西田実仁の発言 (憲法審査会)

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○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 意見を述べさせていただきます。
 国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である国会の権能を緊急事態においても維持するため、近時、衆議院議員の任期延長や元衆議院議員の職務復帰ができるようにするための憲法改正をすべきとの意見が見られます。しかしながら、緊急事態における対応に関しては、憲法五十四条第二項に参議院の緊急集会に関する規定が置かれていることから、この制度の意義及び特徴を振り返った上で、どのような対応策が考えられるかについて参議院において丁寧かつ慎重に議論することが必要ではないかと考えます。
 まずは、参議院の緊急集会の意義について取り上げたいと思います。
 参議院の緊急集会は、芦部信喜氏の「憲法」によれば、衆議院が解散されて総選挙が施行され、特別会が召集されるまでの間に、法律の制定、予算の改定、その他国会の開会を要する緊急の事態が生じたとき、それに応えて国会を代行する制度であり、参議院の基本的かつ重要な権能として位置付けられております。それは、座長に元内閣法制局長官の林修三氏を置く参議院制度研究会による参議院のあり方及び改革に関する意見、昭和六十三年十一月一日でも、緊急時において内閣を統制する機能として重要な位置付けがなされております。
 次に、参議院の緊急集会の特徴として三つ挙げたいと思います。
 第一に、迅速かつ臨機応変な対応が可能である。過去の例では、内閣の求めがあってから集会までの期間は三日ないし四日となっております。
 第二に、緊急事態への対応に必要な権能は認められております。緊急の必要がないとされる憲法改正の発議や内閣不信任決議の行使は認め難いとされておりますが、緊急事態への対応に必要な内閣提出法律案の提出は当然に可能であり、その関連の議員立法の提出も可能とされております。
 第三に、手続及び運営については、国会法及び参議院規則において所要の規定の整備がなされているほか、過去二回の先例を踏まえた先例録も整備されております。
 ただし、憲法が想定する参議院の緊急集会の権限は、文理上からすればあくまでも限定的であります。すなわち、四つの要件があります。第一に衆議院の解散中であり、第二に国に緊急の必要があるときであり、第三に内閣の求めがあるとき、そして第四に事後に衆議院の同意が必要とされております。
 しかし、本来の憲法の規定は本当にここにとどまるのか。衆議院の任期満了時の総選挙でも、衆議院不存在の趣旨からすれば参議院の緊急集会は開催し得るのではないか、それは近時の多数説になっております。また、解散から総選挙までの四十日プラス総選挙から特別召集までの三十日の計七十日とされる期間限定を超える事態でも、参議院の緊急集会は本当に開催できないのか。
 また、第三の内閣の求めは、あくまでも案件は限定されると解されているものの、国に緊急の必要がある場合には、内閣による広範、抽象的な案件の設定や随時の案件追加による対応は本当に許されないのか。憲法五十四条二項は、内閣が参議院の緊急集会を求めることができる要件として、国に緊急の必要があるときと定めております。この解釈について、学説上は特別会の召集を待つことができない程度の緊急の必要があればよく、災害時における集会の対応も含まれるなど、一般に議員の任期延長等の前提条件としての緊急事態宣言の発出に係る要件として議論されているものよりも広く解釈されているが、どう考えるか。
 一方で、緊急集会に余りに広範囲の権限を与えることは、事後に衆議院の同意が必要である以上、衆議院に遡及効を認める議論に発展していくのではないか。
 検討すべき論点は多岐にわたります。憲法の規定を超える事態の場合、憲法の欠缺には議員の任期延長という憲法改正で対応すべきか、それとも解釈、法律で対応できるかについては大いに議論のあるところでありましょう。
 参議院の緊急集会は、本来の憲法が想定する文理上の限定説を適用すべきか、それとも拡張説ともいうべき無限定説を取るべきか、又はその間のどこかに落ち着かせるべきなのか、この参議院憲法審査会で議論を深め、いずれかのタイミングで憲法学者の意見なども拝聴したいものである。
 以上です。

発言情報

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発言者: 西田実仁

speaker_id: 26049

日付: 2023-04-05

院: 参議院

会議名: 憲法審査会