平井伸治の発言 (憲法審査会)

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○参考人(平井伸治君) 皆様、こんにちは。本日は、この伝統ある、そして非常に重要な審議をされておられます憲法審査会に、私ども、知事、副知事のメンバーを呼んでいただきましたこと、心から全国知事会としても感謝を申し上げたいと思います。是非、皆様にもこうした選挙区の問題につきまして御関心を寄せていただき、この解決を図っていただきたいと念願をいたしております。
 それでは、座って御説明を申し上げたいと思います。
 私自身、この度、隣の丸山知事と一緒に、全国の統一の地方選挙でこの度当選を果たさせていただきました。また引き続き皆様に四年間お世話になりますが、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 そして、今日、お手元の方に概略の資料をお持ちをいたしております。問題意識を共通にしたいという思いでございます。やっぱりいろいろと御意見はあろうかと思いますが、後ほどまた質疑でお話合いをさせていただければと思います。
 今、ウクライナ情勢が心配です。これは民主主義の危機と言ってもいい状況だと思います。ペンは剣よりも強しと言いますが、この法理が妥当しなくなってきている、それが現在の世界の状況であります。しかし、民主主義は守らなければなりませんし、民主主義の学校とも言われる地方自治、この自治体の機能というものが今問われ直しているのだと思います。
 そういう意味で、政治に対する信頼性、投票率の低下ということが今回の統一地方選挙でも問題になりました。これは、決して参議院も他人事ではないと御理解をいただきたいと思います。投票率にも影響したり、それから代表の正統性も地元で問われかねない、そういう事態が今起こっている、これが私たちが民主主義を守らなければならないという使命の中で私たちが共に考えるべき課題だと思います。そういう意味で、全国知事会でも度々問題意識を発信させていただいております。
 今日、一枚目の方にお書きを申し上げましたのは、私の問題意識でございます。
 この国におきましては、明治二十三年の府県制以来、都道府県というものはほぼ変わらずに来ています。これが民主主義のユニットだと私たちは考えています。都道府県の知事、あるいは議会という存在があり、これが民意を集約をして、私たちの単位で代表が選ばれ、それが国政と地方をつなぐ、そういうパイプ役になっていただく、これがそもそも想定をされていたわけであります。
 しかし、それが問われかねない事態が今、合区ということで都道府県の境目が取り払われようとしている。これは中長期的に見て民主主義を衰退させることになるのではないか、そういう深刻さを感じているところであります。
 参議院におかれましては、是非とも一人一人、それぞれ都道府県という政治的ユニット、これは経済、社会等のユニットでもあります。そこから選ばれるようにいま一度制度設計を考えていただきたい。なかんずく憲法の問題も絡むと思います。なぜなら、最高裁の判決にもよりまして違憲ということが言われるわけでありますので、憲法の方が変わってもらわなければならないのかもしれません。例えば、都道府県単位での選出というようなことなど、規定している国は正直ざらにあります。そういう意味で、そうした違いが我が国の憲法の中にはあるということをいま一度強調をさせていただきたいと思います。
 釈迦に説法なお話ばかりで恐縮でありますが、二ページ目を開けていただければと思います。
 青い折れ線グラフがこれが従来の選挙区制度によるもの、赤い折れ線グラフが合区によってどう変わったかということを鳥取県で示させていただきました。投票率は、鳥取県は実は全国順位一位、二位、三位という、金、銀、銅のどれかに入るぐらい投票率が高かったです。ところが、合区をした後は一気に二十位、そしてこの度は三十二位というふうにがくがくがくと落ちてしまいました。当然、全国の投票率を下回ることにもなっています。考えられないことです。
 それから、無効の投票率、無効票の率でありますが、これも青いものが従来の鳥取県、全国を下回る状況でありました。コミュニティーが小さいですから、ある程度分かりやすいんですね、間違いにくい。しかし、隣の県から出てくる人も出てくるような選挙になりますと、縁遠くなります。それで白票を投じるんですね。あるいは、この合区はやめろと書く。こういうのも無効票になります。つまり、民主主義の屋台骨である投票制度自体が地元では問われているというのがこの無効票だと御理解をいただきたいと思います。
