赤池誠章の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章でございます。
昨年、一昨年と発言の機会をいただいたときにも同様のことを申し上げたのですが、本来、憲法とは、国家の基本的な体制を定め、国民を守るためにあるのだと思います。しかしながら、戦後、現行憲法を現行のままに維持するために国民が憲法を守るようになり、国民を守るためにはそもそも現行憲法のままでよいのかという視点での議論が残念ながら十分進んでこなかったのがこれまでの国会の状況ではないかと今でも思っております。
我が国の安全保障は、まさに重大な岐路に立たされています。ロシア、北朝鮮、チャイナと、我が国は三正面の脅威にさらされています。そして、サイバー、宇宙、電磁波等の新領域での脅威が高まり、特にサイバー攻撃が常態化し、我が国の重要な社会基盤を停止させて、混乱に陥ることになるかもしれません。
また、自然災害が頻発化しており、風水害、大地震、火山噴火等、大規模な自然災害が切迫していると指摘されています。
さらに、ここ三年間の新型コロナウイルス感染症の脅威によって社会経済活動が危機にさらされ、その危機からようやく脱却しつつあるわけでありますが、気候変動や都市化、世界的な人や物の移動もあり、今後も新型感染症が大流行する可能性が指摘されております。
そして、何よりも、以上のような危機が複合的に発災するという最悪の事態を想定しておかなければなりません。いかなる緊急事態であろうとも、国民を守るためには国家体制が機能し続けなければなりません。
本日の議題である参議院の緊急集会について、現行憲法の制定過程の説明にあるとおり、緊急事態の場合、当初、政府は内閣に法律や予算に代わる閣令の制定を提案しましたが、連合国軍総司令部、占領軍によって否定され、民主主義の徹底という観点から、参議院の緊急集会の規定を設けるとされました。しかしながら、参議院の緊急集会という規定は、本当に緊急事態に際して機能するのか、運用面はどうなのかという議論が十分なされているのでしょうか。
まず、憲法の規定上から、先ほどから議論がありますとおり、衆議院の解散時だけ参議院の緊急集会を開催できるとするのか、任期満了時はできるのか、また、最長七十日間をどうするのかや権能の範囲など、緊急事態でそんな議論を国会でやるんでしょうか。そのこと自体が緊急事態に対処できないことにつながりかねないということを大変危惧するわけであります。
そして、衆議院の憲法審査会では議員の任期延長が議論されているわけでありますが、衆議院議員の任期中においても、緊急事態によって衆参両院の議員が定足数に集まらなかった場合、議会が開会できない場合はどうするということについて、我々はしっかり真摯に議論をしているのでしょうか。
また、首都圏直下型地震の影響や、弾道ミサイルの、残念ながらあってはならないとはいえ、直撃したり、テロリストの占拠等によって国会議事堂が使用できない事態が発生したら、どこで国会を開会するというのでしょうか。
国会の議場は、慣例によって、東京のここ国会議事堂で定められているわけであります。緊急事態の場合、どこでも開催しようと思えばできるということにはなるのかもしれませんが、そのとき、公開原則、今日もいらっしゃいます傍聴をどうするのか、会議録策定の事務方をどうするのか、国会の事務局体制をどう緊急事態に確保するのか、事前に取り決め、そして訓練をしておかなければ、とても国会を開会し、機能を維持することはできません。
つまり、参議院の緊急集会という現行の憲法規定のまま、議論だけではなく、実際に具体的に緊急事態でどう国会を開会し続けるかということを議論しなければなりません。緊急事態において、内閣に委任せず、あくまで国会を機能させるのであれば、しっかり国会においても危機管理時の国会の在り方を議論すべきです。
そのとき、国会議事堂の地下に例えば核攻撃に耐え得る議場を整備するのか、衆参二院のときどうするのか、衆参両院合同の常置委員会をつくるのか、定足数の考え方、公開原則をどうするのか、国会を支える事務局体制等々、事前に検討し、取り決め、訓練することが山積していると考えます。そうなると、緊急事態を対処する規定が現行の参議院の緊急集会のみで本当に大丈夫なのかということは大いに疑問と考えます。
冒頭述べましたとおり、憲法とは、国家の基本的な体制を定め、国民を守るためにあります。であるならば、緊急事態において我が国会をどう機能させるか、具体的な議論をここですべきと考えます。