えないわけです。でも、それはもったいないとは誰も言わないわけですね。ということもあります。
PV、太陽光発電の過積載というのは、全て、ほとんど今の事業者さんみんなやっていると思います。パネル容量に対してパワコンの容量が小さくて、パワコンの容量に対してパネル容量が一・五倍とかになっているんですけど、その分というのは実は捨てているわけですね、そこをある意味。なので、事業者判断でそういうところは捨てているのに、系統側の理由で進める、捨てることに関しては物すごくネガティブな印象を持たれるということがあります。
出力抑制自体は悪ではなくて、ある意味調整力とも言えるわけです。カーボンニュートラルの実現レベルには、需要を大幅に上回るような再エネが必要です。一定程度、出力抑制前提で経済性が成立するコスト水準が必要かと思います。
それでも、ただ、まだ再エネは増やしたい、たとえ九州のようなところでも増やしていきたいというのであれば、かつコスト低下が最近止まっている感じもありますので、やはり出力抑制を含めた事業性成立のための支援というかなり高いレベルの支援が必要になるかと思われます。
次のページが、再エネ出力抑制緩和のための需要対策として、これは今年の四国電力の四月二十七日の需給バランスとスポット価格を示したものです。黄色い部分が太陽光発電です。黒い線が需要です。上の茶色い部分がこれ太陽光が抑制された部分ということになります。
私がこれで一番言いたいことは、実は、四国電力は非常に、これ中国電力もそうなんですけど、電気温水器がまだ多い。ヒートポンプ給湯器でもなくて電気温水器が実は多くて、下に数字あるんですけれども、環境省さんの統計から持ってきているんですけれども、電気温水器が一二・七%の普及率、ヒートポンプ給湯器が三割なので、夜中にそれが動いているんですね。
このグラフの中で、赤い枠で囲った部分が電気温水器、これはヒートポンプ給湯器と電気温水器両方なんですけど、の需要で、私がその出力から推計した矢印の長さが恐らく夜中に動いている部分だと思われます。これだけの、今、夜中にわざわざ動いて、しかも昼間はPV捨てているというのが四国電力さんの現状なわけです。これは四国電力さんだけじゃなくて、今、電気温水器、ヒートポンプ給湯器は基本夜に動かすように設計されていますので、これが昼間にもしシフトできれば非常に価値が高いわけです。
しかも、今、スポット価格見ると、下の図です、これ四十八こまになっていますので三十分単位の価格なんですけれども、昼間ずっとゼロ円になっているわけですね。という状況ですので、このスポット価格が適切に小売料金に連動できれば、この赤い部分の需要を、まあ最初はその制御機能ないので難しいですけれども、シフトできる可能性はあるのではないかと私は思います。
当然、電気温水器を制御付きのヒートポンプにするインセンティブを与えれば、この赤い部分というのは大分削除されて、このオレンジの、上の茶色のその部分が削減できるというようなこともあり得ると思います。
八ページになります。八ページは、需要の柔軟性向上ということで、EV、ヒートポンプ給湯器、電池の、この辺りの制御価値について申しております。
これからEV、電気自動車、ヒートポンプ給湯器たくさん入ってきますので、それらが入ってくると大型発電所数十基分の調整力になります。料金メニューによる誘導というのができると、それに、そういう機器を、小さい機器もうまく活用することができると思います。
九ページが参照にすべきと思われるカリフォルニアの例でして、カリフォルニアでは、州内の五大電力会社に対して地域ごとにダイナミックなプライシングを義務付けるような新基準を設定して、それをデータベースで価格を管理するというような仕組みがあります。こういったものを参照していくべきではないかと思います。
済みません、まとめます。
十ページが最後に申し上げたいことでして、産業政策的視点はこのとおりなんですけれども、やはりエネルギー政策的な視点は、供給対策だけじゃなくて需要対策を、それが再エネをうまく活用することになると思います。ここにあるように、これまで安定供給、安定供給と言ってきたんですけれども、需要もうまく活用して安定需給へ向かうべきではないかと思っております。
長くなりました。以上です。