 次のページを開けていただきますと、これが地方制度と参議院の選挙制度でございます。
 国会開設の勅語が発せられて、伊藤博文先生が憲法調査をしろということになります。当時、モッセという政府の顧問がいました。このモッセは地方自治論者でありまして、地方自治の中で人が育つ、この人が有為の人材として国会議員になるだろうと、そして国会もそれで活性化することになる、地方と国とを両方活性化して日本という国をつくっていこうという思想があったわけです。これに山県有朋内務卿が乗っかりまして、こうした論を立てました。ただ、当時は時期尚早という議論がかなりございました。そういう中、けんけんがくがくの議論をして府県制が誕生し、山県有朋の想定していたとおり、衆議院の総選挙の前に何とか間に合わせることができました。
 注目すべきは、ここで議会が置かれたことです。これによりまして、民主主義の単位というものが生まれました。日本全国津々浦々を通じまして、こういう都道府県ごとに民意をまとめるという機能がこのときから始まるわけです。戦前戦後を問わず、もう百年以上もこうした体制が築かれているわけであります。
 そして、そのうち戦後になりまして、知事の公選制が導入された後も、マッカーサーによりましてこの民主政治を取り入れるべきだと、そういう中、貴族院を廃止するというのがマッカーサーの議論でありました。しかし、参議院というものをつくる、それについては衆議院とは別の構成論理でやろう、それが地域代表制としての都道府県単位の選挙区でございました。こういうような経緯の中で生まれたのが旧来の参議院法制でございます。
 今現在も、都道府県単位でJAだとかあるいはPTAだとか、又は労働組合もそうです。あるいは環境団体にしても、みんな都道府県単位でいろいろと考え、そして陳情、請願を都道府県議会に出し、そこでもまれた結果が意見書としてこの国会の方に届けられる。意見の集約をする母体というのが実はユニットでありまして、これが認められてきたものであります。
 次のページは諸外国でありますが、アメリカもドイツもフランスもこうした広域団体の制度に依拠しているわけであります。恐らく日本の戦後の参議院制度は、アメリカに準拠してやったわけでありまして、半数改選制というのが取り入れられたわけであります。
 六年に二年ずつ、それで二分の一をそれぞれ班ごとに分けて三班で構成していく、そういうアメリカの上院の選挙制度を下敷きにして半数改選ということをやりました。この半数改選が入ったからこそ、選挙区間の較差が拡大する効果がどうしても生まれるわけであります。二、二、四、六という、二、四、六、八という定数になりますので、生まれがちなわけであります。ですから、ここが注目をされたということもあったんではないかと思いますが、アメリカではそういう人口によって一定程度配慮することもせずに、カリフォルニア州でもワイオミング州でも一人ずつ上院の定数というのは各選挙で与えられ、それぞれ二人ずつであります。
 ですから、決して難しいことを言っているわけではなくて、それぞれ、実は欧米でも上院と下院とは違った構成を求めているところがあるということを御理解をいただきたいと思います。
 そして、最後の五ページ目でありますが、その判例の一つの屋台骨になるのが昭和五十八年四月二十七日の判決であります。
 この大法廷判決の中で立法裁量が広く認められました。この立法裁量を国会が持って選挙区制度を制定できる、これは憲法に基づく権能であります。
 その中で、人口比例という憲法十四条に基づくもの以外にも、そうした社会的、経済的あるいは政治的ユニット、これ二つ目のポツのところにありますが、歴史的にも、そういう独自のユニット、実体を有する、この政治的まとまりごとに選出することについては合理性があるというふうに言っているわけです。
 これとの関係で、人口比例主義は一定程度、譲歩、後退を免れないというのがそもそもの判決の骨子であります。これが平成二十四年以降、若干揺らぎますけれども、基本は変わっていないわけであります。是非皆様の方でもそうしたことを考えていただきたいというふうに思います。
 私の方からは以上でございます。

発言情報

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発言者: 平井伸治

speaker_id: 19466

日付: 2023-04-26

院: 参議院

会議名: 憲法審査会